『地上の物語。』
技巧と愛の赤。
生命の鮮やかさ。
真夜中を裂くちから。
歴史の深海を繋ぐ、いろ。
集う理由。
僕たちの身体にめぐる声。
熱くてもささやかでも、あらゆるリズムにのって僕たちである目印。
天高い飴色のあたたかさ。
どうしていつも人の寂寥を慰めてくれるのだろう。
夕闇、真夜中、薄青い朝まで。
雪原の芒の伸びる影。
濡れた石に散る薄墨色の花びらを、躊躇いながら踏みしめて。
麦わら疲れた生温い風のなか。
橙枯れ落ちる光景を慰撫するよう思い出す、夕餉の匂い。
僕たちの毎日。
太陽が生きよと高らかに歌うなら、月はじっとそのまなざしを合わせる。
身体心まだここに在ると憂い寄り添う静けさ。
熱より優しい。
天空にぽつりと僕らの共鳴。
太古の虚の物語を背負う、ひとびとの詩を、僕らはまだちゃんと知らない。
『地上の物語。』
パワフルでのびやかであり、美しいパズルのように整った音楽を聴いて書いたものです。