思慕の過剰

思慕の過剰が人を狂わせる
私は遠くから狂っていく自分を見ている
単純に、短絡的になっていく自分を見ている
こんな自分は見ていられない
何度となく矯正を試みるが、ことごとく失敗する
この世にもういない人を想うのに何の意味があろうか
ただ義務感で想うということはない、実存が想うことを欲している
思慕なくして私の実存はない、と換言していい
こんな自分は見ていられないのに
私はまた思慕の過剰に堕ち込んでしまう
また憐れな自分を演じさせられてしまう
書き換わってしまった記憶を覚えているくらいなら
いっそ忘れてしまいたいと思う
限りなく純粋なあなたをとどめたまま死にたいと思う
私は、私の思慕は歪んでいく、狂っていく
演じることに光がないのなら
あらゆる投影は無意味なのか
実存が想うことを手放す時は来るのだろうか

思慕の過剰

思慕の過剰

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-02-04

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