無償
無償
ただ泣くだけなら 金はかからない
ただ眠るだけなら 金はかからない
一人じゃなくても独りなんて
手垢のついた言葉吐くくらいには
俺は空っぽな人間になった
自分から手放しておいて
"失くした"なんて笑ってしまう
たぶん明日も明後日も
先週と大して変わらない
ティッシュを数枚引き抜いた
今日も俺の身勝手の為に
木が切られ 森は泣いている
今日も俺の身勝手の為に
労働者の汗が流れ落ち
土に染み込んでいった
君の涙拭いたい 無償で
君の声が聞きたい 無性に
誰にも言えないようなこと
俺に吐き出してみなよ
空腹 満たすだけなら 何でもいいよな
暑い寒い 感じないなら 家なんかいらない
苦しみを消す代わりに 幸福を差し出す
その覚悟がないなら
もうお前は何も言うな
誰かの為に 何もかも差し出す
そんな時が訪れたとしたら
もう思い残すことはない
ティッシュを数枚引き抜いた
人肌は一人じゃ満たせない
何必死になってんだ
今日も俺の身勝手の為に
木が切られ 森は泣いている
今日も俺の身勝手の為に
労働者の汗が流れ落ち
土に染み込んでいった
君の涙拭いたい 無償で
君の声が聞きたい 無性に
誰にも聞かせられないようなやつ
俺にだけさらしてみないか
今日も誰かの身勝手で
この星はまわっているようです
「ぼくの将来の夢は」
そこから先が思い出せねえ
「生んでくれてありがとう」
嘘になっていくのが怖え
嘘つきになっていくのが怖え
怖いんだ
テレビがつかなくて
無音の中で凍えてるなら
俺が隣で喋っていようか
未だ枯れることを知らない悲しみ
拭う金もないというなら
俺の手をティッシュにすりゃあいい
君の涙拭うよ 無償で
そうしたいって思った 自然と
そばにいる 共に眠る
今はただそれだけを望んでいる
携帯止まったなら直に話そう
徒歩にはなるけど迎えに行くから
君の声が聞きたい 無性に
だからドラッグストアはまた今度でいいだろう
もし君がいなかったら
流行りの曲って響かないんだ
流行ってるからってわけじゃない
なんか全部他人事すぎて
言ってることが分からない
いたたまれない気持ちになるんだ
ほんとうは恥ずかしげもなく
恋だの夢だの言ってみたい
壊れるくらい愛したい
なんてとぼけたことも言ってみたい
恋とは似ても似つかない
寂しさっていう魔物抱えて
この世で一番おそろしい言葉
口にしてみた
少しだけ後悔した
たとえば君が不死の恐竜で
何千もの人間を食い殺してきたと言ったら
そこでさよならを伝えたとしたら
俺が俺でいる意味ってなんなんだろう
もし君がいなかったら
俺は俺でいられてたのかな
もし君がいなかったら
まだ世界を信じることができてたのかな
愛とは似ても似つかない
恋っていう魔物抱えて
この世で一番おそろしい言葉
口にしてみた この部屋に溶けた
少しだけ後悔した
俺がいてもいなくても
なんて話は時間の無駄だね
俺は俺でいることをやめる
君を好きでいるために
俺は俺でいることをやめる
そう決めよう
もし君がいなかったら
俺は俺のままだった
もし君がいなかったら
世界は一つのままだった
もし君がいなかったら
もし君がいなかったら
再生
誰の声かも分からないけど
回る円盤の上で 歩いたり 走ったり
誰の為かも分からないけど
道のはずれ 少し狂った調子で
歌ったり 踊ったり うずくまって泣いたり
それでも回り続けるので
誰も興味はないらしい
「やっぱいける」「やっぱ無理」
リピート再生 聴き飽きた
別に乗り越えた訳じゃない
全部引きずってやってきた
両足に巻き付いてるロープ
切ろうにも浮いちまいそうで怖い
過去なんていくら噛んでも味しないのにさ
ゆうべ見たラファータ
逃げ出してしまわぬよう
両手を合わせ 指を絡ませ
小さな檻をつくり 祈りを捧げた
こんな弾んだ気持ちは 驚くほど永続きしない
一度口に含んだら あとは溶けてしまうだけ
部屋の隅に転がる 埃まみれのラファータ
その温もりを食んだら
少しはましな味がしたんだ
誰の為に 何の為に
考えるな 感じなよ
それが無理なら忘れちまいなよ
「俺」とか「君」とか
自分で言ってて飽きてきてる
なんもないから 切り離したら宙に浮かぶ
いっそこのまま宇宙に行こうか
おれまだやれる ほらまた再生
聴こえるかラファータ
掌のラファータ
いつの間に溶けたんだ?
すすって飲んだら甘かった
泣くな 笑え
悲しむような柄じゃない
無償