修理を待ってる残った夏風邪。
エアコンの調子が悪い。
夏から残った風邪みたく
生温い風が吹く。
暖房機の役割に切り替わる前だ。
冷房の時間は余ってない。
リモコンの冷房の表示は
生温い24℃。
汗ばむのは僕で
季節じゃない。
烏が揺らす電信柱。
後ろの枝から葉が落ちる。
午後の日差しは雨雲割った。
そのため僕は汗が止まらない。
修理屋さんは呼んだ。
Tシャツ屋さんは定休日だ。
代えの枚数は限られている。
修理屋さんは
呼んだんだ。
熱風。
それは暖かさを直に感じる風。
鼻の下にも汗をかく。
振り切れ!
新陳代謝はナカから怒る。
火も飛び込めば水になるってさ。
ヌード。
ご勘弁願う状況。
修理屋さんが来なくなりそうだ。
修理屋さん。
娘が居て
風邪の足音を聞いたそう。
耳を傾ける僕。
それは
鋭利な視線でスーツを着こなし
早くも雪だるまを遊ばせるネクタイ,
乱れたとばかりその「山」を直して
革製品からのプロフィール。
振られた番号を反復し
手にとっていう。
「何かお困りに
なりませんかと。」
修理屋さんを疑い始める。
電話の主は職種まで保証しないし
バターをマーガリンと偽るように
「僕,修理屋」ともだって偽れる。
修理屋さんの声が知りたい。
その息遣いを感じたい。
口癖を掴めば間違えない。
そのために修理屋さんに
きちんと電話しなくては!
そう,
修理屋さん。
お答え下さい。
貴方は
あるいは貴女は
修理屋さんですか?
その証拠が欲しいです。
修理屋さんの保証が欲しいです。
お顔をお見せ下さいな。
自己紹介もまま成らない。
修理屋さん。
どこですか。
部屋にノックが聴こえません。
電線を烏が揺らす電信柱。
電波の悪さが目に見えて手に取れる。
午後の日差しは強くなる。
僕は汗が止まらない。
娘が風邪の
歌を歌う。
薬を優しく
あげましょう。
カラダの音も
聴きましょう。
お熱は少し高いですね。
おでこも特別
くっ付けましょう。
私のおでこはアナタに似てます。
なぜならワタシは
アナタの娘。
血が繋がった
アナタの娘。
アナタが風邪を引いたなら
薬を優しくあげましょう。
治るまで
立ち上がれるまで
ワタシはおでこと
一緒です。
アナタが風邪を引いたなら
薬を優しくあげましょう。
お熱は少し高いですね?
一緒にネンネをしていましょう。
お熱は少し高いですね?
一緒にネンネをしていましょう。
一階分の敷居はいとも容易く乗り越えられ,
ニュースペーパーがまた届く。
娘も友達と遊びに行く。
開けっ放しの部屋を通じて
風邪の姿を見かける。
雪だるまをネクタイに遊ばせて
その「山」を直して風邪は声を発する。
「何かお困りに
なりませんかと。」と。
続けて僕は答える。
「ノーサンキュー。大丈夫だ。」
直した眼鏡が午後の陽射しを反射して
鋭利な視線の気配を散らす。
玄関に傷もつけて
会釈して風邪はどこか行った。
僕は汗をかいている。
Tシャツが冷たい。
リモコンの冷房の表示は
生温い風の24℃。
汗ばむのは僕で季節じゃない。
夏の風邪が残ってる。
階段を駆け降りる人は修理屋さんじゃない。
受話器を取る。
烏が揺らした電線の後ろで
枝の葉が落ちる。
きっと雀でも居たのだろう。
お風呂場を
覗いていたかもしれない。
電話番号を信用すること。
本体をプッシュすること。
頼みごとはその後だ。
コール音とともに待つ。
修理屋さん。
エアコンの
調子が悪いままだ。
暖房機として見てしまう前に
冷房のところ,
直しておきたい。
修理屋さん,
僕は
夏の風邪を残してる。
修理屋さん,
どうだろう?
頼みを1つ
聴いてくれないか?
修理を待ってる残った夏風邪。