るろうに剣心北海道編 別案メモ
2019年作品
東京、明治13年ぐらい?町で暴れている悪太郎。「やいやいやいやい、俺にかかってこれるやつは誰もいねぇのか?」と啖呵を切って何か暴力をふるっている。そこへ通りかかった弥彦、「てめぇいい加減にしねぇか。町の往来の邪魔だろっ?」と言ってたたきのめす。悪太郎「あんだぁ?俺がわりいってのかよ。俺はいいことをしてたんだ。おまえに何がわかる?」と食ってかかる。そこへ腹の虫。弥彦「なんだ?食ってねぇから、盗みを働いていたのか。しようがないやつだなあ。来いよ、メシ食わせてやる。まずい飯だけどな。」悪太郎「いらねぇよ。」弥彦「おいっ!てめぇ、ムショに入って臭い飯食ってもいいのか。さっさと来い。」神谷道場に連れて行く。薫の出すごはんを食べている二人。弥彦「やっぱおまえのメシだったな。」薫「なに?なんか文句ある?」弥彦「剣心は?いないのか?」薫「恵さんのところよ。腕を定期的に診てもらっているから。」弥彦「そうだったな。ちぇっ、剣心のメシだとよかったのによ。」薫「うるさいわね。ところでその子誰?勝手にごはん食べてるけど。」弥彦「うん。うちで置いてやれねぇかな。」薫「どうして?」弥彦「うん。なんか太刀筋に光るもんがある気がするんだよ。剣心も俺拾った時そんなこと言ってた。」薫「へーえ、剣心気取り?」弥彦「うるせぇな。薫も剣路が生まれて、道場の手伝いが一人ほしいとか言ってたことがあったろ。」悪太郎「俺そんなのやんねぇぞ。」弥彦、悪太郎をぶんのめし「まあこいつもそう言ってるから。ここで置いてやろうよ。」薫「そうね・・・・。道場の掃除とかしてもらったら助かるわね。」弥彦「そうだろ、そうだろ。」悪太郎「ごはん、出るのか。」薫「そうよ。剣心が来たらもっと美味しいのが食べられるわね。」悪太郎「美味しい・・・メシ・・・。」
るろうに剣心北海道編 タイトル
悪太郎と弥彦たちの生活描写、このあたりは明るく。悪太郎失敗しながらも薫たちと仲良くなっていく。そんなある日。弥彦「おまえの最初に持ってた刀、あれなんか変だよな。なんでぐるぐる巻きしてんだ?」確かに布で封印されている。悪太郎「これは大事なものなんだ。おまえなんかには触らせない。」弥彦「ちょっと見せろよ。気になるから。」悪太郎「うるさい。いくら俺の師匠でもおまえには見せねぇ!」と言って反抗的態度で町に出る。悪太郎一人で話は追っていく。井上阿欄は面倒なので出さない。町で悪太郎、旭がスリを働いている現場を目撃する。旭、うまくやって街角に逃げたところを悪太郎「おい。手の中のもん見せてみろ。」と言う。旭びくっとして。旭「あんた何?これはあたしが最初っから持っていたものだよ。」悪太郎「嘘つけ。だったらそんな言い方にはならねぇよ。」と旭の腕を捻じ曲げる。旭「見逃しとくれよ。これがないと、あたしは・・・・。」悪太郎「だったら俺の道場に行こうじゃねぇか。」と言う。旭を引っ立てていく。道場で剣心らが旭に会う。悪太郎「こいつも盗みを働いていたから、連れてきた。」と言う。薫「あなた、名前は?」旭「旭。」薫「そう。おなかすいていたのね。何か出すわ。」かぶりを振る旭。悪太郎「おまえもここで世話になれよ。」旭「そんなのいらない。」悪太郎「え。」旭「親切にしてやってるって顔して、あたしにはそんなのいらないんだ。」悪太郎「なんだと?」そこへやって来る剣心「まあまあ、旭殿にも事情がござろう。しかし人の物を盗むのはよくない。警察には届け出ないが、今後はこういうことはやめておかないと。」旭見まわして「ここ・・・・神谷って人の道場だね。」剣心「おろ?そうだが。知っているでござるか。」旭「表に看板が出ていた。」剣心「それは目ざとい。そうでござる。神谷活心流の道場でござる。」旭「じゃあ、これ、あげる。その神谷って人に渡して。」悪太郎に写真を押し付けて、旭かけ去る。薫「何かしら。写真ね・・・。」と見て驚く。父が映っている。薫「これ、若いころのお父さんだわ。いつのものかしら。さっきの子、いないの?」剣心「見てくるでござる。弥彦も。」弥彦「ああ。」二人、町で探すが旭を見つけることはできなかった。夜、薫宅で写真を検証しているふたり。剣心「越路郎どのの後ろに見えているものは、おそらく函館の五稜郭・・・・その砲台のように思うでござる。他に人物がひとり映っている。」薫「え、剣心わかるの?」剣心「少し。五稜郭の外壁は独特の形をしているでござるからな。そしてここが重要だが、拙者はこの人物を知っているように思う。函館で世話になった人のようだ。」薫「その人まだ生きているかしら。」剣心「もしかしたら、薫の御父上の消息を知っているやもしれぬ・・・・・。御父上は消息不明のままここまで来ている。で、薫殿がもし知りたいと言うのであれば、拙者も北海道まで訪ねてみてもいいと思っているのだが。」薫「え、でもお金が・・・。」剣心「武士のへそくりで薫殿にはナイショでためていたでござるよ。こんなこともあろうかと。いつか薫殿の御両親に、結婚の報告をしたいと願っていたのだ。」薫「まあ。」剣心「先に子をなして、叱られるとは思うのだが・・・・。ひとつ新婚旅行というものもしてみたいと思って。も、もちろん薫殿が嫌だというのなら言わないでござるが。」薫「新婚旅行?」剣心「西洋のあちらでは、ハネムーンと言って、結婚後に旅行をする風習があるのだそうだ。幕末に坂本龍馬殿がしていたらしい。風の噂で聞いたのでござるが・・・。」薫「そう。剣心がそこまで考えていてくれたのなら、行ってみようかなあ・・・。」
そのころ、函館港ではひげの男が港に降りていた。「剣心の野郎、どうしていやがるかなあ・・・・。」中国大陸から戻ってきた左之介だった。傍らにいるのは、雪代縁である。左之介「おい。高田屋の旦那にあいさつに行くからな。」縁「ああ。」ふたり、連れ立って港を後にする。同じころ、別の停泊したロシア船籍の船を出迎える斎藤たち官憲。船から降りてくる、高田屋金兵衛。高田屋嘉兵衛の弟である。「ハラショー!出迎えご苦労ご苦労。」手を振り降りてくる初老の金兵衛。斎藤「高田屋殿、護送任務ご苦労であります。」金兵衛「ん?連絡していたやつらは船底にいる。たまたま樺太で捕まえられたのでな。そちらで牢に入れるなりなんなりとしてみてくれ。」斎藤、礼をして「いたみいります。」船に入る官憲たち。船底にいる、凍座白也たちが立ち上がる。凍座の部下A「無事北海道についたようだなあ・・・・。」凍座「わざわざ送り届けてくれるんだから、日帝の警察はありがたい。じゃ、行くとするか。」部下B「派手にいくぜ!」足につけられた分胴を分投げて船室を壊す。警官たち、取り押さえようとするが、全員その場で殺される。部下C「凍座の旦那、ここに金塊が眠っているんですかい?」凍座「そうだ。函館戦争で榎本武揚がくすねたらしい幕府の金塊だ。これからそいつを拝みに行く。邪魔するやつは皆殺しだ。」部下D「オー、エノモト!エノモト!」凍座「ハラショーなやつらがいても、俺たちの前では死ぬことになる。」船の外の階段の下で剣を抜いて斎藤「ハラショーなやつらは貴様だ。」凍座「お?少しはやるやつがいたのかよ。」斎藤「なめるな。」斎藤、悪即斬で仕掛ける。凍座、斎藤と互角に戦う。しかし斎藤は結局取り逃がしてしまう。凍座たち、函館山にまで走り、立ちふさがる警官たちを斬り殺して山に立てこもる。そのころ高田屋に左之介たちが訪れていた。左之介「高田屋さん、支那で見つけたこいつを見てもらいたいんだが・・・・。」左之介、金兵衛に宝石のついた宝剣を差し出す。左之介「俺は目利きはからっきしだめなんだが、こいつが(縁を指差し)昔中国で宝石商のところにも出入りしていたとかで、値打ちのある品だって言うんだ。」金兵衛「鑑定かね。」横から縁「日本刀だと思いマスがね。この宝石はロシア産デス。ロシアの東シベリヤの山脈あたりでとれるダイヤモンドダネ。」金兵衛「むむ・・・見たところ、慶長年間ぐらいのものじゃな。で、これがなんだね?」左之介「売ってたやつが中国人で、幕末の戦争で幕府軍のえらいやつが持ってた刀だって言うんだ。ふっかけやがったが俺が買い取ってきた。あんたに買ってもらいたい。」金兵衛「そんなことだけでは、そんなに金を出せんよ。」左之介「売ってた中国人が、土方歳三の刀だって言うんだ。」金兵衛「ありえん話じゃな。土方はあのころフランス軍とは取引していたが、ロシア軍とは何のつながりもなかった。わしはあのころ五稜郭によく出向いて物資の世話をしていた。あんたがこの刀を持ってきた理由はいったい・・・?」左之介「俺のいた赤報隊は新選組のやつらの親玉の近藤勇の抵抗した幕末戦争で、決起して斬首された。少し恨みがあってな。因縁のものを祓う気持ちであんたに売りたいのだ。」金兵衛「なるほど、あんたの気持ちの問題か。」左之介「そうだ。しかしそのまま中国大陸に残していくのも惜しいしな。」縁「まあ左之介サンも私がついて、商売のイロハがわかってきましたからネ・・・・。そういう余裕が出たということデス。」
<つづく>
るろうに剣心北海道編 別案メモ
高田屋嘉兵衛は幕末よりも100年前で時代が違うけど、北海道の函館なんで、個人的には登場希望ってことで。あとは和月先生の世界らしくまとめてみました。