何を思ふ
第一作目から、大分腐ってます……。
土方銀時デキてます……。
苦手な方は、回れ右を。
誕生日
誕生日。
そんなもん、まともに祝われた事がなかった。
誕生日なんて、一つ年を取るだけ。
祝われる年でもない。
そう思っていた。
~誕生日会でよくあるあの丸い輪っかの奴って後始末が大変だよな~
10月10日、夜11時。
今日は俺の誕生日だった。
だからといって浮かれたわけじゃない。逆に、歳をとったのかと改めて思う日だった。
神楽に新八、お登勢にたま、皆が俺を祝ってくれた。
攘夷戦争、
ガキの頃から刀を握り続けてきた俺からすると、考えられないような楽しい時間だった。
ただ……言えば満足はしてない。
人間ってのは欲深い生き物だ。
次がくれば、その次も欲しがる。その次がくればまたその次もほしくなる。そうして人生は、人間は、回って行く。
皆が雑魚寝をし始めたのを確認し、俺は外へ出た。もう夏の暑さはとうに消え、むしろ寒い。
ハァ…っと、手に息をかけた。
月明かりが街を照らし、歌舞伎町の夜を感じる外。
俺はふと、愛しい人の名前を口にした。
「十四郎……」
人肌さみしい俺の身体と、心の寒さになんだかすげェ不安になった。
綺麗な夜空に、
届かぬ俺の声が消えていく。
筈だった…
「風邪引くぞ」
ガバッと、
後ろから何かが俺に覆いかぶさり、ギュッと抱きしめた。
「なっ……⁈‼︎いつからお前ッ…!」
そこにいたのは、
俺の大好きな十四郎。
「へっ、お前がさみしそうだったから仕方なく来てやったんだよ」
へらっと笑う十四郎は、言葉とは裏腹に仕事場からすぐ駆けつけてきてくれたみたいで、頬に刀の切り傷か痛々しく残っていた。
「……十四郎……」
少し甘ったるい声で、
奴って十四郎の名を呼ぶ。
そして温もりと返ってくる、
優しい声。
「あ?」
言葉はトゲトゲしいが、顔は微笑んでいる。
「今日何の日か、知ってっか?」
「そうだなァ………」
ひゅう…っと、冷たい風が吹き抜ける。俺の前髪がそれと同時に大きく揺れた。
「誕生日おめでとう、銀時」
そう言うと十四郎は……
俺の事を強く抱きしめ、
優しいキスをした。
~fin~
何を思ふ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
まぁまぁ、そこそこ……うん。