幻影の天使 そして時間を廻る
過信 Ⅰ
ーえ?
その言葉が脳内を駆け巡った
言葉になんてできなかった
ただ、口からは気持ち悪い息と変なうめき声だけが漏れていた
人が殺されるなんて、もうファンタジーとかの世界にしかないと思ってた
「…ぅっ…ぅあ………」
頭がうまく回らない
どうしたらいいか分からない
私は、もう居ない人に…この世界に存在しない人に…ただただ縋ろうとしてた
誰よりも愛していた人に
いつもあの人は
私の仲間だった
私のライバルだった
私を愛してくれた
黒い悪に染まった「私」の存在を白に浄化しようとしてくれた
私は一体、どこで何を間違えた?
どうして気づかなかった?
見え見えの嘘だったのに
何も黒に染まってなかったのに…!
私は愛していた人の名前を呼んだ
「遥紫……兄さん」
私が殺してしまった、美しき天使の名を
幻影の天使 そして時間を廻る