タガイアキヤ。小説を時々更新します。
以前「月と水底の風」というサークル名で即売会に出展していました。現在は活動休止中です。
(旧ペンネーム「琳堂晶也」)
十三年前の心中事件。生存した青年の所在を突き止めた女婿は、花々に閉ざされた邸で彼と対面する。時を止めたような青年の傍らには悪魔的な少年が立っていた。
城戸伶と九条院隼人は友人ではない。 フリーライターの伶は辞書代わりに九条院の古書店を利用する。 伶と塔田も友人ではない。言語学者の塔田が伶を「お慕いしています」と云っても。 奇書マニアのウッディーは伶の舎弟かもしれない。但し友人ではない。 腰まである髪にロングスカートの伶は女性ではない。もう小説家でもない。 これは交友録ではない。
旧き名の宿命を甘受する男。 名もなき力のまま世を生き抜かんとする男。 「寵臣はやがて魔王を弑逆する」 明智十兵衛光秀と織田三郎信長の物語。
「刀剣乱舞-ONLINE-」の二次創作小説。 審神者の失踪した本丸の大倶利伽羅と加州清光、睡りつづける燭台切光忠。本丸解体のため訪れる「灼けることのなかった」もう一振りの燭台切。
2007年「序」の公開時に書いた「新世紀エヴァンゲリオン」の衒学的で牽強附会なエッセイ。「シン·エヴァンゲリオン劇場版:∥」鑑賞後の2021年3月に追記。
「みいろちゃん?」 「うーんと、じゃあみしきちゃん?」 「みずいろってことないよね」 「え、みずいろちゃんなの?」 「そうです、ただの水色です」 ばーさんの葬式に、法衣以外にはお坊さんらしいところのない日和さんがやってきた。
太陽はダイソン球に覆われ、月も光を失い、衛星軌道上を人工太陽が巡る。二三四九年の地球で、〈語り手〉は廃棄された本の山から稀覯本を掘り出して暮らしている。都市に建設された軌道連絡超々高層ビルの接続する宇宙港には、日常的に個人所有の宇宙船が発着する。 だが、打ち捨てられた町の片隅で、〈語り手〉は本の山に寝転び、己という情報が刻々と宇宙空間に失われていくのを見つめている。 喪失の火曜日と呼ばれるコンピュータエラー以前の書籍には資産価値があった。〈語り手〉は人工太陽を予言した未刊行小説を見つける。現存しないとされていた一冊の本には、中古の宇宙船を買えるだけの値段がついた。