黒猫ちゃん
手の中に飼った黒猫が
シャッシャッと視界を横切るたびに
汚れかしら
錯覚かしら
と不安になる
「今日はなかなかに調子がよろしくない」
そんな日は黒猫にかまいたくなくて
ちょっかい出してくるのが鬱陶しくて
わざと無視してしまう
そうしてしまってから
少し後悔して
黒猫の顔を見るのだけど
不敵な笑みをするばかり
なんの因果か私のところに来た黒猫
でもあと一か月ではいなくなってしまう
期間限定のお付き合いなのだ
なんのことはない
種明かしすれば
小指の爪に黒猫のネイルを
施したところ
黒猫ちゃん