「水面鏡の世界」

 誰も寄せつけないモノクロヲム
 青黒い炎
 カアテンのやうな格子
 向うの景色は錆のフィルタ越し
 血生臭い日のもとと
 絵に描いた月の下
 黄色なパステルで
 震える手の甲を噛み乍ら
 丸い歯型は形の(いが)んだ赤い月
 眼球の中には黒い月常に満ちて
 格子の内側に横すわり
 しどけなく安らぐその足首に
 チョーカーは白く繋がれり
 白く
 赤く
 青く 時には紫に
 あじさいの鱗を生身の肌に植えつけて
 処女(をとめ)の如き弟は姉待てり
 川の囁きはきっと今でも失われず

「水面鏡の世界」

「水面鏡の世界」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-29

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