噂の椅子

ある田舎の小屋、
そこには何十年かたった
ひとつの椅子があるらしい。
そんな忘れられた椅子に
小さなお客が来たらしい。

「あの椅子は喋るらしい」

噂の椅子。
ある田舎には、
中世頃に立てられた
ボロ小屋がありその中に
噂の椅子が置いてある。

誰が作ったかも忘れられた。
存在意義も分からない。
もう誰も座らない。
そんな椅子。

そんな噂で、
自分は忘れられた。

「なあ」

急に話しかけられた。

「巣に使っていいか?」

ネズミだった。
一匹のネズミが喋っていた。
「えっ」
思わず声が出てしまった。
「お前も喋るのか!?」
ネズミまで驚いていた。
「すっかり冗談でなあ
って話しかけたら本当に
喋るじゃないか。」
まさか噂をネズミまで
知っているとは..
「とにかく俺を素材には
使うな。」
「なんだよ、ケチ臭いな」
ああ行ってしまう..
せっかく喋れたのに
友達になろう、と
話せばいいのに。

バチンと急に音が鳴った。

何の音だと声をかけるが
返事がない。

きっとネズミはネズミ取り
にかかったのだろう。

「今助けを呼んでやる。」
そう俺はネズミに呼び掛け

大声で助けを呼んだ。
すると案の定、人間が来た。
「おい!ネズミがかかっているぞ!」
それも複数人だろうか。

「やったな、今日の夕食だ!」

予想外だった。
ネズミを持って行ってしまう..
そんな気無かったんだ!

「待ってくれ!
そいつを助けてやってくれ!」

人間は気づいたようだか
様子がおかしかった。

「おい、この椅子喋るぞ!」
「分解して火種にでもしてやろう!」

待ってくれ。
なんでそうなるんだ。
忘れたのか?
俺を売れば高くつくのに
歴史的な物なのに!
なんでそんなことするんだ..


痛い

痛い

痛い
バキバキと聞こえる。
バラバラにされる感覚。

常に痛かった。
どんどん椅子として
バランスも無くなる。

「待って..くれ..俺は.」
こいつら噂を知らないのか
単なる木材として燃やされる
その上でネズミは焼かれて
食べられる。

忘れられた俺を燃やす
結局、人間はこうしてしまう。

忘れればそれが
何かも知らない。
噂を聞いてやっと気づく。

忘れていればこんなことも
容易くやってしまう。

なら忘れた人間同士で
バラバラにして、
食べてしまうのだろうか。

そんな疑問、今は考える
ことじゃないか。

「あの椅子、消えたって」

そうして噂は瞬く間に広がった

らしい。

噂の椅子

読んでくださりありがとうございました。
何事も忘れることは一番嫌なことです。
ちなみに
ネズミは食べてもおいしくありません。

噂の椅子

もし忘れ物が見つからないなら、 踊りましょう。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-02

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