ほんとうの愛
間違った愛を標榜する世界に辟易して
行き場のない憎悪が日ごとに募る
愛を謳う連中に欠けているのは境界線
他人を愛することを通じて自分を愛することを知る、と人は言う
だがそれは結局のところ他人を利用しているだけのエゴイズムだ
あらゆる愛は自己愛の裏返しだ、連中は自己愛に溺れて綺麗事を吐いているに過ぎない
自己愛を完全に除外した他者への愛というのは有り得るだろうか?
そう一瞬でも考えたことのある人間がどれほどいるだろうか?
完全に除外できなくても、希釈に希釈を重ねて限りなく純粋に近づけようと
努力したことのある人間がどれほどいるだろうか?
愛とは往々にして独善的なものだ、その独善性が本質だと言ってもいい
俺は見ていられないんだ、哲学の欠片もない愛が、独り善がりの愛し方が、
他者より自己を優先しようとする無意識が、自己愛を他者への愛の尺度にする傲慢な勘違いが
自分を愛せなければ他人を愛することはできない?
そんなのは孤独と愛の関係を、その哲学を擦り切れるまで考えなかったエゴイストの言い訳だ
自分を愛せなくても他人を愛することは充分に可能だ、俺がそれを証明してみせる
俺は自分を愛したことが一度もない
他者への、どんな犠牲も厭わない、正しい独善性の彼方に直進した限りなく純粋な愛をいま、お前らに見せてやる
ほんとうの愛