友人Tが白い箱を持って、家に訪ねてきた。この箱を渡しに来ただけだ、これ以上長居はできない。そう言ったきりTは箱を無造作に押しつけて、逃げるように去っていった。恐る恐る箱を開けてみると……
「あ、お巡りさんだ」「なに?」「ああ、お巡りさんだなぁ」「本当だ、お巡りさんじゃあないか」「やあこんにちわ、お巡りさん!」 今日も彼らは『路』を歩く。 SFダークファンタジーお遍路物語。
タイムマシンはあるとしたら脳だぞ。 比するなら、記憶がハンドルで愛がエネルギーで悟りが鍵の車だ。正しき悟り、涅槃、菩提、ラカン・フリーズを知る日、神愛に満たされる、愛により呼吸する者のみが過去を未来を変えられる。
終末は、世界の危機は、否、そういう仕組みだっただけのことなんだ。始まりがあれば終わりがある。夏も永遠には続かないように、世界にも終わりが来る。それは時間などない、空間などない言世締め。永遠の記憶。夏の終わり、晩夏の香り。主夏。立夏。終わり。
素晴らしい! 天上楽園の乙女よ 未来で祐ける きみのための詩 この柔らかな翼で はばたけ人生 全てのゼーレたちは 歓喜に踊る。 ああ、愛おしい。 全人類は終末の日に 兄妹となる。 前兆 前触れ ああ、楽しい 嬉しい 至上の歓び 僕は生きている いまここで生きているんだ
神凪渚の優曇華に、惚けてしまったノクターン。夢うつつ、惑うか、この詩もこの死も同じシなのにと、夕暮れ時の鳥が伝える。嗚呼、もう短い生涯に一回でも、生まれてきてよかった! と歓喜に涙した日がある者よ。その日を大切にせよ。その日まさしくお前は生を受けたのであるぞ。