ももを撫でる
ももはずっと前からそこにあった
少し前まで若くてかたく、すっぱいように思われたが、
いまは口のなかであまくとけるイメージにみたされた
僕はももを手に取ってながめた
よく見ると黄色くシミができていて、いびつな魅力をはなつ
僕はももを撫でる
キズとシワをくまなくなぞった
桃を覆う産毛も、僕の指先のしわをなぞりかえした
手でつつみこむと、僕はやわらかいベッドにうもれていく
割れ目をなぞるとはずかしくふるえた気がした
シミもシワもいとおしくおもう
食べるのを忘れてずっとさわっていたい
僕はまた、ももをなでる
ももを撫でる