明後日からの収集日。
待機中の電子レンジに
サランラップとドーナツ残した。
揚げた風味は少年時代。
油は固めて労せず捨てた。
収集日は明後日からだ。
腰掛けた椅子は
書斎のもの。
ずっとそうだと断言はしない。
机の上で書き上げるのは
一行足らずの雑記と誤字のない五感,
そして諸々の読点だ。
だから無理せず息を吐ける。
止まることに心配はない。
南南東のドアーから
鋏を借りて下の子は出て行く。
階下で声は遠い。
返事の保留音は鳴らない。
始発までの荷造りは時に忙しい。
清算するような煙草喫む灰皿は
負担の片手の重さにもなる。
回る椅子のメリーゴーランド。
明かりを消してする準備は,
要らずに可能だ。
ただ緑の背表紙の本。
飛んでかないようにお腹に乗せれば
一行目から飛んで行ったりしない。
流れを思えば,
寝返りは横にした砂時計みたい。
するの躊躇う。
毛布はもう新品だ。
保温効果の問題はない。
スリッパは南南東の
近くのドアーに並べて置いてある。
いつでも履けることは
保証されてる。
始発の音はしない。
もう発った。
水道水の自然な冷たさと
歯を通るときの痛みで季節と
カレンダーの嘘のなさを改める。
妻は背中の皺を直した。
ボタンのほつれは秘密にした。
階段を登れない犬のメリーは足下で回る。
抱き上げたらいつもオスだった。
メリーは伏せてから待つのが苦手。
それでも基本のお手には感心する。
頭を撫でるととても見つめる。
大切に伝えるのがメリーだ。
犬のメリーだ。
下ろしてから抱きしめる,
窮屈さもメリーには関係なく
メリーは犬で
そしてオスだった。
南南東のドアーから鋏を借りて
出て行った下の子は何かを
思い付いたんだそうだ。
後で教えてくれるという。
娘は近く何か飲むかと聞く。
その時は言うよと
お礼と共に伝えた。
階下を隔てる声遠く,
陽当たり良い階段は
昨夜からの涼を減らして,
1℃ずつ気温をあげる。
冷たい方が声の通りが良い気がするから
伝わるか心配になる。
階段の中途には何もない。
腰掛けた椅子は
書斎のもの。
その後の事は知らない。
書き上げるのは
一行足らずの雑記と
誤字のない五感,
そして諸々の読点だ。
無理せず息を吐ける。
止まっても大丈夫。
ペンは進む。
文章中でドーナツは揚げられ
キャップを被る少年は
目深のままにそれを頬張り
ジュースを飲む。
揚げたのは大人の男。
家では犬を飼っている。
ペンは進む。
緑の背表紙は布製の
手触りを今日もまた減らす。
始発の電車を思わせる
通常運行の電車。
踏み切りを強く踏む。
摩耗が自然に進んだようだ。
約束は硬い。
ペンを置くときは来るだろう。
終わらない物語はない。
下の子は何かを思い付き
娘は近く,
何かを飲むかを聞いてくる。
背中の皺を直してくれた妻も加えて,
ディナータイムも待っている。
犬のメリーも居る。
それは当然だ。
抱き上げたらいつもオス。
もしかしたら次会う時は
伏せて待てるかも,
しれない。
サランラップと
ドーナツ残して
揚げた風味は少年時代。
油は固めて労せず捨てた。
収集日は明後日から。
ペンを置くときは南南東の
部屋のドアーから出る。
収集日には間に合わせたい。
それを思うのだ。
明後日からの収集日。