初めてのギターヒーロー
ジョン・サイクスに捧ぐ
とても悲しい。彼のことを書く初めての文章が追悼文になるなんて思いもしなかった。
彼の名はジョン・サイクス。私にとって初めてのギターヒーロー。
つい最近までそれはイングヴェイ・マルムスティーンだと思っていた。でもよくよく考えてみたら、初めてギター格好いいなと思ったのは、ホワイトスネイクのスティル・オブ・ザ・ナイトだから、そのときのギタリストはジョンなのだ。ホワイトスネイクのアルバム、ホワイトスネイク(バンド名と同じ)の作曲製作に関わり、全米2位の大ヒットに大きく貢献した彼が、完成と同時にバンドは解体したため、世間の認知や称賛に浴することができなかった。
ミュージックビデオでは撮影だけのためのメンバーが集められ、彼らが楽器を演奏しているように見えるが、実際の音はジョンを始め、アルバムに関わっていた別のメンバーなのだ。私も最初は誤解していた。その後、ビデオのメンバーでツアーに出たから彼らの印象が強く、レコーディングしたメンバーと違うということを知る人は少なかった。
そのアルバムはヒットしまくり、モンスターアルバムとなった。世間の称賛はツアーやビデオに出たメンバーだけに向けられ、ジョンやアルバムに関わった元々のミュージシャンたちは報われることはなかった。だからジョン・サイクスは不運のギターヒーローなどと呼ばれている。
私のなかでジョン・サイクスといえば、スティル・オブ・ザ・ナイト。一度聞いたら忘れないほど印象的で心を鷲掴みにされる。もうただただ格好いい。クラシック好きの少女はハードロックのギターに心を撃ち抜かれたのだった。
あとクライ・イン・ザ・レインも聴いてみて欲しい。ジョンのギターは良い意味で狂気じみていて、怒涛のようにスーパーテクニックを披露し、聴いているものを圧倒する。
パワフルなプレイと高度なギターテクニック、独特の音色、そしてあの大きなヴィブラート。綺麗星の如く並ぶスーパーギタリスト達の中でも異彩を放つジョン・サイクス。トレードマークの黒のレスポールカスタム、通称ブラック・ビューティと呼ばれるギターを演奏しながら、長い金髪を振り乱し、あの綺麗な顔からは信じられない、むき出しで粗削りな、ロックを歌うにはぴったりの声で情感たっぷりに歌い上げる彼。
作曲、ギタープレイ、歌声も、そして美しいルックスも、トータルパッケージ。才能の塊だと思う。
これからも私は彼の作品を聴き続ける。
ジョン、私の初めてのギターヒーローはあなたです。大好きです。
隠された宝石のような貴方に気づけて私は幸運だった。貴方からインスピレーションを沢山いただきました。感謝しています。
偉大なるアーティスト、私のギターヒーロー、ジョン・サイクス。安らかに眠れ。
初めてのギターヒーロー