ふたりの絆⑫
サプライズ(前半)
ヒカルは考えていた。
アカリは8月末には岐阜を離れていってしまう。
そんなアカリに記念に残ることができないだろうか。
そういえば、アカリは甘いものが大好きだったのを思い出した。
「そうだ、オリジナルケーキを作って喜んでもらおう。」
そう決めたヒカルは、ネットでオリジナルケーキを作ってもらえるお店を探した。
お店を見つけることができ、今度はケーキの下絵を考える。
ヒカルは絵を描くのは上手だった。
小・中学校でよく入選していたのである。
それでも30枚程は描いたヒカルだった。
8月上旬、ヒカルは休みを利用してオリジナルケーキを作ってもらえるお店を訪ねた。
初めての店にとびこみである。
外観は洋風で洒落た造りのお店。
幸い、他のお客さんが誰もいなかった。
ヒカルは勇気を出してお店の中に入った。
「こんにちは、すいません。」
店の奥から年配の男性が現れた。
小柄だがいかにもマスターという貫禄がある。
「何だったね。」
太い声でヒカルに言った。
「彼女の為に、ケーキを作ってもらえませんか。」
そしてマスターに自分が書いた絵を見せた。
その絵をじっと見つめるマスターだった。
「よし、作ってあげるよ。」
マスターからの力強い言葉を受けた。
「ありがとうございます。」
ヒカルは深く頭を下げた。
それからは、男同士通じるものがあったのだろうか、マスターはアドバイスをしてくれた。
ヒカルはお願いついでに、花束も頼んでみた。
マスターは一言ヒカルに告げた。
「任せておけよ。」
ありがたいお言葉。
→「サプライズ(後半)」をお楽しみに。 12/30更新」
ホタル:マスターとの男同士の約束。
とても素敵なサプライズの案ですよね。
アカリの反応がどのようなのか楽しみです。
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ふたりの絆⑫