春の短歌
(奄美にて)
見上げればヒカゲヘゴの木 足元はナンテンショウを愛でつつ歩む
僕たちが余してこぼす楽しさを夜空にまいた笠利の星空
東京の夢の島にて見つけしは黒糖菓子のなつかしの味
君がおもい 秘めし言葉 僕がおもい 秘めし言葉 ふり重なる雪
ホッとしたい そんな願いも叶わない 乾季のツァボに蟻が一匹
永遠を指輪に誓った愛は今 いしを貫くほどに尖って
雨音は木枯らしの頃と変わらねど晴れ渡りたるうぐひすの声
何もないただの平日でも春はうぐいすが鳴き夜を明け放つ
おそらくは八十くらいで死ぬだろう 八十歳まで何もせぬだろう
本当に命が星より重いなら いじめの果てに死ぬ子などいない
ふるさとに背中を向けて歩き出す この足音がぼくの心音
春の短歌
去年の2月ごろから5月ごろにかけて作ったものです。
うぐいすの声が待ち遠しいです。