俳句
昔書いた俳句を掲載
四季闇鍋
著 深澤厚
春
春の朝生(いの)命(ち)輝く始まる日
有益に歩を進みける春日和
春うららピンクに染まる景色かな
春の中夏を見据える子供達
舞う桜照る皆月に酔い想う
梅の木に止まる小鳥と歩む人
希望の日ここが始発の桜舞い
照る月に想い巡らせ夜桜見
色彩の織り成す季節春の日々
雪溶けの希望の気配歩みけり
散る桜見とれる自分自然の部
雪溶けに新たに芽吹く生命(いのち)かな
夏
夏の昼遊びつかれて休む時
紫陽花を見つめて想う愛(いと)し人
夕暮れ時無量の雫眺めけり
儚の世蝉の如く鳴き死んで
人生の最後の時に大花火
風鈴を鳴らす風すら吹かぬ意志
失われ人の嘆きと蝉時雨
短冊に願いをかける無垢な人
短冊に恨みを綴る穢れ人
雨の日に紫陽花見つめ濡れ涙
現実は陽炎のよう虚ろいて
終わる夏祖父の死に際立ちの会いて
秋
夕暮れのある秋の日に死を想う
想い深け見上げた先に朧月
秋の夜虫の響きが唄のよう
枯れ果てる鮮血の華枯れて散る
涼風で月見しながら酒を呑む
ひぐらしと嘆きの森と嘆く人
稲の穂を見つめる老婆何想う
月替わり枯れるひまわり自己の像
夢破れ枯葉を眺め目の雫
無明の場はせる想いは彼岸花
時流れ枯れる葉見つり歳思う
寒くなり焼きイモを食う旅の人
冬
冬の晩刻む針止め終わる生
心無く時折見える雪吹雪
過ちを犯して尚も春向う
友亡くし帰路の途中染みる雪
年越しに百八(ひゃくはち)ノ音(ね)聞き澄ます
人生は雪崩のように過ぎ去りて
冬の晩綴ることなく閉じていく
イヴの日に白い欠片が降り注ぐ
公園で無為に寒さを凌ぐ日々
凍りつき刻むこと無し古時計
罪人よ降る雪見つめ何想う
魂の還る模様は昇る雪
無季語
増える歳四季廻る旅減る時間
黄泉の国その世界には季節無し
俳句2 幻想と暦
幻想と暦
著あつし
春
冬終り桜芽吹いて四季続く
生命の息吹感じる始めの日
煉獄の門の所に咲く桜
ホトトギス鳴くも鳴かぬも何もせず
絵心の無い人間が描く桜
人々は入学して育ちゆく
死は優しい包む空気は春の風
冬終り廻り廻りて春は来る
旅経つ日慈悲無い雨が降り続く
春が来て刻む針の音聞こえけり
雪溶ける新たに芽吹く生命(いのち)か
夏
恋人と夏の匂いを抱きしめて
子供達水面で戯る夏時間
終わる人蛍火の意味思う日々
朝露に一人見出す儚の世
しず心休まる気持ち新葉の
無に近い淡い光の蛍たち
梅雨時に出会う人物永遠(とわ)の人
想い出の欠片を紡ぐ夏の夜
盆の時期現(うつつ)の場所帰る霊
秋
心鳴く蛹の卯かに立ち会いて
夜の街光求める蛾の如く
医師の意思患者はただ枯れ葉見る
物想い見上げる空に朧月
ひぐらしと嘆きの森と嘆く人
死の床の冥土の土産彼岸花
酒を飲み月見しながら未来(さき)を見る
消える意志木の葉散るよう消える自我
枯れ葉ちる心は常に肌寒く
冬
雪の日に暖かな場へ運ぶ足
望む物手から離れる終わる冬
真冬の日あの日を過ごし変わる自己
時人の旅の終わりは雪景色
年越しに終焉の音(ね)響きだす
凍る時季奇跡起こらず死に逝きて
自己の生最後に見る光る雪
冬に負け絶望に立つ過去の人
魂の還る模様は昇る雪
暦
卯月時始まる時季踏み出して
皐月時心は常に躍ってる
水無月に生命集い自己も寄り
文月の心静まる夜過ごし
葉月時夏の終わりと虚無感
長月に清涼なる風浴びて
神無月世界の色を見つめけり
霜月に生まれた理由考えて
師走時愁いを秘めて想いふく
睦月時自分の生を回想す
如月は終りの時が近つきて
弥生時終わりと始めその境
俳句