「水面鏡の世界」
誰も寄せつけないモノクロヲム
青黒い炎
カアテンのやうな格子
向うの景色は錆のフィルタ越し
血生臭い日のもとと
絵に描いた月の下
黄色なパステルで
震える手の甲を噛み乍ら
丸い歯型は形の歪んだ赤い月
眼球の中には黒い月常に満ちて
格子の内側に横すわり
しどけなく安らぐその足首に
チョーカーは白く繋がれり
白く
赤く
青く 時には紫に
あじさいの鱗を生身の肌に植えつけて
処女の如き弟は姉待てり
川の囁きはきっと今でも失われず
「水面鏡の世界」