『狼』

黒い狼がこっちを見てる
何もかも喰らい尽くしたいと


『狼』


大人になったら何になりたい?
アタシは普通のごく普通の
お嫁さんになって幸せに暮らすの
でも普通って凄く難しいね

少し大人に近付くともう
それすら夢物語に思えてきて
だって大人の男って信用ならない
あの目を見た?まるで

電車に乗るのも命懸け
恐ろしいものはそこら中にあって
欲望に晒されて嫌悪は更に高まる
そんな目で見ないで

貴方もアタシをあの目で見るの?
それとも貴方なら我慢できるのかしら
他とは違うと思い込めるなら
明け渡すべきなのかもしれない

気づかれないように生きてきた
貴方の目に止まらないように
息を潜めて目立たないよう
それでも見つかれば一瞬ね

いつか絶対に喰らわれてしまうなら
せめて自分で選んでみたい
誰より残忍で誰より寂しい
貴方みたいな狼を選びたい



「憐れな子羊が望む慈悲をどうか」

『狼』

『狼』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-01-14

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