Honesty

出発地点がバラバラなのに、どうしてみんな、そんなに競走したがるんでしょうか。相対的にしか自分を愛せないなんて、昔のわたしを見ているようでなんだかとてもやりきれない気持ちです。他を虐げて得られる快感情に都合よく幸せなんて名前をつけて、自分に酔っている人たちを見ていると虫酸が走ります。そういう人に関わりを求められてもわたしは絶対に関わりたくないし、それでわたしの知らないところで陰口叩いてあなたが幸せになれるのなら、どうぞ勝手に幸せになってください。幸せのかたちは人それぞれですからね。わたしにはそういう人たちが哀れに映って仕方がないですけど。あなたの普通はわたしの異常、わたしの国を土足で踏み荒らさないでください。どこの国も薄情で傲慢で、隣の芝生に文句をつけてばかりで、心底うんざりです。自分を俯瞰して内省できない限りは、たとえ出発地点が同じであったとしても、先に進むことなんて夢のまた夢でしょうね。比べて得られる幸不幸のどこにそれほど執着できる魅力があるのかわからないです。昔のわたしも執着していたのかもしれないですけど、比べる意味がわからなくなってから本当の意味で自分の時間を生きられている気がします。それまでのわたしは他人の人生をなぞっていたような心地でした。人の幸福論に染まる自分なんて、自分じゃないです。謙虚さをわすれない、優劣をつけない、良い所を良い所として素直に認める、わたしはそれだけで充分です。わたしはわたし、ひとりの人間ですから。

Honesty

Honesty

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-04-15

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