らしくねェですぜ
土沖です。
こりゃどうやら、土方さんの勘違いみたいですね。
嫉妬は良くないよ〜うん。
キスシーン有。
『お前は誰のもんだ』
『ちょっ、何言ってるんですかィ土方さん。俺ァ物じゃないですぜ?』
部屋に入って早々いきなり土方さんから言われた、意味のわからねェ言葉。俺いつも通りふざけてごまかしたが、何故かいつもと違う様子で怒っている。
『ふざけてんじゃねェよ。誰のだって聞いてるんだ』
土方さんはそういいながら、
グイッと俺に詰め寄る。ただその目はいつもとやはり違っているが、それを聞くことはなんとなくできなかった。
『な、なんですかィ?それにしても近いでさァ…‼︎』
一応俺と土方さんはそういう関係。だから別にキスや体を交わす事に抵抗はないのだが…
『離れてくだせェ…』
顔を赤くしながら、ふいっと顔を背けた。やはりこんな近くで好きな奴の顔を見るのは恥ずかしいものだ。
でも、
土方さんにとってその一言が何かに触れたらしい。
パチンっっ
一瞬何が怒ったのか分からなかった。頬にじわっとくる痛みが走る。それでようやく、土方さんにひっぱたかれたことに気づいた。
『何しやがるんですかィ‼︎‼︎』
すると、チッ…っという舌打ちの音が聞こえたかと思ったら、もう一度ひっぱたかれる。
わけも分からず、
俺は恐怖に苛まれた。まさか、恋人からこんな事をされるなんて思ってみなかった。そんな事を考えてると、土方さんはまたグッと顔を近付けた。
『次はねェぞ。お前は誰のもんだ。言ってみろ』
『ひっ…土方さん…のものでさァ…』
すると
フッと息を吐き、土方さんは俺の腕をひっぱって布団に寝かす。何時ものように行為をするのだと思いながら、俺はボソッと聞いてみる。
『土方さん…今日なんかおかしいですぜ…?』
『………そうだな』
俺の服を脱がしながら、急に目を伏せた。
『お前よ…昨日の夜、万事屋んとこ行ってたんだろ?』
『え…⁇』
『みたんだよ、タバコが切れたから買いに行こうと思って歩いてたら、お前が万事屋の家に入ってくの。何してたんだ』
確かに昨日は、旦那のとこに行った。でもそれは、ちょっとした頼み事があったから。夜に行ったのは、逆に夜にしか時間が取れなかったから。
なるほど。。。
土方さん、
旦那に嫉妬したんですねィ…
『用があっただけですぜ』
キッと見据える土方さんの目。
猛攻な狼のような、俺を疑ってる目をしている。
…なんで、そんな目するんですかィ
…俺達、恋人なのに…
『土方さんは、俺と旦那がヤッたと思ってるんですかィ?んな事するわけねェでさァ…』
すると、
今まで殺気を帯びていた目が
心なしか、優しくなった気がした
『………言い切れんのか』
『もちろんでさァ』
まだ少し疑いが残ってるのか
躊躇いがあるようだが、土方さんはぎゅっと俺を抱きしめてくれた。
『…俺には、あんたしかいねェでさァ。俺が見せるこの顔は、あんただけのもんですぜ』
と、言った俺はニッと笑いかけた。俺にはあんたしかいないなんてキザなセリフを吐いちまうとは思わなかったが、俺はやっぱ土方さんが好きなんだなと改めて思った。
それは、
土方さんも同じ顔をしていたから。
『疑ったりして悪かったな、総悟。俺も、お前しかいねェ……』
そういうと、
俺の唇にそっと触れるようなキスをした。
そして互いを確かめ合うと、
より深いキスを。
『んっ…ふ…ん』
土方さんのキスは、
いつもより貪るような感じで。
やはり不安だったよう。
『…ぁ…ん…』
舌を出すと、それに絡んでくる土方さんの舌。角度を変えながら、土方さんは俺の胸に手を這わせる。
『…っ…んぁ…』
くすぐったさに身をよじっていると、唇を離した。
『総悟、俺を勘違いさせた罪は重いぜ?大人しく今日は犯されろよ』
そういう土方さんは、
もう恐ろしい顔なんてしていなかった。俺が知ってる、あのムカつくイラつく腹が立つ、でもやっぱり愛おしく、綺麗な顔をしている。
…土方さん。
……あんたはどんな台詞でも似合っちまいやすね
……ちょっと、羨ましいでさァ
俺は、
やっぱり土方このヤローが
大好きだ。
そんな事をいうのは、
本当に滅多に無いけど……
-fin-
らしくねェですぜ
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
楽しかったな書いてて…(。-∀-)