猫が転がす忘れた書きごと。


忘れた書きごとのためにと
墨汁はしっとり濡れる。
黒い涙の交際中。
点々は点。
白いファンデーション。
点けまする部屋,
明かり探し。
豆球は優しく
汗を照らす。
手を加えましょう。
そうすれば,
何かを彷徨う
猫の途中。
振り返りが
様になる。







不思議の木は
それこそ不思議。
蜘蛛の巣も
気持ち良さげ。
キャッチしてリリース。
昼風もスルー。
粘着質も隙間だらけ。
いつかのチャイムも
空き部屋になる。







ピンポーン。
ンポーン。







ピンポーン。
ンポーン。







コンコン
コン。







コンコン
コン。
ニャ。






コンコン
コン。






コンコン
コン。







コンコン。






コンコン。







コン。







ココン。







モシモシは
何も電話だけじゃない。
独り言にだってでき,
帰って来ない返事を連れて,
出されないままでも
調味料,
味わいは少しスパイシー。
マヨネーズの赤い蓋。
回して外して
軽くなる。







失くしたら
モシモシ。
見つけたら
ヨシヨシ。







泣き声の擬音に
意見が割れた。
同じ空気は
違うと思える。
耳を横切る
イヤホンマイク。
分け合う
左右は異なる。
曲は同じか気になって
尋ねる横を探すタウンページ,
黄色が目立って
字が見えない。
イニシャルで探して,
愛称で探す。
市街局番は曇ったけど,
辿り方は温もった。







フリーダイヤル
に用はなく,
数字は並んで
寒そうだった。
熱が入れば
光るだろうと
唱えてみると
目が回る。
手袋の猫の
途中なんだ。
さすりながら
編むのを待って
魚の献立を書いた。







犬も仲良く
出来ればいい。







電信柱に願いを込めて
天辺まで登る。
地域の一画が
停電して,
懐中電灯が
窓から漏れても,
これは日記に書く。







そうすれば。
遠くなる
忘れた書きごと。
また濃くなる。
深みで潰れない。
蛍光ボール。
底を照らせば,
弄くって
猫の目も光る。







筆は墨汁。
しっとり濡れて,
黒い涙の交際中。
点々は点。
白いファンデーション。
点けまする部屋,
明かり探し。
豆球は優しく
汗を照らす。
手を加えましょう。
そうすれば,







忘れた書きごとの途中,
振り返ることも出来る。







そこで猫は背中で丸まり,
顔を懸命に洗ってる。







そうか明日は雨。
もう書いた。
今から明日。






忘れた書きごとは
先取って遠くなった。







秋刀魚も美味しくなる。
一緒に食べて,
骨は捨てよう。

猫が転がす忘れた書きごと。

猫が転がす忘れた書きごと。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-30

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