守るもの、守られるもの~沖土~
軽くヤってる沖田と土方。
ちょいミツバの話出てきます。
『おはようごぜェやす、土方さん』
『…おう』
何気ない朝の真選組内での挨拶。
人が最近おはようと声をかけても、ろくに挨拶を返してこねェ、この人。土方さん。
昔はよく俺が挨拶しなきゃガミガミうるさかったくせに、なんでィ。あんたがしねェじゃねェか。
『土方さん、おはようごぜェやす』
『っ……おはよって言ってんだろしつけェな』
2回も言ったことに腹を立てたらしい。
なんなんだ、本当に。
そのくせ……
『……!……ッ』
人の顔をじっと見つめては、俺がそれに気付くと目をそらす。
一度、それに気付いてないフリして土方さんの様子を観察した事がある。
そん時のあの人の目は……
どこか上の空で、綺麗な瞳で俺を捉えてはいるがなんとなく違う次元を見ているかのようだった。
まるで、
姉上と重ねているかのように。
チッ……と小さく舌打ちすると、
俺は土方さんを部屋まで連れていった。
まぁ抵抗ったらありゃしない。
でも、
こんな華奢な身体の俺に組み敷かれるなんてあんたも弱くなったもんだねィ
『離せよ総悟』
『嫌でィ』
『離せって言ってんだろッ!!!!』
俺の手を払いのけ、身体もどかそうとするがそうはさせない。
『なぁ土方さん……』
俺は自分でも驚くような甘い声をだして言った。
『あんた……一体なんなんでィ?』
姉上が、奴を好いていたのは知っていた。
奴も、姉上を好いていたのは知っていた。
だから、
姉上が危篤の時、
俺と土方さんは正面からぶつかった。
でもよォ土方さん……
俺ァ姉上に合わす顔がねェんでさァ…。
だって俺ァ
土方さん、
あんたに惚れちまってたんだから。
『あんたは俺の気持ち、知ってんで?』
『……えッ…?んぐっ……』
俺は土方さんの言葉を聞かぬうちに、
むさぼるようなキスをした。
『……ふ…ぅ…ん、』
次第に、抵抗していた土方さんも力が抜け目が据わっちまっている。だが俺は止まらない
『土方さん……』
首を舐めながら器用に彼の服を片手で全部脱がせば、キスだけで感じてしまっている土方さんのソレはもういきり立っている。
『そ、そうごッ…、ちょっ……!』
『うるせェな…』
そっと手で包んでやると、
ビクンっと自身を震わせる。
『あんたは…いけねェお人だ。罪作りな男だよ』
そう。
いつだってあんたの目に映ってるのは近藤さんや、姉上。
同じ土台に立たせちゃ貰えねェんですかィ?
俺じゃ役に立たないんですかィ?
俺を、
見てくれはしないんですかィ?
『土方さん……。土方さん……っ』
俺は土方さんの名を呼びながら、ソレを目一杯汲いてやる。
『ばッ…そう…ご……ッッ!』
快楽の波を、
ひたすら土方さんに与え続けた。
しばらくすると俺の手の中で熱を放つ。
『後ろ、向けよ』
命令口調で指示すると、
恐る恐るながらそれに従ってくれた。
俺は特に中をほぐす事もしないで、一気に貫いた。
『いっ…うぁぁッ…!!』
『きっ…つい…』
……あぁ、俺は今土方さんの中に…
そんな事を噛み締めながら、
俺は徐々に腰を動かし始める。
律動に合わせ、土方さんの甘い声が部屋に響き、興奮を覚える。
『俺ッ……ね、土方さん』
『ぅ……あ……ぁ?』
腰を打ち付けながら、話しかけると土方さんは絶え絶えの息を弾ませ返事をしてくれる。
『姉上じゃッ……ねェんですッ……!』
『っ……!!』
なんてわかりやすい人なんだ。
姉上って言葉を口にした途端、
中の締りがさらにキツくなった。
『あんたがッ……俺と姉上を重ね合わせてる視線が……ッ……辛かった…。俺はあんたが好きなのにッ……あんたは…一向に振り向いてくれない』
『……ばか,やろう。』
何故だろう、凄く優しい声だった。
言葉とは裏腹に、とても優しい声だった。
俺はつい顔をあげる。
『……え?』
『お前の気持ちに…気付いてねェわけねェだろっつってんだよ…』
思わぬ言葉に腰を動かすのをやめ、
耳を疑った。てっきり気付いていねェのかと…
『おま…えが……ミツバに見えて仕方なかったッ……でもそれじゃ…ダメだって自分に…言い聞かせてた…ッ。お前が…俺に寄せる気が殺気じゃなくなったのに気付いてよ』
嘘だ…。
あんたはいつも俺を見ながら違う所をみてた。俺がそれに気付いてるか気付いてないか、ちょうどその時からあんたの雰囲気が変わっていた。俺と話すあんたの表情が…少し優しげな顔をしていた。
『同情なんてしなくて言いんで…』
『同情なんかじゃねェ!!』
俺の言葉を遮った土方さんの顔は、なんとも言えない切なげな顔をしていた。
あぁ……
姉上……
俺自身が土方さんの心を
傷付けていたんですね…
『俺は…お前の姉上沖田ミツバから預かった大事な弟沖田総悟を守らなきゃならねェ。お前が幸せになるまで見届ける義務がある。お前が普通に女と所帯持って、ガキ作って、いずれ真選組を抜ける日まで見届けなきゃならねェ。だからよ総悟…、俺の事は諦めろ。俺は所詮男だし、俺じゃお前を幸せに出来ねェ』
つらつら喋る土方さんに、いつもならバズーカを向けて黙らせるが今日はそんな気微塵も起きない。今完璧に、こいつにフラれた。俺の幸せ?自分じゃ幸せに出来ない?勝手な事ばかりを抜かす土方さんが憎くて憎くて愛しくてたまらない。
『きっと色んな女にもそういう事を言ってるでしょうね土方さんは…』
ちがっ……と否定したがるのを俺は人差し指を口に当てて黙らせた。土方さんは目をパチパチしている。
『俺の幸せは、真選組で剣を振るう事。近藤さんやあんたの側にいる事。これで、充分なんでさ。』
俺は土方さんから自身を抜くと、ささっと服を整えた。もう、萎えてしまって使い物にならない。その前に、俺は土方さんの気持ちを聞けた。久しぶりに向けられた、俺だけの言葉。それだけで満足だった。
『生憎、俺ァ女々しくないんでね。後で俺に泣きついてきても知りやしやせんからご了承を。んじゃーな。死ね土方』
開けた襖をパタリと閉めると、襖の向こうで土方さんがクスッと笑った気がした。
さぁて…次はどうやって葬ってやろうか。
真選組は
日常を取り戻す。
-fin-
守るもの、守られるもの~沖土~