夢喰い林檎と甘い旅
これはある小さな女の子と、とある青年による必然的な出会いから始まる甘く酸っぱい旅の話
切ない話
ある村の村長は言いました。あの子は鬼の子だと
ある国の貴族は言いました。あの子は悪魔だと
そして、あの子の母親は言いました。お前なんか産まなければ…
〜この国の名は…ヴァイス。別名白の国。一年中雪が降り街の建物も白、そして何よりも美しいのはこの国の民。全ての国民は白髪碧眼を生まれもつ。これはそんな国に生まれた林檎屋の少女の話〜
青年は森の中馬を走らせる。
青年の名はユアン・シュヴェーアト。隣国のシュヴァルツ別名黒の国の剣士。17歳
「……あー寒いな。この寒さどうにかならないのか?」
ユアンは独り言を呟きながら馬を走らせていく。森を抜け小さな村にでる。そこには、吟遊詩人と思われる1人の女性がいて、その周りを小さな子供達が囲んでいる。
「これは最近起きた不思議な話。10数年前この国に小さな命が産み落とされました。女の子は口を開くことはありませんでしたが似合う名前がないほど美しい顔をもち天からの授かりものと人々は神のように大切に育てました。ですがその女の子が4歳になったばかりの時1人の女性から崖に投げられてしまったのです。女の子は生まれて初めて生きていることを苦しく思いました。その時の女性の顔が満面の笑みで落ちていく女の子を見つめていたからです………女の子は死にました。」
「えーその女の子死んじゃったの?もう終わり?つまんないよー」
「いいえまだ続きはあります。10年後死んだはずの女の子は街に戻ってきたのです。その姿はまるで別の人のように変わり果てていました。顔の美しさはそのままですが美しい白髪碧眼から林檎のような赤髪赤眼に変わっていたのです。それに加え刀をもっていました。すると女の子は生まれて初めて口を開き言葉を発しました。『育ててくれてありがとう。さようなら』女の子はそう言うと自分を崖から落とした女性に切りかかりました。ですがその女性は地を流すことはありませんでした。女の子は女性の悪意をもつ心だけを切り取ったのです。人々は女の子に血の用に赤い林檎という意味で、サン・ロート・アップフェルという名前をつけました。そしてその女の子はその街を離れて行きました。新しい名前と刀だけを持って………。」
「(拍手)ねーねー!今その女の子ってどこにいるの?!」
「これは少し前に起きたことだからこの近くにいるかも知れないよ?それよりもう日が暮れるしみなさんはお家に帰りましょう。また今度話すわ」
「はーい!またねロゼッタさん!」
子供達は走って家に帰って行きました。すると、吟遊詩人(ロゼッタ?)はくるりと振り替えりユアンを見てこう告げました。
「その女の子は今この村に向かっていて目の前にいるある青年に出会い、一緒に行動を共にし変わっていきましたとさ、おしまい」
ロゼッタ?は楽しそうにふふふっと笑いスキップでユアンに近づいてくる。
「…はい?どうゆうことですか?」
ユアンは馬から降り尋ねる。
「そのままの意味よ、貴方は今の話の女の子と行動を共にすることになる。これは運命よ絶対に変わらない。あっそういえば。私の名前はロゼッタ・グリューンです。また会うから必ずこの名前と顔を覚えておいて欲しいわ」
そういってロゼッタは目の前で姿を変えた。不思議なことだった。白髪碧眼の彼女は一瞬にして黄髪緑眼に変わった。そして、貴女もいつかしることになる。そう一言言って森の中へ消えていった………ロゼッタは森の中で誰にも聞こえないくらいの声でこうつぶやいた。
「青年は不幸になる少女と共に」
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「どういうことなんだ?でも今確かに目の前で…今見たのは…。」
ユアンの思考に知りたいと言う感情が溢れてきた。この先に進むべきか戻るべきか、でも考えても答えは浮かばない。
ロゼッタは必ず会うと言っていたがいち早く会うにはどうすればいいか思いつかなかった。そしてもし会えてもどういう対応をすればいいか分からなかった。
そうこう考えていううちに夜になり、彼は結局宿に泊まることにした。本来ならすぐに行くべきだがどこに行けばいいのかわからないうえに夜の森は危険なのでまた明日この先に進むことにした。
風呂に入り、他の客が寝静まった夜。彼が寝ようとすると、微かだが馬小屋を開く音がした。
(なんだ?こんな夜中に出かけるやつがいるのか?)
ユアンは窓から身をのりだしその姿を確認しようとする。視線の先にはユアンの荷物をつけた馬を手でひきながら歩いていく人影
「あれ?俺の馬じゃないか?泥棒か?」
彼は手元にある2本の剣と金をもち服装を整え外へでた。馬小屋から適当に速そうな馬をだし自分の馬をひく人影を探す、人影は森にはいったようで後を追うと案外簡単に見つけることができた。青年は腰にある剣を抜きその背後に迫る。
「パサッ…」
その人影はフードを脱ぎ頭をあらわにした。 その顔は小さな少女でとても美しい顔をしてそれより目立つのは林檎のような赤髪だった。
「!?…あれはさっきの吟遊詩人が言ってた林檎の少女!?」
気づくと少女は視界から消えていた。ユアンは慌てて少女を探す。
「誰?なんで?」
少女はユアンの背後をとると首に刀をつきつけた。
そして不思議そうな顔でユアンを見つめる。
「…?!ちょっまてまて!別に怪しいものじゃない。俺はユアン・シュヴェーアトただの剣士だ!というかこんな夜中に出歩くお前の方が怪しいよ!」
「私はサン・ロート・アップフェル。怪しくない」
サンは刀を下ろすが警戒はとかずに不思議そうな顔を貫く
「やっぱりお前がサンなのか…」
青年はため息をしつつ小さな声で呟いた
「黒髪…?」
「ん?あー俺は隣国のシュヴァルツからきたんだ。だから髪が黒い、普通だろ?」
夢喰い林檎と甘い旅