マモリネ
内容を一部、加筆修正しました(2025年3月27日現在)。
あなたの声帯が震わせるものを言葉として捉えるのは僕だから、その音を、ただの音に還せるのも僕。
その意思を信じられなくなった、と言える僕ならまだその意思の存在を信じていて。信じているから、それを肯定したり又は否定したりの気分の只中で煩悶として、歪に捻じ曲がりそうな手足を掴む。
自分の姿を鏡に写して。特殊な部分を削ろうと、
濃い色鉛筆でぐりぐり。塗り込めたイメージを壁に貼り付けて、それに囲まれる状態を更新し続けて、生き延びようとする。未来永劫。
その意思を信じない、と誓うのはその意思を信じたい願望の亜種。そこに要する力加減で自分が狂う。だからストレートに信じた。僕は誰かを信じたい。そういう気持ちを持っていると、深く深く自覚した。首がもげそうになるぐらい、上下に首を小さく振った。
期待でもない、願望でもない。
叶わないものとして、僕は僕の夢に敗れて果てる。そうしないと、僕じゃないあなたに出会えない。失望は予めそこにぎゅっと詰まっていた。
信じられない。単純に、そう思って頷ける。
そうなるまでに要した時間に引っ掛けた「魂」は、少し足りないぐらいの光量で。助けになるような、ならないような曖昧さで。
僕以外の誰かを、想定させなかった。
これが多分、ずっと求めてきたもの。暗がりを増した世界像の内側で揺れる各々の「魂」のタイミングが合う瞬間は、こうやってしか作れないと思うから。
自分勝手なのに自分勝手じゃなく。
いつも分からなくて、想像できる。そんな関係を意識しながら、常に気になる者として、消える。現れる。消える。現れる。
その陰影を奪ってくれるなよ、と。
昔から感じていた違和感は、今、はっきりと形になっている。だから心の底から安堵して、あなたの何もかもを僕は信じていない。だからその声はただの音。風に吹かれた葉叢の騒めき。何かに驚いて羽ばたく、鳥の置き土産。
その美しさに僕だけが見惚れている。
マモリネ