センサー

精神の奥処(おくが)に(精神に奥行きがあるのかは知らないが)
一つ、センサーのようなものが(しつら)えてある
それは気紛れにしか仕事をしないので
精神はいつも振り回されている
私はセンサーの制御に何度となく挑んでみた
だが、却って仕事の怠慢が酷くなるばかりだった
私はセンサーに問うた(これは自問になるのだろうか?)
頼むからお前の役割を果たしてくれ。
私の問いに対してセンサーはこう応えた
それが、私にもどうすることも出来んのです。
私は初めから欠陥のあるセンサーのようです。
誰にも、私でさえも、制御はかなわんのです。
私は途方に暮れてしまった
そんなものが私の内部に隠されていたなんて。
その夜、私は久方ぶりに自責の念に陥っていた
それは次第に強まり、希死感情にまで発展した
すると、センサーが反応し、脳に命令を下した
詩を書け、と。
私はみずからの意志に反して詩を書きなぐった
堰が決壊したかのように言葉がとまらなかった
詩を書き終え、私はセンサーに語りかけた
お前は希死念慮に反応する詩心だったのか。
センサーの返答はなかった

センサー

センサー

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-01-11

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