Dis-discord

作成日時: 2022-11-09 18:09:34
公開終了: -
(ディス・ディスコード)
  作 机の上の地球儀

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比率 1:1:0
時間 20分前後
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男:女のネット友達。女がSNSにあげた自撮りが好みど真ん中でむかついている。

女:男のネット友達。SNSには盛れた自撮りしかアップしない。



----------------キリトリ線----------------

「Dis-discord(ディス・ディスコード)」
 作:机の上の地球儀
https://lit.link/tsukuenoueno

男♂:
女♀:

----------------キリトリ線----------------



男:ねえ。

女:なに?

男:そろそろ俺を解放してくれ……。

女:…………(ため息をついて水を飲む)。

男:もしもし?おい、無視すんなって。

女:私にどうしろって言うの?

男:言ってんじゃん。どうして欲しいかはずっと。

女:無理。

男:なんで?

女:そのお願いは聞き入れられないかなー。

男:だからなんで。

女:無理だから。

男:なんで?


 (間)


女:……え?逆にさ。なんでそんなに私と会いたいの?

男:会いたいから。

女:理由になってないし、普通に嫌。

男:なんで?

女:私にメリットないじゃん。

男:デメリットもないでしょ。

女:デメリットしかないよ。

男:なんで?

女:なんでわざわざ顔晒しにいかなきゃなんないの?

男:だから!確かめたいの!俺は!それだけ!

女:私は何も確かめることない。

男:別に食事とかは行かなくていいよ。会って5秒でいい。見たら満足して帰るから。

女:交通費無駄すぎる。

男:それじゃあ勿体無いから、そのままデートしよう。デート。

女:やだ。普通にキモい。

男:おいキモいって言うなよ。

女:いや、普通に結構キモいよ?

男:…………。


 (間)


男:あ、分かった。デメリットを極力減らせば良いわけだ。

女:いや、何が「あ、分かった」なのよ。何も分かってないよ、君は。

男:別に俺は2人じゃなくていいから。10人とかでもいいから。

女:やだよ。人多いの疲れるじゃん。


 (間)


女:え。ねえ待って。これってちょっと口説かれてるわけ?今?私?

男:え。逆に今までの会話なんだと思ってたの。

女:え?本気で口説いてんの、これ?


 (間)


男:ッスー……いや。なんかそういうふうに言われるとまあ……違う気もするけど。

女:うん。好きって言うか、「顔が好き」なだけだもんね?見たらすぐ帰るって、「顔を」だもんね?

男:うん。俺、お前の顔めっちゃタイプ。

女:写真でしか見たことないくせに?

男:だから確かめたいんだろ。本当にタイプかどうか。

女:確かめてどうすんのよ。

男:「うわあ、本当に好きな顔だ」ってなる。

女:何それ。

男:気になるじゃん?

女:……別に好みの顔のタイプなんてそこら中にいるって。私である必要ない。

男:いやー。悲しいことに、お前の顔が人生で一番好きなんだよな。

女:あ、そうなんだ。ありがとう。それは嬉しい。

男:軽いな〜。

女:いや。だって前から顔が好きってのは聞いてたし。知ってたし、君が私の顔好きなの。

男:うん。

女:でも、人生で一番ってのは知らなかったから。「へー、そっかー、嬉しいなー」って。ね?

男:お前今めちゃくちゃ嫌な女だぞ。

女:知ってる。

男:はー。これだから美人は。

女:美人じゃないよ。

男:美人だよ。

女:美人じゃない。ネットに上げてる写真なんて、どうせ虚構だもん。

男:でも前動画上げてたじゃん。動画はそんな加工できなくない?

女:加工アプリの技術進化はすごいわけよ。

男:あー。じゃあ騙されちゃってんだ、俺。

女:そう。騙されてるの、現在進行形で。


 (間)


男:はー、俺ほんとお前のこと嫌いだわ。

女:なんでよ。好きって言ったじゃん、私の顔。

男:うん。どちゃくそに好き。

女:ほら。

男:だから嫌い。

女:なんでよ。

男:だって、人生最高がお前なんだよ?

女:うん。良いじゃん。良かったね、人生最高の顔と出会えて。

男:いや出会えてないじゃん。

女:出会ってるじゃん。ほら。こうして話してる。

男:会えてないんだよな〜〜〜。

女:大丈夫だって。すぐ他の人が更新するって、人生最高。

男:いや、「どんぴしゃど真ん中」って中々なくない?

女:……え?……いや、どうだろ。私はないからな。ストライクど真ん中に好みの人と出会った経験。

男:だろ?

女:まあ。

男:橋本環奈は可愛いってみんな思うじゃん。でも、お前の好みどんぴしゃど真ん中ストライクバッターアウトかって言われたら、話変わってこない?

女:そうだね。変わるね。

男:そうなんだよ。変わるんだよ。

女:……なるほど?

男:で、現状俺の一番ど真ん中には、お前がいるわけ。

女:うわあ。可哀想。

男:悔しい。お前が一番可愛い。

女:……ありがとう?

男:疑問系にすんな。噛み締めろ、俺の「可愛い」を。

女:何それ。

男:噛み締めて、ほら、今!

女:……私、可愛い?

男:可愛い。一番。最高。お前がナンバーワン。

女:ふふ。ありがと。噛み締めた。

男:おう、よく味わえ。

女:自己肯定感上がるわー。

男:おー。そりゃ良かった。

女:おかげで自撮りをネットに上げていいね集めなくて済むかも。

男:え、なんで。それは上げてよ。

女:食いつくなよ。

男:いや、新しい自撮りは見たいじゃん。大事な判断材料じゃん。

女:あんなん自己肯定感めためたに低い時に上げるくらいがちょうど良いのよ。

男:そんなもん?

女:そんなもん。

男:へえ。

女:……誰かに肯定されたい時って、あるじゃん。

男:まあ、うん。

女:自撮りってのは、そういう「寂しい」「認めて」って感情を吐き出した結果なわけ。

男:……なるほどね。

女:ってことで、今君が私を認めてくれたから、しばらく撮る必要がなくなったのです。

男:俺の「可愛い」で、しばらく分チャージできたわけだ。

女:そういうこと。


 (間)


男:(早口で)それはそれとして自撮りは見たいけどね?

女:ふふ。やだ。

男:じゃあ会おう。

女:なんでそんなに会うことに拘るの?

男:顔が好きだから。

女:顔だけね。

男:いや、それは……。んんん。ん〜〜〜!?

女:何よ。

男:いや……これ言うとなんか負けた感じになるからさあ〜〜〜。

女:今更?大丈夫だよ。君、現在進行形で黒星ポイントカード押され続けてるから。

男:あ、そう?

女:うん。もうすぐ貯まって景品がもらえるかも。

男:お前に会える券?

女:それは絶対ない。それだけは確定でない。

男:一回会ったら冷めるって。会えないから会いたんだって。

女:ないものねだり?

男:手に入らないから焦がれるわけよ。

女:そんなもんですか。

男:そんなもんですよ。

女:ふぅん。

男:俺が冷めたら、お前もこれ以上面倒じゃないじゃん。

女:でも、別に好きでいてくれるんならそれに越したことないじゃん?

男:は?

女:一生好きでいたら?私の顔。

男:悪魔かお前は。

女:天使でしょ。

男:顔だけな!?


 (間)


男:(大きなため息)本当にお前の言う通りになりそうで怖い……。

女:ご愁傷さまです。

男:お前のことが気になって夜しか眠れない。

女:寝れてんじゃん。

男:俺の貴重な時間を無駄にしているという罪悪感はないのか。

女:ない。私にとったら貴重でもなんでもないもん。

男:……お前、嫌な女ポイントカード作ったら一瞬で貯まるぞ。

女:ウケる。

男:ウケるな。

女:ふふ。……で?

男:え?

女:負けた感じになるけど、なに?


 (間)


男:……俺さあ。

女:うん?

男:お前のさあ。

女:うん。なに?

男:……性格悪いとこ……好きなんだよね……。

女:はい?

男:あと、あざといとこも……。


 (間)


女:趣味悪。

男:……だよな。知ってる。

女:えー。馬鹿じゃん。

男:それな?……だから余計翻弄されるんだよなあ。

女:勝手に転がってるだけね、君が。

男:そういう感じも結構好きなんだよなあ。ずるい。

女:何にもずるくないからね。

男:……人生最高がお前って事実が許せないんだよな。

女:なんでよ。

男:だって、よりによってお前って。

女:まあまあ、そんなこと言わずに。良いじゃん私が一番。最高じゃん私が一番。

男:助けてくれよ、俺を。

女:どうやってよ。やだよ。

男:人助けだと思って救ってくれ、頼む。

女:君に会う時間があるなら、駅前で困ってるおばあちゃん探す方が有意義だろうね。

男:お前俺に冷たすぎない?

女:深夜3時の電話に出てる時点ですんごく優しいよ。

男:……確かに。

女:ね?

男:……でもさ。こうしてお前に縛られてる俺、可哀想すぎると思わない?

女:思わない。むしろ面白いからずっとそのままでいて欲しい。

男:え?俺、一生お前を頭の特等席に置き続けなきゃなんないの?

女:え。私、今君の頭の特等席にいんの?


 (間)


男:いる……ね。

女:ウケる。

男:ウケねえよ、別に。

女:ウケる。

男:ウケんなって。

女:ふふ。

男:あーーー。

女:今、結構良い気分。

男:お前さあ。

女:なに?

男:頼むから早く老いてくんない?

女:は?

男:早くBBAになってくれ、もっと。

女:こらこらこら。人の老化を望むな。

男:早くしわくちゃになれ。

女:人生でそう命令されるの、これが最初で最後だろうね、たぶん。

男:やった。俺が最初で最後の男。

女:キモ。


 (間)


女:ねえ。

男:ん?

女:……しわくちゃになったら、私のこと冷めちゃうの?

男:…………。

女:ねえってば。

男:あのさ。「冷めちゃうの?」って訊き方ずるくない?あざとくない、お前?

女:ふふ。……よし。私、今しわくちゃの可愛いおばあちゃんになるって目標ができたわ。

男:おー。なれなれ。

女:なれる?可愛いおばあちゃん。

男:あり得る。全然ある。保証する。

女:会ったことないのに?

男:ないのに。

女:会ったことない人の言葉はな〜。信じられないからな〜。

男:いや。なら、会ってよ。

女:会ったらどうなんの?

男:は?


 (間)


女:会ったら、どういう反応するの?

男:どうって……。

女:写真と違ったら?

男:違ったら?

女:うん。

男:写真と違って好みじゃなかったら……そうだな。


 (間)


男:(咳払い)「あ、こんにちは」

女:「こんにちは」

男:「はじめまして」

女:「はじめまして」

男:(上から下まで女を見て)「ッスー……はい。ありがとうございました」

女:「もう良いんですか?」

男:「はい、もういいです。それでは」

女:「それでは」


 (間)


男:……って、現地解散する。

女:どっ最低じゃん。

男:現地集合現地リリース。

女:リリースって言うな。その時点じゃ捕まってないわ!

男:いや……ってかまあ、普通にそのまま遊ぶだろ。顔がタイプじゃなくても。お前はお前なんだし。

女:まあ、ね……。

男:で、俺の熱も冷めて、俺はお前の呪縛から解放される。

女:最初から呪ってないし。

男:呪われてんの、現在進行形で。

女:人聞き悪いな。騙されてるだけだって。現在進行形で。


 (間)


男:それ変わんなくない?どっちも。

女:……変わんない、か。どっちも。


 (間)


女:で?

男:ん?

女:実際会ってみて、写真通り好みだったらどうするの?

男:好みだったら……

女:うん。


 (間)


男:告白する……?

女:ぷっ、はは……!ちょ、なにそれ!

男:いやそりゃそうでしょ。性格好き、顔好き、そんなんもうそれしかないじゃん。

女:私別に告白されたくないし、顔見られて「はい、ありがとうございました」って言われるのも癪に触るんだけど?

男:(笑いながら)癪に触るってお前。

女:むかつくじゃん、なんか。

男:まあ、そうだよな。顔見て「チェンジ」って言われてるようなもんだもんな。

女:ほらね?やっぱりメリットない。

男:そっか〜。

女:うん。……っていうか、そもそも私に告白する想像できる、君?

男:……いや。でき、ない、なあ……?

女:ね?できないよね?


 (間)


男:え、でもさ。

女:なに?

男:あ、ちょうどそれ。

女:え?

男:その「なに?」って言うの、結構好き。

女:ええ?

男:俺、お前の声も割と好きだよって話。

女:…………ふ。

男:おい、ちょっとにやけたのバレてるぞ。

女:だって。

男:なに?

女:嬉しいじゃん、普通に。

男:うん。

女:顔に、性格に、声も?

男:……うん。

女:全部じゃん。

男:ね。全部なんだよね。

女:ふぅん。

男:だから、会って実際可愛いか確かめたいわけだ。

女:あ、結局そこに戻るんだ。

男:戻るだろ。

女:そこで顔もチェックするあたりがクズなんだよな〜。そこは男らしく「顔は関係ない」って言えないの?

男:ばっか、お前。そういうこと言う奴の方が胡散臭いだろ。

女:えー?そうかな。

男:そうだよ。俺くらい正直な方が絶対いい。

女:正直すぎるのもどうかと思うけど。

男:言いたいことは言う。やりたいことはすぐ実行する。現代人に足りてない要素の2つだぞ。

女:あー、だから電話も突然かけてくるんだ。

男:電話なんて突然以外かけようがないだろ。

女:急なんだもん。今だってこんな遅い時間じゃん。

男:出たじゃん。

女:出たけど。

男:な?

女:「な?」じゃないよ。そんなんだから私君の電話滅多に出ないんじゃん。

男:そう!お前ほんっと俺の電話出ないよな!?

女:君の着信履歴すごいよ。

男:何が?

女:まるでレッドカーペットだもん。

男:それはお前が俺の電話ずっと無視するからだろ!?不在着信の赤文字履歴がずっと溜まってるってことだろ!?

女:別に無視してる訳じゃないよ。君が毎回出るのだるい時にかけてくるだけ。

男:それを世間では無視って言うんだよ。

女:メッセは別に無視しないじゃん。電話だけじゃん。

男:電話は無視するじゃん。

女:頻度と時間帯が悪い。そんな頻繁に話したいことないし。

男:あー、まあ時間帯は確かに俺が悪いけど!……え?頻度は10日に1回とかしかかけてなくない?

女:3ヶ月に1回とかで良い。

男:少な。


 (間)


男:え、待って。なんかずっと俺がお前にめちゃくちゃ惚れてて、ストーカーみたいにしつこい感じになってるけどさ?

女:うん。

男:俺ら友達だよね?

女:うん。

男:ネットだけど3年くらいの付き合いだよね?

女:うん、かなり長い付き合い。

男:割と仲良いよね?

女:うん、結構仲良い。

男:だよな!?……あー、良かった。


 (間)


女:まあ、電話出ても良いかな、って思うくらいには、君のこと好きだよ。

男:……3ヶ月に1回くらいね。

女:そう。3ヶ月に1回くらい。

男:そっか……。まあ、嫌われてないならいいわ。

女:……うん。


 (間)


男:……また、かける。

女:3ヶ月後ね。近況報告溜めといて、3ヶ月分。

男:明日かける。

女:絶対出ない。

男:お前本当に嫌い。

女:顔は?

男:……はあ?お前なあ。

女:顔は?

男:……好き。

女:ふふ。良い気分。

男:……はぁ。ほんっと嫌な女。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-01-04

Copyrighted
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