演出家、脚本家
はじめまして。演劇に普段は浸かりながら、小説もちょびちょびと書いています。
「彼」と「彼女」は、淡路町の片隅にある古くて安い木造アパートで暮らしていた。 野良猫の撮影をする、フリーの写真家である「彼」と、東京駅の書店で派遣として働く「彼女」。二人の出会いは五年前に遡る。東京のど真ん中で質素で何気ない日々を送りながら、年を重ねて、三十手前。周りは当たり前のように結婚していく中で、不思議な同棲を続けていた。恋人のようで、そうではない。だからといって友達ではない。そして全く冷え切っている訳でもない。そんな二人も自分の将来について考え始めるが、その考えを交わすことは無かった。二人は互いに干渉しないようにしながら、それぞれの道を探っていく。これがいつしか当たり前になっていた。 しかし、それぞれに転機が訪れる時、彼らの関係性は揺らぐこととなるー。
不器用な兄「完」と、その兄を支える妹「つぐみ」、二人は房総の港町で長い間共に暮らしていたが、ある時つぐみに結婚の話が舞い込む。それを機に二人の関係は少しずつ変わり始めていきー 完の成長とつぐみの葛藤、そして兄妹の行く先は…