ふたりの絆(37)
承諾
「アカリ、もう起きろよ。」
ヒカルは寝ているアカリの頭を撫でた。
車は徳島に入っていた。アカリの実家までは20分くらいで着く予定である。
「お母さん、あと少しで着くから。」
アカリに電話をいれてもらった。
感の良い人ならピンときたことだろう。ヒカルはアカリのご両親に結婚の承諾に来たのだ。
以前に一度だけ徳島の母親には会ったことがあるヒカルだった。
今回は、初めてアカリの父親に会うのである。
不安は隠せない。そんなヒカルの顔を見てか、勇気付けてくれるアカリ。
「大丈夫だから、心配しないで。」
アカリの実家に着いた2人。時間はAM10時だった。
「いらっしゃい、遠くからご苦労さんでしたね。」
アカリの母親が優しく出迎えてくれた。
母親は、すでに話が通っているので楽な気持ちでいた。
奥の間に進んだ。テーブルの前には、初対面になる父親が座っていた。
「はじめまして。」
型通りの挨拶から始めた。
「かたい話は抜きでいいから。」
柔らかい性格のお父さんで助かった。
アカリとの経緯を話しているうちに、お母さんも同席して4人で和やかに話を出来たのである。
この後はご想像通りの展開で、無事結婚の承諾を貰うことが出来た。
昼食は席を移して、近くの仕出し屋さんの2階を借りての食事会となっていた。
この席で、アカリの両親を始め、お兄さんと妹さんに初めて対面した。
ヒカルは初対面の人でも、気軽に話すことの出来る性格だ。
お兄さんや妹さんともすぐに仲良くなった。
2人の結婚式は9月に決まった。
場所は2人の我侭を聞いてもらい、思い出深い福井のホテルに決定した。
ヒカルにとっては長い1日であった。
アカリを実家に残し、1人帰路につくヒカル。
やったね、と自分自身を誉めるのであった。
→「結婚とホタルのお墓参り」をお楽しみに。
ホタル:アカリのご両親ともあって、準備万端ですね。
アカリの家族にスムーズに承諾をしてもらい、仲良くなれるなんて
ヒカルの人柄の良さがにじみ出ていますね。
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ふたりの絆(37)