落華の宴
光る青い頭
作 杉 山 実
25-01
坊主頭が二つ布団から見え隠れして、一つはどう見ても男性の頭で五分刈り程度なのだが、もう一つの頭は蒼く光って綺麗な光沢さえも感じる女性の頭だ。
布団の中から見え隠れする顔は若い女性で、口には木の猿轡が填められているが、表情は嫌な素振りはなく嗚咽を発している様に見える。
やがて布団から上半身が露出すると、乳房の上下に縄が食い込んで、両手は背中で纏めて縛られている。
「どうだ、良いだろう」と大きく腰を動かす男性は五十代、顔は立派な髭を蓄えて凛々しい顔立ちだ。
仰け反る女の乳房をその髭面で、吸いながら止める事無く腰を動かす男。
和室の隅には、軍服が綺麗に畳んで置いて在るのが見える。
軍人の様で、それも制服の星の数を見れば相当地位の高い男だと見当がついた。
時代は昭和初期、世の中は軍人の天下、世界恐慌が落ち着き、第一回日本ダービーが施行された時代のある町での出来事。
この時代の遊郭は軍人の遊び場で栄えていて、今この部屋で女と戯れる男性は五キロ程離れた陸軍の基地から遊びに来た合田重吉大佐。
勿論異なる部屋には部下と友人の四人が異なる女性を相手に快楽を満喫していた。
この奇妙な遊郭を経営しているのは尾山晋太郎と云う商売上手な男だ。
この店は最近開店して、まだ日も浅く今夜はお披露目の初日で、合田大佐を特別に招待したのだ。
今は大佐自身が楽しんで女と性交をしているが、今の時間迄は見世物の時間が有って、大佐は大いに喜んで興奮の中で布団の中なのだ。
ここは晋太郎が持つ二軒目の遊郭で、斬新な趣向で客を獲得しようとしている店だった。
女がつるつるの坊主、そうここは名前も(尼御殿)と呼ぶ剃髪の女を集めた遊郭だ。
一時間程前まで、遊郭の地下でお客に見せて、女を剃髪してここの娼婦として働かせる儀式をしたのだ。
今は実質数人の剃髪女しか在籍していないが、徐々に増員して儲けを企んでいた。
客は虐めて喜ぶ男性が対象、働く女は数人の婆に鍛えられて働く事に成る。
田舎かから売られて来る女、働く場所を求めて来る女だが、ここの仕事には中々来ない。
もう一店舗の(華御殿)と呼ばれる遊郭で働くと思って来る。
その中からこれは良い女だと思われる女をこの(尼御殿)に送り込む。
ここの料金は(華御殿)の十倍の価格に成っていて、中々一般の人は遊ぶ事が出来ない。
合田大佐と尾山は共通の趣味を持っていて、仲が良いので軍の関係者、軍関係の客もこの辺りに連れて来て、食事の後遊んで行く事も度々有る。
二人共サド系の趣味が共通していて、軍には女性の役目を行う兵隊も多く、下級兵士は女性との性交渉が中々無いので、その様な楽しみ方をする兵士が多数存在していた。
軍隊も厳しい制度で雁字搦めだが、遊郭も同じ様に一度足を入れると年期が終わっても出ない女性も多い。
尾山は遊女と呼ばれる女性を約三十人(華御殿)と(尼御殿)に置いているが、新設の方は今日一人新人を入れたが、全員で五名しか居ない。
今日の新人も、先程無理矢理(尼御殿)に投入した岩手出身の農家の娘だ。
十九歳の菅野美代、売られてきたのだが美人の部類に入るので(尼御殿)の方に入れたのだが、本人は嫌がって暴れ一騒動が地下の調教部屋で演じられた。
だがそれを楽しみにしているのは合田大佐達で、後ろ手に縛りあげて今楽しんでいる相手が美代なのだ。
絹代を筆頭に、みつ、たねの三人の婆と呼ばれる女が、ここの遊女達を商売が出来る様に仕込む。
他に半吉と呼ばれる女の下の毛を剃るのが専門の男、もう一人新しくつねと云う婆を(尼御殿)が出来たので雇っていた。
同じく縛りあげるのが得意の長治郎も新しく雇って、今夜早速活躍をした。
今、合田大佐が遊んで居る美代の、初顔見せは新人達の初仕事に成って、見物の尾山も合田も大いに満足の見世物だった。
他の四名は元来マゾ系の女で(華御殿)で美人の女を選んで準備をしたのだ。
給金が多いのが魅力で、坊主も楽だからと別に嫌がる訳でもなく、率先して仕事を今日から始めていた。
合田大佐の貸し切り状態の初日に成っていた。
五人は美代の初日の仕置きから、剃髪、縄での調教を見て興奮して、今各自部屋で楽しんでいる。
通常一晩に五人程度のお客を遊女は相手をするが、この(尼御殿)では一人、多くても二人だから、料金の高いのも納得出来るが、趣味の問題が大きいので料金は関係無いのかも知れない。
美代はこの遊郭に来てから一人もお客を取っていない素人で、一緒に入ったもう一人は既に(華御殿)で仕事を始めている。
一緒に来たが知り合いでもないので話をする程度の関係で、自分は何故仕事をしていないのか?と婆の一人のたねに尋ねていた。
するとたねは「貴女は美人だから、近所に新しい店が出来るから、そこで働くのよ!高級店で美人の子しか働けないのよ、この店から四人行くのよ、美人だけがね」
「そうなのですか?嬉しい事ですね」
「だからそれまでは、のんびり過ごして良いのよ」
「はい、ありがとうございます」と嬉しそうにお辞儀をした。
岩手の地元では村の若者と付き合いをしていたが、家庭の事情で売られてきた美代。
彼氏と別れる前に操を彼氏に捧げて、決別の覚悟でこの遊郭にやって来た美代なのだ。
年期が開けて、お互い好きなら将来結婚も考えている美代だが、現実は恐怖の仕置きが待ち構えていた。
得度式
25-02
夕方合田大佐と友人の銀行の頭取金子眞一は、部下の柳田誠少尉と飛田京三少尉、最上伸介軍医を伴って馬車で尾山の遊郭にやって来た。
五人共、女が好きで早い夕食を簡単に済ませて、六時半には到着していた。
「開店の初日に呼んで貰えて光栄だ」と尾山に嬉しそうに挨拶をする合田。
「合田大佐にはいつもお世話に成っています、予てからのご希望の店が本日目出度く開店できました」
「だが驚いたぞ、尼寺をイメージした遊郭を造るとはな!」
「はい、話題を持ちませんと中々遠方からは遊びに来て貰えませんので、それと我々の趣味の世界も有りますので、大佐の趣味も同じでございましょう」
「それはそうだが、特別な趣向は尼だろう?」
「それが理由は二つ御座いまして、一つは女を諦めさせるには最適かと思いますので」
「売られて来た女は元々諦めているだろう?」
「この店は虐められるのが好きな女を置きます、と言うよりその様に調教を行います」
「おお、それは面白い」と金子が嬉しそうに口を挟む。
「元々、遊郭の女は下の毛が無いのに、上まで無くなると少し異様な感じだな」
「そうですね、週に一、二度は剃らなければ、不細工に成りますね」
「上も下も伸びるのは同じなのか?」
「頭の方が早くて、目立ちます」
「そうとは言えないぞ、先週の女は腹にチクチクあたったぞ」と笑う合田。
「毛深い女も居ますから、それは申し訳ありませんでした、下刈りの者に伝えて置きます」微笑みながら謝る。
「ここには何人居るのだ?」
「はい、今日は四人で御座います」と尾山が言うと「おいおい、一人指を咥えるのか?それとも二番手か?」
「もう一人は、これからこの店に入りますので得度式をこれからご覧頂きます、但し本人は全く知りません.その上田舎から出て来て一度も客は取っていません」
「おおー尾山!それは素晴らしい」と興奮の眼差しの合田だ。
「今後も嫌がる様な新しい女を入れたら同じ様に、公開得度式から調教をお見せしますのでお越し下さい」
「勿論だ、尾山の話だと、新人をこの店に入れると云う事だな」
「はい、その通りで御座います、美人の女が入店しましたら、こちらの店に入れます、通常は従来の店で御座います」
年齢も趣味も合う二人はお互いの好みもよく判っていた。
「得度式の最中に皆様のお部屋に縛りあげた尼さんをお届け致しますので、今宵は存分にお楽しみ下さい」
「おお、その尼さんの顔は見られないのか?」と金子が言う。
「はい、お客様をお出迎えして」と尾山が言うと、奥の襖が開いて、尼の衣を纏って頭は尼頭巾をすっぽりと被って、顔だけが見えて頭が剃髪されているのかは判らないが四人共若くて美人だ。
「それでは、各自お選び下さい」と言われて金子から選ぶと側に寄り添って「今宵はよろしくお願いします」と言うと男性の右手を持って、衣の胸の間にその手を持っていくと、素肌を触らせたのだ。
四人は女性の乳房を触らせて貰って、いきなり微笑む顔に成って上機嫌。
「今宵の得度式の主役を呼びましょうか?」と尾山が言うと、奥の襖が開いて桃割れに結った髪に白衣の若い美代が、婆と呼ばれるきぬに連れられて入って来た。
教えられたのか、入ると正座をして「いらっしゃいませ」と可愛くお辞儀をして座った。
「美代の今夜は得度式だ、そこの髭の大佐がお客様だ、ご奉仕申し上げる様に」と尾山が言うと「はい」と小さく答える美代。
近くに座って居る尼の姿をした女性が、他の四人の男性の相手だと云う事は直ぐに理解出来た美代。
「それでは、式の場所に行きましょうか?」と尾山が先頭で歩いて行く。
他の男性も尾山に続いて歩いて、きぬに促されて男の後に着いて行くが、尼の姿をした四人は座敷に残ったままでついて来ない。
階段を降りると地下室が在って、尾山と男五人は座敷の後ろに座る。
中央の机の上に湯桶が二つ見えて、きぬと同じ年代の女性が三人座って待って居る。
部屋の隅には男性が二人神妙な面持ちで立って居る。
天井は白熱電球が沢山灯って明るい。
美代の目が慣れて部屋の状況が次第に判ってきた。
「紹介しましょう」と尾山が四人の女性と二人の男性を紹介する。
若い人は誰も居ないので、美代だけが若いから部屋の中で浮き上がって綺麗に見える。
「それでは、美代さん前に出てそこの中央の椅子に腰掛けて始めましょう」
美代は言われた四角い背もたれが無い椅子に座って、側に来たつねに「何をするのですか?」と初めて尋ねる。
「得度式ですよ」と答えると美代の桃割れの髪飾りに手をかけた。
「得度式って何ですか?」と急に恐く成って尋ねる美代に「これから頭を丸めて尼さんに成るのよ」と教えた。
「えー、聞いていません」と急に驚き椅子から立ち上がろうとする。
直ぐにきぬとたねが肩を押さえて立ち上がれない美代だ。
「いやー、尼さんには成りたくないです」と叫び出す。
六人の見物客はこの様子を待っていたのだ。
何の抵抗もなく、坊主に成ったのでは全く面白くない連中だ。
虐める気持ちも無くなる変な連中なのだ。
椅子は足が固定されて動かない様に作られているから、立ち上がって逃げる以外美代は動け無い。
「ここでは身体中の毛を剃り落として、お客様に奉仕するのよ、判った!」と一番恐そうな女性絹代が美代の前に来て言う。
「そんな事、聞いて無いです」怯えて言う。
「お前は買われてきたのだから文句は言えないのよ、今から綺麗にしてあげるからね!二度と髪が伸びる事は無いよ、下の毛もだよ!」
「いやー、やめて」と声を大きく出す美代。
身体を持たれて動け無い美代の髪から、飾り髪留めの布がつねの手で取り払われて、髪に気を取られていると、足を椅子に固定されてしまった。
「これで動け無いわよ、諦めるのね」
「いやー、許して下さい」と今度は懇願する美代。
「蚤とか虱がつく心配が無くなるから、良いわよ」
「許して、お願いします」と頭を下げる美代。
「例の薬を試す機会だ」と尾山が言うと大きく頷く絹代。
近くの棚から取り出してきて、美代の目の前で見せる小さな液体の小瓶の蓋を開けて「ほら、少し嗅いでみて」と美代の鼻に近づけると顔を背けるが、両手を二人に持たれているから顔を横に向ける美代。
その鼻に近づけるが息を止めて、頑張る美代だが苦しく成って逆に一気に吸い込む。
「おお、賢いな」と言われるが、鼻の前には蓋の開いた小瓶を持った状態で、絹代は美代の顔を見ている。
しばらくすると目の焦点が定まらない様な顔に成る美代に成っていた。
「親分、薬の効果が出て来た様ですよ」と絹代が言う。
「着物を脱がせて、様子を調べて、取りかかれ」と尾山が言った。
美人姉妹の噂
25-03
この当時は蚤とか虱を持っている人は多く、特に遊郭に働く女性は毛ジラミに感染する事が多く、各遊郭には陰毛を剃る職人の様な人を雇っていた。
この尾山の遊郭には元々男性の下刈りの半吉が居たが、今回(尼御殿)の開店に伴って、女性のつねと云う剃毛師も雇っていた。
女性はまだ髷を結う女性が多く、大都市ではおかっぱの様な髪型とパーマ、下着も腰巻きからズロースの時代が始まっていた。
麻薬から作った外国製の薬を嗅がされた美代は、今までの態度から一変して「美代は男と契った事有るのかな?」と絹代が尋ねると頷く。
「さあ、これから綺麗にして、彼氏に抱いて貰うのよ」
「はい」
「嬉しいでしょう?」と言うと頷く美代。
「面白い薬ですね」と軍医の最上が言うと「この子の良い思い出を薬が効いて尋ねると、その世界に入ってしまう様です」
「成る程、今は彼氏と会う前?」
「そうでしょう」と微笑む絹代。
白衣の着物の帯を簡単に緩めると、着物の胸を左右に脱がせると、白い小振りの乳房が白熱電球の明かりに照らされた。
「美代さん、彼氏は何と呼んでいるの?」
「健次さんです」
「そう、向こうの部屋で健次さんが待って居るから、早く綺麗にして貰って行こうね」
「はい」と虚ろな眼差しで答える。
「この薬は簡単には使えません、中毒の症状を起こす場合が有ります」
「どうなるのだ?」
「廃人に成る場合が有りますから、今回は顔見せで使いましたが、通常遊女には中々使えませんね、これより緩い女が喜ぶ薬程度でしょう」と尾山が最上に答えている。
「何回、健次さんと契ったの?」
「二回です」
「良かったの?」
「痛かったけれど嬉しかった」と答えるが目の視点は定まっては居ない。
「さあ、これを飲んで」と液体の薬を水差しで飲ませる絹代。
美味しそうに飲み干す美代に尋ねると「美味しかったかい?」
「はい」と答える。
外国製の麻薬で作った媚薬を飲まされる美代は、身体が熱く成ってくる。
縄師の長治郎が縄を手に持って、美代の後ろに行って二本の腕を後ろに揃えて縛りだした。
全く抵抗はしない美代、後ろ手に縛ると今度は、乳房の下に縄を這わすと次に乳房の上にも縄をかける。
小振りの乳房が少し大きく見えて飛び出した。
長治郎が上半身を縛り終えると場所をつねに譲って、髪を留めている紐をハサミで切り落とすと乱れて長い髪が背中に流れた。
絹代が帯を完全に緩めて身体から抜き取ると「この子、パイパンだわ」と下半身を見て言う。
「楽しみが半減だな」と客席の一人が言うと「私はそれでも構わん」と合田大尉が言い放つ。
常がハサミで長い髪を切り始めた。
床に落ちる美代の長い髪、反対に頭は見る見る短い髪に成って、不細工な姿に成っていった。
短く成った髪に石鹸を付けて、剃刀で剃り始めるつね、徐々に青く剃り上がって行く美代の頭。
見学の男達にはそれ程の刺激が無い状況だったのか、興奮を覚えたのか落ち着かないのを見た尾山が「別室の準備が出来ました」と告げると大佐を残して次々と地下を出て行って、最後は合田大佐一人が残った。
しばらくして「おお、綺麗な尼さんの出来上がりだ」と喜んで手を叩いて廻りを見れば誰も居なくなっていた。
「大佐も連れて行って、可愛がって下さい」と尾山が言うと椅子から美代を立ち上がらせると、合田が抱きあげて地下を出て行った。
着物は椅子に残して、全裸で後ろ手に縛られた状態で、目は虚ろの美代は抱かれて夢心地だった。
女遊びは百戦錬磨の合田は美代の身体をおもちやの様に使ってSEXを楽しむ、美代も薬の影響と合田の手慣れた技に燃えていた。
この日から尾山の高級遊郭(尼御殿)は順調な出だしで、客を獲得して噂も広がって上々の滑り出しに成った。
だが問題は遊女の人数、人気に成るのは良いのだが待ち時間が多くて、予約が取れない状況に成る。
その後二名程新人を投入したが追いつかなくて、美代も連日の客を受け入れるから慣れてしまい。
最初は薬を使っての客の受け入れだったが、半月で自然に受け入れて楽しむ様に変わっていた。
世の中は軍人の天下で、逆らう考えの者、天皇を批判する者は厳しく取り締まられる時代。
合田大佐の基地も、各地の治安を守る役目と兵士の育成が主な仕事に成っている。
合田の処にも各地から客が訪れるから、大事な客と好きな客には尾山の遊郭に案内をして自分も楽しむのだ。
しばらく経過した一月の寒いある日、銀行の頭取金子眞一が「始めて見たよ」と嬉しそうに合田に話した。
金子の取引先の中に大きな材木問屋(檜屋)が在って、そこの姉妹が美人で有名だと日頃から聞いていたのだが、今まで一度もお目にかかった事が無かったが、先日挨拶で伺って始めて姉妹の一人を見たと説明した。
「そんなに、美人か?」
「思わず目が醒めた気がしました」
「幾つだ」
「姉が二十歳、妹が十八歳だそうです」
「名前は?」
「神崎華と幸だったと聞いたが、私が会ったのは多分姉の華さんだと思う」
「写真か何か無いのか?」と早速興味を示す合田。
(檜屋)は江戸時代から続く老舗の材木問屋で、神崎弥太郎は十代目、サラブレッドの血筋で血統が良いので、美男美女の家系で姉妹の兄弥吉も美男子だ。
勉強は出来ないが金の力で大学に行って、今年卒業をして家業の勉強を始めた処だ。
弥太郎の妻も名家の生まれで、世間知らずで育っていたので、殆ど会社の仕事は大番頭の神戸丈一が取り仕切って、会計にも迫田茂佑と言う大番頭が居るから、この二人が事実上(檜屋)を動かしていた。
それ以外にも多くの借家、土地を持ち昔から年貢の様に徴収していた。
迫田の下にも、家賃、地代を徴収する係に武田佐吉が居る。
その佐吉の下には十人程の徴収の係が存在しているから(檜屋)の資産は、本人の弥太郎でも把握していないのだった。
弥太郎の父は弥次郎と云って、頭も良く明治の動乱の最中で(檜屋)の地位を確固たる物に築き上げた人だ。
罠
25-04
その弥次郎が亡くなって、今の弥太郎の代に成って五年の歳月が流れて居た。
弥太郎は今年五十歳、妻麻が四十五歳、二年前弥太郎の母も他界して名実共に弥太郎が(檜屋)の当主に成ったのだ。
大番頭の神戸が六十三歳、迫田はもう七十三歳の高齢に成って、後輩に譲りたいのだが部下の武田に信頼を持って居ない迫田だった。
材木業は神戸が仕切っていて、人材も数人育っているので安心だと思っている迫田だ。
弥太郎の子供で長男の弥吉はお金持ちの息子の典型で、勉強も出来ないし仕事には興味も無ければ覚える事もない。
何一つ苦労なく育って居る父、そして子供の見本の様だ。
娘二人は少し異なって、将来は由緒有る家に嫁に行く為の習い事を幼い時から習って、勉強も長男に比べると遙かに良く出来た。
最近は姉妹の美人の噂が広がって、縁談を考える様な問い合わせも数回届いていた。
従業員でも家族の顔を見る機会は少なく、正月の挨拶にも去年迄は顔を見せていなかった。
今年始めて姉の華が二十歳に成ったので、挨拶に現れて従業員が感嘆の表情で見たのだった。
父親の弥太郎も自慢の美人の娘で、姉妹でのお披露目は妹の幸が成人に成ってからと決めていたが、今年は姉の華の成人を機に挨拶に同席させたのだ。
新年の取引関係の集まりの席でも挨拶の時に同席をさせて、弥太郎は自慢と将来の婿捜しの事も有るので挨拶をさせて、良いご縁が有りましたらよろしくお願いしますと釣り合いのとれる大企業、著名人の紹介を頼んだ。
集まった人々は口々に「綺麗で気品と教養が滲み出ている」
「流石は〔檜屋〕さんの血筋だ」
「知り合いに良い息子は居なかったかな?」と華を一目見ると口々に言う程の美しさだった。
着物も振り袖の鮮やかな色彩、帯とのバランスも良く、背丈も百六十センチの長身で、色白で黒髪を結い上げて、髪飾りも艶やか、その場の人が全員その美しさに見とれたのだった。
金子真一郎もその一人だったが、この男は別の事を考えていた。
あの清楚な美人の華を縛りあげて、先日見た遊郭の地下で陵辱の限りを行いたいと思っていたのだ。
勿論箱入り娘で、手垢が全く無い処女だと判るので、異常に興奮して翌日、合田大佐に話したのだ。
最も危険な男に話してしまった金子、合田は早速(檜屋)の調査を始める命令を部下に出たのだ。
憲兵の組織も陸軍の中に属して、合田はこの組織を使う事も有った。
自分の意志を貫く為には色々な方法が利用出来た。
まさに軍人の力が強い時代だった。
数日後(檜屋)の内情から、親族関係から亡くなった人間の事まで調べ上げた書類が合田大佐の元に届くが、肝心の娘の写真は学校の集合写真しか手に入っていなかった。
集合写真を見ても明らかに、その美人度は傑出しているのが判ると、自分で思い込む合田だ。
そうなると、我慢が出来ないのがこの男だから、金子に一度実物を見たいと要求してきたのだ。
金子には難題で、店の人間でも年に数回しか見ないと云う美人姉妹を、軍人の合田大佐に合わせる事は至難の業だ。
金子は色々な処に調査を依頼して、学業以外にお花、お茶、書道を習っている事を突き止めた。
福本久と云う師範がお茶とお花を教える為に、週に二日自宅に通っている。
習字は有名な美人書道家、工藤加代が通いで同じく週に二日自宅に通っている。
その話を合田に伝えると「工藤先生は知っているぞ、美人の書道家だったな!可能性が出て来たな」と喜んだ。
工藤は四十歳の女流の書道家で、美貌と腕前は有名だ。
合田大佐は、知っているとは言っても一度挨拶を受けた程度で、会話は殆どしていなかったが、中々色っぽい女性だったイメージが残っていた。
合田はこの書道の工藤を利用して、姉妹を一度自分の目で見たいと思い、金子に一計を提示した。
銀行の力で工藤の個展を開いて、そこに姉妹を連れ出して欲しいと頼んだのだ。
それと同時に、工藤に在る文を個展で書く様にも提言した。
将来姉妹を捕らえる様に成った時に、工藤加代をもっと利用しようと考えたのだった。
合田の頭には、それ程の美人が存在するのか?富豪の娘を誘拐する程の価値が有るのか?
半信半疑の合田大佐だが、金子の目も半分は信用していたので、姉妹を見て気に入ったら?の工作をしていた。
金子は支店長を通じて、文化ホールでの個展を段取りさせて、丸田支店長から工藤に個展を開かないかと打診をさせた。
加代は文化ホールを借る費用も、力も無いと断ったが、我が行の頭取が貴女の書を気に入りまして全面的に援助するので、お弟子さんの作品も並べて大々的に催したいと提案をした。
加代は一番弟子の須藤富子、渡辺晶子と相談をして、後日丸田の申し入れを受けたのだ。
書道家に個展は夢の舞台で、文化ホールと云う大きな場所での一週間に渡る展示、丸菱銀行の後援とこれ以上にない至れり尽くせりの条件に、弟子達も先生が有名に成られるチャンスですと、大賛成に成った。
この時丸田支店長から、頭取の好きな漢詩を数点書いて、展示の依頼をしていたが、加代は何も知らず五点の依頼を快く承諾した。
恐ろしい罠を仕掛けているとは思いもしない、勿論丸田支店長も知らなかった。
加代の個展に弟子達も自慢の作品を展示出来ると、大喜びに成る。
勿論、加代が通いで教えている(檜屋)の姉妹にも参加を勧めていた。
それは、丸田支店長が強く押して、美人姉妹の書を必ずと懇願したからだった。
その日から、加代は個展の準備に奔走し、必要なお金は総て丸菱の丸田が用立てる。
「こんなに、便宜をして頂いて」
「当行の看板の文字をお願いするのも条件ですよ」と加代が怪しまない様に手立ても講じていた金子頭取だ。
「そんな事なら簡単ですわ」と簡単な条件に加代は完璧に騙されてしまった。
好色軍人
25-05
「お母様、私達の書も展示して良いですか?」と尋ねる神崎姉妹。
「そうね、文化ホールなら、品も良い処ですから、宜しいでしょう」
「わー、ありがとう」と喜ぶ神崎華と幸の二人。
殆ど自宅から出る機会の少ない姉妹には、この様な催しの時で無ければ大手を振って外出が出来ない。
女中の児玉たみと榊そめが絶えず二人に付いて行くので、実際には自由は無いのだが、二人には自宅以外の空気を吸いたい気分だった。
たみとそめの二人の女中は五十代で、二人が生まれた幼少の時から、殆ど行動を共にしていた。
先代の弥次郎は、各所に妾を置いて、所謂英雄色を好む的な男性だった。
今の当主の弥太郎は父の行動を見てきたので、真面目で妻以外の女性は置いてない状態だ。
母の麻も上品な女性で、貴族の血筋で昔は徳川幕府の重臣を務めたと、自慢をしている家系だ。
弥次郎には妾が数人、子供も数人居たが総てお金で解決をして、今は神崎の家には一切関係が無くなっていた。
加代は丸田支店長に頼まれた書を、翌日から書き始めて「漢詩って難しいわね、意味がよく判らない物も有るわね」と弟子の晶子と富子に話しながら、描き上げていく。
「流石は先生ですわ、お上手です」と褒め称える弟子達に「この調子なら、五点を書き終えるのに時間はかからないわね」と上機嫌の加代。
神崎の家でも作品の出展が決まったので、二人が競って書道の筆を執る日が多く成っていた。
長い黒髪を紐で縛って、着物の袖を捲りあげて、白魚の様な指先に力が入る華「お姉様には負けられないわ、金賞は私が貰いますからね」とライバル心を燃やす幸。
側でたみもそめも目を細くして見つめている。
日に日に美しく成長する二人を見る眼差しは、我が子を見て居る母の心境だ。
合田大佐に金子頭取が「上手く事が運びそうです、大佐がご覧に成って気に入られたら、後は計画通りに勧めますので、加代と云う師範も中々の美人ですよ」
「一度見た事がある、熟女の域だな」
「確かに、四十歳ですから」(注、現在の年齢なら三十八歳)
「だが、相手は大店の娘だ、老舗なのだが何か手を考えて居るのか?」
「まあ、大佐が気に入れば作戦は考えて居ます、大店のわりには大番頭に任せていますからね、その辺りに隙が有るのですよ」
「頭取も悪い男だな」
「大佐の欲望を満たす為に苦労しますよ」と大きな声で笑い出す二人だ。
尾山の遊郭(尼御殿)は女性の質の高さと、ユニークな尼と云う設定が当たって、連日予約待ち状態で尾山も新人の女性の投入が不可欠の状況に成って、給金の増額で(華御殿)に勤めている女性に交渉をするが、剃髪に抵抗が有って給金だけでは移籍を断る女性が多い。
二名が移籍をしただけで、依然として女性不足だった。
「尾山さん、大成功だな」と久々に遊びに来た合田が尾山に笑いながら言うと「女性不足で、儲かりませんよ」と笑う尾山。
「それは儲けられないな」とお互いに笑う合田大佐だ。
頭にはまだ見た事の無い(檜屋)の美人姉妹を描いて、美代を相手に激しい行為をして腰に力が入っていた。
しばらくで、完璧に遊女の身体に変わっていた美代に、新鮮さは感じなかった合田は次なる獲物を虎視眈々狙っていた。
高台の広大な場所に高射砲を備えた陸軍基地、国鉄の最寄りの駅から態々線路を敷いて、軍に必要な物資を運び入れる事も度々有る。
合田大佐はこの基地の隊長の任を代理だったが、任されていた。
軍の仕事だけではなく、この地域の治安も地元の警察との連携と云うより、警察も掌握している憲兵の組織の長でも有った。
特に憲兵が取り締まるのは、国に対する反逆の輩を取り締まるのが主な任務で、特に共産主義者に対する弾圧と取り締まりは徹底している。
合田大佐はその力を時に悪用して、女性を辱める事も度々有った。
基地の中には反乱分子の取り調べを目的とした拷問部屋も完備していて、時に拷問中亡くなる場合も有る。
合田と軍医の最上は、その拷問部屋とは別で更に女性専用の拷問部屋を特別に建造して、特別興味の有る女性はこの部屋にて特別な拷問をする。
この地下部屋の存在は数人しか見た事もなければ、入室も出来ない隔離部屋に成っていた。
軍医の最上も合田の許可を貰った女性のみを、この部屋に連れて来る事が出来、自分の意志で連れ込むと処罰の対象に成るので、使う時は限られていた。
この基地には殆ど女性は居ない、料理を手伝う下働きの女性が十数名と看護婦が数名存在するのみで、軍医も最上の手下の様な富岡茂と云う若い男だけだ。
富岡は根暗の男で何を考えて居るかよく判らないが、最上には忠実で番犬の様な存在だ。
この基地には約五百人程度の兵隊が常駐している。
実際は小南少将が大隊長だが、殆どこの町にはやって来ないので、実質合田大佐が好き放題なのだ。
年に三回程部下を伴って視察に訪れるが、その時は人が変わった様な合田大佐に変身する。
小南少将は訪問の時も、女性の遊びは一切行わない、真面目な男だから合田とは正反対だった。
「先月来たので、当分来ない」
「堅物で困りますね」と部下の飛田少尉達と小南が帰ると、決まって遊郭遊びに出掛けるのだ。
だが最近は遊郭遊びにも飽きている合田大佐に、神崎姉妹の話は最高の楽しみに成っていた。
「最上君、久々にあの部屋の住人が来るかも知れないぞ」
「本当ですか?掃除をしておきましょう、長い間使っていませんから、器具も点検しておきます」
「期待して良いぞ、金子の話では過去に無い美人だと言うからな」と笑う合田大佐の髭が狂った様に動いた。
涎
25-06
一月半後に文化ホールで、工藤加代の個展が開かれて、初日のセレモニーに華と幸は参加を許可されて出席をする事に成った。
後援は丸菱銀行近畿支店、支店長丸田の名前が堂々と工藤加代の後援会長的にパンフレットに記載されて、勿論文化ホールの看板にも同じ様に書かれて丸田支店長は鼻高々だった。
数日前に工藤を中心に高弟の須藤、渡辺、銀行の金子頭取に丸田支店長で、展示の弟子達の中での金賞受賞の作品と銀賞作品の選定が行われた。
金子頭取には華と幸の、どちらが姉の名前か判らない金子は、幸の作品を選んで強引に金賞にしてしまう。
加代は渋々納得して、金賞を神崎幸に決めて、銀賞を自分が選んで辛うじて対面を保った。
金子が会ったのは姉の華だったが、金子は名前を覚えていなかった。
余りの美しさに目を奪われてしまって、紹介の挨拶も上の空だったからだ。
二日目に賞状の授与式を執り行う事に成っているから、本人が必ず来る手筈だ。
その賞状授与の日に、合田大佐は神崎の娘を自分の好みの女性かを調べに来る予定に成っていた。
初日に弟子全員が揃う事は、事前に判らなかったので合田大佐は二日目に予定を入れて、初日は陸軍の会合に行くスケジュールに成っていた。
数日後文化ホールには、男女数十名の弟子に囲まれて、華やかに女流書道家工藤加代の個展が始まった。
セレモニーには丸田支店長を初めとして、地元の市長、商工会のお偉方、学校関係のお歴々が集まって、工藤も丸田もこの世の春を感じるセレモニーに成った。
最後に金賞と銀賞の発表に成って、神崎幸の名前が読み上げられて館内が響めいた。
意外な金賞の受賞者に成ったからだ。
銀賞は金賞確実だと思われていた里見常雄が選ばれて、館内は何故?の声が囁かれた。
「幸、良かったわね、おめでとう」と側に居た姉の華が笑顔で褒め称えた。
その言葉に続いて、友人仲間が「おめでとう」を連発した。
お辞儀をする振り袖姿の神崎幸は習字の腕はともかく、美しさは姉の華を除けば群を抜いていた。
「初めて見たな、美人姉妹」
「本当だったのだ」
「綺麗ね、お姉さんの方は色気が有るから、一層綺麗だわね」
「振り袖に、普通は負けるのにね」と各自が囁いている。
丸田支店長も神崎姉妹を目の当たりに見たのは初めて、書道の教室には一切来る機会が無かったので、同じ弟子の仲間も噂でしか知らない。
先程までは今回の個展のイベントに芸能人を招待していると、その場の人々は見て居たのだ。
美しさと清楚な雰囲気、気品が姉妹の廻りに漂っていた。
「明日、午後一時から受賞者には、主催者の丸菱銀行から、記念品と賞状の授与を行います」と丸田支店長が説明して、会場のオープンに成った。
しばらくして、華も幸もお付きの児玉と榊と一緒に自宅に帰って行った。
時間にして二時間程度の為に振り袖を着て、会場にやって来たのだ。
「明日は、洋服でドレスにするわ」と榊に言う幸に「そうですね、簡単ですから、寝坊が出来ますよ」と笑う。
工藤加代も今日は着物姿で、一日中招待客の案内と挨拶、説明に終始して忙しい時間を過ごした。
明日の授賞式と最終日の閉会のイベントが残された大きな行事で、それ以外は時々鑑賞に来る人の案内に成る予定で一週間を過ごす予定だ。
神崎弥太郎は娘には結構厳しくて、外出等には両親の許可を貰う事が決まりに成っている。
特に最近は年頃に成って、美しく成長したので監視を厳重にしている。
二人の乳母の様な女性以外に、監視監督の為に外出時は三人の男にガードをさせて、自家用車を使うので中々姉妹が人前に出る事は少なかった。
自宅に戻ると金賞を貰った幸は有頂天で、明日の授賞式には参加したいと父弥太郎に申し入れをしていた。
姉の華は自分の方が上手なのに何故?と思っていたので授賞式には興味も無かった。
父は母の麻と一緒に行くなら行っても良いと許可を出して、幸は大喜びに成った。
十八歳の娘には、外出が最高の娯楽に成っている様だ。
翌日合田大佐は朝からそわそわして、子供の様な興奮を感じていた。
金子頭取が、過去のどの女性よりも清楚で綺麗と絶賛したので、早く見たいと金子が迎えに来るのを待っていた。
自動車が到着したのは、十一時前「おお、頭取待っていたよ、行こう」と挨拶も程々に車に乗り込む合田大佐。
髭を生やした厳めしい顔が、大きく綻んでいるのが傍目にもよく判る。
普段は柳田少尉と飛田少尉が必ず一緒に行くのだが、車の関係で一人での外出に成っていた。
会場には純白のドレス姿で、黒髪を後ろに上げて髪をピンクの布で留めて清楚な姿の幸。
銀賞受賞の里見も神崎幸のドレス姿に見とれる程だ。
母の麻も負けない衣装で会場を訪れて、知り合いに挨拶をしている。
そこに軍服姿の合田大佐がやって来ると場違いの様相に成るが、後に着いてきた金子頭取を見て会場のみんなの顔が和らいだ。
金子が工藤に合田大佐を紹介して、以前に一度お会いしましたと、加代は記憶に残っていたので笑顔に成って丁寧な挨拶をした。
合田も目の当たりに加代を見て、中々色気が有る美人書道家だと、好奇の眼差しに成っていた。
授賞式に成って、奥から二人が現れて「おお。。。」と小声で叫んだ様に聞こえる。
合田大佐の好色の眼差しに、金子がこれは計画実行が確実だと思った。
受賞式を見る合田の口元から、涎が今まさに溢れそうだと、横目で見ていた金子頭取だ。
受賞式が終わると「作品を案内しますわ」と工藤が合田と金子の二人を案内して、自分の作品、そして受賞作品を解説して二人を連れて歩く。
銀賞の里見の作品の前には里見自らが、二人に挨拶をして作品の解説をした。
しばらくして、金賞の神崎幸の前に立った合田大佐が「おお、素晴らしい」と書を褒めずに幸を褒めたのだが、幸は自分の作品が褒められたと思い、思わず白い長い指を指しだした。
それを直ぐに掴んで握手をしてしまう合田大佐、握られた手を離そうとするが離さない。
この時恐怖のシナリオが始まっていた。
捕えられた美人書道家
25-07
「お嬢さん、お美しい」と微笑むが、幸にはこんなに長時間男性に手を握られた事が無かった。
「大佐!」と金子に言われてようやく手を離す合田。
幸の手には合田の汗か油か判らない物が付いていて気持ちが悪いと思っていたが、顔は微笑んでいる幸だった。
受賞式の場所から直ぐに便所に駆け込む幸、後に着いて行く榊そめ。
「気持ち悪かったわ、離さないのよ」としばらくして便所から出て来て、そめに話す幸。
その姿を遠くから合田が眺めていた。
「見て居るわ、早く帰りましょう」と急いで車の方に向かう幸だった。
「大佐、如何致しましょう?」と金子頭取が聞かなくても判るのに、わざとらしく尋ねる。
「勿論計画を遂行してくれ」と嬉しそうに言う。
「あの師範は如何致しましょう?」
「あの女も楽しもうではないか?姉妹を見る為に使っただけだろう?」
「よくご存じで」と揉み手の金子だ。
「だがな、あれで捕らえるには犠牲が必要だぞ!」
「はい、判っております、あそこに有頂天の男が居りますので道連れで」
「お前も悪い男だな」と大笑いをしながら、車に乗り込むと帰って行った。
一週間の展示の最終日の午後、文化ホールに異様な集団が現れた。
憲兵数人が展示会場に入って来て、直ぐさま漢詩の書を引っ張って降ろした。
驚いた加代は急ぎその場所に向かうと「主催者は貴様か!」と上司の様な男が強い言葉で言う。
「し、し、主催は丸菱銀行近畿支店で、私はこの展示の個展を行っている工藤と申しますが、いきなり展示物を持ち去るとはご無礼と思いますが?」と気丈に答える加代。
「馬鹿者!貴様の様な輩が国民を堕落させるのだ、連行しろ!」と言うと直ぐに加代の両脇に憲兵が二名腕を持った。
「何をなさるのです、これは丸菱銀行。。。」と喋る口を隣の男が手袋で押さえて喋らせない。
「申し開きは取り調べて室で聞く、連れて行け!」閉会式の準備と片付けの為に弟子達が来て居るが、全員師範の連行に言葉を失った。
男は「取り調べで何事も無ければ無事に解放される、心配せずに事を進めなさい」と言うと会場を後にした。
そこに丸菱の支店長が血相を変えて「何事です?」と会場の須藤に尋ねていた。
陸軍の基地では、合田大佐が最上軍医と綿密な打ち合わせの後、逮捕した加代の到着を待っていた。
金子頭取は表には出る事が出来ないが、自分の支店の丸田を犠牲にしてでも得たい神崎姉妹だ。
金子は先日会った神崎幸は、妹の方で自分が正月に会ったのは姉の華だったと判っていたが、合田には説明をしなかった。
今更妹よりも姉が綺麗だと教えると、合田がまた次の手立てを考えろと無理難題を言い出すからだった。
金子から見ても姉妹の美しさと清楚な感じは変わらないと思ったからだ。
しばらくして、憲兵に連行されて基地に連れ込まれた工藤加代の顔は強ばっていた。
噂で憲兵の怖さを知っていたから、何故この様な処に連れて来られたのか?今も理解に苦しんでいた。
「今から町村曹長の取り調べが有る、包み隠さず正直にお答えするのだ」と連行した上官らしい男が加代に言った。
町村曹長も髭を蓄えた五十歳位の男で、加代の着物姿を好色の目で見ていた。
そして、展示会場から押収した漢詩の書を取り出して「これは、共産主義を称える文章だ、この様な物は禁止に成っているのを知っていて、掲げたのか?これは重大な反政府運動だ!」と強い調子で言う。
「えー、その様な事は存じませんでした、頼まれて書いただけで、私は何も存じません」と答える。
「貴様には、赤の考えは無いと言うのか?」
「はい、全く有りません」気丈に答える。
「反逆の輩はみんなその様に言うのだ、公共の場を使って同士に連絡をしたり、同士を募ったりの行為を行う、貴様もその先導者だろう?」
「いいえ、全く身に覚えは有りません、丸菱銀行の頭取さんに頼まれまして書きました」
「何!丸菱の頭取だと、直々に頼まれたのか?」
「いいえ、支店長さんを通じてでございます」しばらく押し問答が続いて「貴様が潔白だとの証拠もない、今聞いた丸菱には当方で取り調べと調査を行うが、貴様が赤の手先でないとの証拠も無い、時間を要して取り調べをさせてもらう」と言うと「何か反乱者の証拠を持って居るかも知れない、持ち物とかを厳重に調べよ」と言う町村曹長。
「私には、身に覚えの無い事です」と必死で訴える加代。
「最初はみんなその様に言うがやがて口を割る、丸菱の調査と平行してこの女も調べよ!」と伝えると町村曹長は退席した。
「私はどうなるのですか?無実です」と訴えるが「取り調べが終わる迄、お泊まり頂く事に成ります」
「えー、そんな」と恐怖の面持ちに成る。
「丸菱銀行の調査も直ぐに始めるが、貴女が潔白の証拠も今は無い」と上官の男は加代に告げると「医務室に連れて行け」と部下に命令をした。
「悪い処は有りません」と言うが「身体検査です」と連れて行く憲兵が加代に伝える。
閉会式の為に着飾った着物、髪も綺麗に結い上げて、本当は今頃お礼の挨拶を述べて個展が終了していると思いながら、薄暗い廊下を憲兵に連れられて医務室に歩いて行く。
頭の中はこれから自分がどうなるのか?を考えるより何故?この様な状況に成ったのだ?の疑問が大きく心にのし掛かっていた。
加代は丸田支店長か丸菱銀行の頭取が共産主義者で、自分が利用されたのだと理解している時に医務室の扉が開いた。
廊下に比べて明るい部屋、診察室と隣にも部屋が垣間見られる。
手術、治療の為の部屋で、加代が入った部屋は問診と診察が出来る場所に成っていて、年配の看護婦が三人に助手の様な男が冨岡茂医務官だ。
机に向かって背中を見せているのが、軍医の最上伸介で五十代の好色そうな眼鏡をした男だ。
白衣を着ていなければ、とても医者には見えないであろう人種だ。
医務官は神経質そうな、インテリ風の医者で三十歳位、この部屋では一番若くて医療の人間に見えた。
「軍医殿、後はよろしくお願いします」と憲兵が加代を残して、医務室を出て行った。
仕組まれた診察
25-08
松本志乃が看護婦のリーダー的存在で、最上よりも年上に見える。
中村美津、土佐律も若くは無い年齢で、兵隊を相手の医療なので、それ相応の強者らしく見えた。
「松本君、憲兵さんの取り調べが終わる迄、泊まって頂く、準備を始めて下さい」
「私は、何も知りません、丸菱銀行の方の依頼だったのです」と訴える加代に「私に言われても困る、取り調べは憲兵の仕事だ、ここで取り調べが終わる迄お泊まり頂く為の準備を頼まれただけだ」と言う最上。
「まだ、反逆者と決まった訳ではない、明日からの取り調べで、明らかに成るだろう、そんな綺麗な着物ではここに泊まれませんよ、着替えて貰いなさい」と最上が言うと、中村が国防色の衣服を持って「さあ、これに着替えて下さい、ついでに先生の検診も行いますから」と言われて、身体を後ろに逃げる体勢をする加代。
顔は恐怖の色が滲み出ているが、直ぐさま後ずさりの処に富岡が陣取り「逃げると云う事は、何か調べられたら困る物をお持ちなのですか?」と背後から言う。
「何も持って居ませんわ、それに私は共産主義者でも、反乱者の一味でも有りませんわ」と気丈に言う加代の顔は強ばっている。
「それじゃあ、素直に取り調べを受ければ二、三日で解放されるわ」と松本が微笑みながら言う。
「さあ、早くその綺麗な着物を脱いで、着替えなさい」
「手伝ってあげるわ」と加代の前に行って帯び紐に手をかける土佐。
それを払い退けようとする加代の身体を後ろから、抱え込む様に持って手首を持つ富岡。
「何、するの」と怒って振り払おうとする。
「忙しいのよ、貴女の相手をしている時間は無いのよ」と言うと土佐が手早く帯び紐を取り去る。
今度は、中村も手伝って帯を緩めて、着物から下に落としてしまった。
「いやー、やめて下さい」と暴れて抵抗をする加代だ。
「暴れると、憲兵を呼ぶわよ、見世物に成るわよ」と松本が言うと驚きの顔に成った。
「そうよ、ここには血の気の多い若者が沢山居るから、大変な事に成るわよ」と松本が言うと、少し動きが止まって着物の紐を取り払うと着物の前が外れた。
「さあ、脱いでそこにかけて置きましょう、汚れると困るでしょう」と脱がせると、近くの壁の木製のハンガーに吊した。
水色の長襦袢姿にされてしまった加代に「先生に診察を受けて下さい」と診察の椅子に座る様に指示をした。
聴診器を首にかけて、好色の顔で待つ最上の前に背中を押されて座る加代。
合田の部屋では「段取りは上手く運んでいるか?」と尋ねる合田。
「はい、もうすぐ例の拷問部屋に放り込む時間です」と答える飛田少尉。
「あの女も中々の美人だからな、熟女だが肥えても居ない、見た感じでは縄が似合いそうな女だった」と嬉しそうだ。
「大佐殿、あの女は神崎幸を捕らえる餌ですから、お間違えに成らない様に」と念を押す。
「そうだった、大きな獲物が待っているからな」と微笑む。
「大店の娘で無ければ、簡単なのですが(檜屋)とも成ればそれなりに地位も名誉も有りますので、簡単には事は運びません」と言う。
「大丈夫だ、女は男の奴隷だからな、大店も歴史も関係無い、今は俺が何でも決められる」と大きな笑い声を上げた。
「胸を広げなさい」と聴診器を持って加代に言う最上に、躊躇う加代。
「早くしなさいよ」と後ろから長襦袢の前を左右に開く土佐に、慌てて手を持って行く加代だが、直ぐに後ろから、長襦袢を肩から後ろに脱がせてしまう中村だ。
手が動かなく成って一気に上半身が最上の目の前に露出して、白い大きめの乳房が飛び出した。
「あっ」と言ったが、直ぐに聴診器を胸に宛がう最上に、顔を背けて絶え様とする加代。
四十歳の女性では、美しい肌で乳房も大きくて、形も良く乳首も小さい。
「子供は産んだのかね」と問い正す最上軍医に「いいえ」と小さく答える加代。
「背中を向いて」と言われて後ろを向く加代に「結婚は?」と尋ねる。
「しましたが、直ぐに離婚しました」と答える加代。
背中を最上の聴診器が猫の舌の様に、何度も複数の場所を這う。
タイミングを待っていた様に 「先生、彼女の着物の袂にこの様な物が入っていました」と着物の側で言い出す松本。
「何が入っていたのだ」と聞き正す最上。
「手紙です」と最上の処に持って来る松本。
「手紙?」とその松本の手を見る加代。
小さな紙切れが最上軍医に手渡されて、読み始める最上が「これは、大変だ、直ぐに憲兵に届けてくれ」と言い出す。
「何が、入って居たのですか?」と身に覚えの無い事態に上半身裸を忘れて聞き正す加代。
「貴様が丸菱銀行の支店長丸田に貰った恋文だろうが!」
「えー」と驚きの表情に変わる加代に「忘れたらしい、見せてやれ、本人も納得するだろう」と恐い顔で言う最上。
松本が小さな紙切れの様な手紙を広げて、加代の目の前に持って来る。
急いで読む加代が「こんな事知りません、出鱈目です」と大きな声で叫ぶ。
「この手紙には、貴様に頼んで書いて貰った漢詩のお礼が書いて有るではないか、初めから知っていた証拠だ」と最上が言うと「届けて来ます」と松本が医務室を出て行った。
「知りません、私は何も知りません、丸田支店長が赤の人だった事も初めて知りました」動かない両手、上半身を剥き出しにして訴える加代は、恥ずかしさも忘れて必死だった。
最上の机の横に在る木製の電話が鳴り響いて、驚く加代。
「判りました、連れて行きます」と話している最上が電話を終わると「この女を取り調べ室に連れて来いと言われている」と土佐達三人に言う。
「違います、誤解です!」と加代は必死だが「殆どの輩は、取調室で自供する」と含み笑いの最上軍医だ。
本当の拷問部屋は別の場所に在るのだが、加代が連れて行かれているのは、女性専用に特別に造られた場所で、合田が楽しむ場所だ。
本来の拷問室は唯痛めつけて、自白を強要させる為の道具が揃っていて、此処に連れて来られると半殺し若しくは死が有るのみで、普通に五体満足では帰れない場所だ。
乱れた長襦袢姿に、白い足袋で怯えた面持ちで廊下を歩く加代。
自分の無実をどの様に訴えるか、その事が頭の中を渦巻いていた。
妊娠検査
25-09
特別取り調べ室と書かれた場所は地下に存在していた。
地下の入り口には憲兵が番兵の様に二名も立って居るから、許可の有る者以外は入れない様だ。
一般の兵士達の目には全く触れる事が無いだろう?
何故なら、医務室から此処に来る様に造られていたから、完全に隔離された場所に成っていた。
「連れて来ました」と部屋の前で憲兵が叫ぶ。
「入れ」の言葉に聞き覚えを感じる加代。
小さな部屋の机の向こうにサングラスをかけた軍人が座っていて「まさか、先生が赤の手先をされていたとは、思いもつきませんでしたな」と言われて「貴方は合田大佐様でしょうか?」軍服を着ていないので、声と髭で判った加代。
「私は、無実です合田様お助け下さい」と縋る加代に「今、先生の言っている丸田支店長をもうすぐ連行するでしょう」
「そうです、私は頼まれただけです、何も知りません」
「それじゃあ、この手紙は何ですか?貴女の着物の袖に入って居たのですよ」
「私は、何も知りません」
「丸田支店長に尋ねるから直ぐに事実が判明する」と話していると電話が鳴り響いて、合田が受話器を耳に当てて聞いている。
「そうか、自白させろ」と言う言葉で電話が終わる。
「先生と支店長は男女の仲だと聞いたが、本当か?」
「いいえ、違います、個展の準備で何度かお会いしましたが、その様な関係はございません」と必死で言う加代。
「そうか、支店長に尋ねてみる」と言うと再び電話をする合田。
「何、以前からの知り合い!妊娠!」と大きな声に成る合田。
電話を終わると「支店長が、先生とは以前からの知り合いで、妊娠しているので手荒な事はしないで帰して欲しいと訴えているそうだ」と驚き顔で言い出した合田。
「えー-、その様な事実はございません、お付き合いもしていません、まして子供が出来る事は有り得ません」と訳の判らない話に困惑の加代だ。
「本当なのだな、調べれば判るのだぞ」と念を押す様に言う。
「はい、絶対に有り得ません」と言い切る加代だが、罠だとは気が付かない。
「最上軍医、先生が妊娠しているか検査をしてくれ、嘘なら極刑物だ」
「はい、判りました、準備を致します」と出て行く最上軍医。
隣の部屋には女性を辱める器具、責める道具、そして医療設備を整えた部屋が独立して備え付けられて、別の部屋には女性を閉じ込める場所も造られて、合田が遊ぶ為の部屋も用意されている。
「合田大佐、私には丸田支店長がその様な反逆者だったのが、未だに信じられません、お付き合いもしていません信じて下さい」と懇願する。
「もうすぐ結果が判りますよ」と含み笑いの合田の顔、項垂れる加代。
しばらくして「準備が整いました」と土佐が部屋に呼びに来る。
「正確に診て、先生の言葉が正しいのか、あの支店長が正しいのか、結論を出してくれ」と合田大佐が強く言う。
土佐に連れられて、取り調べ室と云うよりも面談室を後にした加代。
白衣にマスク姿の看護婦が二人、男性が何故か一名増加して三人に成っている。
加代には人数より、早く身の潔白を晴らさなければ、反逆者として処分されてしまう。
何故自分を捲き込んだのか?許せない丸田支店長だと思うが、加代自身一度も婦人科の治療を受けた経験も無ければ、妊娠の検査の経験も無いので、一体どの様な事をして調べるのかの知識も無かった。
その頃個展の会場では主催者不在で、丸田支店長が閉会式を行っていた。
加代の弟子達は憲兵に連れて行かれた加代の安否を気遣いながら、憲兵に持ち去られた書は丸田支店長が書かせた物で、先生は濡れ衣を着せられたに違い無いと、陰口で囁き会っていた。
丸田支店長も何故?憲兵が工藤加代を連行したのか?自分が書かせた漢詩の意味にどの様な事が書いて有ったのかを思い出そうとしていたが、思い出せない。
閉会式が終わると直ぐに頭取に連絡をして、事の掌握をしなければ、今後の対応が判らないと思っていた。
この会場に電話でも有れば、直ぐに頭取に聞けるのだが、支店に帰らなければ電話は無いと、半分焦って閉会式を終わらせた。
「後片付けは頼むよ、先生の安否が気懸かりだから、直ぐに憲兵に尋ねて、善後策を考えるよ」急いで帰り支度をする。
「宜しくお願いします」と須藤と渡辺が声を揃えてお辞儀をした。
丸田支店長は慌てて、支店に戻って行ったが、支店には憲兵が数人、既に丸田支店長の帰りを待ち構えていた。
行内入ると「支店長!」と女子行員が言うのと同時に憲兵数人が駆け寄り「丸田支店長だな、同行願います」と言った。
「工藤さんの話ですね」と参考に呼ばれたと解釈した丸田支店長は「心配しなくて、大丈夫だ」と言うと憲兵に連れられて支店を後にした。
車に乗せられると「工藤さんに何か有りましたか?」と他人事の様に尋ねる丸田に、全く何も話さない憲兵達だ。
基地に入ると「降りろ!」と言われると同時に中から別の憲兵が、丸田の両腕を掴んで取り調べ室に連れ込む。
町村曹長が待ち構えていて「貴様か!この様な文章を書かせて展示させ、国民を扇動させたのは?」と恐い顔で睨みながら言う。
「ご冗談でしょう?何が書かれているか私には意味がさっぱり判りません」と平然と言う。
「貴様!俺を愚弄するのか!」益々怒り出す町村。
「めっそうも御座いません、愚弄なぞしておりません、私は金子頭取に頼まれまして、工藤先生にお願いしただけでございます」と微笑みながら言う。
「へなへなと笑い、貴様ここを何処だと思っているのだ!」と益々恐い形相に変わる。
丸田は自分には関係が無い、金子に頼まれた物を届けただけだから、直ぐに真実が判って解放されると思っていた。
去年支店長に昇進して、金子には全幅の信頼を得ているとの自負が会ったのだ。
その頃。加代は目の前に、金属の台の様な物が異様な光沢を見せているのを見て、まさかあれが診察台?と思った。
外国製の婦人科の手術台が備え付けられていたのだ。
「さあ、長襦袢を脱いで、台に寝て下さい」と土佐が言うと「えー、ここに寝るのですか?」
「検査出来ないでしょう?」と今度は松本が言うが、長襦袢を脱ぐと云う事は全裸でここに横に成れと云う事だと、加代は身体を硬直させていた。
強姦責め地獄
25-010
躊躇う加代に「どうしたの?妊娠が暴露されるのが恐いの?」と中村が言う。
「この様な、場所で。。。。」と怯える加代、天井から白熱電球が筒の様に金属の台を照らして、不気味な光沢を放っている。
「何をぶつぶつ、言っているのよ、ここは病院の治療室よ、恥ずかしいとかの問題では無いでしょう?」と松本看護婦が強い言葉で言う。
「そうよ、大佐に嘘を言ったと報告すると、首が飛ぶわよ」と脅かす三人の女だ。
好色の目で眺める三人の男、その中の一人は金子頭取だとは加代に判る筈も無い。
それでも躊躇する加代に「君達、手伝ってあげなさい、始めてで恥ずかしいのだろう?」と最上が助け船を出すと松本が「経験が無いのよね、妊娠をした事もないし、この様な病院で検査を受けた事も無いのよね」と言うと、頷く加代は四十歳の女とは思えない恥じらいを漂わせていた。
「そうなのね」と言うと直ぐに長襦袢の紐に手をかけて、解きだした土佐。
「い、いゃーん」と身体を動かして、抵抗を見せる。
紐が解けるのを待っていた様に、背中から水色の長襦袢を取り払う中村だ。
四十歳の身体にしては、括れた腰で腹にも贅肉が付いていない。
赤い腰巻き姿に成って慌てて、胸を押さえる加代だが、土佐の手は既に腰巻きの紐を解き始めていた。
「あっ、いゃ、やめて」と小さく抵抗を見せる加代。
直ぐに取り払われると、腰を屈めて座り込んで手で陰部と胸を隠そうとした加代だ。
「そんな場所で、座られると困りますよ」と松本が笑うと「手伝って、寝かせてやって」と言うと今度は富岡医務官が後ろから抱き抱えて「あっ、いやー、やめてー」と言う間に抱えあげられて手術台に運ばれる。
台に上げられると、直ぐに足を片方ずつ土佐と中村が持ち上げて、皮のベルトで固定を始める。
上半身を押さえられて、両手も皮のベルトで固定されていく。
「あっ、いや」と小さな声で反発するが、四人の動きは早く直ぐに手術台に固定されて動け無い状態に成った。
足の白足袋だけが異様な感じに見えるが、両膝の関節で固定されているので、全く動く事が出来ない。
白熱電球に白い裸体が照らされて、顔を横にして恥じらいの表情に成っている。
膝から下の足は、ブラブラとしているのが不思議に見える。
両手は横に広げられて十字の磔の様な姿で、結い上げた髪が多少乱れていた。
「それでは、検査を始めますね」と言うと台の下に有るハンドルを廻し始める。
「あっ、あぅ」と声を出す加代の身体が少し上昇して、両足が大きく広げられ始めたのだ。
ライトが下半身を明るく照らして、黒々とした陰部の毛を光らせている。
十字の両手の脇にも黒い毛が縺れて伸びている。
乳房は乳首を立てて天井を向いて、見られている興奮からなのだろう。
「乳房は張って居るか?」と尋ねる最上。
「はい、調べます」と土佐と中村が直ぐに左右の乳房を掴む。
「うぅ」と口走るとゆっくりと揉み始める二人の手、それは感じる様に揉みほぐしていた。
揉むのを見ると「どうだ、張りは有るか?」最上が尋ねる。
「少し、張っていますね」と中村が言うと「何、妊娠の可能性が有るのか?」と最上が言うと「違います」と口走る加代は多少恥ずかしさが少なく成っていた。
突然「どうだ、妊娠しているのか?」と覗き込む合田の声に「いやー-、見ないで」と急にやって来た合田に驚きながら、言い始める加代。
白衣の人間は医者に見えるが、大佐は別の人間に思えて拒絶の態度に成るが、身体は動け無いのでどうする事も出来ない。
「恥ずかしいのか、我慢をして証明をしなければ、極刑に成るぞ」と脅かす合田。
「恥ずかしいのでしょう、目隠しをしてあげなさい」と最上が言うと、富岡が黒い布を持って加代の頭の処に行く。
「えっ」と驚きの表情に成るが直ぐに、加代の視界は遮られて、微かに明かりが判る程度に変わる。
今度は合田が中村達に変わって、乳房を揉み出して「うぅ」と加代が声を出す。
「それでは、器具を入れて調べるから、少し痛いかも知れないから、解しますから我慢をして下さい」と最上が言う。
「は、はい」と小さく返事をする加代だが、意味がよく判っていない。
濃い陰毛をかき分ける最上の指先、横から松本が指にクリームを付けて、加代のクリトリスに塗り始める。
「あっ、うぅ」と声が出る加代に、合田の揉み上げる手の動きが速く成る。
少し濡れ始めている加代の陰部、黒い陰毛に露の様な物が見えて感じ始めているのが判る。
「解れて来た様だな、それでは入れますよ」男根の型をした物を、ゆっくりと挿入を始める最上。
「うぅ、うぅ」と声を出す加代に「痛く無いですか?」と尋ねる中村。
松本はクリトリスへ再び指を持って行って、クリームを塗り込むと「あっ、あっ」と声が大きく成って来る加代。
ブラブラしていた足先が、伸びて足袋の先に力が入り出す。
合田が乳房を揉むのを終わって富岡が交代をすると、ズボンを脱ぎ始める合田だ。
下半身は褌姿に成って、最上の後ろに行って「良いだろう」と言うと最上は張り型を抜き取る。
直ぐに合田が、場所を代わって自分のペニスを褌の脇から出して、加代の膣に挿入をする。
腰に力を入れて奥まで押し込むと「あっ、うぅ」と声が出る。
「うぅ、うぅ」と首を振り「あっ、あっ、あっ」と合田の動きに声をあげる加代。
合田が終わって、外に射精すると、金子が待っていましたと同じスタイルで挿入する。
「ああー、ああー」と加代は完全にペニスだと感じて、興奮で首を大きく振り髪を乱して仰け反る。
二人が終わると、加代は元の状態に戻って足に力が無くなって、股間が緩んだ状態で黒い陰毛に愛液が付着して、情事の名残を残していた。
「貴方方は私を騙して、強姦したのね」と急に言い出した加代に驚く最上達、考えて見れば四十歳の女が、ペニスが判らない筈が無いと「妊娠はしていない様だな」と最上は平気な顔で言った。
富岡が目隠しを外すと、加代は急に明るく成って見えにくいのか目を何度も瞬きさせた。
「感じていただろう?」と言う合田に「卑怯者!」と詰る加代。
「自分の立場が判っていない様だな、もう少し虐めてやれ」と言う合田。
「いやー、帰して」と言う加代の股間に再び異物が挿入される。
「今度の物は美味しいぞ」と笑う合田に「何、いやー、やめて」と声が大きく成る。
「もう判ったか?痒いだろう?」と最上が笑いながら手を動かす。
「いやー、許して」と頭を大きく振って動かす加代。
「美味しいだろう?男の物が嫌いの様だから、山芋さんを食べさせてやったのだよ」と合田が、加代の乳首を摘んで引っ張る。
「いやー、痒いー助けて」加代は狂った様に首を振って訴える。
陰部はむず痒く、気持ちが良いのか悪いのか判らないが、痒みは増幅していた。
壊れる
25-011
「もう、許して」と叫ぶ加代に「許して下さいだろう?」と股間の物に力を入れる最上。
「うぅ、ゆ。る。して下さい」と言う加代の顔は汗に塗れて、髪は乱れて陰毛は芋の液と愛液に塗れてねばねば状態に成っていた。
「認めれば許してやろう」と合田が言うと「何を!ですか?」と苦しそうに言う。
「赤だと認めれば、それとも丸田の女と認めるか?」合田が強く顔の側で言う。
「いやーー」と叫ぶ加代。
「今度は趣向を変えて、これは?」と最上は陰毛をかき分け始める。
「いやー、何、何なの?」と驚く加代の陰部に洗濯ばさみで大陰唇を摘む。
「痛い-」と大きな声を出すと二個目が再び摘む「痛い-――」三個目、四個目と次々と肉を摘む。
六個の木の洗濯ばさみが黒い茂みに隠れた様に見えている。
それぞれのはさみに細い糸が付いているので、それを纏めて引っ張ると、右の方に陰部が広がってピンクの肉片が見える。
「痛い-」と叫ぶ加代、容赦なく左の糸も引っ張って広げると、先程の芋の残骸がピンクの肉片に纏わり付いて、垂れて床に流れ落ちている。
「いやー、痛いー許して、痒いの」と大きく頭を振って痛がる。
「かいてあげよう」と細い棒の様な物を中に挿入している。
棒にはギザギザが付いているので、動かすと刺激がもの凄いのだ。
「いやー、ああー、だめー」と大きな声を出して身体を動かそうとする。
「痒いのだろう?」と弄ぶ最上軍医だ。
ズボンを履き終わった合田が「早く認めないと、次は木馬に乗って貰うぞ」と指を指す。
加代が指を指す方向を見ると、木製の木馬が近くに転がされてやって来た。
木馬が何を意味するのか判らない加代だが、今責めを受けているよりも激しい事は判る。
「ああー、ううー」と激しく棒を動かされて仰け反りながら、声をあげる。
最上が棒を抜き取ると「ふー」と大きな溜息を吐く加代。
「折角だから、乗せてやれ」と合田が言うと、手足のベルトを緩める看護婦達だ。
疲れた様子の加代の身体を富岡が抱き起こすと、四人が手足を抱えあげる。
「いやー、許して」と騒ぐが容赦なく木馬に連れて行く。
木馬の背に跨がらせるが、中央が丁度加代の陰部に当たって、クリトリスから膣、肛門に満遍なく木馬の背がフィットする様に造られている。
両手を木馬の首に抱き着いた様に固定されて、動け無く成って自身の身体が完全に木馬の上に乗ると、重量で大きな刺激が陰部に加わる。
「うぅ、痛い!」と言うと腰を浮かそうと力を入れる加代だ。
すると、足首に小さな砂袋をベルトで巻き付ける二人の看護婦。
「いやー、辞めて、壊れる」と叫び出す加代。
手をゆっくりと離す二人、浮かした腰が自然と木馬の背に沈んでいく。
「痛いーー」と叫ぶ加代の陰部に完全に突起物が当たって、痛みが伴っている。
本来の木馬責めは股間から血しぶきが出る程の角度が有るが、この拷問室では女性を虐める事が目的なので、使えない様には絶対にしない。
だが加代は判らないので、股間が裂けてしまいそうな刺激を感じていた。
すると目の前にもう一つ同じ形の木馬が、富岡の手で運ばれて来た。
「先生、その木馬に飽きたら、あれに乗り換えますか?」と指を指す合田。
痛みに慣れて来た加代が見たその木馬の背には、大きな男の張り型が付けられていて、木馬が動くとその張り型が、上下に動いているのが見える。
「どうです、乗り換えたいでしょう?」と合田は嬉しそうだ。
「いやー、いやーよ」と叫ぶ加代。
「自白したら助かりますよ、自分は丸田支店長の女で、共産主義者の同士だとね」そう言って、加代の乱れた髪を掴んで引っ張ると益々乱れて、綺麗に結い上がっていた髪の面影も無く成ってしまった。
「何とか、言わないのか!」と言うと鬼の様な眼差しで睨み付ける加代。
痛かった股間には、慣れと刺激が伝わっていたので、余裕が生まれていたのだが、ここの人間はその事実を知っていた。
「おい、乗り換えたいらしいぞ」と合田が言うと、木馬を近くに押して来る富岡。
近くで見る張り型は大きく、目の当たりに見た加代が「い、いやー壊れる、許して」と叫ぶが、既に足首の砂袋は外されて、両手の固定も解かれて身体を持ち上げられていた。
「さあさあ、先生、こちらのお馬さんは、動くから楽しいわよ」と松本が足を持って乗せる。
張り型は、馬の背から下に沈んでいるのだが、加代は「いやー、いやー、壊れる」と必死に動く。
抱えて跨がらせて、両手を同じ様に固定されると、今度は木馬の横腹に膝を固定する。
腰が動かない様に固定されて、膣に張り型が入っても身体を動かして抜く事が出来ない様に成っていた。
「許してーー」と加代は合田の顔を見て懇願する。
「認めれば、楽に成れるぞ」と笑う。
「。。。。。。」加代も認めればもっと残虐な責めに成ると思うと、迂闊に返事が出来ない。
「そうか、動かせ」と言うと「いやーー」と叫ぶが、股間には何も挿入された感じは無い。
木馬は一段高い場所に登って止まる。
丁度馬を繋いで置く様な場所に入ると、松本が横の踏み台を上がってきて、加代の顔の横に来た。
手には日本手拭いを中央で結んで持っている。
「口を開きな!」と恐い口調で言う松本を睨み付ける加代。
「バシー」と平手打ちが加代の頬に炸裂して、加代の頬が赤く成る。
突然の衝撃に恐怖の顔に変わった加代に「逆らうと、綺麗な顔に傷が付くよ、責め具はいくらでも有るのだよ」と言われて、口を小さく開くと「大きく開くのだ」と開いた口に日本手拭いが押し込められて「うぅ」と頭を仰け反らせる加代。
木馬の下から、張り型の先が挿入されたのだ。
声が消えると同時の出来事に、苦痛の表情に成る加代だが、手拭いを乱れた髪の後ろに強く縛ると「何処まで頑張るの?諦めた方が良いよ」と肩を叩いて踏み台を降りる松本。
松本が降りると、木馬が動き出す。
張り型が加代の膣に、ぐさりと突き刺さる痛みが、加代の身体を仰け反らせて「ぎやー」と叫んでいる。
木馬が動くと上下を始めて、深く、浅く成るのだが、最初の深くで、加代はもう絶えられなく成ってしまった。
木馬を止める合田は加代の顔の処に行って「認めるか?」と言うと虚ろな眼差しで頷く加代に変わっていた。
もう、抵抗も出来ない状況に追い込まれていた。
加代はこの人達は、私のあそこが壊れても止める事は無いのだと観念をした。
企み
25-012
「そうか、認めたか、疲れたな」と急に優しく成る合田。
加代の股間にはまだ張り型が刺さった状態で、虚ろな目の加代に「お風呂に入れて、綺麗に洗ってやれ」と看護婦達に言う合田は満足そうだ。
その時、木馬を少し動かしたので「ぎゃー」と仰け反る加代は、木馬の鬣に倒れ込んだ。
しばらくして、お風呂で全身を三人の女に隅から隅まで洗われても、放心状態で身を任せている加代だった。
風呂を出ると、今度は化粧をして髪の乱れも直して浴衣を着せる三人の看護婦達に、ようやく我を取り戻した加代が「何故?死ぬから?」と尋ねると「そうね、死ぬのかも知れないわね」と中村が言うと「好きな男に会わせるからだよ」と松本が言う。
汚れた足袋は素足に変わり、下駄が用意されて「行きましょうか?」と土佐が案内をして、部屋を出て行く。
相変わらず、地下からの出口には憲兵が二人陣取って、監視をしている。
下駄の音が、長い通路でカタカタと響いて、祇園のお茶屋の路地を歩いている気分を思い出す加代。
若い頃京都の祇園に数年住んでいた加代、舞子とか芸者の姿を見て育った大正の始めを思い出していた。
もうすぐ殺されるかも知れない恐怖は、脳裏に若い頃の風情を感じていた。
だが、突然その思いは断ち切られた。
その部屋の空気が現実に戻した。
「私は無実だ!」と叫ぶズボン姿で、上半身はワイシャツが汚れている男が天井から吊されている。
「五月蠅い、反逆者が何を言うか!」と憲兵が鬼の形相で言う。
「ビシー」と鞭の音がその大きな扉の向こうから聞こえる。
青ざめる加代「連れて参りました」と土佐が番兵に告げると「ご苦労」と言うともう一人の男が中に入って、異なる男が扉の向こうから出て来て「入れ」と加代の手を掴む。
部屋の奥に吊されているのは、あの丸田支店長だ。
個展で挨拶をしていた面影は全く無い。
「おお、綺麗に成ったな」とあの合田が優しそうな顔で加代を見る。
奥の広間に、宙づりにされて服はぼろぼろで、眼鏡が無いので一瞬誰か判らない加代だったが「あっ」と余りの姿に絶句した。
「そうだ、丸田だよ、中々認めないのだ」と優しく言う合田だが、丸田には「おい、貴様!ここに来たのは誰だか判るな」と丸田支店長に告げる合田。
項垂れた顔をあげて加代を見て「あっ、先生」と口走る丸田に「先生はお前との関係を認めたぞ、貴様も認めて楽に成れ」と言うと「そんな、先生!認めたら殺されますよ、私達は何もしていませんよね」と訴える。
「先生、あの男に教えてやれ」と加代に強要をする合田。
「。。。。。。」無言の加代に「また、楽しみたいのか?」と微笑む合田は、加代の浴衣の下半身を触る。
「支店長さん、もう隠し事は出来ませんわ、自白して楽に成って下さい」と言った加代。
「支店長の愛人が認めているのだから、諦めて自白してゆっくりしたらどうだ!」と言う合田。
「先生、そんな事を認めると反逆罪で殺されますよ、最後まで頑張らないと」と叫ぶ。
「何、その言葉は同士に対する強要だな」合田が決め付けた様に言う。
「何とでも思って下さい」と叫ぶ丸田支店長。
「町村曹長、今の言葉は反逆者を認めた言葉だな」
「はい、その様です、確かに認めました」と町村が断言する。
「よし、殺せ!反逆者は死刑だ!」と合田が叫ぶと、丸田支店長の近くに居た憲兵が剣を抜くと「反逆者!死ね」と剣を下から胸に突き刺した。
「うううーわー」と大きな声と同時に血しぶきが、合田の直ぐ近くまで飛んで来た。
「どうだ、反逆者の最後だ!」と加代に言うと同時に加代はその場で失神をしてしまった。
「気を失ったか?連れて行け、後で行く」と合田が言うと、その場を出て行った。
「金子頭取、後は頼んだぞ」と告げると部屋を出て行く。
「はい、丸田支店長は反逆者で処理致します」と言うと基地を後にした。
しばらくして、布団の中で気が付いた加代に「気が付いたか?」と尋ねる合田。
「ここは?」不思議そうに言う加代。
「天国だと思うがな」と髭を加代の顔に押しつける。
自分が全裸で布団の中に居る事に気が付くと「な、何を」と驚く加代に「今更、驚く事はないだろう」と抱き寄せる合田。
「い、いゃ」と言うが既に身体が乗りかかっている。
「接吻だ」と髭が加代の顔を覆うと「死にたくないだろう、私の言う事を聞けば悪い様にはしない、丸田は死んだがお前は無実にしてやろう」そう言うと加代の口に煙草の匂いの強い舌をねじ込んできた。
舌を絡ませて唇に吸い付くと今度は乳房に吸い付く合田の唇。
半ば諦めた加代は、合田を受け入れてしまった。
時間を要して、舐めて吸って、揉み上げられて次第に感じる加代の、股間に合田の太い指がクリトリスを弄る。
「あっ、あぅ」と声が出始める加代「足を開け」と言われて大きく左右に開くと合田の大きな体が入って、足首を持たれて更に一杯に開くと、ペニスを挿入して「あっ、あっ」と声が出る。
「良いか?」
「ああ-、ああ-」腰の動きに声が大きく成る加代。
先日まで、長期間男性との交わりの無かった身体に火が付いてしまった加代。
合田も普通の男では無いから、中々終わらない。
体位を変えて、次々と加代の身体を弄ぶ様にして、最後は疲れ果てて終わった。
「おい、飲み物を持って来い」と扉を開けて大きな声で呼ぶ。
少しして美青年が「お待たせしました」とビールとグラスを二つ持参した。
「紹介しておこう、青柳龍二等兵だ、この先生は今後君と綿密に連絡を取って、任務に当たる工藤加代先生だ」と言われて「青柳二等兵で有ります、よろしくお願いします」と敬礼をして出て行った。
何の話か全く判らない加代に「あの男は私の甥っ子でな、美男子だろう?」と言う。
「はい」と答えた加代だが、不思議に思う。
「実は先生の生徒の、神崎幸に惚れてしまって、困っているのだよ」と微笑む。
「えー、あの神崎さんの娘さんですか?」と驚く。
「そうだ、そこで先生に人肌脱いで貰って彼と一度だけ会わせてやって欲しいのだよ」と言いながらグラスにビールを注ぐ合田。
合田は加代の罪を帳消しにするから、手伝って欲しいと加代に段取りを話し出した。
それは、神崎幸の金賞受賞パーティと工藤加代の個展の成功を祝ったパーティを、迷惑をかけた丸菱銀行の主催で行うと云う企画に成っていた。
一度会わせて想いを、遂げさせて欲しいと云う事で、加代には何も迷惑は起こらないと断言をしたのだ。
加代は、何処で神崎の娘さんに会ったのだろう?の疑問を多少は持っていた。
狙われた幸
25-013
翌日合田の部下の飛田少尉の車で、送られた加代に「あの丸田支店長は、反逆者だったと、今朝の朝刊に出ていますよ」と新聞を差し出す。
記事を食い入る様に見る加代は、自分の事が何処かに書いてないか必死で探したが何処にも掲載が無いので安心したが、自分は軍隊の人間に強姦されたのか?助けられたのか?理解が出来ない状況に成っていた。
あの時逆らえば、確実に殺されていただろう?本当に丸田支店長は反逆者だったのか?の疑問が残って教室に戻ると、須藤と渡辺の二人が来ていて、大変な事でしたね、あの支店長が反逆者だったなんて!と二人が揃って加代の心配をした。
昨日の服装の状態で髪が多少乱れているだけなので、安心の表情に成っていた。
金子に強姦されたとは思ってもいない加代、その金子が帰ってしばらくして、新しい支店長を伴ってお詫びのお金を持参した。
「誠に申し訳ない事で、ご迷惑をお掛け致しました。五千円持参致しましたお許し下さい」と五千円を包みに入れて差し出した。
当時の行員の初任給が七十円前後の時に破格の礼金に成っていた。
金子は加代の身体を舐める様に見て、あの裸体を思い出していた。
新しい支店長は新堂だと挨拶をしてから、合田から依頼が有ったパーティの段取りを話し始めた。
神崎の家が娘を出席させても良いと思う様な、格式の有る場所が既に金子によって吟味されていた。
国賓でも招く時に使う、旧財閥の別邸を借り切っての企画に,加代も須藤達も仰天の表情に成る。
「これもお詫びの一環です、この場所なら神崎家も家族揃ってでも起こしに成るでしょう」と嬉しそうに説明をする金子だった。
この様に、計画は着々と進められていた。
加代は軍隊で起こった出来事は封印して、誰にも話さない。
合田さえ喋らなければ、世間に知られる事は絶対にないし、合田も喋る事は無いだろうと思った。
数日後神崎の自宅に行った工藤加代は、個展の成功と金賞受賞パーティを、迷惑をかけたお詫びに丸菱銀行が、旧財閥の別邸で行うので参加して欲しいと切りだした。
幸は自分が主役なので行きたいと即座に答えたが、華は遠慮すると辞退をしてしまった。
華には何故?妹に金賞でパーティの誘いに自分が行く必要は無いと決めていた。
ライバル心が根底に有るから尚更だった。
母親の麻に相談に向かう幸、しばらくして戻ると「先生、お母さんも一緒なら大丈夫です」と答えて加代は母親が一緒でも構わないから、連れ出して欲しいと頼まれていたので即答で承諾をした。
もうすぐ十九歳に成る幸は、姉より自分が上に成れたとの喜びに胸が躍っていた。
翌日、早速合田に連絡をする加代は、一応役目を果たして安堵の気分に成っていた。
これで何事も無く過ごせる筈が、更なる事件に巻き込まれるとはこの時知る筈も無い加代だった。
パーティの日が決まって、一応自分の書と金賞、銀賞の作品と各自の作品数点を展示して労を労う場所に成る段取りが進んだ。
パーティの出席者は銀行関係、商工、軍人、工藤の弟子達と多くの参加者に膨れあがっていた。
特に近郊の有名な会社の経営者、大きな商店の店主、軍人も合田の基地の人間ではないお歴々が参加に成っていたのだ。
名簿を見せられて、加代は先日の個展の時に来られた方ではない格式の高い参加者に驚いたのだ。
「新堂支店長、凄い参加者ですね」と名簿を見て驚く加代に「先日の罪滅ぼしですよ、有名な方を丸菱が総力を挙げて集めました、今後の先生のご活躍が見える様です」と持ち上げた。
だが、裏では青柳が幸に近づき易くする為に呼んだ作戦だった。
両親が付いて来ても、挨拶で殆ど娘に目が届かなく成って、青柳との密会を成功させる為の策謀だった。
その様な事を全く知らない加代は、来客の話を神崎の自宅に行った時に喋ってしまった。
麻は、その様な場所なら夫婦で行かなければ,私だけでは格落ちに成ると弥太郎に直ぐに伝えた。
当然弥太郎は知り合いに電話で尋ねると、自分も参加するのです!に変わってしまう。
結局、両親と幸が参加で、榊そめはその様な場所には参加させて貰えない事に成った。
嬉しそうに金子が「上手く行きました、両親と娘一人の参加に成りました。予定通りです」と言うと「後は青柳の腕次第だな」と電話口で笑った。
青柳は飛田の遊び相手で、美少年だが女には全く興味がない。
強い男が兎に角好きなので、合田に近づいたが合田は女が好きで、男は興味が無いが、自分の可愛がっている少尉の飛田が両刀使いで、青柳を可愛がって月に何度かは交渉を持つ関係だった。
誰が見ても可愛い美少年で、男でも好きに成りそうな青年だ。
その青柳に目を付けたのが合田だった。
青柳は軍隊に入る前は、女性に声をかけられる事も屡々で、その状況を逃げるのが目的で軍隊に入ったのだ。
勿論強い男が好きな事が最大の条件だった。
「今回はお前に任務を与える、敵国の女スパイを籠絡するのが青柳の使命だ、見事成功すれば二階級特進だ」と合田と飛田に言われて、張り切っていたのだ。
先日の個展の写真を見せて、この女をお前の虜にするのが今回の任務だと教え込んでいた。
二人の上官に頼まれた青柳は「女性なら、年齢は関係無く、落とせます」と豪語した。
但し、指一本触れてはいけないと、強く念を押す合田に「私は、どの様な美人でも興味は有りません、私は合田大佐の様な強い方が好きです」と言った。
すると合田は「男は勘弁してくれ、飛田に悪いからな」と笑って逃げたのだ。
加代は合田の甥っ子青柳の恋の為に、力を貸したと思っている。
気になる美男子
25-014
しばらくしてパーティの当日、ドレスに身を包んだ幸と両親がパーティ会場にやって来た。
司会者が工藤加代を褒め称える挨拶をして、工藤加代もこの催しの開催に沢山の著名人の参加を頂いた事に感謝の言葉を述べる。
今が有頂天の加代に成っていた。
次に金賞と銀賞の神崎幸と里見常雄が紹介をされたが、殆どの男性の目は幸の姿に釘付けに成っていた。
勿論合田も「この前より綺麗に成ったな」と金子に耳うちをする程だ。
紹介が終わって、各自がテーブルを廻っての挨拶回りが始まった。
予め金子の根回しで、神崎夫婦に挨拶の人が殺到する。
初めは側に居た幸だが、挨拶の人全員が「お美しいお嬢様で、習字も金賞を獲得されて。。。。」と同じ言葉の連続で飽きていた。
勧められる飲み物を何杯か飲んだ幸は、尿意を感じ始めて「お母さん、お手洗いに行くわ」と言ったが殆ど聞いていない麻だ。
飲み物に尿意を促進する薬が混入されていて、効果を表したのだ。
会場の横に在る便所に駆け込む幸を、待ち構えていたのが青柳龍だ。
便所を出て来る幸に、ぶつかる青柳「すみません」と言って顔を見た幸が美男子と心で口走ったのが聞こえる青柳。
幸が手に持っていたハンカチを落として、それを拾って手渡す時に「お嬢さん、すみません」と言葉を出す。
「お美しい」と言いながらさりげなく手を握ってしまう青柳。
「どちらのお嬢様でしょうか?私は陸軍大佐の甥っ子で青柳龍と申します、お目にかかれて光栄です」
「私は。。。」と言いかけるのを遮って「お名前を聞いてしまうと探してしまいそうです、急ぎますので」と言うと青柳はその場を去ってしまった。
美男美女の出会いはこうして、切っ掛けを作った。
会場を後にする青柳の後ろ姿を見送る幸の心に、大きく青柳の姿が残ってしまった。
会場の外で待つ飛田少尉に「上手く終わりました、後は段取りを大佐に話して有ります」と言うと車で基地に戻ってしまった。
若い男性に手を握られた事がない幸の心に、鎋の様に青柳は入り込んでいた。
その後挨拶に来た合田が握手を求めたが、手を出さないでハンカチを握り締めて「ありがとうございます」と微笑んだだけだった。
それを見た合田は青柳が成功したと感じていた。
先日「彼女が便所から戻ると、握手を求めて下さい、もし拒否をしたら成功です、大佐以外にも何人か握手を求めて下さい、判りますから」と話していたのだ。
「上手くやった様だ」
「後は会わなくても手紙で、尾引寄せられるらしい」と金子に話す合田。
「あの馬鹿夫婦の泣く顔が見たいですね」と微笑む金子。
「財閥クラスには成れない、地方の小者だ、親父は恐い男だったがあの男は小者だ、だが娘は一級品だ」と恐ろしい会話で会場は時間まで盛り上がった。
翌日「青柳龍、青柳龍」と念仏の様に言い出した幸に、乳母の榊が「何方ですか?青柳龍って?」と独り言に反応をして尋ねる。
「えー、私そんな事を言っていましたか?」と驚いた様に言う。
「はい、先程から同じ言葉が続いていますよ、パーティから幸お嬢様は変でございますわ」と榊そめが言うと「ばあや、内緒よ、パーティで素敵な人に会ったのよ」と小声で話す幸。
「その方が青柳龍様ですか?好きに成られても、お父様のお眼鏡に合わなければ無理でございますよ、それにお姉様を差し置いて、幸様が先に殿方と。。。。。..無理でございます」と大きく首を振って否定するそめだ。
翌日書道を教えに来た加代が、授業の終わりに「これをお預かり致しました」と誰にも見られない様にして、お読み下さいと手渡した。
何をくれたの?手紙の様だけれど、先生も変な事をするのね、お父様に見つかったら即刻首だわ!と考えながら自分の部屋で手紙を読み始めて、幸の顔が真っ赤に変わっていった。
もう興奮で何度も何度も読み返す手紙は、青柳龍から自分への恋心を綴った物だった。
貴女の事が忘れられず探しては行けないと思いながらも、工藤先生に尋ねてしまいました。
神崎幸さんの事が忘れられません、当分はお手紙に成ると思いますが、もし返事を頂けるのなら、工藤先生にお預け下さいと書いて、夢の様な出会いの僕のお姫様幸殿と書いていた。
「幸様、お食事の時間でございます」とそめが部屋に呼びに来るまで何度も何度も読んでいた幸だ。
「ばあや、今度先生はいついらっしゃるの?」今日帰った加代の来る日を尋ねる。
「工藤先生は、来週の木曜日で御座います、お忘れですか?」
「木曜日か、、すると金曜日?」と独り言を言う幸だ。
もう幸の心は完全に青柳の事で一杯に成っている。
毎日の様に榊に「工藤先生はいつ?」と尋ねるので、何かが有るのでは?と感じる榊は翌日一人で、工藤の教室を訪ねて子細を聞こうとした。
誤魔化した加代は早速合田に連絡をして、榊の事を教えた。
合田は金子に連絡をして、榊を幸から遠ざける手立てを考えさせた。
金子は神崎の家庭の調査を、細かく行っていたので、榊の実家が直ぐに知る事が出来、人を使って何か引き離す方法は無いかと考え始めた。
時間は充分に有るから、万全の作戦で幸の誘拐をしなければ相手は大店の娘だから、簡単には誘拐は出来ないと考えていた。
木曜日に待ち焦がれた工藤がやって来ると、榊が絶えず見張っていて中々機会が訪れない。
幸は「ばあや、お茶が飲みたい」と急に言い出して遠ざける。
華は自分の部屋で書を書いているので、中々ここには来ないと思って、榊が部屋を出ると同時に手紙を手渡す幸。
榊は直ぐにお茶を持って戻って来るので、驚き顔の幸だ。
榊はこの様な場合を考えて準備をしていたのだ。
もう少し渡すのが遅かったら、機会を失っていたと胸を撫で下ろす幸だった。
加代は何事も無かった様に、華の書も教えて帰って行った。
翌日「これが手紙です」と合田に渡す加代。
「先生、上手に出来たな、ありがとう甥っ子も喜ぶ」と言う合田。
「ありがとうございます、もうすぐ私の役目は終わりですね」と解放される喜びを表す加代。
「今度は恋文の手ほどきをして貰うよ、それで終わりだ」と合田が笑った。
加代自身も神崎の家を良くは思っていなかったので、引き受けていたのかも知れなかった。
怖いお茶
25-015
先生とは呼ぶが、お高くとまって呼びつけて書道を教えさせる傲慢な態度が嫌いだったが、最初は仕事だと割り切って働いていたが、麻の態度は見下した様な言葉に良い気分では無かった。
合田の手伝いで甥っ子の応援は嫌だったが、麻の悔しがる顔を見るのも悪くは無いと考える様に成っていた。
姉の華なら断っていただろ、華も華のばあやも最初に教えに行った時から「我が儘ですみません、本当は教室に行かなければ成りませんのに」と労ってくれたから良い印象を持っていた。
幸は子供だったので、母親の麻と同じ様な態度で加代に接していたので、良い印象には成っていなかったのだ。
手紙を手わたれた青柳は合田に「もういつでも良いですよ、準備が整えば成功すると思います」と手紙を読み終えると伝えた。
合田は金子に連絡をして、準備が整ったと言うと「榊そめを、遠ざけますのでお待ち下さい」と金子が言うと「俺は、そんなに待てないぞ」と笑った。
榊そめは四国の高知の農家の生まれ、両親は八十八歳を超えて高齢だ。
今回不思議と地元の銀行が、長寿のお祝いを行ってくれると云って来て「長生きはするものだな、銀行さんが家族全員を集めて、道後温泉で米寿のお祝いをしてくれる」と榊そめに道後に来て欲しいと手紙を送ってきたのは、金子が合田に話した一週間後だった。
手紙を受け取った榊そめは、麻の許可を貰って半月後の温泉旅行を楽しみにしていた。
幸は十九歳の誕生日を迎えて、来月は華の二十一歳の誕生日に成る。
麻は「おめでたい事が続くわね」と喜んで「華にも良いお婿さんを捜さないと駄目ね」と二人の娘の前で言うと幸が「私は、お母様まだ探して貰わなくても宜しいですから」と微笑む。
麻には幸に好きな男性が居るとは思ってもいないが、榊はその言葉に不安を感じていた。
習字の工藤先生が来る事を心待ちにしているのと、時々青柳龍と譫言の様に言うから、心を寄せている殿方だと思っていた。
両親に告げ口すると、自分が嫌われると思う榊は中々言い出せない。
ただ、監視だけは怠らない様にしなければ駄目だと、気を引き締めて幸を見て居る。
今日も習字の日で工藤が来て「今日はお手紙の書き方を、教えましょう」と言うと幸の部屋に籠もってしまう。
様子を伺いにお茶を二度程持って行くが、何をしているのか?と詳しい内容まで判らない。
すると工藤が帰ると幸が「これは、ばあやへのお手紙よ、後で呼んでね」と渡す。
その後、感激の余り涙を流して読み始める榊は、自分が幸の事を疑っていた事を悔いていた。
だが、これは加代の作戦で、合田に頼まれた青柳宛の手紙を誤魔化す為の作戦だった。
華も児玉たみへの感謝の手紙を書いて、褒められて満足をしていた。
工藤加代は幸の書いた青柳に対する想いの手紙を、合田に手渡して、反対に青柳の手紙を加代に預けて「この手紙は、今月末の教習で渡す様に」と言われて預かった。
手紙には榊そめが道後温泉に行く日に合わせて、青柳が呼び出す手紙に成っていた。
内容は全く知らない加代、青柳と幸の恋愛のお手伝いだと思っている程度。
合田の甥っ子だと信じ切っている加代なのだ。
その手紙には、青柳龍は広島の基地に転属してしまうので最後に会いたい。
車で迎えに行くので、人目に付かない様に自宅を抜け出して欲しい内容が書かれているのだ。
自宅から数百メートル離れた土手に、軍の車を止めているので走って来て欲しい。
長時間停車していると怪しまれるから、時間を書き記していた。
工藤加代は神崎家が軍人と娘を結婚させる筈はないと、この役目を請け負った時からその様に思っていた。
月末に成って手紙を手渡す加代、待ちに待った手紙に小躍りしながら部屋に持って入った。
加代が帰ってから、読み終わった幸の顔色が大きく変わって、不安一色に成ってしまう。
合田大佐の甥っ子なのに、転属させられるのか?ようやく手紙の交換で意志の疎通が出来て,自分の想いと青柳の思いがひとつに成ったと、喜んでいた矢先の別れに幸の心は大きく揺れた。
諦め切れない想いは、当然手紙の誘いに乗って会いに行く事だ。
彼が車で近くまで来てくれるから、一目会って話しがしたい。
この日を逃すと二度と会えないと思う様に成って来る幸だ。
その幸の気持ちを知る筈も無く、榊そめは既に列車の中で、一路四国の道後温泉を目指していた。
久々に会う年老いた両親、米寿の祝いを子供、孫、玄孫を集めての盛大な祝宴。
高知の銀行さんのご厚意だとは云え、大変な出費だと列車の中で始めて考えていた。
だが、その思いも懐かしい人々に会える喜びに変わって、忘れ去ったそめだった。
十日間の休みを貰って、のんびりと道後温泉に向かっていた。
翌日の夕方約束の時間が迫ると、幸は何を着ていこうかと悩みに悩んで、結局青柳に見て貰う為に、最新の洋服を選んで純白のワンピースを着て行こうと考える。
近くに出るのにも気を使う幸、自ずと抜き足差し足状態に成って、自分の部屋から台所を抜けて、お勝手口に向かう。
絶対に幸が使う事がない通路を、走って土手に向かって一目散に走って行く。
その姿を買い物帰りの児玉たみが見て、よく似ているお嬢様?と華を連想して、まさか華お嬢様が勢いよく走られるとは思わない。
自宅に戻ると華の部屋に伺うと、読書の最中で「たみ、どうしたの?」と怪訝な顔で言った。
下のお嬢様かしら?とは思ったがそれ以上は詮索をしない。
たみとそめもライバル意識が高かったのだ。
特に先日の書道の金賞受賞から、その関係は大きく成っていた。
息を切らして、土手に上がるとジープが見えると「青柳さんだ!」ともう一息と走って到着した。
息を切らせる幸に「疲れたでしょう、冷たいお茶です」と容器を差し出す青柳に「ふー、ありがとうございます」と受け取ると飲み始める幸。
流し込まれる姿を見て、ニヤリとする青柳を幸は気づいていない。
合田と金子の罠に落ちてしまった幸は、青柳に会えた喜びに興奮していた。
羞恥心
25-016
飲み終わると「ここは危険だ、少し離れた公園に行きましょう」と車を動かし始める青柳。
「お会いしたかったです」と言う青柳。
「私もです」と言いながらハンカチで汗を拭く幸。
「広島に変わられるのですね」と不安な様子で尋ねる。
「はい、急な事なのですが、今叔父さんに事情を話して、日延べをして貰おうかと思っています」と少し安心をさせる事を言う。
「えー、本当ですか?」と嬉しそうに成る。
「はい、僕は幸さんを置いて行けません」と喜ばせる青柳。
「ほ。。。。」急に顔色を変える幸。
「どうされました?」幸の急変に心配そうに聞く青柳。
「お、なかが、、い」とお腹を押さえる幸。
「えー、走られたからでしょう?少し休めば治りますよ」
「は、、、い、、たー」と大きく身体を屈めて、お腹を押さえる幸。
車は基地に向かって走って「大丈夫ですか?」と心配そうに言い始める。
「。。。。。」額には汗が噴き出て、痛みに耐えているのが判る。
基地に近づいて「治りませんか?基地の医者に診て貰いましょうか?」と尋ねると「お、ねがいし。。」と苦しそうだ。
基地の医務室では「もうそろそろ、連れて来る頃だな」と白衣にマスク姿に変装した合田が待ちかねていた。
「そうですね、時間からすれば今が一番、痛い時ですね」と最上が時計を見て言う。
「あの女も、利用されているとも知らずに、手紙を届けてくれた」
「金子さんの悪知恵は最高だな」と喜んでいると、その金子が「間に合った」と飛び込んで来た。
「男が四人は変ですね」と金子が自分達を見て言う。
「そうだな、合田さんと金子さんは、最初は隠れていて下さい」と最上が決めて、幸を迎え入れる準備が終わる。
「もう少しで到着します、頑張って下さい」と元気づける。
「はい」と言うその顔は苦痛に歪んでいる。
基地の前には既に憲兵が担架を持って待っている。
冷静に考えれば直ぐに判るのだが、腹痛の幸には判らない。
連絡もしていないのに、担架を持って待っている筈がないのだが、車が到着すると憲兵が腕に医者の腕章を付けて担架を広げて、車から幸の身体を担架に乗せる。
包み込まれる様な担架なので、他の兵士には誰が乗せられているのか判別が出来ない。
「急患です、入ります」と門兵に告げるとすんなりと通過して、基地の中に入っていった。
「医療室に、急いで運んでくれ」
「はい」と予めの打ち合わせの通りに、担架は医務室に向かう。
「大丈夫ですか?と担架の中の幸に声をかける青柳。
「はい、少し和らぎました」と答える幸に「急性盲腸炎かも知れませんね」と教える青柳。
「盲腸?」とか細い声で聞き返す幸に「ここなら、手術の設備も有るから安心ですよ」と言い切る。
「手術?盲腸?」と独り言の様に呟く幸。
幸の友人でも盲腸に成った人が居て、急にお腹が痛く成って手術を受けたと記憶していた。
「お腹を切るの?」と不安そうに尋ねる幸はお腹の痛みが和らいできたのだ。
「直ぐに終わるよ、簡単な手術だ、家には工藤先生から連絡してもらうよ」
「もし、盲腸ならお願いします」と話していると医務室に到着する。
「先生、急性盲腸炎の様です、お願いします」といきなり青柳が決め付けて、最上に伝えた。
「それは大変だ、直ぐに手術室に運びなさい、君はここで待つ様に、終わったら呼ぶのでな」と最上が目で、ご苦労さんと青柳に告げた。
「頑張って」と担架の中の幸に言う青柳は微笑んで、幸を見送った。
この後二度と青柳が幸の顔を見る事は無かったので有った。
女性専用拷問部屋の扉が再び開いて、最上が先頭に担架を運び込んで「急性盲腸炎の患者だ、緊急手術の用意をしてくれ」と大きな声で告げる。
「はい」と三人の看護婦が声を揃えて返事をしたが、用意は総て整っていて、獲物を手術台に乗せるだけだった。
担架が横の台に置かれると、純白のワンピースの幸が横たわって、お腹を押さえている。
「可愛いお嬢さんですね」と松本が言うと中村が「この年齢に急性盲腸炎は多いですね」と話を作る。
「痛くて、服が脱げないわね」と松本が言うと「手伝って、脱がせて手術台に乗せてくれ」と最上が白いマスクを着けながら言う。
「少し横に成れる?」と言いながら幸の身体を横に向ける。
背中の留め具を外して、ファスナーを降ろして、美しいワンピースを脱がせる準備をする。
「お腹、まだ痛いの?」と尋ねる松本に頷く幸。
「痛み止めの注射を、準備して」と土佐に告げる。
既に麻薬で作った媚薬の混入された薬と、痛みを和らげる薬が用意されている。
純白のワンピースの袖を脱がせると、上半身は同じく白のブラジャーにスリップが露出して、胸の色も白いので尚更清楚な雰囲気に成って見えるが、恥ずかしそうに手で胸を隠す仕草をする。
土佐が注射器を持って「松本さん、準備出来ました」と手渡した。
「取り敢えず痛み止めを、注射しましょう」中村が幸の腕を持って、松本がアルコールの脱脂綿で消毒をする。
直ぐに突き刺さる注射針、痛みに顔を横にする幸。
薬が幸の体内に注入されて一息着いた時,
腰までワンピースがおろされて靴を脱がされていた。
スリップの肩紐を外して、脱がそうとすると「恥ずかしい」と言い出す。
「痛みが無くなったのね」と言うと頷くが松本が「痛み止めで、和らいだのよ、直ぐに痛く成るわよ、今の痛みの無い時に早く準備をしましょう、立てる?」と尋ねると立ち上がる幸。
黒髪を後ろで束ねて、白いリボンで結んでいる。
総てを白で統一している様だ。
立ち上がると間髪を入れずに、ワンピースを足元まで一気に落とす中村。
「あっ」と言う間も無くスリップ姿にされてしまった幸は、胸を押さえるが「脱がないと手術が出来ないのよ、脱げる?」と言われて、手でスリップを胸で押さえていたのを離すと、中村が待っていたかの様に一気に下に降ろしてしまう。
流石に大店の娘だわ、良い下着を履いているわと、見て居る松本。
ブラジャーとズロース姿に成ってしまって、再び前を手で押さえて、座り込んでしまう幸だ。
「盲腸は何処に在るのか知っているの?」と中村が言うと頷く幸だが「何処よ、自分の指で押さえてみて」と言われてズロースの右上を押さえる。
「違うでしょう、ここよ」とズロースの右下を強く押す。
「痛い!」と声を出す幸に「ほら、痛み止めでも痛いでしょう?早く手術をしないと、腐るのよ!死ぬわよ!お相撲さんでも盲腸で死ぬのよ」と脅かす中村。
このいたぶりが、合田達には堪らない刺激に成っていた。
幸には見えない場所で、目を皿の様にして見守る合田と金子の下半身は膨張の一途だった。
幸の陰毛
25-017
「貴女、濃いわね、黒く成っているわね」と今度はズロースを見て土佐が言う。
「本当だわ、脇の下も濃いから当然ね」と中村が言うと「早くしなければ、痛み止めが切れるわ、綺麗にしなければ手術出来ないから時間がかかるわ、さあさあ、脱いで手術台に寝なさいよ」と土佐が急かす。
「あのー、ここを剃るのですか?」と尋ねる幸は恥ずかしさで一杯だ。
「当たり前でしょう、手術出来ないでしょう、知らないの?」
「聞いた事は有りますけれど。。。。。」と益々恥ずかしく成る幸。
反対に身体は火照って、暑く感じ始めていた。
麻薬から作られた媚薬が、処女の幸に効果が有るのか?それはこの場に居る全員が判らないのだ。
「何をしているのだ、早くしないと、また痛く成って化膿してしまうぞ」と最上が向こうから叫ぶ。
「ほら、先生も怒っていらっしゃるわよ、手術取り止めに成ったら、死ぬかもよ」と脅かされてズロースに手をかけて後ろを向く幸だが、そこからが進まない。
中村が背中から、手を廻して一気にズロースを足首まで、降ろしてしまった。
「あっ」としゃがみ込む幸に「これを使いなさい」と松本が大きな布を持って来る。
「これで身体を隠して、そのまま手術台に寝なさい」と手渡す。
「はい、ありがとうございます」と安心した様に受け取ると、身体を隠してゆっくりと手術台に滑り込んで、毛布を着て眠る様に横に成った幸だった。
「おい、乳バンドは外したか?」と最上に言われて、起き上がって布で隠しながら、ブラジャーを外して、側に居た中村に渡すと受け取ったと同時に、目で最上に合図をする中村。
「手術は麻酔をするから、痛く無いから安心してね」と中村が幸の顔の側で言うと頷くが「動くと危険だから、身体を固定するわね、無意識で動くと危険だからね」
「はい、お願いします、何分程で終わりますか?」
「準備から、終わる迄一時間程よ、寝て居る間に終わるわ」
「はい、お願いします」と再びお願いしますと言う幸、不安が表れていた。
布を足の方から捲りあげて、不安がらせない様に土佐が足を持って膝をベルトで固定する。
目を閉じて胸の処で手を組んでいるのが、布の膨らみで判る。
「腕を出して、麻酔の注射もしなければいけないからね」と言われて布から腕を出す。
「腕も固定するわよ、点滴するからね」と言われるので、両腕を固定されても安心をしている幸。
目を閉じて動かないが、両手は両横に広げられてベルトで手首が留められて、足は膝で固定されて動け無い状態にされてしまった。
幸は布を被っているので多少の安心が有るのだろうか?何も言わないで目を閉じて待っている。
「神崎さん、手術の為に陰毛を処理するわね、恥ずかしいけれど我慢してね」と松本が言うと「はい」と言うのと同時に手術台が上昇する。
首の下にカーテンを中村が持って来て、目を開けても幸から遮断されて、自分の身体が見えなく成った。
すると布を取り払う中村、直ぐに目を開く幸「あっ」と口走るが横で中村が「大丈夫よ、これから準備よ」と顔を覗き込んで微笑むと「眠っていて」と優しく額を撫でる。
その時、大きく足が開かれて目を見開く幸が「あっ!」と声をあげるが「大丈夫よ、安心して」と中村が言う。
下半身の処には、金子と合田が出て来て、丸見えに成った幸の綺麗な身体に目で話をする二人だ。
白い桃の様な乳房に、小さな乳首、身体は白くて綺麗でシミひとつ無い。
下腹部には濃い目の黒い陰毛が、無造作に生えて足を広げていても、ピンクの肉片は見えない。
勿論クリトリスも陰毛に隠れて、二人の変態には見る事が出来ない。
乳房を触りたい衝動を抑えている合田と金子の二人。
我慢が出来ない合田が思わず幸の陰毛を指で触ると「あっ」と再び目を見開く幸。
両足は膝から下は自由に動くので、力が入ってつま先が伸びて反応をしている。
鋏を合田に手渡して、切れば?と目で言う最上に「そ、う、か」と口を動かすと股間に身体を入れる合田。
鋏を右手に、左手で幸の陰毛を摘みあげて「ジョキ、ジョキ」と切り嬉しそうな顔をして、左手の陰毛を幸の白い腹の上に置く。
幸は手足に力を入れて、目を閉じて唇を噛んで我慢をしているが、媚薬の影響で身体が火照っている。
一度も触られた事が無い部分を次々と摘まれて、鋏で切られているのを感じる幸が急に目を開いて中村に「総て無くなるのですか?」と尋ねる。
盲腸の話を学生の時に聞いて、剃られた話を思い出しての質問に成っていた。
「そうよ、恥ずかしいけれど、貴女の場合多いからよ」と言うと「そうですか」と納得したのか再び目を閉じる。
陰毛は切られて短く成って、小陰唇、クリトリスが見えている。
合田が満足したのか幸の股間から出ると、松本がシャボンを泡立てた陶器の器を持って股間に入る。
土佐がお湯を入れた銅製洗面器を、幸の足の横に置いて中には木綿の布が入っている。
刷毛にシャボンを付けると、幸の下腹部の短く成った陰毛に塗る。
「あっ、な、何」と目を見開く幸に「お父さんも髭を剃る時にシャボンを付けるでしょう」と中村が言うが、刷毛がクリトリスから小陰唇を撫でると「あっ、あっ」と声を出して手と足に力が入る幸。
そこに、今度は湯で温めた布を押し当てられて「あつーい」と口走る。
すると中村が「もうすぐ、つるつるにして貰うのよ」と耳の側で言い出した。
媚薬の影響がもう身体中に広がって、幸は感度が良く成っているのを全員が感じていた。
しばらくして布を取り払うと、皮膚にべったりと陰毛が付いている。
そこに再び刷毛でシャボンを塗り始める松本、その動きに合わせて「あっ、あっ」と小さく口を開けて言うが、本人は意識していない様で自然に出ている様だ。
再び目を閉じている幸、刷毛はクリトリスを刺激する。
小陰唇から、肛門まで撫でるから「ああー、ああ」と大きな声に成って息が荒く成っていた。
何度も何度も感じる部分を刷毛で撫でられる幸はもう媚薬効果で我を忘れて、手を握り締めてつま先を伸ばして感じているのがよく判る。
「中々、感度が良い子だな」
「申し分ない」と小声で話す金子と合田だ。
早く犯したいが、まだまだ辱めて羞恥心で虐め抜いて、最後に強姦をしようと思う合田。
剃毛から浣腸へ
25-018
ようやく、刷毛を使うのを終わると、腹の上部から日本剃刀が剃り始める。
「ジョリ、ジョリ」と素早く剃りあげて、臍の上に紙を置いて、その上に剃りあげた陰毛を付けて、並べていく。
下腹部を剃られている時は、目を閉じていた幸が「あっ」と口走って目を開ける。
剃刀がクリトリスの廻りを剃り始めたから、感じたのだ。
「動かないで」と松本が左手に力を入れて、皮膚を押さえて伸ばす。
「どうしたの?」と幸の額の汗を拭く中村に「あっ、あっ」と嗚咽をあげて、クリトリスを触られているのが判る。
それを承知の上、いじくり廻す松本、剃刀の刃が時々触れるので、幸の刺激は半端では無かった。
「あぅ、うぅ」と声が大きく成るのは、今度は松本が小陰唇の廻りを剃刀で剃る為に指の先を膣口に少し入れるから尚更刺激が多い、そして皮を引っ張って剃刀で「ジョリ、ジョリ」と剃り始めるから堪らず「ああー、うぅ」と目を開けたり閉じたりを繰り返して反応をするが、身体は動かないのでつま先に力が入って伸びる。
手の平も、額も汗が滲み出て生まれて始めての感覚に、戸惑いながらも媚薬の影響で強く感じている。
土佐が足首に皮のベルトを巻いて、準備をしているが幸には全く判らない。
天井から垂れ下がった滑車の紐に、結び付けている。
剃刀は肛門の廻りの産毛も剃り始めて、肛門にも刺激を与えて様子を見ている松本。
「いゃー、やだー」と指で触られて我に返る幸だが、構わずに剃りあげて綺麗に成って、布で陰部全体を拭き取ると先程までの黒々とした幸の陰部が、童女の様な割れ目に成って剃り跡が幾分青く見えていた。
「終わったわよ」と中村が幸に呼びかけて「あっ、ありがとうございます」と小さな声で言った。
「先生の診察が有ります、盲腸の部分を確かめますので、痛い時は声を出して合図をして下さい」
「はい」松本が股間を離れて、最上が股間に陣取ると「はい、少し押さえますよ」と下腹部を押さえて「ここは、痛いですか?」と尋ねる。
「どう?」と中村が尋ねると「痛く無いです」と答える幸。
「じゃあ、ここは?」と今度は最上が尋ねる。
「痛く無いです」と答えると「おかしいな?盲腸はここが痛いのだけれどな」と言う最上。
「痛く無いです」と安心した様に言う幸に「ここは?」と押さえると「痛い!―――」と叫ぶ幸。
「神崎さん、便秘に成っていませんか?」と尋ねる最上。
幸はこの数日間便秘気味に成っていたのだ。
加代は肌が綺麗に成る薬だと言って渡していたから、飲んでいたら多少の便秘の状態に成るのだ。
幸は夢にも加代がくれた物が、その様な物だとは思っていない。
「貴女の腹痛は、便秘が原因ですね、良かったですね、盲腸では無くて」と最上が言うと「そうなのですか?最近少しお通じが無い時が有りました」と安心したのか声が弾んでいる。
「お通じの良く成る注射もしておきましょう」
「はい、ありがとうございます」と安心した様に返事をした。
だが次の言葉に驚きに言葉に成ってしまう。
「それでは、浣腸をしておきましょう」と最上が言うと「えー、必要無いと思います、大丈夫です」と慌てて言う幸。
「この様な処が痛い、そして先程の急な痛みが有るのは、便が圧迫している証拠です、今治療しておかないとまた腹痛に襲われますよ」説得する様に言う。
「えー、浣腸は困ります」と言うと側にいる中村が「子供でもしますよ、何を言っているのですか?」と強い調子で言う。
「松本君、浣腸の準備を始めてくれ」と最上が言う。
「はい、何本用意しますか?軍医」
「そうだな、今の感じなら大を二本だな」
「はい判りました」と言うがもう既に幸の後ろには大きな浣腸注射器が用意されていた。
直ぐに「先生、準備が整いました」と土佐が言う。
「本当に、浣腸が必要なの?」と中村に尋ねる幸に「少しの辛抱ですよ、盲腸の手術に比べたら簡単です、子供でも我慢出来ますよ、土佐さん不安の様だから見せてあげて」と土佐に言うと「浣腸器は、これよ!」と見える場所に持って来る大きな太い注射器。
それを見て「あんなに、大きいの?恐い」と怯える幸に「少し痛いから、これを咥えて、頑張るのよ」と木に布を巻いた物を見せる。
猿轡だが、幸には意味が判らないから「これを噛んで我慢すれば、直ぐに終わるわ、さあ口を開いて」と言われて少し口を開く「もっと大きく開いて」と強く言う。
その時土佐が、膝のベルトを外して、両足を大きく吊り上げる準備に入っていた。
腰を上に上げて、浣腸が簡単に出来る様にする準備を完了した。
ようやく口を開いた幸、木の棒に布を巻いた物を押し込まれて、そのまま頭の後ろで結ぶと「うぅ」と声が出せない状況に成っていた。
カーテンで遮られて、自分の首から下は全く見えないが、全裸で剃毛をされて大きく足を広げて居るのは確かだと思っていた。
次の瞬間、足が大きく上に引っ張られて、お尻が天井を向いて動き出した。
「うぅ」と恐怖の顔に成る幸、首を左右に振って中村を捜すが見えない。
足が殆ど真上で止まって、一杯に足が広がっている感覚に成っている幸だ。
「大丈夫?」と中村が顔の側に来て「うぅ」「うぅ」と首を振るが「我慢してね」と微笑む。
松本がワセリンを指に付けて、幸の肛門の廻りを刺激しながらマッサージを始める。
しばらくして、指を幸の綺麗な肛門に滑り込ませる。
「うぅ」「うぅ」と首を振る幸には、生まれて始めての異物の挿入だ。
松本の指がスムーズに動き始めて、痛がる様子が消えると、浣腸器を持った最上は松本の指が抜けると同時に突き刺す。
「うぅ、うぅ」と大きく首を振るが、何も見えないカーテンの向こうには、合田と金子が目を動かさずにじっと見つめている。
浣腸器のポンプが押し込まれて、少しずつ液体が注入されていく。
徐々に顔が歪む幸、額に大粒の汗が滲み出る。
幸の頭が左右に揺れて、綺麗な髪が大きく乱れて、カーテンの向こうの胸にも汗が噴き出ている。
「おお、一本が終わった」と最上が浣腸器を肛門から抜き取る。
ほっとしている幸だが、直ぐに形相が変わって「うぅー」と呻り声を上げる。
二本目が注入され始めたから、顔色も変わってくる。
我慢の限界が近づいている幸のお腹、大きく下腹が膨れてパンク寸前に成っていた。
麻薬で作った媚薬注射も便秘の注射と偽って、この後打つ予定に成っていた。
処女強姦
25-019
二本目の途中で「もう入らないな」と最上が諦めて浣腸器を肛門から抜き去る。
足を吊り下げていたのを緩める土佐、足を降ろされても大きなお腹の幸。
中村が額の汗を拭き取ると「うぅ、うーうー」と便所に行きたいと訴えているが、無視をする中村。
益々汗が身体中から噴き出す幸の目の見える場所に、おまるを持って行って見せる中村。
「いつでも出せば良いわよ、後ろで待っているから」と言うと「うぅ、うぅ」と首を大きく振って早く便所にと目で訴えるが無視をする。
しばらくして痙攣を起こし始めて「出るぞ」と肛門で構える金子。
幸の物を自分が受け止めると申し出て、蓋を開けて待っている金子だ。
「もうすぐ、出ますよ」と松本が言うが、我慢をしているのか中々出ないので、金子は「どうしたの?」と呟いて幸の肛門を指で触ると「ぷー」と音がして「ジャバ--」と金子の顔をめがけて幸の糞が飛び出して、金子は慌てておまるを構えたが、沢山の糞が顔に飛んで「わあー」と言って残りを何とか入れた。
「ははは」と合田が金子の顔を見て笑う。
金子はそのまま便所に行って、顔を洗って幸の糞を始末に行った。
糞を発射してしまった幸は力なく、項垂れた表情に成って顔は汗に塗れていた。
土佐達が、汚れた床を綺麗に掃除を始めている。
松本が布で幸の股間をお湯で洗い流しながら、綺麗に拭いているが幸は放心状態で反応が無かった。
最上が用意されていた麻薬の入った媚薬の注射を「便秘の薬も打って置こう」と言って、幸の腕に注射をした。
幸は、何の反応もなく注射をされて項垂れている。
しばらくして、疲れた様子の幸の身体がまた持ち上げられて「うぅ」と驚く。
再び浣腸をされるのかと怯えていたが「頑張ったわね、今度は洗浄よ」中村が言ったが
意味が判らない幸だが、次の瞬間小陰唇に指が、左右に開いて漏斗の様な物を少し挿入される。
「うぅ」と反応をするが、膣に五センチ程入って、今度は液体が少しずつ流し込まれる。
幸の膣に直接麻薬を流し込むのだ。
少しずつ流れて込んでいく液体を見て「そろそろ、良いだろう」とカーテンを取り払う。
合田の顔を見て驚いて、猿轡の口で「うぅ、うぅ」と首を振りながら訴える幸。
自分が騙されて、ここに連れて来られた事がようやく理解出来たが、身体が変な気分に変わっているのも事実だった。
「本当に、綺麗な子だ」と言うと乳房を鷲づかみにする合田。
「うぅ、うぅ」と首を振る目が、少し変わっているのが全員に判ってきた。
「そろそろ、薬が効いて来たでしょう」と最上が言う。
「じゃあ、ここは臭うから、向こうに連れて行け」と言う合田。
畳の上に敷き布団が敷いてある場所に自分は先に行くと、待ちかねた様に衣服を脱ぎ捨てて褌姿に成る。
富岡に抱き抱えられて、幸がやって来るが目は虚ろな状態で、猿轡だけがそのまま口に食い込んでいる。
手を万歳させて、ベルトで手首を固定する。
直ぐに乳房に吸い付いて、左手で揉み解すと「うぅ、うぅ」と声が出ている幸。
もう我慢が出来ないのか、褌を取り払う合田のペニスは既に大きく立派な状態に成っている。
そのまま挿入するのかと思っていたが、流石に相手の事を思ったのか、顔を幸の股間に埋めて幸の無毛のクリトリスから膣に舌を入れて舐め始める。
直ぐに合田は「金子さん、胸を刺激してくれ」と金子に頼む。
金子も既に裸に成って待っていたから、この誘いは喜んで幸の乳房に吸い付いて幸は猿轡のまま頭を仰け反らせて「うぅ、ああー」と反応をする。
上半身と下半身を同時に舐められて、吸われて、麻薬の効果でもう自分はそこには居なくなっていた。
しばらく舐め終わると、合田は指を挿入して反応を見て「よく濡れている、これは良い道具だぞ」と満足そうに言う。
そして両足を持って大きく広げると自分の身体を、幸の股間に入れて大きく成ったペニスの挿入を始めた。
しばらくして、少し挿入すると「ああー、いたー」と猿轡の中で聞こえる。
腰に力を入れて、一気に押し込むと「わーーー」と痛みに顔を歪めるが、手を固定されているので動け無い。
合田は痛がっても止めないで大きく腰を動かして、しばらくして幸が気を失って終わった。
すると金子が待っていたと合田に代わって自分のペニスを挿入して、反応の無い幸の身体と腰を持って動かす。
しばらくして、終わる金子が布団から移動すると、布団には赤い幸の処女を失った証が残っていた。
「中々良い道具だ、調教をして楽しめるぞ」と合田が、白い裸体の幸を見てその様に言う。
「今夜はここに寝かせます」と最上が言うと「そうだな、後ろも調教して楽しもう」と嬉しそうだ。
「大佐、良い女を手に入れましたな」と金子も満足そうだ。
「青柳と駆け落ちした事に成っているから、明日から檜屋は大騒動に成るな」
「大佐、ここにも来るでしょう?」
「青柳は、近日中に転属させる」
「直ぐにはここに乗り込めない、二、三日後だろう」と笑う合田。
しばらくして金子は基地を後にして帰って行って、合田も宿舎に戻る。
眠ったままの幸は、座敷牢の部屋にそのまま放り込まれて、それぞれは解散に成って、明日から色々考える事に成っていた。
(檜屋)では「幸の姿が見えない、何処に行ったのだ」と弥太郎が騒ぎ出していた。
「榊が道後に行ったので、みんなの目を盗んで遊びに行ったのね」と麻が怒る。
「それにしては、遅い」と弥太郎が怒る。
「華は幸を見ていないのか?」と麻が尋ねる。
「最近は金賞を貰って有頂天に成っていましたが、抜け出して何処かに行きたいとは聞きませんでした」と華は答える。
「榊が留守を良い事に、何処に行ったのだ、若い娘に若しもの事が有ったらどうするのだ」と怒るが、店の従業員に探しに行く様に指示をした弥太郎だ。
既に二十人程の従業員が残業承知で、近所から知り合いを訪ねて捜索をしていた。
二時間経過しても探せないので、会計の迫田に「警察に届けてくれ、遅すぎる」と胸騒ぎを感じた弥太郎だった。
幸の狂乱
25-020
翌日朝、(檜屋)の従業員が工藤の自宅にも幸の安否を尋ねてやって来て、加代は渡した手紙の中に何か書かれていたのだろうか?
幸に恋文の手解きをして、書かせた手紙を合田に渡したが、この失踪の原因なのか?
自分は合田に騙されたのか?の不安も有ったが昼に成って、合田の使いか手紙を持ってやって来て、内容は甥っ子と幸は昨夜基地で過ごしたから、今夜にも自宅に戻る事が書かれて、青柳は転属に近日向かう事も書かれて、加代に対するお礼の言葉が綴って有った。
そのころ基地の座敷牢の中で目覚めた幸の、雰囲気の異常を中村が感じていた。
「食事よ」と持参すると、一目散に食べ始めて見る見る空っぽにしてしまって「お代わり」と笑う顔は目が変な状態に成っている。
「軍医!軍医!」と慌てて戻る中村が「あの彼女変です」と慌てた様子で喋る。
「どうしたのだ?」軍医は中村の慌てた話し方に不審を持って尋ねる。
「朝食を持って行くと直ぐに食べて、お代わりを持って来てと言うのです」
「お腹が空いているのだろう、浣腸をしたから」と話を聞いて簡単に答える。
「いいえ、そんな感じでは有りません、目が狂っています」
「何!」と言うと急いで調べに向かう最上。
牢の中を見ると、食事の入れ物を持って「お代わりを下さい、叔父様」と最上に言う幸の目は完全に狂っていると最上は直ぐに判った。
「これは、処女を二人の男が強引に奪った影響だ、そうだな」と中村に確認する様に言う。
明らかに麻薬の分量を間違えたと思っている最上だが、認めると合田に殺される危険も有るので、合田と金子に強姦されたのが原因だと決めてしまった。
中村は最上に言われると認める他ないので納得した。
最上は直ぐに合田の部屋に急いで、事情を話すと「俺の物が大きかったからな、残念だったこれから面白い調教が出来たのに残念だ」と最上に言って、直ぐに金子に笑いながら、自分のペニスが大きすぎて処女の別嬪を壊してしまったと、話して善後策を相談していた。
最上は自分の失態を誤魔化せたと安心して医務室に戻ってきた。
合田と金子は、幸が駄目なら華を手に入れなければ成らんな、と冗談とも本気とも思える話の意見で一致していた。
その為には、幸を狂ったままで自宅に帰すのが不可欠だと決めて、その為には青柳に犠牲に成って貰おうと合田は考えを纏めた。
話を終わってから、合田は加代の存在が心配に成ってきた。
青柳を始末しても加代が不審に思う可能性が有るので、危険だと考え始める合田は再び金子に連絡して対策を考える様に伝える。
金子も自分の身の危険も有るので対応が早い。
新堂支店長に工藤加代の自宅に行かせて、東京支店で個展を主催で行いたいと話を持ちかける事にした。
金子頭取が明日東京支店に行くので、同行して欲しいと急な話を持って行かせた。
それと同時に幸田と云う探偵を雇って加代の監視を頼んで、もし(檜屋)に行く様なら阻止をする様にとの指示もしていた。
幸が狂った事は二人には大きな誤算で、善後策に追われる事に成った。
合田は飛田少尉を呼んで、事情を説明して幸が狂ったのは、青柳が変態行為で狂わせた事にする様に命じられた。
飛田少尉は青柳には悪いと思ったが、命令は守らなければ致し方無いので青柳を諦める事にした。
何も知らない青柳を近日中に毒殺する計画だ。
郵便受けに入った幸の手紙に(檜屋)は大きな騒動に成って「この青柳と云う男は、どの様な男だ?何処で知り合ったのだ?」と弥太郎は興奮して、家人達に怒る。
「何処の軍隊なのだ?調べろ」と神戸と迫田に命じる弥太郎は、可愛い娘を誘拐された気分で怒り狂う。
母親の麻も乳母の榊が留守を狙って、駆け落ちしたと興奮気味に下働きの者達に言う。
すると児玉たみが「昨日の夕方、お嬢様一人で、土手の方に走って行かれていた様に見えました、昨日ははっきりと判らなかったのですが、帰られないのでお嬢様だったと思いました」と言う。
「何故?今頃言うの?」と怒る麻に華が「ばあやは、自信が無かったのよ、今朝に成って昨日の後ろ姿が幸だと判ったのよ」と華が児玉を庇う。
「じゃあ、一人で自分から出て行ったのね」と麻が納得した様に言った。
加代の自宅に新堂支店長が、金子に言われた事を話して喜ぶ加代。
「急な話ね、でも東京に行けるなら私も飛躍出来るわね、丸菱さんの後援なら前回の様に著名人沢山いらっしゃるわね」嬉しそうな加代。
「はい、少しの間準備に時間が必要だと頭取も言われていました」
「そうよね、東京にそう何度も行けないから、準備を総て決めてこないと駄目よね、会場とか色々」もう気持ちは個展を東京で開くに決まっていた。
「はい、東京駅の近くにホテルを準備していると、東京の支店長からもきいております」
「昨日までは、頭取一人である程度決める予定でしたが、先生の様な美しい方がご一緒なら、決定も早いとおっしゃいまして急遽同行に成りました」
「そこまで言われたら、時間を作って行かなければ成りません、ここの事は高弟の須藤と渡辺に任せると大丈夫です」
「明日の夜行列車に成りますから、こちらには頭取が車でお迎えに参りますので、準備をして待っていて下さい」新堂は金子に教えられた様に話して、加代が納得したので安心して支店に戻った。
狂った幸は食べ物を与えると、満腹に成るまで食べて眠ってしまう。
最上は昨夜の注射と膣に流し込んだ麻薬の分量が多かったのか?人の体調によって、この様になってしまうのか?と本を読んで過去のデータを引っ張り出して研究をしていた。
尾山の地下室での光景は全く問題無く、聞くところではあの若い女はその後好きに成ってしまって、売り上げに貢献していると聞いたからだ。
また近い間に尾山の店に行って色々聞いてみなければ、今後使うのが危険に成るから心配だった。
翌日に成って、神戸と迫田が揃って基地に面会にやって来て、青柳と云う兵隊が神崎の娘を連れ去っているので、探して欲しいと頼みに来た。
面会した飛田少尉と柳田少尉は、青柳と云う兵士は確かにここに所属しているので、調査をして明日には事件を解明すると帰した。
今日帰すと、加代がまだ地元に居るので危険が有ると合田は明日に決めていた。
加代は遊郭へ
25-021
その日の夜、飛田は久々に青柳を呼んで最後の時を迎えていた。
飛田と青柳は久々に男同士の情事を楽しむ「少尉さん、大好きです」と喜ぶ青柳に、ビールを勧めると「ありがとうございます」と言うと一気に飲み干した。
直ぐに苦しみ出す青柳「すまないな、許してくれ」と涙を流した飛田。
青酸カリの威力は一瞬で青柳の命を奪ってしまった。
合田に報告すると「ご苦労だった、明日あの娘と一緒に、青柳の死体を持参して、問い詰められて自殺をしてしまった、この男は変態行為をお嬢さんに強要したので、気が変に成られた様だと説明してこい」と命じる。
「はい、判りました」と答えるが飛田の心は複雑だった。
「そうだ、この男が青柳だとの証拠の品も忘れずに持って行くのだ」と合田は飛田に告げた。
明日は飛田と柳田に憲兵の町村曹長にも同行させて、万全の体制にしていた。
夜、金子が加代の自宅に迎えに行って、探偵の幸田が車を運転して荷物を数個車に載せた。
何日間か東京に滞在すると教えたので、着替えをある程度持って行く様だ。
車に乗った加代に「これでも、飲みませんか?」と日本酒の小瓶を見せる。
「私はそんなに飲みませんから」と遠慮する加代。
「実は、私も少ししか飲まないのですよ、夜行は揺れて眠れないと言うと彼がお酒を少し飲めばよく眠れて、明日は爽快だと言ってくれたのですよ」と微笑んで安心させる金子。
「それで私も今飲み始めたのですよ、どうぞ」と小瓶を差し出す金子。
「眠れないのは、美容に良くないですよ」と笑うと飲み始める金子。
何度も勧める金子に負けて「それでは一杯だけ」と言うと「この酒の方がアルコー分は弱いから、先生好みですよ」と言うと横から違う酒を出してくる。
「洋酒です」とコップに赤い液体を注ぎ込む。
口当たりの良い酒を探してきている金子は、加代が飲み干すと思っていた。
少し飲むと「いかがです?」と微笑む。
「美味しいですわ」と一口飲んで言う加代。
「じゃあ、ぐっと飲んで下さい」と金子に言われて飲み干す加代。
昨日「大佐、あの加代は殺すには惜しい女ですよ」と金子が合田の先手を打った。
「年齢は四十だが、中々良い身体だったな、だが我々の企みが材木屋に露見してしまうな」
「何処かに閉じ込めて、出られない様にすれば良いでしょう?」
「その様な場所が有るのか?」と尋ねる合田。
「お忘れですか?人手が無くて困っている場所が有りますよ」
「おお、尾山の店か?」と思い出す。
「直ぐには店には出せませんが、調教をすれば使えるのでは?あの岩手の女の子の様に成りませんか?」
「そうか、あそこに連れて行って、尾山が気に入れば仕込んで貰おう」金子の一言で二人の意見は一致した。
一度年期奉公で入ると、自分の意志では脱出不可能な事は知っている。
尾山の店に電話で尋ねる合田に尾山は今は人数が欲しいから、合田大佐の見立てなら四十歳でも大丈夫でしょう連れて来て下さいと快諾した。
我々が知られては困る秘密も沢山知っているので、呉々も客から漏れない様に頼むと話していた。
紺のスーツを着た加代は、二杯のお酒で意識が朦朧と成っていた。
「先生、酔いましたか?」と嬉しそうに尋ねる金子。
「何だか変な感じです、少し眠っても良いでしょうか?」と眠そうだ。
「はい、到着したら、起こしますよ」
「は、、、、、、い」と言うのと眠るのが同時だった。
「上手く運びましたね」幸田が運転をしながら言う。
車は大阪駅まで行く予定に成っていたが、方向は遊郭に向かう。
「遊郭が並ぶ町に、向かってくれ」
「はい」お金を貰っている幸田は嬉しそうに車を走らせる。
「この先生は遊郭に売られるのですか?」
「そうだ、お前も遊ばせてやる、今夜は楽しんで帰れ」
「ありがとうございます、頭取何でも仕事有れば手伝いますよ」
「これから、色々有る筈だ、よろしく頼むよ」と財布を取り出して、千円を手渡す金子だ。
尾山が(尼御殿)の裏口で待っているのを見つけて、車を横付けすると、中から若い男がふたり出て来て「この女ですか?」と尋ねる。
「そうだ、中に運べ」と尾山が命じて、運び込んだ。
車を駐車して「君は、尼さんが良いか?」と金子が尋ねる。
「尼さんって、女の坊主の事ですよね」と尋ねる幸田。
「そうだ、この店の女郎は総て尼さんだが、系列の店は普通だがどちらでも遊べるが?」
「頭取、先程の美人先生はここで尼に成るのですか?」
「そうだ、明日から調教が始まるだろう」
「凄いですね、あの先生が尼ですか!」と関心の有る言葉だ。
「直ぐには客は無理だが、ここは中々上手に調教するので、客を取れる様に成るらしい」
「私も、今夜はここにします」と興奮をして入っていった。
金子は今日から当分この店に宿泊予定に成っている。
東京に出張しているから、毎日一度電話をすれば良いので、東京の支店長には企業視察だと話して有るのだ。
翌日、昼頃予定通り飛田少尉と柳田少尉に町村曹長が、幸を連れて神崎家を訪れた。
「おお、幸が戻って来たか?」と喜ぶ弥太郎と麻だが、目の前の幸を見て、何かが違うと思う。
町村が経緯を説明すると、憲兵だと云う事も忘れて起こり始める弥太郎に、青柳の遺体を見せる三人。
「お嬢さんに、淫らな行為を行っていた様で、私達が青柳を確保した時、既にお嬢様はこの様なお姿になられていました、我々の監督不行届で申し訳御座いません」とお辞儀と敬礼をする三人。
「。。。。。。。」無言の二人。
「それでもお嬢様が、自殺の道連れに成らなかったのが、せめてもの救いです」と町村が言う。
「大学病院で診察をされれば、元に回復の可能性も有ると、軍医が申しておりました」と言うと麻が「この子が自分から、この男に会いに行ったと聞きましたが本当でしょうか?」と尋ねる。
「この様な二枚目ですから、過去にも数多くの女性が犠牲に成った様です、今回退治を致しましたので、二度と起こらないと思います」と言われたが、諦め切れない弥太郎だ。
しかし、この三人に何を言っても幸が元に戻る事はないと、諦めて三人はお詫びを言って帰って行った。
「塩、塩をまいて置きなさい」と麻が青柳の遺体が置かれていた場所に向かって叫んだ。
「塩、塩」と部屋を歩きながら言い出した幸を見て、二人は涙に暮れていた。
合田に今日の結果を話すと「ご苦労だった」と安心した顔に成って、これから尾山の店で加代の調教を見に行く予定にしている合田だ。
初めから合田が行かなければ始まらないのだが、幸の問題が片づいて安心した合田だ。
仕込み部屋
25-022
神崎の家では即刻、幸を大学病院に入院させて、回復を試みる手続きに入った。
合田と金子は幸が回復して、自分達の事を両親に訴える事は考えても居ない。
町村達は口から出任せで大学病院と話していただけで、何の根拠も無かったのだ。
夕方、尾山の店に到着した合田は真っ先に「先生は、どう成った?」と確かめる。
「急性アルコール中毒に成って、ここに運ばれました」と教えていると言った。
「本人は納得しているのか?」
「頭が痛かった様で、おかゆを食べて夕方まで寝て居ましたが、そろそろ体調が戻る頃かかと思います」と尾山が安心だと言った。
「何故?そんな事に成ったのだ」と尋ねると「私が間違えて、薬を沢山飲ませてしまったのですよ、すみません」と金子が部屋に入って来た。
「具合が悪くなって、東京に行けなかったと思っているよ」
「じゃあ、始めますか?」と尾山が言う。
尾山と一緒に地下に向かう金子と合田。
「今夜は、相当暴れますよ」尾山が言う。
「面白い、もう彼女が世間に出る事は無いから、一生ここで暮らすのだ」と合田の笑い。
「お客様が来られたわよ」と絹代に言われて、金子が迎えに来たのかと思って上着を着て、紺のスーツ姿で絹代に付いて行く加代。
変わった造りの家だと思って「何処に行くのですか?」と尋ねる。
「これから、式に行くのよ?」と言われて「式?」と不思議な顔をする加代。
今日の髪型は長い髪をリボンで後ろに留めている。
着物を着るので髷も結うから、いつも長い黒髪に成っている加代だ。
「何の式ですか?」と尋ねる加代。
「得度式よ」と絹代が言うが「得度式?」と考えるが直ぐには判らない。
加代の後ろにつねが来て「長いわね、それに多いわね」と加代の髪を見ながら言う。
「何処に行くの?」と不安げに尋ねる加代。
「地下よ」つねが後ろから教える。
「地下で式をするのですか?」首を傾げる加代だ。
「そうよ、声が五月蠅い時が有るからね」と剃毛師のつねが、加代の髪を触る。
「堅いし、多いわね」と言うが何の事かよく判らない加代だ。
大きな扉を開くと、中に入る絹代に遅れて入った加代が「此処は?」と部屋を目で見廻す。
先日の基地の地下室に雰囲気が似ていると思う加代は、戻ろうとすると扉が閉じられる。
金子と合田が居るのだが、光の当たる方向と異なるので加代からは見えない。
光の当たる場所に二人の男、縄師の長治郎と下剃り半吉と呼ばれる男、みつとたねの二人の仕込み婆が待っていた。
「此処は何?」と急に怯えた顔に成る。
「お前さんはここに売られて来たのよ」絹代が言い放つ。
「売られた?何を言っているの?私は書道家の工藤加代よ、変な事言わないでよ」と怒り出す加代。
「書道家だろうが、お姫様だろうが、ここに来たらもう帰れないのよ、観念しなさい」と絹代が言う。
先程の女性つねがバリカンを手に持って「早くこちらに来て椅子に座って、その長い髪をこのバリカンで刈り上げてあげるわ」と笑う。
「ギーギー」と手で動かして見せる。
「いやー、何か勘違いしてない?私は丸菱銀行の頭取と東京に行く予定だったのよ」と叫ぶと絹代が「丸菱の頭取は、あそこにいらっしぁいますよ」と指を指す、
逆光で見えにくいが確かに金子が見えて、その隣に合田の姿を見つけて「あっ」と声を上げた。
自分を先日騙して強姦したのだと、脳裏に蘇って総ての事が理解出来た加代だ。
「貴方は、私を騙して強姦したのね」と合田を睨みながら怒る。
「そうだよ、今頃気が付いたのか?」と合田が言うと金子が「檜屋では頑張って貰ったが、不具合が起こったのでな、先生には戻って貰えないのだよ」
「そうだよ、俺はここに連れて来るのは乗り気で無かったのだが、頭取が先生を助けたのだよ」と合田が教える様に喋る。
「助けた!神崎幸さんが甥っ子の青柳さんに恋をしたのも?貴方方が?」
「そうだよ、彼は女には興味が無い男だよ、もう亡くなったがな」
「えー殺害したのですか?」
「神崎の娘を誘拐して、辱めたのが発覚して自殺したのだよ」
「何故?妹の幸さんなのですか?まだ十八歳だったのに、華さんの方が断然綺麗だったのに、何故?」と尋ねる言葉に驚く二人。
合田は、姉の方が綺麗?が頭に残って、金子は先生とんでもない事を喋るな!と思っている。
合田に幸以上に綺麗だと教えるのは、猫に鰹ぶし状態だと思った。
また、無理難題を自分に押しつけてくる事が決まった様なものだと、渋い顔に成っていた。
「まあ、そう言う事だ、先生にはここで、男を相手に頑張って貰おうと思ってな」
「貴方方の悪事は私が世間に訴えます」と大きな声で言う。
「ここは別世界ですよ、しばらく暮らせば天国に変わりますよ」と尾山が微笑みながら言う。
今夜の段取りは、嫌がる加代を徹底的に虐めて従順な奴隷に仕上げて行くのを見物する事にしている二人だ。
金子は東京に出張に成っているので、自宅に帰る必要もないからのんびりした時間をサド行為で満喫したいのだ。
「美代を呼んで来い」尾山に言われてみつが、出口に向かうと加代もその方向に向かって逃げ様とする。
「駄目よ」と長い髪を掴まれて、引き戻す絹代「痛い!」と動きを止めると、みつが出て行ってしばらくして、赤い長襦袢姿の美代が連れられて入って来た。
「美代、今日は頭を綺麗にする日だったわね」と絹代が言うと「はい、そうです、少し伸びています」と頭巾を頭から脱ぐと、黒い短い毛がごま塩の様に生えている。
「今夜は、久々にそこの椅子で、綺麗にして貰いなさい」と言われて「はい、お願いします」と中央の椅子に座る美代。
背もたれが斜めに成っていて、丁度頭を突きだした様に成る。
「美代は、パイパンだったな」と尾山が言うと「はい、この子は頭だけで、脇も綺麗です」と絹代が言う。
直ぐに頭に刷毛でシャボンを塗る半吉。
「絹代が、良く見ておくのよ」と加代に言うが加代の顔は恐怖の面持ちに変わっている。
「その先生は濃いから、大変だぞ」と合田が笑いながら言う。
「嫌です、許して下さい」と言うが「ここは(尼御殿)と云う遊郭だ、ここで働くには、あの子の様にしなければ、働けない」と絹代が恐い顔で言う。
「私はそんな仕事はしません、習字を教えるのが仕事です」と怒る。
「そうか、そうか、まだ習字を書いて貰う事も有るわよ」とニヒルな笑みを浮かべる恐い絹代。
美代の頭はしばらくして、綺麗に剃りあげられて、油を塗られて出来上がる。
「おお、綺麗、綺麗」と手を叩く合田だ。
睨み付ける加代、微笑みを浮かべる長治郎達、それぞれがこれからこの加代の泣き声を聞こうと思っているサド集団だ。
廓からの脱出
25-023
美代が地下から出て行くのに隙を狙っている加代。
この様な気が狂った連中には付き合い切れないから、逃げなければと開いた扉に走り出した加代。
美代を押しのけて、扉を出て行った。
「好きにさせてあげよう」と尾山が微笑む。
この郭からは逃げられない事を教えてやるべく知りながら外に出したのだ。
遊郭が並ぶこの場所は、四方は堀と柵で囲まれて出入り口は一箇所に集約されて、年期明け以外で女郎が脱出出来ない場所に成っていた。
遊郭に雇われたヤクザが交代で警備をしていて、女性の場合は遊郭からの申請が無ければ、出る事も入る事も許されない。
客が遊女を連れ出す事も、厳重に取り締まられているので、連れ出した男性も連れ出された女性も重罪に問われる場所だ。
何も知らない加代は(尼御殿)を適当に草履を履いて飛び出した。
華やかな遊郭が、所々に点在して男性の客を呼び込んでいるのが目に入る。
紺のスーツ姿で草履、血相を変えて早足の加代は,直ぐに見回りのヤクザに直ぐに怪訝に見える。
「あの草履は(尼御殿)の物だな、何か聞いているか?」と男が尋ねる。
「何も聞いていません」と答える若い男。
「売られて来た女が尼に成らないと言って逃げたな、この前も捕まえて連れて行ったな」
「はい、沢山お礼を頂きました」と思い出す。
「そうだったな」と嬉しそうな顔に成る連中だ。
走り込んでくる加代に「どうしました?別嬪さんが、息を切らして?」と尋ねる男。
「あの騙されたのです、訴えなければいけません、警察は何処でしょう?」と息を切らせて話す加代だ。
「ああ警察ですか?あそこですよ」と郭の向こう側を指で示す。
行こうとする加代に「お姉さん(尼御殿)の人だね」と言うと「違うわよ、そんな処知らないわ」と加代が言ったが「お姉さんの草履は?何処のだろう?」と言うと既に二人の男が駆け寄って来て「お姉さんは郭の人だから、出られないのだよ」と言い出す。
「違うわ、誘拐されたのよ、来た訳ではないわ」と言い切る。
「じゃあ、一緒に行って、店に尋ねてみようか?」と腕を持って引っ張る。
「いやー、止めて」と叫ぶが既に二人の男に抱えあげられて、無理矢理に連れて行かれる。
「何事だ」と客が見に寄ってくると「遊女の足抜けだ、どいてくれ」と三人が加代を連れて(尼御殿)に入って行く。
「旦那様、捕まえて来ましたよ」と叫ぶ。
「違うわ、降ろしてよ」と叫ぶ加代を「さあ、降りて、降りて、もう逃げ様なんて考えたら駄目だよ、今度はリンチに成って、綺麗な顔に傷がつくからね」と一人が言う。
中から尾山と長治郎が出て来て「困った女です、すみません」と尾山がお金の袋を渡すと「どうします?」と尋ねる。
「上着を脱がせて、これに両手を入れて下さい」と言う尾山。
「お安い御用で」五十センチ程の木の両端に穴が有る物を二つに分けて、上着を脱がされて両手を填め込むと加代の両手は自由を失った。
木の中央には縄が結ばれていて、引っ張ると身体が長治郎の方に来る。
三人の男は嬉しそうにお辞儀をして店を出て行った。
「歳は若くないが、中々の顔で身体も良かったな」と連れて来た男が言う。
「尼で仕事するのだろう?」
「少し時間がかかるだろうな?」
「お金幾ら入っている?」
「五百円だよ、流石は尾山さんだな」と話ながら帰って行った。
地下室に再び戻された加代に「無駄な、鬼ごっこだったな」と合田が言う。
「。。。。。。」中央の滑車から垂れ下がった縄に、先程の縄を結び付ける長治郎。
今度は滑車の縄を引っ張ると、加代は万歳の恰好でブラウスにスカート姿で固定された。
「貴方方は卑怯ね、総て罠だったのね」と合田と金子を睨み付ける加代。
「青柳は自殺したのだよ、幸は今自宅に戻って居るよ」
「何故?お二人があの可愛い幸さんを帰す何て信じられません」
「俺の物が大きかったらしいぞ」と笑う合田。
「処女の幸さんを二人で強姦して、何かしたのね」
「そうだよ、狂ってしまったのだよ」と金子が付け加える。
「恐ろしい事を、二人は鬼だわ、許せない」と怒りを滲ませる。
「先生の様に、経験豊富なら良かったのだが、残念な事をしてしまった」と言っている間に、絹代がスカートのホックを外して、ファスナーを降ろすと紺のスカートが床に落ちた。
話に夢中で、気が付かない時に素早く脱がされてしまった。
白のシミーズにブラウス姿で、両手を吊られている加代が話を止めて、警戒をしている。
「いつまでも、遊んでいられないわ」と鋏を持って、近づいた絹代に「止めて、髪を切らないで、他の事は何でもしますからお願いです」と急に弱気に成った様な加代。
「何でもとは?」と絹代に尋ねられて「性交も。。。。。」と小声で言う加代。
「ここは遊郭だ、そこに居る半吉とつねは遊女の下の毛を剃るのが専門だ、毛ジラミが感染するので、ここで働く遊女は総て陰毛と脇毛は剃り落としているのだが?髪以外は構わないと言うのか?」と尋ねる尾山。
「尾山さんは近所に(華御殿)も経営されている、ここは先程の美代の様に尼さん姿で接客する(尼御殿)だ」と絹代が補足する。
加代は今夜は従って油断をさせて、逃げ出す機会を待とうと考え方を変えた。
その為にも、髪を失えば逃げても目立ってしまって、とてもこの郭からの脱出は難しいのと、二度と書道家では生活出来ないと考えていた。
「親方さん、どうしますか?この先生遊郭で働く事は承知した様ですよ」と絹代が尋ねる。
「先生、本当なのか?」と尾山が尋ねると「はい、もう逃げられないと観念しました、でも髪は女の命で御座います、今お聞きしました(華御殿)なら働かせて頂きます」
「そうなのか、だがここでお客を遊ばせる技と、下の毛は綺麗にしなければ成らないぞ」と尾山が言うと絹代が「その覚悟は有るの?」と尋ねる。
「何年働けば良いのでしょうか?」加代は逃げる為には油断をさせなければと考える。
「一年だ!そうだな!金子さん」と尋ねる尾山に金子が「先生の犯罪に目を瞑った憲兵の手前も有るからな」と言うと「私は、あの丸田支店長とは何も有りません」と否定をする加代。
「だが、世間と憲兵はその様には思っていない、一年この郭で過ごせばみんな忘れてしまうだろう」と合田が言う。
「丸田は先生の罪を被って亡くなったのだよ」と金子が言い出す。
加代は話が絡まってよく判らない。
自分がここに連れて来られたのは、まだ丸田支店長の一件の延長なのか?
この二人が神崎幸を強姦する為に私を利用したと、話していたのに本当は?
青柳君は本当に死んだの?神崎幸さんは狂っているの?
加代の頭の中を色々な事が駆け巡って、理解不能状態に成っていた。
真実を確かめる方法が、この遊郭では無理だと判っていた。
今は油断をさせて逃げる事、もし丸田支店長の事が降りかかるなら、別の土地に逃げ様と考えている加代だ。
いたぶり
25-024
混乱の加代だが事実は今、遊郭の地下で両手を万歳状態で捕まっている事実だけだ。
「承知なのね」と黙ってしまった加代に尋ねる絹代。
鋏でブラウスのボタンを切り落として行く「脱ぐのは面倒臭いね」と笑いながら五個のボタンを総て切り落とすと床に音を立てて転がっていった。
開いたブラウスの合間に、白のシミーズに白のブラジャーが見える。
それを見ていて「着物の時と違って、乳バンドが眩しいわ」と合田が嬉しそうに言う。
着物を着る女性が多く、少し前までブラジャーを乳バンドと呼んでいたので、合田にはその響きが心地よいのだろう。
加代は四十歳の年齢からすれば、スタイルも乳房も大きいので尾山が「これは、充分お客さんが喜びますよ」と言う。
「親方さんにもっと良く見て貰おうね」と言うとそのブラウスに鋏を入れる絹代。
「。。。。。」何も喋らなく成った加代。
背中の加代の見えない場所に、お湯の入った真鍮の洗面器が二つ運ばれて置かれた。
中には変な形のヘチマの小型の様な物が一つと、小さな歪な物が数個浮かんでいる。
もう一つには、木綿の布が浸かっている。
遅れて金属のお盆に日本剃刀がひとつ、シャボンの入った陶器の入れ物が置かれた。
先程の美代の時の道具は、もう何処にも見当たらない。
髪は堅いので、一度使うと研ぎに出さないと使う事は出来ないので、頭髪の剃髪には沢山の剃刀が必要なのだ。
剃毛師の半吉もつねも自前の剃刀のセットを持って居て、常に幾つかのセットを用意している。
最近はここ(尼御殿)では頭髪も剃るので、二人は常に研ぎ師との連携で複数のセットを用意していた。
どうやら、何か趣向を用意している様な雰囲気が漂っている。
絹代がブラウスを切り刻んで、加代の身体からボロ布の様に抜き取った。
両手を万歳にしているので、脇毛が剥き出しに成って黒々としている。
「先生、予想通り毛深いわね」とつねが側に来て、加代の腋を見ながら言う。
「。。。。。」何も答えない加代は、この連中に何か言えば挑発する事に成って、喜ぶから危険だと思って何も言わなくしていた。
「大佐、いつもその立派なお髭をお手入れされているでしょう?今夜はこの先生の腋を綺麗にして下さいな」と絹代が言う。
立ち上がって加代に近づいて「俺が、先生のこれを綺麗にするのか?こちらの方が良いがな」と加代の腹の処を触る。
「いや、大佐に綺麗にされるのは恐いわ」と今まで黙っていた加代が、急に拒否の態度を示す。
「大佐にマン毛の処理を頼みますと、使い物に成らなく成ります」と尾山が笑いながら言う。
「そうか、俺が剃ると傷物か!」と声を出して笑う合田だ。
「大佐、腋なら練習だと思って、剃ってやって下さい」と絹代が剃刀を手渡す。
「いやー、止めてよ、恐いわ」と身体を動かして逃げる加代。
「バシー」と絹代の平手打ちが加代の頬に炸裂した。
「大人しく従うのよ、ここでは許されないのよ、憲兵を呼んで貰おうか?拷問を受けるよ!その綺麗な顔が傷だらけに成って、丸田支店長の様に逆賊として新聞に載るよ、長崎のお母さんが泣くよ」と言う絹代の言葉に顔色が変わる加代。
「何故?知っているのですか?」と不思議な顔をする。
「此処に来る女の素性は総て調べて有るのよ、お金は以前と変わらずか?いやそれ以上送れるからね!でも逆らうとお陀仏で新聞記事と一緒に里帰りだ」と言う絹代に「お願いですから、母には内密にお願いします」と懇願する加代。
「じゃあ、始めて」と絹代が言うと、シャボンを刷毛に付けてつねが加代の腋に塗る。
合田が剃刀を持って「これって切れ味良いのか?」とシミーズの肩紐を切る。
直ぐに切れて前後に落ちると「おお、良く切れるな」と言うともう一つも切ってしまう。
「あっ」と口走る加代の身体からシミーズが床に小さく成って滑り落ちた。
「おお、良く切れるな」と言うと剃刀を加代の腋毛に当てると、皮膚を引っ張りながら「ジョリ、ジョリ」と音を立てて剃り落として行く。
「大佐さん、上手よ」とつねが褒めると左手の腋に塗り始めるつねだ。
右を剃り終わって、白い半紙に乗せると、左手の腋を剃り始める合田が剃刀を動かすと「ジョリ、ジョリ」と大きな音がする。
「先生の毛は硬いのよね、頭髪を見た時に判ったわ」とつねが言う。
しばらくして、剃り終わると半紙に乗せて「ほら、こんなに沢山だよ」と加代の目に前に持って行く。
「これからは、私が時々剃ってあげるわね」とつねが微笑みながら言う。
長治郎が縄を持って加代の側に来て跪くと、縄を加代の左足の膝に結び付けている。
「何をしているの?」と下を見る加代に「気にしなくていいのよ、今度はここを綺麗にしてあげるからね」とズロースを触る絹代。
加代の気を逸らせる為にしているのだが「これも必要無いわね」と鋏でブラジャーの紐を切る絹代。
肩の紐を直ぐに切ると、胸の谷間に鋏を入れて切ってしまうと、ブラジャーが布切れに成って床に落ちた。
長治郎は加代が見ていない時に、膝と足首にも縄を巻き付けて準備を終わる。
少し大きめの乳房に、形の良い乳首が幾分立っている様に見える。
長治郎が加代のリボンの付いた髪の毛に紐を結びつけている。
「嫌よ、髪は触らない約束よ」と言う加代は、髪を剃られたら逃げる機会を失うと思っていたからだ。
「切らないよ、面白い物が見られるわよ」と微笑む絹代。
準備が整ったのを見届けると、絹代の鋏がズロースを切ろうと刃先が腰に入る。
目を閉じる加代「観念したのね」と言うと直ぐに切り裂く。
一箇所を切って、二箇所目も簡単に切り落とすと、加代の白のズロースが床に落ちる。
「濃いわね」とつねが言いながら近づいて来ると、みつが「仕込み甲斐が有りそうね」と加代の背中に廻って、真鍮の洗面器の中の物を取り出して「良い感じに成っているわ」と言うのと同時に長治が縄を引っ張り始める。
「あっ、痛い」と加代が言うと加代の左足が床から離れる。
右足一本で立って左足が吊り上げられると、陰部が丸見え状態に成ってしまう。
「良い眺めだ」と合田が言うと加代が「いゃー、見ないで」と叫ぶ。
「もっと見える様に、今からつるつるにしてあげるよ、その前にこれを食べさせてあげるよ」とみつが手に持った随喜の筒を見せる。
剃られる陰毛
25-025
「これから、色々教えて貰う先生のみつさんだ」と絹代が言う。
「それ何よ、変な事しないで」と片足立ちで言う加代は、随喜を初めて見たので判らない。
跪いて、加代の陰部を触り出すみつに「嫌!何をしているの?」と見えないので不安な加代だ。
みつの指が陰毛をかき分けて、小陰唇を広げると側に絹代が来て、みつから手渡された随喜の挿入を始める。
随喜はハスイモの葉柄の皮をむいて乾燥させたものである。
これは食用にもなるが、芋そのものは固くて食用にはならない。
これに含まれる成分サポニンが男女の生殖器、とりわけ女性の膣に刺激をもたらして性的快感を与える。
また、この有効成分により陰茎に流入する血流が増加し、陰茎も一時的に増大する。
腐敗させなければ、製品から有効成分がなくなってしまうまで何回か使用できる。
全く知らない加代の膣にゆっくりと挿入をするが、まだ加代の膣は愛液が出ていないので入り難い。
「頭取、乳房を揉んでやって下さい」と加代の下半身に手を宛がいながら言う絹代。
「任せておけ」と喜び勇んで、加代の処に来ていきなり唇に接吻をしようとする。
「うぅ、いゃー」と口を閉じて顔を逸らす加代。
「嫌か、これならどうだ!」と二つの乳房を鷲づかみにする金子。
「頭取、虐めてはいかんぞ、優しくしなければ、先生も濡れないぞ」と向こうから合田が叫ぶ。
「そうか、そうか」と今度は優しく揉み解す金子だが、加代は奥歯を噛んで我慢というか、感じない様に身構えている。
「どうだ、駄目か?」と尋ねながら揉む。
「頭取、頑張って」と絹代に言われる。
みつが指で小陰唇を広げて、絹代が随喜を膣口に当てているが、強く挿入はしていないで入り口で持って居る状態だ。
側ではつねが自分の剃刀のセットを、布から巻物を広げる様にして並べだした。
加代にはその様子は見えない。
金子が「これでどうだ?」と加代の乳首にしゃぶり付いた。
「うぅ」と初めて声を出す加代、左手で優しく右の乳房を揉み、口で左の乳首を吸い上げる金子。
次第に方法は変わって、舌で乳首を転がして舐めて吸う。
流石に反応が「うぅ、うぅ」と声を出し始める加代。
それを待って居た様に、クリトリスに刺激を与える絹代「あぅ、うぅ」と声が変わって来ると、随喜をゆっくりと挿入していく絹代。
「あぅ、あぅ」と膣の奥に侵入した異物に反応をする加代。
「入ったわ」と言うと、みつが随喜の先を持って膣圧で戻って来るのを押さえている。
絹代が立ち上がると「良い気持ちかい?」と加代の耳元で言う。
「何でもないわ」と言いながらも「うぅ」と金子の乳首を吸う行動に反応をしている。
「始めましょうか?」とつねが絹代に尋ねる。
「綺麗にしてやって」と微笑みながら加代に言う絹代だ。
腰を屈めるつねが「濃くて堅そうね、頭は大変よね」と小声で言うが加代は聞いていない。
洗面器からお湯で温めた布を手に持って、加代の陰毛を熱で解す。
しばらく持っていた布を取り払うと、再びみつが随喜の先を押さえて飛び出さない様にしている。
「頭取、ご苦労様」と絹代が言うと「そうか、気分が良く成ったか?」と嬉しそうだ。
「はい、愛液が出て潤ってきました」とつねが答える。
「長治郎さん、角度を変えて、剃り難いから」とつねが言うと、加代の手の縄が緩む。
手首の入った木が取り外されて、腕を降ろされてほっとした加代だが、直ぐに長治郎が後ろ手に縛り始める。
両腕を後ろに、乳房の上下に縄で強く締め上げて縛っていくと、乳房が飛び出した形で背中に縄が集まって今度は天井の縄と結び付ける。
すると左足が直角に、天井まで引っ張り上げられて、加代の身体が横に成って水平に成る。
だが加代の陰部が大きく開かれて、肛門までみんなの目に曝されて凄い姿で固定された。
「素晴らしいな、先生」と合田が言うと「卑劣な人達ね」と恐い顔をする。
「気持ちが良くない様だ、早くつるつるにしてやれ」と合田が言う。
髪に繋いだ紐も天井に引っ張られて、加代の顔の角度も固定された。
「さあ、始めましよう、先生肛門までオケケが生えているわよ、綺麗にしてあげるわ」と言いながら刷毛でシャボンを塗り始める。
「ここが良いでしょう」とクリトリスを刷毛で刺激するつね。
「うぅ、うぅ」と言う加代は、みんなの顔が目の前に見えて、恥ずかしい限界に成っている。
みつが押さえている随喜を時々動かすと「あっ、あっ」と声が出始める加代。
身体は全く動かない状況で、もうみつ達の自由に成る。
剃刀がいきなり肛門部分から剃り始めるので、驚き顔に成る加代だ。
つねは肛門が使える女なのかを確かめていたのだ。
「うぅ」と少し反応が有る事を確かめながら、剃りあげていくつね。
今度は小陰唇から大陰唇の陰毛を剃り始めるが、随喜が邪魔に成るのでつねが持って動かす。
「ジョリ、ジョリ」と剃られるのと同時に随喜の刺激で「あっ、あっ」と加代の声も顔も変わってきた。
「頭取、先程のお礼にしゃぶらせてあげたら?」と絹代が言うと「そうか、それは良いな」と直ぐにやって来てズボンを脱ぎ捨てる金子が、褌からペニスを出すと加代の口元に持って行く。
慌てて口を閉じる加代だが、絹代が鼻を摘むと「口を開いて、奉仕をするのよ」と強く言う。
我慢をしていた加代が大きく息を吸う為に口を開くと、金子が自分のペニスを加代の口に押し込んだ。
「うぅ」と言いながら銜え込んだ金子のペニスをはき出そうとするが、腰を動かす金子。
陰部はつねに「ジョリ、ジョリ」と剃りあげられて、クリトリスの廻りに成っている。
刺激を与えるつねの動きは、加代の口の動きを滑らかに変えていった。
「うぅ、うぅ」と腰を動かす金子に合わせる動きに変わっていたが、頭は動かない。
欲しがる加代
25-026
「ジョリ、ジョリ」と大きな音をさせて、下腹部の残った陰毛を剃りあげていくつねは早い。
刺激の無い部分は、本職なので剃りあげるのに時間は必要が無かった。
でも加代の顔面は金子の精子で、白く汚れてしまった。
「金子さん、終わっちゃったのか?」と笑う合田に「刺激が強すぎたよ、もう今夜は頑張れない交代だ」と苦笑いをしている。
剃り終わると、随喜を抜き取るみつが「わあー、凄いわ!見て」と抜き取った随喜を見せる。
加代の顔の汚れを拭き取ったもう一人の婆、たねが「ご苦労さん、交代しましょう」と言うと、加代の童女の様に成ってぽっかり開いた膣口の前に座った。
つねも役目を終わって、剃刀を片づけている。
「もう、許して」とか細い声の加代に「貴女はまだ終わってないでしょう?」と言われて無言の加代だ。
随分長い間股間を大きく広げて、疲れの方が強い加代だが、股間は何か物足りない状態に成っている。
洗面器の中に手を入れて皮の指サックを取り出すと、右手の中指と薬指に装着する様に被せるたね。
「先生、あれが何か判る?」と顔の側で言う絹代。
「あれはね、先程貴女が咥えた随喜で作った道具でね、女を泣かせる物なのよ、一度これで掻き回されると殿方の物で無ければ、終われなくなるのよ」と言われて「そんな物。。。。。。」と言葉を濁す加代だ。
「せせりと呼ぶ大昔からの道具よ」
ズイキには指に巻きつけて、女性器の中を捏ねまわす”せせり”というプレイがズイキ汁まみれになった女性器はかゆみとえぐみで気も狂わんばかりに成り、男性のペニスでようやく収まると言われている。
たねが大きく開いた股間の緩んだ加代の膣口に、随喜のサックを巻いた中指を簡単に挿入する。
「うぅ」と言う加代だが、平静を装うが指を動かし始めると「あっ、あっ」と声を発し始める。
しばらくして、薬指も一緒に入れると「ああー、ううー」と大きな声を出し始める加代だ。
長治郎が胸の谷間の縄に天井の縄を結んでも、全く判らない加代は段々大きな声を出し始める。
たねが二本の指を大きく動かして、加代の膣内を掻き混ぜる様に動かすと、もう「ああーだめー、だめー」と大きな声を出して、廻りを気にしていない状態に成っている。
「ここ!」と尋ねながら掻き回す。
「ああー、だめーだめー」と大きな声に合田も金子も近くに来て見守る。
たねが今度は寸止めを始める。
何度も逝く加代を今度は逝かせないで止めてしまうから「いやーーーーゆるしてー」と言う加代。
「そう」とまた動かす「いやーーー」と動かすのを止める。
たねの指の動きに反応している加代をみて、そろそろ良いだろうと指を抜いてしまうたねだ。
身体が燃えてしまった加代は「早く、入れて」と小声で言っているが、絹代が「聞こえない何?」と尋ねると「入れて、入れて」と言う。
長治郎が左足の縄を解いて胸の縄を引っ張ると、加代の身体は足を下に仰向けの状態に成っている。
身体が楽に成って益々加代は「入れて、入れて」と口走る。
「何を入れるのよ」と尋ねる絹代に「男根が欲しい」と口走る。
頭が下がって胸が引っ張られて、足はだらしなく広げて童女の様な陰部は丸見え状態だ。
「大佐に、入れて貰うか?」と尋ねる。
「はい、はい、はやく下さい」完全に雌に成っている。
加代の理性は何処に行ったのかと疑いながら見ている金子。
半吉が加代の頭の紐を外して、束ねた髪が床に流れる。
長い黒髪で多くて堅そうな髪だ。
バリカンと自分の剃刀のセットを台の上に並べて、用意をしているが加代には全く判らない。
合田が衣服を脱ぎ捨てて、褌も脱ぎ捨てて全裸に成って加代の足を持った。
「欲しいのか?」と尋ねる合田に微笑んで頷く加代。
足を持つと、大きく成ったペニスを加代に見せると「頂戴!」と嬉しそうに叫ぶ。
加代の愛液で塗れた膣口に挿入すると、目を瞑って「うぅ、うぅ」と言う。
直ぐに、半吉の持ったバリカンが加代の額に入るが、気が付かないのか「あっ、あっ」と嗚咽を出す。
半吉は額に何度もバリカンを入れて、刈り取ると長い黒髪が床に落ちる。
後ろは刈れないので、額の部分だけがどんどん髪が無くなって短く成っていった。
「ああーー、いくーー」と大きな声を上げて、終わる加代はそのまま気を失う程逝った。
合田も同時に終わっていた。
「中々面白い趣向だったな」と褌を着けながら微笑む合田。
目の前の加代は額の髪が無くなって異様な頭に成っている。
絹代が腕に注射をして「これで朝まで起きないわ、綺麗にしてやって」と言うと長治郎が縄を解いて、美代が剃られた椅子に加代を座らせる。
半吉がバリカンで残りの髪を刈り上げていくが、誰かが身体を支えていないと頭が落ちてしまう。
しばらくして、綺麗に坊主にされた加代は、剃髪はされずにそのまま布団に寝かされて朝まで眠るのだった。
翌日に成るともう合田は、次は神崎華が欲しいと思うが、実際一度見てみたいと思う。
飛田を呼びつけて、自分が一度お詫びに行くから、段取りをする様にと命じる。
昨夜の加代の言葉で、華の姿をどうしても見てみたいと思うと、もう止める事が出来なく成る困った性格の合田だ。
翌朝座敷牢で目覚めた加代は、頭に手をやって丸刈りに成っているのに、半狂乱状態で「約束が違う!」と叫ぶが誰もいない。
しばらくして収まった頃を見計らって、絹代とみつが朝食を持って現れて「約束が違うじゃないの」と怒ると「昨夜は先生が半分狂って、何でもして欲しいと言ったのでね」と絹代が言うと「男が貰えるなら、頭も丸めるから早く入れてって叫んでいたわ」と言われて「言わない!」と怒るが、記憶の中には確かに男を求めたと思い出していた。
生唾
25-027
朝食の中には媚薬が混入されて、我慢が出来なく成る作用の薬が入っている。
加代は知らずに食べ始めると「尼さんは、客を取る前に成って貰うからね」と絹代が言う。
「。。。。。。。」無言で食事をするのみに成る加代だ。
これから毎日、調教が行われやがてSEX人形にされてしまう事をこの時は知らない。
そして、統べての調教が終わると尼にされて、美代の様に素直に成って毎日の様に男を喜ばせる様に成ってしまうのだ。
合田は強引だったので、加代が留守の時に誰が神崎の自宅に教えに行くのかを確かめていた。
須藤が幸さんが入院されたので、自分が工藤の代わりに纏めて一日行く様に成ったと教えてくれた。
そして、その曜日は今日の三時から二時間に成っていると云うので、確実に自宅に華は居ると確信をして向かう事にした。
手土産を持って、青柳の上司で最高責任者と云う名目で向かった合田。
だが、神崎弥太郎は急用で出掛けてしまった。
七十三歳の迫田が体調を崩して、現場で倒れて病院に担ぎ込まれてしまったのだ。
弥太郎の右腕的存在の迫田が倒れたのは(檜屋)には一大事の出来事だった。
神戸と迫田が先代からの、重鎮でこの(檜屋)を支えて居るからだ。
合田の訪問に驚く家人達、麻が応対をして合田は先日の青柳の無礼を詫びて、果物の詰め合わせを持参したが、幸が入院中と聞いて「お嬢様には、お姉様がいらっしゃると聞いていたのですが?さぞお寂しい事でしょう、一言お目にかかってお詫びを申し上げたい」と切りだした。
麻には断る理由も無い、それと幸と異なって華は最近では要人とは積極的に会わせて、今後の縁談等のお願いもしていたのだ。
相手は陸軍の基地の最上官の大佐だから、会わせても良いだろうと考えて「今、習字の勉強をしておりますが、呼んで参ります」と言うと家人に、華を連れて来る様に話した。
世間話と、分隊の話をしばらくして時間を待つ合田には、もの凄く長い時間に感じた。
しばらくして、華が応接間の扉をノックして入って来た。
ピンクのワンピースに身を包んだ姿を一目見た合田は、固まってしまった。
「神崎華と申します、初めてお目にかかります、どうぞよろしくお願い致します」とお辞儀をした。
ぼんやりと見とれている合田の背中を、つつく飛田少尉に気づいて「陸軍大佐、合田重吉です」と堅い挨拶をしてしまう合田。
直ぐに、乳母の児玉がコーヒーを持参して、華にお盆を手渡すと「どうぞ、お召し上がり下さい」と二人の前にコーヒーのカップを、白魚の様な指で置いた。
この動作にも固唾を飲んで見守る合田、側に居た飛田の耳には生唾を飲み込む音が聞こえたのだ。
「ごゆっくり、失礼致します」とお辞儀をしてお盆を持って部屋を出て行く華。
その扉を見ている合田は、再びぼんやりとしているので飛田が「美味しそうな匂いですね、大佐」と呼びかけて初めて我に返る。
しばらくしてコーヒーを飲み干すと、夢遊病患者の様に神崎の自宅を出て行く合田。
車に乗り込むと同時に「見たか、見たか」と言い出すので「はい」と答えると「妹を少し美しくして、色気を与えたらあの様に成るな、でも妹よりは数段身体も良い感じだ」と涎が出そうな合田だ。
基地に帰る車の中で飛田少尉に、何度褒めたのか判らない程だった。
「さあ、出るのよ」と座敷牢から出される加代、朝食も昼食にも媚薬が混入されて、身体が温かく成っている加代。
長襦袢一枚を着せられていても、寒いとは感じていない。
「そこに横に成るのよ」とベッドの様に成って居る台を指す絹代。
みつと長治郎が絹代に付いて来て、台の側で待っている。
「可愛い頭に成ったじゃないか」と絹代に言われて睨み付ける加代だ。
「怒らなくても、直ぐに気持ち良くしてあげるよ」
「。。。。。。。」
「俯せに成るのよ」と言われて台の上に上がって俯せに成ると、直ぐに長治郎が両腕を重ねて縄で縛り出す。
肘から手首までを重ねて、縛られると台の下から出ている縄に結び付ける。
今度は腰に縄を巻き付けると、背中で結んで天井から垂れた縄に結び付ける。
そして引っ張ると腹ばい状態で、頭が下がって、お尻が後ろに付きだした加代。
「何、何するの?」と怯えだした加代の足を、台の側面から縄で両方から縛り固定する。
長襦袢を捲りあげる絹代が「お尻の穴も、マンコも丸見えだわ」と笑う。
「何、するの?」と尋ねる加代に「お尻の検査だよ」と言うと「いやー、止めて」と叫びだした加代。
「そうなのか?昨夜は男根が欲しいと大変だったのに、今日は要らないのかい」
「。。。。。。」無言の加代。
加代が座敷牢の奥に在る便所に行った時に観察されていた。
体調、生理を始めとして、排便によって体調管理をしていたのだ。
捕らえた遊女の総てを知って、次の仕込み方を講じるこの女達は、恐い存在で女の総てを知り尽くしていた。
座敷牢は二つ在って便所が中央に在るので、もしお互いが知っていたら、便所の壁の処で話が出来るのだが中の女達は知らない。
この座敷牢で、調教を積んで従順に成れば客を与える仕組みだ。
殆どの女は一ヶ月程度で従順に成る。
麻薬を使う事も時には有るが、中毒に成って今度は与えなければ働かない様に成ってしまう。
美代も半分は中毒状態に成っている様だ。
加代は俯せの状態で、お尻を後ろに付きだした状態で再び二人の女に調教されようとしていた。
みつが指にワセリンを浸けて、加代の肛門の廻りをマッサージしている。
「いやーよ、お尻は趣味無いわ!止めて-」と声が大きく成るが、お構いなしだ。
金子の策略
25-028
「何、いやー、やめて」と言う間に中指が加代の肛門に滑り込む。
「うぅ」「うぅ」と首を振るが、みつの指が第二関節まで挿入されて「痛い!」と言い出す加代。
「どう?使える?」と横から尋ねる絹代が、加代の肛門を真剣に見つめている。
今度は指を中で左右に動かすみつ「いー、あー止めて」と口走る加代には痛みと快感が入り乱れて不思議な感覚に成っている。
それは、みつの指にはワセリンと一緒に、麻薬成分の媚薬が入っていたから、直腸から少しずつ身体に吸い込まれていくからだった。
この様にして本人が気づかない間に、どんどんと調教が進んで行く。
しばらくして、無毛の小陰唇も潤いを持って来たので、再び随喜を挿入する絹枝。
「うぅ」と反応を示す加代だが、それが昨夜の随喜だとは判らない。
「今日は、長さんの逸物をご馳走してあげてね、忘れられなく成るだろうから」と随喜の根元を持って微笑む絹代。
「うぅ、もう許して」と頭を上下にさせて、感じているのが判りだした。
膣から随喜のエキスが染み込み、腸からは麻薬成分の媚薬が浸透して、随喜からポタポタと加代の愛液が流れ出してきた。
頃合いを見計らって長治郎が着物を捲りあげて、褌から自分の物を出すと「いつもながら、長さんの物は惚れ惚れするね」とみつが言う。
黒光りの隆々としたペニスは大きくて硬そうだ。
「じゃあ、後は成仏させて」と随喜を抜き取る絹代と指を抜き取るみつの二人だ。
大きく緩んだ加代の膣口に、長治郎が加代の腰紐を持ってぐいっと押し込むと「ああーー」と声を上げて、同時に頭も上に上げて嗚咽を出す加代。
やがて長治郎の腰の動きに合わせる様に「ああー」「ああー」とリズムを奏でる加代に変わっていた。
しばらくリズムが続くと、長治郎の腰の動きが速く成って「ああーだめー、ああーだめー」「いくーいくー」と大きな声を上げると天井を見る程仰け反って、今度は大きく前に倒れて気を失った。
「逝ってしまったわ」
「長さんの物で逝かない女は居ないね、腰の動きと大きさ、硬さが堪らないのだろうね」と羨ましそうに言う絹代だ。
昨日から毎日の様に、責め立てられて徐々に日課に変わるのだと、気を失った加代に呟く絹代だ。
一方神崎の(檜屋)でも一大事が起こっていた。
病院に担ぎ込まれた迫田の容体が悪く、持病の心臓病の悪化で医者が、もう一度発作が起こったら助からないだろうと弥太郎に話していた。
薬で多少落ち着いた迫田が、大番頭の神戸を呼んで欲しいと弥太郎に伝えて、弥太郎は急遽神戸を病院に呼んでいた。
二人だけにして欲しいと迫田に言われて、神戸と迫田が真剣な今後の(檜屋)に付いて話をした。
迫田は神戸に決して楽観出来る状況には成っていない、木材の需要が伸び悩んでいるのと、我々の後の後継者が育って居ないと力説をした。
迫田は自分の後は本来なら武田が引き継ぐのが筋だが、彼は心許ないので神戸の兼任と優秀な人材を捜して欲しいと神戸に伝えていた。
自分の遺言の様な言葉に、武田を後継にしないと判ったら困るので内密で話をしたのだ。
武田の性格を知り尽くしていた迫田の配慮だった。
迫田は神戸以外の人には一切話さない、勿論弥太郎にも話をしていなかった。
翌日榊そめは道後温泉での米寿の祝いを終わって帰ってきた。
幸の姿が見えないので、麻の元に尋ねに行くと「榊さん、悪いけれど明日から、大学病院に行ってくれない?」といきなり言われて尋ねると、麻は言いたく無かったが、他から聞こえるとまた問題に成ると思い詳細を話す。
驚く榊が「奥様、今回のお嬢様を誘惑した青柳に手を貸したのは、工藤先生で御座いますよ」と言い出した。
話を聞いて驚く麻は直ぐに、工藤先生の教室に榊と店の者を伴って向かった。
だが工藤の教室に居た渡辺晶子は、東京に行かれて一ヶ月程は帰らないと伝えて、麻は真実を確かめられずに帰って行った。
翌日から榊は大学病院に行く事に成って、幸の変わり果てた姿に涙を流すのだった。
合田は、翌日から毎日の様に金子に電話を初めて、予想はしていたがこれ程子供の様に欲しがるとは考えもしなかった金子だ。
幸田に(檜屋)をもう少し詳しく調べる様に指示をして、自分は遊郭で毎日を過ごす。
加代は四日連続で、調教されて五日目には生理に成って調教が休みに成る。
病院に入院中の迫田がもう長くは無いと、幸田が調べて来て迫田が居なければ(檜屋)を崩せる可能性が有ると、金子は遊郭で遊びながら、幸田の知り合いの探偵二人を新に雇い入れてもっと詳しく調べさせる。
合田の為というよりは自分に為に変わっていた。
毎夜遊郭の女と遊んでいると、新鮮な女をそれも神崎幸を思い出して、幸より美しい華に興味を持ち合田よりも自分が欲しいと思う様に成って居た。
数日後新しく雇った新村が、特上の情報を持って来て金子は一気に作戦を考える事が出来たのだ。
新村の話では、迫田の後継者の予定だと思っている武田が、もし自分が後継に成らなければ、もう(檜屋)を辞めてやると飲み屋で話していると聞き込んできたのだ。
金子はこの武田が(檜屋)の今後を大きく変える可能性が有ると思い出す。
(檜屋)は迫田の会計、神戸の営業の二本柱で成り立っているので、片方が崩れると神崎夫婦は牙を抜かれた虎の様な物だ。
大手の銀行の頭取に狙われると、色々な罠を仕掛けて危ない状況に成る事は確定してしまうのだ。
その迫田の容体が急変したのは数日後の事だった。
喪服の華
25-029
覚悟はしていたが、神崎弥太郎には大きな痛手に成っていた。
迫田はそのまま、心臓病の悪化で七十四歳の誕生日を数日後に、眠る様に亡く成ってしまった。
翌日(檜屋)の社葬に成って、市内のお寺で通夜、葬儀が行われる事に成った。
葬儀委員長は神崎弥太郎、喪主は妻迫田福が勤めて、神崎家の面々も通夜、葬儀に全員が参列した。
その中でも華の喪服姿を見て、通夜に参列した合田の興奮はピークに達して、鼻血を出したから同行の飛田が驚いた。
通夜で見た合田は翌日、金子に連絡して「俺は今日の葬儀にも行く、頭取も一緒に行こう、華の喪服姿は最高だった」と葬儀とは全く関係の無い話しをして興奮する。
沢山の参列者の中に入れば判らないから、金子も変装をして見に行こうと思う。
合田には飛田少尉が「大佐が民間の従業員の葬儀に、通夜と葬儀に参列する事は御座いませんが」と言われたが「そうか、でも(檜屋)には内の軍の兵士が多大な迷惑をかけたではないか!」と言って参列に意欲を見せた。
流石に飛田少尉は呆れて、自分が遊ぶ為に罠に陥れて、その始末を部下に押しつける。
青柳の両親が遺体を引き取りに来たが、会う事も避けたのにこの男は女以外に興味は無いのか?と驚いてしまう。
機会を見て、青柳の仇を討っても良いのでは?とさえ考え始める飛田少尉だ。
金子は大勢の参列者に紛れ込んで、華を見に行った。
偶然だろうか?丸菱銀行との取引が無く、関係者が来ていなかったのが救いだが、ライバル銀行の頭取連中は参列していて、その中の(檜屋)のメインバンクの大阪第一銀行の柳井に見つかっていたが、柳井は敢えて声をかけなかった。
柳井は金子が(檜屋)の偵察に来ているのだと思ったからだった。
まさか、神崎華の喪服姿を見に来ているとは思いもしていない。
合田は悠然と華の近くで参列をしているが、金子は一般客の中で中々華を見る事が出来ない。
僅かな隙間から見た華の姿に感動して「美しい!」と口走る金子だった。
合田は弥太郎から、再三参列頂きましてと丁寧にお礼を言われて、近くで華の姿に見とれて焼香を忘れる程だった。
夜に成って(尼御殿)に来た合田が「見たか、金子さん、俺は近くに居て、下半身が痛くなったよ」と笑いながら話すと「大佐は近くで見たから良かっただろうが、私は遠くて二、三度程しか見られなかったよ」と残念そうに言う。
「俺は興奮して今夜は眠れないから、ここに来たのだよ、加代でも抱こうかと思ってな!」
「大佐、残念だったな、今は月の物で休みだよ」
「そうか、残念だ」
「それに、今夜は(尼御殿)は満員御礼だよ、諦めなさいよ」と言われて、尾山を呼びつける合田だ。
しばらくして、尾山がやって来て「ここは満員ですが同業の(梅屋)では、今から逃げ様とした遊女のお仕置きをするそうですよ、気晴らしに見学されては?」
「美人か?」
「顔は見ていませんが、十八歳の女の子だそうですよ」と教えて貰って、金子と二人で見学に行く事にする。
数日後、新村から金子に迫田の後任は神戸が兼務で、武田が飲み屋で暴れていましたとの報告をもたらした。
金子は絶好のチャンスだと、新村に武田に近づいて一度ここに連れて来る様にとの指示を出した。
五十歳の武田には、今回の人事が最後のチャンスだと思っていたので、失望と怒りは相当溜まっていた。
人事が決まってからは毎夜の様に飲みに行って、自宅に帰るのは遅い武田に新村が飲み友達に成った様に近づいて行った。
二、三度会うと愚痴の連続に成って、仕事で会っている新村でも嫌に成ってしまう。
三度目には偶然を装って幸田も合流すると、益々武田の愚痴は大きく成る。
頃合いを見計らって、武田を遊郭に連れ出す二人、遊郭は興味が無いと言う武田に「普通の遊郭の女を抱くのでは有りませんよ、今仕込み中の女を見物して抱けるのですよ」と持ちかけると興味を持ったのか?酒の勢いなのか?誘いに乗ってやって来た武田だ。
「この調教を見学出来るのは、特別なお客さんだけですよ」と言われて興奮を覚える武田。
罠に填ったとは思ってもいない。
イガグリ頭の加代を見ても最初は気が付かない武田。
「さあ、今夜は新しいお客さんに。接待をするのだよ」と絹代が新村、幸田、武田の前に加代を連れて来る。
目が少し変な状態に成って、薬が身体中に浸透しているのが判る。
「さあ、ご奉仕を始めなさい、そうすれば貴女が欲しい物を頂けるから」加代がここに連れて来られて、しばらく経過していた。
「武田さん立って下さい、この女が今からご奉仕を致しますから」と絹代が言う。
酔った勢いも有るので立ち上がる武田、ズボンのベルトを緩め始める加代。
ズボンを脱がすと、直ぐに褌の前を掴むと「うぅ」と武田が呻る。
「優しくしなさい」と絹代に言われると跪いて、褌の横から武田のペニスを引き出して手に持って動かし始めると、直ぐに口に咥えて目で武田の顔を見上げて「美味しい」と口走ると口の動きを早くした。
「あぅ、ああー」と感じ始める武田。
すると、長襦袢を脱ぎ始める加代。
全裸に成ると、直ぐに隣の部屋の布団の上に武田を誘う。
元気に成っている武田はもう我慢が出来ないので直ぐに加代に乗りかかると、大きく足を開く加代は武田の物を受け入れる。
「ああーだめー、いくー」と大きな声を出す加代だが、これも絹代達に教え込まれた男を喜ばす技のひとつだ。
しばらく腰を動かしていた武田が「うぅー」と言って、発射をしてしまう。
加代はまだ不満そうな顔で、終わった武田のペニスを紙で拭き取っている。
「何処かで、見た様な気がするな?」とようやく冷静に成った武田が、加代を見て行ったが「他人の空似でしょう」と絹代が誤魔化した。
「次回は、この女の調教をお見せしましょう」と絹代に言われて、期待して帰る武田だった。
太い筆
25-030
数日後ようやく金子は銀行に戻って、工藤の教室に使いを送って加代が当分帰れない状況に成っているので、東京で新に教室を開いたと連絡をしたのだ。
理由は丸田支店長の事件で今も憲兵が調査を行っているので、しばらく東京の個展開催も延期にして、東京で自分の後援で教室を始めると話した。
地元の教室は須藤と渡辺に任せると、加代の手紙を添えて手渡したのだ。
絹代に言われて二人に宛てて書いた手紙だから、怪しまれる事はなかった。
憲兵の監視が有るのでしばらく身を隠すから、二人で頑張って教室を運営して欲しい、自分は別の場所で頑張ると書いて有った。
二人は実質的には教室を加代から譲られた形に成って、当面の資金だと金子の用意した五千円を手渡されて「判りました、頑張ってみます」と答えていた。
これで工藤書道教室はこの世から消え去って、金子も合田も悪の痕跡を消し去った。
丸田支店長の事件は強烈に関係者の脳裏に残っていたから、直ぐに二人はこれを利用して悪事を考える。
数日後、武田はこの事件を材料に、追い込まれて行く事に成っていく。
会社での立場が悪く毎日やる気の無い態度を見せるので、神戸は益々武田の態度を注意する。
そうなると益々、仕事から逃避で飲みに出る回数が増加して、新村達に上手に誘われて再び(尼御殿)に誘われる。
だが今回は罠が待っていた。
「武田さん、前回楽しんだ女を、今夜はもう一度泣かしてみますか?」と新村に言われて「何か面白い趣向が有るそうですよ」と幸田も武田の興味をそそる。
地下室に連れて行くと、加代が直ぐに連れて来られて「お客様だ、ご挨拶をしな」と言われて、いきなり武田の処に来てズボンのベルトを緩める。
「おいおい、いきなりか?」と隣の新村が笑うと絹代が「先日のお客さんだと覚えているのですよ」と言うと既にズボンを脱がせて、褌の上から武田のペニスを掴む。
しばらく、触って大きく膨張する武田のペニスを確認すると絹代が「さあ、練習を始めるよ」と言うと、みつが加代の長襦袢を脱がす。
武田はいきなり触られて興奮をしたのに、加代を連れて行かれて少し不満だったが、目の前に大きな書道用の紙が広げられて「さあ、先日練習したでしょう?御主人様にお見せするのよ」と絹代が言うと、目の前に少し太い筆を持って来る。
「貴女は得意でしょう?」と絹代が言うとたねが太い筆を持って、加代の前に中腰に成って「足を開いて、この筆を咥えるのよ」と言われて少しだけ足を開く加代に「もっと大きく開くのよ!」と絹代が加代の尻を叩く。
ゆっくりと足を開く加代、たねが筆を加代の無毛の陰部を左手で引っ張って広げる。
「いゃーやめてー」と言い出す加代だが「練習したでしょう、さあ咥えるのよ」と膣に挿入して「落としたら駄目よ、しっかり力を入れるのよ」と言われて銜え込まされた加代。
みつが墨を入れた小さなバケツを持って来て「これよ!」と指で示すが、バケツの手前で落ちてしまう筆。
「何をしているの!もっと締めるのよ、教えたでしょう」と小さな紙の束で加代のお尻を叩く。
「痛い!」と手でお尻を押さえる加代、白いお尻が赤く色づいている。
再びたねが筆を挿入して、バケツの処まで行くとバケツに筆が入って、墨がしみ込むと重くなって加代の顔に力が入る。
辛うじてバケツから筆を執りだしたが、文字を書く前に紙の上に落としてしまう。
その様子を見て武田が小声で幸田に「あの女、本宅に書道を教えている先生では?」と話した。
「そうなのか?」惚ける。
「確かにあの女だ、美人で俺は興味があったのだ」と話した。
幸田は武田の今の言葉で、安心顔に成ってみつを呼んで耳うちをする。
「流石は武田さんだ、その女性に間違い無い、近くの部屋に行って待っていたら来るらしい!楽しんで」
「そうか、あの先生か?髪が無いから判らなかったけれど、筆で思い出したよ」と嬉しそうな武田だ。
「先生、もっと練習しなければ、人前に出せないわね」と絹代が言うと、みつが加代を風呂に連れて行く。
武田は地下から出て、部屋に入るとお酒に簡単な肴が用意されて、若い尼頭巾の女が「酌をしますわ、お姉様は今お風呂です、待ってね」と言うと、武田は嬉しそうに酒を飲み始める。
そのころ、加代は風呂場でせせりをされて身体が、燃やされている。
「随喜のサックで掻き混ぜられると、もう男無しでは眠れないだろう?」
「うぅ、うぅ」とタオルで口を猿轡にされて、声が出せない加代。
もう何も考えられない状態にして、武田に抱きつかさなければ、変な事を喋る可能性が多少残っていたからだ。
「さあ、これで充分よ」と掻き回した指を加代の膣から抜き取ると、愛液がサックにはべっとりと付いて、猿轡を外すと「下さい、早く」と口走る加代。
「さあ、待っているから、行くわよ」とみつに素っ裸のままで、連れて行かれる加代。
「早く、欲しいの」と言いながら付いて行く加代。
「ここよ」と襖を開くと加代を放り込むと「あっ、旦那様」と武田を見つけて抱き着く加代。
若い女性はみつに手招きされて部屋を出て行く。
全裸の加代に抱きつかれて「先生ですよね」と聞く武田に返事もしないで、股間を握る加代。
「早く、脱いで」とズボンのベルトを緩めて、脱がせる。
褌の上から掴んで「早く!欲しいの」と言う加代に「先生、元気にして欲しいな」と言う武田。
褌を素早く外す加代は、武田のペニスにしゃぶり付く「ペチャ、ペチャ」と音を立てて、アイスキャンデーの様に舐め回す加代。
「あっ、うぅ」と大きく成った武田のペニスを見て「さあ、入れて」と変な眼差しに成っている加代。
その頃数人の憲兵が玄関から入って来て、待機をしていた。
仕組まれた放火
25-031
「ああー、いいわー」
「そうか、先生」
「いいー、いいー」と武田の腰の動きに合わせて声を出して興奮の加代。
しばらくして武田は、加代に吸い取られる様に発射して果てる。
「もう、終わったの?」と不満顔の加代だ。
「先生、何故こんな店に?」と尋ねた時襖が開いて「ここに居たぞ、逮捕しろ」
「お前は仲間か?」いきなり憲兵に踏み込まれて、裸の武田は驚きの表情に成っている。
「隊長、この工藤加代は狂っています」と報告すると「狂った女は必要無い、その男を連れて行け、丸田の仲間だろう」と隊長と呼ばれた男が言う。
「私は関係が無い、唯の客だ」
「本当なのかは取り調べで聞く、連れて行け」と言われて、ズボンを履けと言われて慌ててズボンを履く武田。
部屋を出た時にもう一人の探偵沢木が「憲兵の方、この男は私の知り合いで、怪しい男では有りませんよ」と言い出して「貴方は何方だ」と憲兵の隊長と呼ばれた男が尋ねると名刺を差し出す。
「京屋木材の専務さんですか?」
「はい、こちらの方も檜屋さんの常務さんの武田さんですよ」
「そうなのか、嘘ではないな」と聞かれて沢木も武田も声を会わせて「はい」と言う。
「そうなのか、たれ込みは間違いだったのか?この女も変な女だと思っていたのだ、習字の先生が坊主で男に抱きつかないか!はい、その通りで御座いますよ」といつの間にか尾山が出て来て言うと「騒がせた、楽しんでくれ、だが今の話が嘘の場合は首が飛ぶから、覚悟しておけ」と言うと憲兵は部下と一緒に出て行った。
柳田少尉が憲兵の隊長の役をして、芝居が終わって笑いながら帰って行った。
騒ぎが収まると武田が沢木に「どうもありがとうございました、助かりました」と礼を述べた。
「武田さん、飲み直しましょうか?」
「はい」と二人は部屋を変わって飲み始める。
「助かりました、沢木さんは私をご存じでしたか?」
「檜屋の常務さんの武田さんを知らない訳ないです」
「いやー、私は常務では有りませんよ、課長ですよ」
「えー、課長さんですか?迫田専務の後任には武田さん以外は無いと思っていました」と持ち上げる沢木。
しばらく話をしてから、武田さんの様な優秀な方には、内の京屋木材に欲しい位だと話し出す。
次回に条件を話会おうと、意気投合で別れる武田だった。
数日後(檜屋)の近くに行くと連絡をして、沢木がやって来て「先日、憲兵から問い合わせが有りましたよ」
「それで?」
「大丈夫ですよ、もうすぐ我が社に来られる方ですと説明しました」
「ありがとうございました」とお礼を言う武田に「もう我が社に変わられる事は決められましたか?」
「沢木さんには再三助けて頂いていますから、移動しない訳にはいきませんな」
「そうですか、それは有り難い、でも長い間勤められたのに冷たい仕打ちですね、難いでしょう?」
「はい、もう腸は煮えくり返っていますよ」
「それじゃあ、最後に我が社の為と武田さんの恨みを晴らす為に、倉庫に火を放つのは如何でしょう?」
「えー、そんな恐ろしい事は出来ません」と驚く武田だ。
「そうですか、我が社も檜屋さんは目の上のこぶですから、痛手を期待したのですがね」
「見つかれば、死刑ですよ」と怯える武田に「憲兵に言った事はどうしましょう?」
「そんな、無茶な事」
「私も、社長に推薦するのに、何か手土産が欲しいのですがね」
「帳簿なら、持ち出せますが火は無理です」
「じゃあ、私がやりますので手引きして貰えませんか?」
「出来ません、お断りします」と武田は断って別れたが、翌日神戸に最近の行動に苦言を言われて「覚えておけ、俺を馬鹿にすると、泣きを見るぞ」と怒りに燃える。
数日後金子に再び、作戦を授けられて幸田達が再び武田に会おうとすると「例の話、受けますよ、月末の土曜日の夜、倉庫の鍵を開けておきます」と言い出して「帳簿も持参する」と言って来た。
金子に幸田達は、新たな作戦は必要無かったです、月末の土曜日に放火出来そうです。と言って来た。
帳簿も持って来てくれるので、金子は(檜屋)を自由に出来ると喜んでいた。
迫田の居ない(檜屋)は、金子の手の平に乗った様な物に成ってしまう。
土曜日の夜(檜屋)の材木倉庫に忍び込むと、幸田達三人は予定通り放火に成功して、大変な騒ぎに成った。
倉庫の火事に神戸は鎮火の為に、奔走して大火傷を負い病院に運ばれてしまった。
神戸は病床から「放火です」と警察と弥太郎に訴える。
そして、犯人は倉庫の鍵を自由に扱える武田が疑われた。
直ぐに、幸田達は武田が放火したと噂を大きく流して警察を動かす。
火事は丸一日燃えて、倉庫の材木は灰の山に変わってしまった。
日曜日に逃げ様とした武田の自宅に、警察が殺到して逮捕されてしまった。
武田は、京屋木材の沢木さんと土曜日は一緒に酒を飲んでいたので、倉庫には行かなかったと証言したが、警察の調べで京屋木材には沢木と云う者は居ないとの結果が出て武田は気が付いたが、町村憲兵曹長から私達の調べでは、放火の犯人は武田に決まった。
引き渡しを要求してきたので、月曜日には憲兵の手に渡った武田の身柄だった。
弥太郎は焼け落ちた倉庫に佇んで呆然として、今後はどうすれば良いのだと途方に暮れていた。
(檜屋)を立て直す為には百万のお金が必要だと、病床の神戸が弥太郎に伝える。
初任給七十円の時代の百万は、弥太郎にも大金だったがやり繰りをすれば何とか出来る額だったが、取引先が次々と取引を考えると言い出したのだ。
金子が手を廻して取引を、出来ない様に工作を始めたのだ。
金子は、この火事を契機に(檜屋)を追い詰め様と次々と裏工作を進める。
神戸は入院、迫田はこの世に居ない上、武田は憲兵に連れて行かれた。
殆ど経営を任せていた弥太郎には、この窮地を抜ける術を殆ど知らないから日を追う事に不安が広がる。
従業員は、蜘蛛の子を散らす様に退職をして、翌月の半ばには従業員の四分の一が退職をしてしまった。
自宅でも弥太郎は不安を口に出し始めた。
麻も華も不安に成ってくるのを、成るべく言わずに落ち着こうと努めていた。
加代の艶技
25-032
憲兵に捕らえられた武田は、翌月の半ばには拷問の末、牢で亡くなってしまった。
合田は金子に「上手く進んでいるな、流石は頭取さんだよ」と褒め称える。
「合田さんの思いを遂げさせる為には、苦労をしますよ」と言って笑う。
「あの、美人の華は狂わせる訳には行かないな」
「その為に今回は危ない橋を渡りました」
「後、何日だ!」
「合田大佐、三ヶ月は必要ですよ」と金子が言う。
「三ヶ月もこれからかかるのか?」
「早くて!ですよ!」と金子が言うと「待ちきれるかな」と笑う合田だ。
誘拐をして無理矢理の調教とか、強姦をすると再び狂うので、今回はその手を使わないと決めている二人だ。
金子はメイン銀行の大阪第一銀行に、悪い噂を流して融資をしない様な工作をする金子は、販売と融資の両方から締め上げる作戦をしていた。
今取引は行っていないが、最後は丸菱銀行が資金を融通すると云った筋書きを描いている金子だ。
「困った、困った、大阪第一銀行が資金を融通してくれない」
「土地を売れば良いのでは?」と麻が簡単に言うが、不思議と買い手が居ないと云うか、不動産業者が渋い顔をするのだ。
ここにも金子の手が廻って、業者がそっぽを向く。
殆ど事業に目を向けていなかった弥太郎には、迫田と武田が居なくなって全く判らないのだ。
神戸は仕入れと営業には精通していたが、会計、資産管理は素人に毛が生えた程度なので、裏工作を見抜く事が出来ない。
病院のベッドから指示を出すのは、仕入れと販売の事で精一杯で、資金繰りまで手が廻らないのが実情だ。
普段殆ど家業に関心の無い華でも心配に成る程の、弥太郎の慌て振りだ。
麻の実家にも金子は手を打つ事を忘れていなかった。
実家は名家だが、今は過去の名声だけの部分が大きく、金子の簡単な策略で中々援助が出来ない状況に成った。
そんな弥太郎に、相場の話を持ちかける金子の手先、昔父弥次郎が米相場で儲けた話は目の当たりに見て居たが、弥次郎は息子に「お前では、無理だから相場には手を出さない様にな」と言っていた。
弥太郎は自分に才覚は無いとは思っていたが、再三の誘いと少しでも増やそうと考えて話に乗ってしまった。
増本と云うプロの男は、僅かな弥太郎の投資金を五倍にして喜ばせたのは半月後の事だった。
大いに喜ぶ弥太郎、もっと沢山投資をすれば利益は大きいと誘う増本だった。
合田と金子は久々に(尼御殿)に招待をされて、加代の調教の成果を目の当たりにしていた。
「大佐今夜は明日からの顔見せの為に、仕上げの成果をご覧頂こうと招待いたしました」と尾山が二人に口上を述べた。
「さあ、明日から店に出て貰うので、今夜は綺麗に剃髪も行います」と絹代が二人の側に来て言う。
昼間から薬を与えられて、加代は既に感度が最高に上がっている状況で目の前に登場した。
頭髪は少し伸びて坊主と云うよりも長い状態。
目は虚ろで、身体が燃えているのが合田達にもよく判る。
長襦袢を脱ぐ様に指示を受けると、直ぐに脱ぎ捨てて全裸に成って跪いて、丁寧に二人にお辞儀をする加代。
「何を頼むのだったかな?加代」と絹代に言われて「御主人様の男根を、頂きたいので頑張ります」と言った。
「おお、凄いな」
「全くだ」と二人は手を叩いて喜ぶ。
「加代、椅子に座って、綺麗にして貰いなさい」と絹代が中央の椅子を指さすと、躊躇いも無く腰掛ける加代。
半吉が手にバリカンを持って待っている。
座ると同時に、タワシの様な堅い黒髪に手動のバリカンが入っていく。
「ギゴ、ギゴ」と云う音と同時に、加代の額から刈り上げ始める。
頭に白い筋がバリカンの動いた跡に残って、加代の乳房に刈り取られた髪が落ちていく。
しばらくして「前に頭を下げろ」と半吉が命じると素直に頭を下げる。
襟足からバリカンが刈り上げると、綺麗に坊主頭に揃えられて、加代の頭が出来上がった。
つねが、その横で剃刀を並べて準備して、シャボンを刷毛で加代の頭に塗って真っ白に成る。
剃刀が加代の頭を剃りあげ初めても、全く抵抗はしない加代に変わっていた。
剃り慣れているつねは剃刀を交換しながら、綺麗に青々と加代の頭を仕上げて行く。
「加代、頭が綺麗に成ったら、練習の成果を見せるのよ」と絹代が言うと「はい」と返事をする。
しばらくして青々と光る頭に成った加代に「おお、綺麗に成ったな」と手を叩いて笑う合田。
今度は床に大きな習字の紙が並べられて、小さなバケツに墨が用意されると「自分の名前を書きますよ」と絹代が言うと、足を大きく開いて絹代の前に来る。
絹代は太い筆を用意して、腰を屈めると「さあ、咥えてごらん」と言って膣に挿入した。
恍惚の顔を見せる加代は、青い頭が光って不気味にさえ見える。
上手に筆を締め上げて、移動して墨のバケツに向かうと、筆に墨をたっぷりと付ける。
中央の紙の場所迄、墨をぽたぽたと落としながら進むと、大きく(か)と書き始めて合田が「流石は習字の師範だ、上手だ」と手を叩いて笑い転げる。
加代にはもの凄い労力が必要で、一文字書くだけで疲れてしまった。
「今日の文字はこれで終わりです」と絹代が言う。
「今度は、バナナを食べます」と言うと二人の目の前に加代は来て寝そべって、大きく足を広げて陰部を突き出す。
「お二人の旦那様に、バナナを切って差し上げなさい」と言われると、みつから皮を剥いたバナナを受け取る加代が、自分の膣に挿入している。
それを間近で凝視している二人、狂った加代の目は笑っていた。
巧みな話
25-033
「お前の、バナナ切りは面白かったぞ、俺の物を切るなよ」と言って布団の上で加代の青い頭を撫でながら言った。
微笑みながら、合田のペニスを口に咥えて大きく動かす加代。
「あっ、上手くなったな」と言う合田だが、我慢が出来なく成って、直ぐに加代の身体に乗りかかると挿入してしまう。
通常よりも早い時間で終わってしまう合田は、青い加代の頭を触って「お前は似合っているよ」と微笑んでいた。
一ヶ月後、弥太郎は上機嫌に成って「私は、親父に似て投資の能力が備わっていたのだよ」と増本に話していた。
家業の方は、売り上げが大きく落ち込んで、益々資金繰りが苦しく成っていた。
神戸は入院の穴埋めに全国各地を駆け回って、取引先の復帰に精力を注いでいた。
弥太郎が大きな勝負に出た事は誰も知らない。
知っているのは金子と増本の二人だけだ。
「そろそろ、準備は整ったな」と金子が微笑む。
「はい、尾山さんにも出掛けて貰って話を纏めましょうか?」と増本が笑う。
商品先物取引なので証拠金を積んで、その数十倍の先物の値段を取引をするのだ。
半月後、弥太郎は多額の負債を抱えてしまって途方に暮れる。
精力的に廻っている神戸には、口が裂けても話す事が出来ない状況の弥太郎。
落ち込む弥太郎に、取り立ての催促の日が迫ってくる。
頃合いを見計らって、増本が新堂支店長を伴って弥太郎に会いにやって来た。
「もう少し、待って欲しい」と言う弥太郎、工面先は閉ざされている事は知っている増本が新堂を紹介した。
「丸菱の新堂で御座います」と名刺を差し出すと弥太郎は「丸菱さんとは取引はしていないと思いますが?」と怪訝な顔の弥太郎に「これからお取引をお願いしたいと思いまして」と言い出す。
「実は、新堂支店長が会社の運転資金も、個人の資金も合わせて用立てして貰えると言われるので、今日一緒に来ました」と増本が言い出した。
「えっ、個人も会社も両方ですか?」
「はい、両方の資金をお貸し致します」
「会社の資金はともかく、個人の分も用立てて頂けるのですか?」
「はい、但し個人の分には保証人さんが必要ですがね」
「保証人?」
「はい、その保証人さんも当方で探しましたら、尾山さんと云われる旅館業の方が名乗り出られまして、将来神崎様がお持ちの財産で商売をしたいので保証人を引き受けて下さいました」弥太郎は自分が所有している田舎の土地か、山に旅館でも建てるのか?と解釈して「山も開拓すれば、良い旅館が建設出来ますね」と意味不明の答えをした。
神崎弥太郎の土地に担保を付けて、尾山の保証で百二十万の融資を行うと申し出る新堂。
神崎家の土地の価値はもっと沢山有るのだが、弥太郎には判らないのと、金子の策略で売却も担保も受け付けない状態に成っている。
弥太郎には夢の様な話だった。
自分の借金二十万と会社の当面の運転資金百万が有れば、この窮地は乗り切る事が出来る。
一日考えて返事をするとその日は二人を帰したが、夜に成ると「返済日は間近です」と催促の電話が相場関係者からかかる。
麻にやむなく相談をして、新堂が持って来た契約署を見せる。
麻は書類を見ても判らないが、尾山の契約書には旅館にて従業員として、一年間働く事と書かれて名前が記載されていた。
神崎麻、神崎華の二名の内一名が一年の年期明けまで、旅館で働く事に成っていた。
弥太郎は自分が利用している弁護士の木村に契約署を見せて相談をすると、内容には家族の方の同意が必要ですね、私が説明に行きましょうと話した。
「この尾山って人も調べて貰えるか?」
「はい、判りました、明日の昼にお伺いします」と木村が弥太郎に伝えた。
この弁護士木村も、金子に籠絡されていて話は総て作られていた。
弥太郎は父弥次郎に比べて、余りにも世間知らずで、迫田、神戸に任せていた。
それ程父弥次郎は偉大な人物で、その弥次郎が託した迫田、神戸も優秀な部下だった。
弥次郎がもう少し長生きをしていたら、スムーズに弥太郎に継承出来たのだろうが、突然の病から死去は大きな影響を残して、金子達の付け入る隙を与えてしまった。
翌日木村が自宅を訪れて、麻も華も同席を木村が伝えていたので待っていた。
「木村さん、尾山って人はどの様な方でしたか?」
「旅館を数カ所で経営されている、実直な方で、神崎さんのお持ちの地方の山、山林で風光明媚な場所に将来は旅館を数カ所に建設して、提携をしたいそうです」
「おお、私の思っていた通りだった」と弥太郎は微笑む。
木村は契約書を広げて「ここに、ひとつ難問題が有りまして」と指を指す。
「将来建設の旅館には、檜屋さんの材木を数多く使用した和風旅館を作りたいそうです」と言うと「それが問題なのですか?」と尋ねる弥太郎に「尾山さんは自分の旅館の仕事を知って貰う為と両家の信頼の証として、奥様かお嬢様に一年間旅館で働いて貰いたいとここに書かれています」
「えっ、旅館で働く?」と麻が目を丸くした。
勿論華も驚きの表情で聞いている。
「働くと申しましても、掃除とか炊事をするのではなくて、経営その物をご覧頂き、将来数カ所の旅館は檜屋さんの直営旅館として、経営をして欲しいと申されていました」
「それは、我が社の新規事業と云う事ですな」
「その通りで御座います、やはりこの様な事は身内の方でなければ、従業員さんでは無理で御座います」
「だが、家内と娘がなあ、息子の弥吉は?」
「長男さんは、この檜屋を立て直すのと、事業の継承に必要でしょう?それに旅館業はお持てなしの精神ですから、女性向きの仕事でございます、それにこれは十年二十年の将来の事で御座います、私的にはお嬢様を推薦いたします」
「華はしかるべき良い縁談が有れば、そろそろ嫁がせようと思っていたのだがな」と弥太郎が言うと「私には、商才は御座いませんわ」と麻が空かさず口を挟んで、拒否をする。
「うーん」と困り顔の弥太郎に木村が「実は、もうひとつ話が御座いまして、これはお話しない事だったのですが」
「何だね」
「尾山さんが今回このお話を希望されたのは、お嬢様の将来の縁談も有るのです」
「縁談?」
「尾山様の息子様で、重吉様がお嬢様をご覧に成られたのが、発端で。。。。。。」
「そうだったのか、ようやく理解が出来ました」と嬉しそうな顔になる弥太郎。
「木村さんも最初からその様に、話して貰えれば理解が出来ましたのに」と麻も微笑んで華を見た。
華は自分の縁談絡みの話だったのか?と多少安心顔に成っていた。
二人の目算
25-034
将来は親戚関係の旅館業の尾山、息子が見初めたとは云え、尾山自体は華を知らない。
一年間の期間で、華を見て嫁に相応しいのかも見たい気持ちも有るのでは?と仄めかす木村。
「その重吉って息子さんは、どの様な方でしょうか?私達は会えないのでしょうか?」と麻が尋ねる。
「今はハワイにホテルの勉強に行かれていまして、来年戻られます」
「ハワイのホテル?」と驚く麻に「将来の事を考えて勉強に行かれているのですな」と弥太郎が言う。
契約が終わりましたら、一ヶ月後に先方よりお迎えが参りますので、お嬢様が準備される時間も充分有ると思いますと、木村は決められた事を弥太郎達に伝える。
木村も華を目の当たりに見るのは二度目で、益々美しく成っていると好奇の目で見つめていた。
「それで、華は何処の旅館で勉強をするのだ?」
「それは聞いておりません、全国に数店お持ちなので、決まりましたら後日お知らせ致します」と話す木村はこれで自分の役目は終わったと、胸を撫で下ろした。
木村が帰ると「華、急に縁談が決まりそうね、旅館とホテルを沢山建設されるのね、檜屋の新規事業は華の腕に託されたのね」と微笑む麻。
「でも、一年も勉強に行かなければ駄目なのかな?」
「息子さんは来年帰るとおっしゃっていたでしょう、だから丁度良い頃にお見合いだわ」と結婚が決まったと麻は話を進める。
弥太郎は百二十万の工面が出来て、統べてが上手く運ぶと喜んで大番頭の神戸に連絡をする様に伝える。
神戸は名古屋のお得意先に、出掛けて留守だったが夜には連絡が出来ると出先の人が言う。
夕方、新堂支店長と増本がやって来て、上機嫌で契約書に捺印をする弥太郎。
新堂はその場で通帳を出して印鑑を押して「これで、取引は成立で御座います、今後ともよろしくお願いします」と差し出した。
金額を確かめる弥太郎は「確かに、入金されています」と微笑んだ。
新堂も増本も大任を終わって、微笑みながら帰って行く。
翌日から嘘の様に神戸の先の商売も、他の仕事も止まった時計が急に動き出した様に動きだした。
金子は合田と翌日尾山で会って、一晩中騒いで上機嫌に成った。
一ヶ月待てば、あの透き通る様な白い肌、烏の羽根の様な艶の有る黒髪、白魚の様な指先、身体のどの部分も火の打ち所が無い神崎華が。。。。。。金子と合田は興奮で眠らないでお酒を飲んで楽しんだのだった。
弥太郎は神戸に「急に良い方向に、進んだな」と言った。
「はい、全くですね、昨日から問い合わせも凄い状況です」
「仕入れも順調か?」
「はい、資金の目処が付きまして助かりました」
「儲けて下さいよ!神戸さん、借金を返さなければ行けませんから」と嬉しそうに話す弥太郎。
数日後には、売却予定にしていた土地が次々と売れて「これなら、借金は直ぐに無くなるな」と弥太郎を益々喜ばせる。
華と児玉たみは一ヶ月後の準備を始めて、着替えを始めとして生活用品の準備を始めていた。
「たみも一緒に行きましょう」
「私も一緒に行けるのでしょうか?」
「大丈夫だと思うわ、何も聞いて無いから」
「そうで御座いますか?それなら嬉しゅう御座います」と二人は一緒に行くと決めていた。
半月で神戸達の努力も有って(檜屋)の経営の危機は脱していた。
武田が放火の犯人として、憲兵に捕まり拷問の結果、犯行を自供して亡くなった事で一件落着に成った。
金子合田に「咄嗟の事だとは言え、合田大佐を尾山さんの長男にした話は笑えましたよ」
「俺は木村を知らないが、まあ華の最初の男は俺だから婿でも良いが、尾山さんの息子は困るな」と大笑いをして今夜も(華御殿)に遊びに来ている二人だ。
最近は(尼御殿)は人気が沸騰、特に加代の芸を見に来てから、遊ぶコースが人気で合田も遠慮していた。
「加代先生があの様な芸が出来るとは知らなかったよ」
「最近では上手に文字が書けるそうですよ」
「五十歳迄働かせると、尾山君も話していましたよ」
「大した物だな」と二人の会話が弾む。
この時代が西洋から処女崇拝思想が入って、男性の間に処女に対する憧れが強い時代に成っていた。
明治前半までは、結婚迄綺麗な身体の意識は少なく、処女は逆に敬遠されていた。
日本の村社会では、若者の性欲をコントロールする意味もあって、未婚の男女の自由な性交渉が暗黙の中で認められていた。
村の特定の男性が処女の女性を貫通させて、大人の女性にしていた様だ。
合田とか金子の年代には、この様に処女の女性に対する憧れを持つ人間が増加していった。
実際女性も、自分自身がSEXで感じられる様に成って初めて楽しさ、快楽を得るので、最初は全く男性の為の行為に過ぎないのが現状だ。
美人で処女、清楚で気品に溢れている神崎華は二人には、最高のサドの為の道具に成って憧れで見ている。
美人の歪む顔、痛みに耐える姿は、この二人には何物にも代え難い事なのだ。
「しかし、狂うのも困るが、虐められないのはもっと困るぞ」
「大佐はどの様な辱めをしようと考えて?」
「妹は、薬を使って強姦を金子さんと連続で行ったな」
「盲腸だと騙して、剃毛までは感じていましたよ」
「浣腸が悪かったかな」
「そうかも知れませんよ、もっと後にした方が良いでしょね」
「姉は、あれ程の美人だから、時間を懸けてゆっくり楽しもう」
「坊主にしてしまうのでしょう?」
「当然だろう、尾山さんがその様にしなければ店では使えないだろう」
「あの黒髪は特別綺麗ですよ」
「俺もその様に思う、陰毛は妹に似ていると多いだろう」
「辱めるには最適ですな」
二人は華を捕らえてからの段取りの話しに盛り上がっていた。
地獄行きの車
25-035
この時代に尾山の店では客にゴムの装着を義務ずけて、遊女の妊娠による休業、病気を極力抑えていたが、客の評判は悪くて邪魔くさいと敬遠されていた。
それでも尾山は装着した客に対して割引をして、病気、妊娠を防いでいた。
特に(尼御殿)は徹底していて、常に監視をして防衛策を施していた。
その為、尾山の店での遊女の病気、妊娠は他店に比べて大幅に少ないのだ。
この時代、産め、増やせの考えが主流で、妊娠中絶は違法だから、秘密の医者が遊郭の共同で任されていた。
性病は、梅毒、淋病、毛ジラミと流行を始めると、一気に広がるので休館に追い込まれる場合も有る。
尾山の店は高級店が売りで(尼御殿)はその中でも超高級店だから、客も上客が多く一般の客の出入りは極端に少ない。
書道家工藤加代も、その業界では有名人だから、客も尾山が厳選して相手をさせていたので、中々彼女の知り合いが来る事は無かった。
少し知っている程度では、風貌の変わり方と艶技に彼女を連想する人間は皆無だった。
数日後金子の元に、児玉たみと云う華の乳母が一緒に付いて来るとの知らせが入って、早速合田に問い合わせをすると「妹の様に、狂わさない為には、不安がらせないのが一番だ、婆の一人位直ぐに始末が出来るだろう、それより喪服を着せる段取りを考えてくれ」と合田が再び無理難題を言い始めた。
余程華の喪服姿が瞼に焼き付いたのか、合田の要求は金子を困らせるのだ。
誰かを殺すか?仕方がないなと架空の人物の葬儀を、華が来る日を遅らせても行う事にして、段取りを考え始める金子。
華が修行に行く時には(檜屋)は取引先も殆ど以前の様に戻って、神戸も一安心状態に成っている。
弥太郎は土地の売れたお金で、来月には半分近い五十万を丸菱の新堂に返却すると連絡をした。
「流石に神崎さんですね」と感心して褒め称えた。
調子に乗って弥太郎は「残りも一年以内に返済致します」と強気の発言をしていた。
華を迎えに来る前日、金子が「尾山さんの身内に不幸が有りまして、明日お迎えに参るのが二日延期に成りました、お迎え早々に葬儀に成りますので、お嬢様には喪服で起こし頂きたいとの事で御座います」
「えー、身内の方にご不幸が?私も葬儀に参列?」
「社長の奥様の祖母で御座いますので、お嬢様の紹介も兼ねてですので、結構で御座います」
「そうですね、不謹慎ですが、葬儀の席ならご親戚も多数来られているから、紹介の場所には最適ですね」
「それから、和服でお願いしますとの事で御座います」
「場所はどちらですか?」
「姫路です」
「遠いですね」
「早朝八時にお迎えに参りますので、ご準備の程よろしくお願いします」
「それは大変だ」と弥太郎は言ったが、親戚に華が紹介されると、結婚が決まる可能性が高いと喜んでいた。
金子の悪知恵には、合田も感心させられる事も度々だった。
この一ヶ月の間に地下の調教室も華を迎え入れる為に、改造して鏡を使った辱めを行う場所の他数々の個所を絹代と長治郎達の意見を重視して作り変えていた。
尾山にもそれ程の美人が、入店すれば大きな人気で、よりお金持ちがこの(尼御殿)を利用するだろうと考えていた。
華は店の看板で、通常の三倍以上の価格、特別な客のみに提供して希少価値を高める作戦を考えていた。
問題は神崎華がマゾ体質の女か?サド体質?不感症?とか不安要素は多分に有る。
絶世の美女だと合田と金子が話しているので、間違いは無いだろう?店の看板には成るだろうとは思っていた。
大阪の南の立地の(檜屋)ここは神戸、それほど離れて居ないので客を介して実家に知れ渡る危険が有るが、金子から聞いている範囲では、殆どの人が華を見る事が少ないと聞いていたので、尼にしてしまえば判る人少ないだろうと目論む尾山だ。
当日は幸田と沢木が運転して、絹代と新堂支店長が迎えに来行くと決まって、荷物が多いから二台の車で行く予定だ。
全員が喪服を着用しているので、そのまま葬儀に行く様に見せる。
一台は荷物を載せて、児玉たみと一緒に旅館に向かう計画をしている。
早朝から支度をしている神崎家の人々、支度に髪結いを呼んで華の髪を結い上げて喪服を着せて、華は弥太郎と麻に別れの挨拶をして涙を誘っていた。
二十一歳の今日まで、自宅から殆ど出る事なく、外泊も一人では無い華には不安も大きいのだ。
「たみさん、よろしくお願いしますよ、何も知らない娘ですからね」
「はい、心得ております、御安心くださいませ」と丁寧にお辞儀をするたみ。
数日前から再三聞いた台詞を聞くたみも、いよいよ今日に成ったと感慨無量で迎えの車を待っていた。
しばらくして二台の車が到着して、新堂支店長と絹代が挨拶に自宅に入る。
「よろしくお願いします」と華の両親が声を揃えて言う。
「電話をするのよ」と華に言う麻「はい、お母様、それでは行って参ります」と喪服の華が丁寧にお辞儀をする。
「何処に行くのでしょうか?」
「はい、葬儀の後岡山の旅館に行って頂く予定です」
「岡山ですか?遠いですね」
「はい、岡山の山奥の旅館です、最近完成した新しい処ですね」
「山の中ですか?」
「はい、大山の近くですね」
「鳥取に近いですね」
「はい、まだ電話も無い山奥です」と言う絹代の言葉に驚く麻が「えー、じゃあ、電話も出来ないわね、寂しいわ」と言う麻に「お母様、お手紙を書きますわ」と笑顔で言う華。
「落ち着いたら、一緒に泊まりに行こう」と弥太郎が言うと「そうですね、二ヶ月程で落ち着かれますから、是非お二人でお越し下さい、連絡させて頂きます」と微笑む絹代。
一台には荷物と児玉たみが乗り込んで、喪服を着た新堂と絹代が華と一緒に乗り込む。
沢木の車には、荷物の積み降ろしの若者が一緒に乗り込んでいる。
神崎の人々に見送られて、二台の車は地獄の旅に出発して行った。
眠る美女
25-036
弥太郎に大阪駅から列車に乗るだろうと教えられている二人。
殆ど車に乗って遠方に行った経験の無い二人には、何処に向かって居るのか判らない。
児玉の乗った車は、前方の華の乗った車を追走していたが、信号で離れてしまう。
「お嬢様の車が、行ってしまったわ」と児玉が言うと「行く場所は判っていますから」
「大阪駅でしょう?」
「大阪駅は混むので、芦屋に向かっています、荷物が多いのでね」
「お嬢様も芦屋ですか?」
「はい、途中で頭取と待ち合わせをしていますので、一緒に参ります」と言われて、多少不安な表情に変わる児玉たみだった。
華が乗った車では、新堂が華の美しさに「本当に美人さんですね」と思わず口に出す程だ。
絹代は隣に座って、華の肉体を観察しているが、手に持ったハンカチを足元に態と落として華の太股辺りを触って反応を見る。
「あっ」と声を発した華に「すみませんね」とハンカチを拾うと、不気味な笑みをしていた。
この子は美人だけれど、感度も良さそうで申し分のない肢体、仕込みをするには最高の女だと既に思っていた。
神崎の自宅では「華も行ってしまったか?幸も病院だから、二人の娘が居なくなって寂しいな」
「幸は、回復している様ですよ」
「そうなのか?」と嬉しそうに言う。
「先日そめから連絡が有りましたよ、唯、幸を誘拐して乱暴をした男の事を探して居る様です」
「それじゃあ、まだまだだな」と言う弥太郎。
「先程の女の人、何か恐い感じの人でしたね」
「そうか?その様には見えなかったがな」
「私は背筋が冷たく成りましたよ」
「気のせいだよ、安心して早い時期に旅行に行こう」と二人は寂しさを噛みしめていた。
車が大阪駅に向かっていない事が、華に判って「梅田に行かないのですか?」と自分が見た景色が遠ざかるので尋ねる。
「はい、芦屋駅から乗る予定です」と絹代が答えると新堂が「頭取の自宅が芦屋なので」と安心させる。
「そうなのですね」と言うと外の景色に目を移して、眺めている。
「珍しいの?」と絹代が尋ねると「この辺りは、初めて見ますから」と微笑む。
「華さんは、これまで好きな殿方はいらっしゃったの?」と尋ねる絹代。
「私は幸の様な大胆な事は出来ませんわ」と言うと「妹さんですね、ご病気だとか?」
「はい、大阪の大学病院に入院しています」と答える、
しばらくして新堂が「私の知り合いのカフェで、頭取と待ち合わせしていますのでそこに行きます」と車を大きなカフェに止めた。
「コーヒーでも飲んで待ちましょう」と絹代が降りて行く。
華も着物の裾を気にしながら、車を降りると児玉の車が入って来て、一安心な顔の華。
「頭取来られていませんか?」と中に入ると尋ねる新堂。
「少し遅れると、先程連絡が御座いました」と店主らしき男性が答える。
「まだ時間が少し有る、コーヒーでも頂きましょう」と絹代が席に座ってしまう。
しばらくして児玉が沢木と一緒に入って来て、直ぐに華の側に行くと「大阪駅だと思っていました」
「芦屋なのですよ」
「はい、私も聞きました」と話していると、席に座る様に勧められて「ここのコーヒーは特別美味しいので、頭取は毎日飲みに来られています」と新堂が説明をする。
ひとつのテーブルに、新堂、絹代、華、児玉が座って、離れて沢木と幸田が座っている。
しばらくして、店内がコーヒーの香りで包まれる。
各自の前に運ばれたコーヒーに「良い匂いだわ」と絹代が早くも飲み始める。
すると金子頭取が入って来て「お待たせ、お待たせ」と言うと直ぐに華を見つけて「ご苦労様です、早々に葬儀に成って申し訳ないです」とお辞儀をした。
「いいえ、尾山様のご親戚関係者の方々にお会い出来るので、ご挨拶を申し上げられます」と立ち上がってお辞儀をする華に、呆然として名刺を差し出すのを忘れていた金子だ。
慌てて「丸菱の金子です」と名刺を差し出して、座る様に言う。
「ここの、コーヒーは美味しいですよ」と言うと直ぐにコーヒーが運ばれて来た。
座ると直ぐに一口飲んで「ぞうぞ、ぞうぞ」と勧める。
華が飲み始めると、児玉も飲み始めて「美味しいですわ」と微笑む華。
「そうですよ、特別製ですからね、味わって飲んで下さい」と絹代が意味深く言った。
金子がコーヒーを飲みながら絹代を見て、微笑むが華も児玉も気づいてはいない。
「新堂君、何時の列車だった?」
「後一時間程です」と答えるが、その様な時間に姫路に向かう列車は存在していなかった。
しばらくして「お代わりが欲しい程だが、葬儀で便所に行く回数が増えると困るな」と高笑いの金子は、華を手に入れた喜びに満ち溢れていた。
「頭取、荷物も有りますので、そろそろ向かいませんと」と新堂が時計を見て言う。
「しばらくお待ち下さい、お嬢様お手洗いに行きましょう」と児玉が言って、二人が席を立った。
「何分で効く?」と金子が尋ねると店主が「あの量でしたら、半時間までに効果が現れて、四時間以上は眠ります」と答える。
「ありがとう」と内ポケットから封筒を取り出して渡す金子に「今回の女子は特別お綺麗ですね」と耳うちする店主。
しばらくして戻って来た二人は、児玉が頭を少し触っている。
「支店長はこの車にお乗り下さい」と沢木が言うと頭取が華と絹代の車に乗り込んだ。
「行ってくれ」の金子の言葉で走り出す車、しばらくして欠伸をしている華。
「朝早かったから眠いの?」と絹代が尋ねて「はい、少し」と答える華。
「駅に着いたら起こすから、少し眠れば良いわ」
「はい」と言うと直ぐに目を閉じる華。
目を閉じれば眠るのは早い、神戸の尾山の店まで絶対に起きる事は無い。
もう一台の車では、児玉たみが眠りに入ろうとしていた。
目を開けたり、閉じたりして必死で眠りから逃げ様としているのが判る。
「この婆さんには、まだ仕事が残っているからな」と新堂が沢木に話す。
「明日自宅に電話をして貰わないと、神崎の家が安心しないだろう」車は前の華の車とは全く方向の異なる向きにハンドルを切った。
「眠ったか?」金子が尋ねると「はい、眠りましたわ、可愛い顔して眠っていますわ」
「そうだろう、私も初めて見た時に興奮したからな」と後ろを見ながら言う。
「調べておきますか」と絹代が華の喪服の裾を開くと、黒の喪服の下に白の長襦袢が見えて、直ぐに手を入れる絹代。
「うぅ」と声を出す華に「この子、感度が凄く良いですよ、太股を触っただけで眠っていても反応していますから」と絹代が嬉しそうに言う。
「そんなに、良いのか?」と振り返る金子の目は狂気を感じる。
遊郭へ
25-037
「あっ」と再び口走る華は、絹代の手が着物の中に入って陰毛を触ったからだ。
「色が白くて、もち肌で濃いわ、先生よりも濃いわね」と絹代が手を抜いてから言う。
「情が深いと言うが本当か?」と微笑む金子、今夜の痴態を想像しているのか口が緩んで居るのが絹代にも判った。
幸田も話を聞いているだけで興奮するのか「運転が出来ませんよ」と笑う。
「こんな美人見た事無いだろう?」
「はい、喪服が色っぽいですね」
「葬儀を作って朝から用意させたのだよ」
「髪も綺麗に結って、朝早くから大変だったのに、行き先は遊郭とは気の俗ですね」幸田が言う。
「本当だよ、こんなに艶やかな髪を坊主にしてしまうなんて、惜しい気がするな」と金子が言うと「諦めさせるのには、良い事かも知れませんよ、尼寺が俗世を絶つのですからね」絹代が微笑みながら言う。
「まあ、坊主にするまでに楽しもう」と嬉しそうな金子。
絹代が今度は袖から手を入れると「あっ、あっ」と口走り始める華の小さな声に「今度は何をしたのだ」と振り返る金子。
「乳房を触ったのよ」と微笑む絹代「ここから手を入れると直ぐに触れるのは、ご存じでしょう?」
「それは知っているが、おい幸田君車を止めてくれ、後ろに乗りたい」
「頭取それは無理ですよ、三人は狭いです」と絹代が意地悪く言う。
「私と代われ」
「頭取が触ると、この子が壊れてしまいます、今は私が今後の仕込みの為に調べているのです」と言い切る絹代に「そうか、仕方がない我慢か、俺の息子は元気に成ってしまったぞ」と微笑むが、案外本当なのかも知れないと思う絹代だ。
運転の幸田も再三、ズボンを触って居るので同じ状態なのだろうと苦笑いの絹代。
「サネはどうなっている?」と尋ねる金子に「そこまで触ると、着物が乱れますよ、濃いから直ぐには判りませんわ」と答える絹代。
この時代サネとはクリトリスの事で、おさね、陰核と呼ぶが、医者が陰核と呼ぶだけで世間ではサネが通用語に成っている。
膣はまんこ、おめこ、おまんこと地域によって呼び方が変わっている。
再び「あっ、あっ」と華が口走るので「今度は何をした」と振り返る金子。
「耳に息を吹きかけたのよ、それだけで感じているのよ、この子」と言って微笑む。
「楽しみな子よ、仕込み甲斐が有りそうよ、今の感じだとマゾだと思うわ」
「おお、それは尚更良いな」と喜ぶ。
「加代が見たらどう言うだろう?」
「上手く仕込めば、女同士で遊べるかも知れないわよ」
「レズとか言う西洋の女同士の営みの事か?」
その様な話をしながら、車は神戸の尾山の店に到着した。
遊郭の門を入る車「ここに入るともう逃げられないわね、別嬪さん」と寝顔を指で触る絹代。
「もう一台は婆を連れて、明石に行ったのか?」
「明日電話をさせないと、調べられると困るでしょう」
絹代が先に車を降りて、長治郎と半吉が車の中に居る華を運びだそうとして「おお、美人ですね」と驚きの声をあげた。
「そうだろ、この遊郭には絶対に居ない女だ」と威張った様に言う金子。
「これは、綺麗過ぎですね」と抱えた半吉も目を丸くして言った。
「こんな女のまん毛を剃るのは、興奮してしまいそうです」と早くも興奮の言葉を発する半吉。
「地下に運んで」絹代が言うと、二人に抱き抱えられて華は地下室に運び込まれた。
「手首と足首を結んで寝かして置いて」
「はい」と長治郎が早速、細い紐で両手首を合わせて結ぶと両足も縄で結んだ。
「後、三時間程で猿轡を噛まして、舌を噛まないとは思うけれど、余りの変化に何が起こるか判らないからね」
「はい」と言いながら寝顔を見つめる長治郎。
今夜から、当分お付き合いだな、自分も交われるのか?と期待を膨らませると、普段は絶対に勃起しない長治郎の物が勃起を始めていた。
余りにも美しくて、先程着物の上から触った胸の感触を思い出したのだ。
「一応契約では一年間の年期奉公に成っているので、それ以上は働かせられない」
「神崎弥太郎が知って身請けに来ても、渡さないのでしょう?」
「勿論だ、これだけの上玉は居ない」と地下室に降りてきた尾山が華を見て、金子に言った。
「この黒髪を坊主にするのは惜しい気がするな」と金子が言うと「諦めさせるのには良いのだよ、これだけの美人だから坊主姿も綺麗だろう」
そこに絹代がみつ、たねを伴って降りてきた。
「おお、これは綺麗なお嬢さんだ」
「良い家の女の子でしょう?喪服が違うわ」と生地に目が行くたねだ。
「全くの処女、私が調べた感じでは感度は最高、もち肌、色白、陰毛は濃いわ、あの先生よりもね、そしてマゾの体質ね」と説明する絹代。
マゾ、サドの由来はサディズムの元祖とされる「サド侯爵」の本名は、ドナティアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サド。1740年パリ生まれ。
サド侯爵の「サディスティック」な奇行が有名になったのは、1772年のある事件。ゲイの下男と一緒に、娼婦4人でムチで打ち、乱交を繰り広げるなどして、大スキャンダルに、さらに、サド侯爵は娼婦を媚薬で毒殺したとされて、死刑宣告を受け、刑務所に入ります。
フランス革命前の時期だったこともあり、以後、政治犯にもなるなど、忙しく入獄・脱獄を繰り返しますが、同時に,作家として『ソドム120日』『美徳の不幸』などの問題作を次々と発表。どの作品も、非常に“サディスティック”な描写に満ちており、実生活でも、サド侯爵は数々の性的虐待を実行していたと言われています。そんな彼とその作品にちなんで、1886年、ドイツのクラフト・エービングという精神医学者が「サディズム」を命名。広く、「性的なものに留まらず、残酷さのなかに喜びを見出す傾向」をそう呼ぶようになりました。
死んだ様に眠る美女、華はもう合田の到着を待つだけの状態に成っていた。
世の中は満州事変から、日本が満州国設立から、国連を脱退して軍国主義を世界に発した時期、軍人の天下だった。
驚く華
25-038
児玉たみは明石の軍関係の会社の事務所に監禁されていた。
町村曹長の部下数人が見張っていているが、ここに連れて来られて薬を注射されているので、明日の昼前までは起きる事はない。
明日に成れば、電話を神崎の家にかけさせる為に彼等は合田に命じられていたのだ。
内容を書いた紙は既に用意されていて、時間が来るとたみに読ませる予定だ。
尾山の店の地下室で長治郎が可愛い華の口を開けて、小さく丸めた布を咥えさせると日本手拭いの中央を結んでその上から咥えさせて、後頭部の下で強く結び付けた。
この様にしておけば、舌を噛む心配は無いが殆ど喋れない状態に成る。
まだ目覚める感じは全くない華の寝顔を、思わず撫でる長治郎。
華は黒の紋付きの喪服、黒の袋帯、白い足袋、髪を結い上げて襟足が白く綺麗で後れ毛が乱れている。
猿轡の眠った顔は、今にも飛び起きて「何をするの?」と言いそうに思える。
黒の草履が近くに無造作に並べてあるが、もう履く事は無いだろうと長治郎は部屋の隅に片づける。
天井から縄が垂れ下がり、その上には滑車が付いている。
天井を見上げると滑車が数種類設置されて、各から縄が下がっていて中には金具の付いている物も有る。
以前は存在していなかった物で、最大の変化は目の前に設置された風呂場だ。
この風呂はこちらから浴槽の中が見える様に、ガラスで作られている様だ。
特別製で、底は普通の木の造りで前方にガラスが填め込まれていて、こちらの方向から見る事が出来る様に成って居る。
焚くことが出来ないので、湯を運んで浴槽に入れるらしいので結構重労働に成る。
その風呂場の横には、変わった形の設備が見えるが、風呂場で使う物なのか?と長治郎が見ていると絹代が「長さん、初めて見るでしょう?あれはね、四つん這いにして手足を固定して、浣腸をする時に使うのよ」と教えた。
こちらから陰部が丸見えに成ると、長治郎は思って見ていた。
「絹代さんが考えたのですか?」と驚きの表情の長治郎、同じ女性とは思えないが、女性だから女性の事が判るのかも知れないと思う。
しばらくして、騒がしい人々がやって来た。
合田が最上と松本、土佐、中村の三人の看護婦を伴ってやって来たのだ。
「この連中にも、ここの仕込み方を勉強させようと思って連れて来たよ」と嬉しそうだ。
「見物客が多いと、盛り上がりますね」尾山が笑いながら、最上に握手を求める。
「上手く、連れ込んだ様だな」と金子を見つけて褒め称える合田。
「地下で眠っていますよ、今更ながら美人ですね」
「そうだろう、喪服姿は最高だろう?」
「はい、もう抱きつきたい気分です」
「そうか、いつ頃目が醒める?」
「もうすぐでしょう」
「それじゃあ、みんなで拝みに行こう、地下室も大きく改造したから、楽しみは多いな」と笑顔で地下室の入り口に向かう合田。
地下室では、足首の縄を外して立ち上がれる様にしている長治郎、絹代の責めの段取りを長治郎に話した様で足を自由にした様だ。
既に、みつとたねも地下に入って準備を手伝っている。
奥のお風呂には、つねと半吉が熱湯を風呂桶に入れ初めて、これから華を風呂にも入れる様だ。
「おお、綺麗だな」と眠っている華の側に行って、寝顔に見入る合田。
「本当に美人ね」
「妹よりも、綺麗だわね」
「身体も良さそう」と三人の看護婦が好き好きに言う。
最上が「これを使って貰えないだろうか?」と言うと、看護婦の土佐が注射器のケースを差し出した。
「何ですか?」と尋ねる絹代に「新しく手に入れた外国製の媚薬ですよ」と微笑む最上軍医。
「全く男性との経験が無いこの子に効果が有るかな?」と言う絹代。
「持って来た男の話では、全く経験の無い女で、抜群の効果が有ったそうだ」
「それじゃあ、使ってみましょう」と言われて、最上が土佐を伴って眠る華の側に行って、着物の袖を捲りあげて脱脂綿で消毒をすると注射針を刺した。
「うぅ」と言う華「目が醒めそうですね」と注射を終わって、華の側を離れる二人。
半吉が華の身体を支えると、長治郎が縄を引っ張って華の身体を立ちあげて、手が頭上に上がって大きな目をぱちくりさせて、身体の自由が無いのを感じ始める華。
「うぅ」「うぅ」と首を大きく振って前に座って居る人達に気がつくと、華は驚きの表情に成っていた。
「お前は、ここに売られて来たのよ」と絹代が側で華に言うが、何の事かよく判らない。
「うぅ、うぅ」と何かを言いたそうに首を動かすが、猿轡の為に声が出ない。
「ここが、どんな場所か判らないよね、ほら見て」と地下の出入り口に指を指す絹代。
美代が尼の衣に尼頭巾で入って来た。
「美代、この子に見せてあげなさい」と絹代が言うと華の少し前で、尼頭巾を脱いで青い頭を見せる。
驚きの顔に成る華に、今度は尼の衣も脱ぎ捨てると一気に全裸に成った。
そして、今度は華の前で大きく足を広げて、無毛の陰部を見せつける。
顔を横に向け様と首を横に向けると「良く見るのよ、ここではあの様に綺麗にして、お客を喜ばすのよ」と頭を美代の方に向けられてしまう。
「うぅ」と顔色が変わる華に「判ったかい?ここは遊郭なのよ、お前は遊郭に売られて来たのよ」
「うぅ」と意味不明の事に首を振って、夢の中の出来事だと言い聞かしている様な表情に成っている。
先程の薬が効果を表し始めて、華は夢の中に居る様な気分に変わり始めていた。
美代が目の前で横に成って大きく足を広げて、そこに半吉が褌姿で抱きついて、直ぐに褌を取り払って直ぐに大きく成ったペニスを挿入して「ああー、いいわー」と美代が仰け反る。
華はその行為に視線が固まってしまって、動かさないで見つめている。
「驚いた様ね、身体が暑く成ってきただろう?」と絹代が華に言うが殆ど聞いていない。
既に、興奮状態が始まっている華の身体だった。
華の羞恥心
25-039
華の目の前で半吉と美代が、男女の営みを教える様に絡み合って、美代が仰け反って艶技が終わると華は頬を真っ赤にして見入っていた。
「良かった、良かった」と手を叩いて喜ぶ合田は、早く華を責めて泣かせてやれと要求していた。
華は額に汗が噴き出して、ようやく終わった二人の行為を夢の中の話に興奮したと感じている。
額の汗を拭き取るみつの動作に、初めて自分を取り戻して驚いていた。
「さあ、今度はお嬢さんの番よ、楽しませてあげるわ」と絹代が耳元で囁くと首を振る華。
「これは好きでしょう?習字が好きだから」と筆を手に持って、いきなり華の首筋を撫でると「うぅ」と身体を大きく動かす華。
「何方か、お願いします」と二本目の筆を出すと「私がしよう」と金子が立ち上がると、負けずと合田も立ち上がって筆を受け取る。
直ぐに、華の首から耳を筆で擽り始める二人に、大きく体を動かして「うぅ、うぅ」と逃げ様とするが動け無い華が、感じているのがよく判る。
首から、首、襟足と肌が露出している部分を、休む事なく筆が這うので、華は大きく身体を動かして絶えているが、額には汗が再び噴き出ていた。
「そろそろ、判っただろう?ここは遊郭でお前はここで修行をして、お客をとるのだよ」
「うぅ」と首を大きく振る。
「大丈夫だよ、先程の娘も最初は嫌がっていたのよ、今では自分から男を求めていただろう」
「うぅ」と首を振ると「お前のここは、今濡れて大変な事に成っているだろう?」と喪服の下半身を触る絹代。
身体は暑く成って興奮している華だが、濡れると云う意味が良く理解されていない。
「この綺麗な黒髪も先程の子の様に、つるつるにしてあげるからね」と黒髪を触る。
「うぅ」と頭を動かして、絹代の手を避ける華、それでもまだ自分は夢の中に居て、変な夢を見ていると思う華だった。
「それじゃあ、みんなに見て貰おうか?」と喪服の前に手を入れる絹代。
抵抗をしようとするが、身体が後ろから腰を持たれて動かせない。
着物に手を入れると、一気に長襦袢、裾よけと払いながら、絹代の手が華の太股まで入った。
長治郎が縄を手渡すと、左足の膝に巻き付けて縄の端を下に落として、手を着物から抜き取ると華の顔が安心顔に変わった。
「着物が苦しそうよ、帯を緩めてあげて」と言うと「手伝いましょう」と土佐と中村の二人の看護婦が立ち上がって、華の前に言って帯留めを緩め始める。
二人は直ぐに緩めて、袋帯を華の身体から取り払った。
「楽に成ったわね、着物も脱がせますか?」と合田に尋ねる絹代。
合田が喪服にこだわりを持っていたので尋ねた。
「そのままでも、楽しめるのか?」
「汚れますけれど、大丈夫だと思います」と絹代が言うと「そのまま、はじめてくれ」と言う合田。
「はい」と返事をすると、絹代が華の着物の胸元を大きく左右に開いた。
「うぅ」「うぅ」と首を振る華、着物を押さえている紐が土佐達によって二本解かれているので、大きく広げられると白い長襦袢が飛び出して乳房の上まで広がって、白い肌が大きく露出した。
「色が白いわね、もち肌ね」と言いうと今度は長治郎に縄を引っ張る様に指示をした。
左の足が膝から引っ張られて、着物からはみ出して行く。
「うぅ」「うぅ」と首を大きく振って居るが、手は天井を向いて縛られているので動く事が出来ない。
完全に片足立ちにされて、左足は着物から膝の部分が縄に引っ張られて露出している。
「見えないな、肝心の処が何も見えないぞ」
「大佐、着物が邪魔でしょう?」と微笑む絹代。
「脱がせろ」と叫ぶ合田の声に、恐怖の顔の華は遠くに合田の声を聞いていた。
薬の効果が益々出て来て、夢の中に入り込んで行く。
絹代が綺麗に結われた華の髪を無造作に持って、紐を結び付けると天井の縄に紐を結ぶ。
両手の縛りが緩んで華は両手が解放されたが、今度は髪の毛が上に引っ張られて動け無い。
土佐と中村が素早く華の黒の喪服を一気に脱がせにかかる。
腰の紐を次々と取り払って、後ろから脱がせてしまった。
忠治郎が直ぐに両手を後ろ手に縛り、華の両手の自由を奪ってしまった。
絹代が長襦袢の胸を一気に広げると、白い大き目の乳房が飛び出して「おお、綺麗な乳房だな」と合田が生唾を飲み込む。
下半身も着物が無くなって、裾よけを捲りあげると白い太股が、露出して片足立ちの陰部がもう少しで見えそうに成っている。
「誰にも触られた事が無い、乳房を揉んでやって下さいな」と絹代が言うと、待っていましたと合田と金子が同時に立ち上がる。
華は乳房を露出させられて呆然としている時に、合田の大きな手が右の乳房を掴んで「うぅー」と驚きの表情、左の乳房を金子が掴む「うぅ」と首を振って恐怖の顔に成る。
「お二人さん、もっと優しく触ってあげて下さいよ」と微笑む絹代。
「そうだった、慌てて仕舞った」と急に手の力を緩める二人、白桃の様な乳房に小さな乳首、金子が乳首を指でいじくり始める。
「うぅ、うぅ」と感じている華を見て、最上が「効果が有る様だな」と自分が持って来た薬に効果を感じて喜んでいる。
「お嬢さん、気持ちが良くなってきた?」と言う絹代が、隠れて居る下半身の裾よけと長襦袢を捲り上げて腰の紐に押し込んでしまうと、下半身が丸見えに成って、白い肌に黒々とした陰毛が見える。
「さあ、見納めよ」と言うと大きな鏡が運ばれて来て、華の前に置かれた。
自分の姿を見て「あぅーー」と驚きの表情に成って、二人が乳房を触るのを辞めると、身体の腰の部分に布が集まって、上半身と下半身が丸見え状態に成っている。
「綺麗な身体ね、これ何だか判る」と今度は華の目の前に手動のバリカンを見せる。
「うぅ」と怯える華は頭を刈り取られると思った。
「頭はまだよ、今はここよ」と陰毛を触る絹代に「うぅ、いやー」と口走る。
もう布が唾液で小さく成って居るので、多少喋る事が出来る様だ。
「お道具を調べてあげるから、先ずはここを綺麗にしましょうね」と微笑む絹代だ。
開かれた股間
25-040
今度は華の顔の前で「ギーギー」とバリカンを握って見せると、恐怖の顔に成る華。
バリカンを剃毛師のつねに手渡すと、華の股間にバリカンを持って行くと「結構、堅そうね」と陰毛を触ると華が身体をびくりと身体を震わせて、冷たいバリカンの腹が皮膚に当たると同時に「何よ!」と急に驚くつねの顔に。。。。。
「おお、小便をしたぞ」と合田が笑う。
「嫌――-ね」この子と、顔を拭く為に股間を離れるつね。
「溜まっていたのだね」と絹代が笑う。
「この恰好では、疲れた様ね、色が変わっているわ」と膝を触ると「新しく造った台を運んで」と半吉達に告げる。
長治郎が左足を吊り下げていた縄を緩めて、左足を床に降ろす。
直ぐさま足を閉じて身を隠そうとする華だが、髪を縛られて居るので身体を大きくは動かせない。
足を絡めて、股間を隠そうと必死に成っているのがよく判る仕草だ。
三人が奥から押してきたのはパイプで組み立てた台だ。
中央が丁度一人の身体が乗せられる様に造られて、腰の部分で終わっているので足は下に下がるか、パイプに結ばなければぶらりと落ちた状態に成ってしまう。
腰の部分が少し上に反り返って居るので、ここに寝ると腰を突き出した様に成ってしまう造りだ。
「傑作でしょう?この台に乗せると、色々するのには便利よ」と運ばれて来た台を触って微笑む絹代。
長治郎が華の膝に蒔かれていた縄を外して、後ろ手の縄も外されると華は慌てて、長襦袢の前を隠して手で押さえている。
「何を着ているの?全部脱いでここに上がるのよ」長治郎が華の唾液で使い物に成らなく成った猿轡を外すと、口の中の布を自分で取って「あなた方は何者なの?私が何故ここに?」と一気に尋ねる。
「お父さんも承知かもよ」と絹枝が言う「そんな事嘘です」と言う華。
髪が結ばれているので逃げられない。
華の直ぐ横に台が運ばれて、床の留め金にゴマを填め込むと台が固定された。
「さあさあ、お嬢さんのベッドが来たわよ、全部脱いで上がりなさい」
「いやー」と身体を強張らせて、長襦袢を持っている。
「そうなの?皆さんに手伝って貰いましょうか?お願いするわ」と絹代が言うと、三人の看護婦とみつが一斉に華の側に来て「手はこちらよ」と身体の前から移動させる。
土佐が長襦袢の紐を解き始めると「いやー-、許して」と叫ぶが紐が解けるのを待って、長襦袢を肩から一気に脱がせるみつ。
もう既に裾よけの紐も土佐が解いて、今度は中村が取り去って前方に放り投げた。
「お嬢さん、さあ上がって、上がって」と四人が華の身体を持ち上げて「いやー、やめて、降ろして」と言うが両手両足、身体を軽々と持ち上げられて、台に乗せられると両手を台に付いた金具にベルトで固定されてしまった。
「いやー、助けて、許して」と騒ぐ華だが、四人の女は直ぐに固定を終わる。
髪の紐を縄から外すと、乱れて枕の部分から下に流れて、綺麗に結われていた髪も無残な姿に変わっていた。
仰向けに寝かされて、頭上には多数の滑車が見えて不気味に思う華。
「始めようか?今度は腰が突きだして居るから、刈り取り易いわよ」
「いやー、もう辞めて、変な事しないで」
「馬鹿ね、ここで働くのにはこの髪も綺麗にするのよ」と髪を引っ張る絹枝。
サド女のいた振りを、微笑みながら見ている合田と金子。
考えればここに居る女全員が、相当なサドで可愛い華に嫉妬しているのが、合田達には手に取る様に判るので一層楽しいのだ。
二人には全裸の華の姿が眩しい、白い肌に黒々とした股間、白桃の様な乳房に小さなピンクに近い乳首、大きな瞳を一層大きく見開く驚いた顔、そのどれを見ていても楽しいらしい。
もうしばらくすると、我々の物で泣き喚くだろうと思うと自然と下半身が暑く成っている。
足を閉じて必死に見られない様に構えている華の足首に、皮のベルトが巻き付けられて、続けて膝の上にも皮のベルトが巻き付けられている。
「何、しているの?もう辞めて、貴方達狂っているわ」
「狂うのはお嬢さんだよ」と言うと絹代が華の乳首を摘むと「痛い-」と叫ぶ華。
「貴女が持って居る素質を引き出してあげるのよ、もうすぐ喜びの声をあげるわよ、でもね!お客様が見えないので困るのよ」と陰毛を触る。
「いやーやめて」と言うと「気分がのらないのよね、殿方お願いします」と呼ばれて再び二人の男が側に行くと「これを揉むのかな?」と微笑みながら、白い乳房を優しく掴んで「どうだ!」と覗き込む合田。
「変態!もう辞めて」と合田を睨み付ける。
金子も反対の乳房を揉み出して「感じるかな?」と尋ねると「気持ち悪いだけよ、辞めなさいって言っているでしょう」と金子も睨み付けるが、少しすると「もう、辞めて-お願い」と声の感じが変わって来た。
最上の薬が効いているのだろうか?と思っていると最上が「もう一本打ちましょうか?」と言って立ち上がった。
「始めてなので、半分の量に加減していましたので」
「そうなのか、軍医も優しいのう」と合田が言うと、土佐が直ぐに華の腕を消毒して、注射針を突き刺した。
「痛い」と言う華の腕に液体が注入されていく。
「辞めてよ」と言う華だが、直ぐに注射は終わって土佐は注射器を片づけて元の場所に戻った。
しばらくして再び乳房を揉まれて「うぅ、うぅ」と顔を左右に動かす華は先程とは様子が異なってきた。
「準備が出来た様ね」と絹代が言うと、合田が「その美人のマンコで、祝杯をあげようではないか!」と言い出した。
美味い酒
25-041
「それは良い、ワカメ酒ですな、それもワカメの量も多い」と嬉しそうな顔に成る金子。
絹代が直ぐに日本酒の用意を、みつに指示をして「お嬢さん、お酒飲めるの?」と尋ねる。
首を振る華に「下の口からよ」と不気味に笑う絹代。
直ぐにみつが日本酒を持参して「さあ、みんなで祝杯だ」と合田が嬉しそうに言う。
固く閉じた華の股間を見ながら,絹代が一升瓶を持って「お嬢さん、大事な処が見えるわよ」と覗き込むと、「イヤー」と言って両足に力を入れて閉じる。
そこに一升瓶から日本酒が注ぎ込まれると、驚いて足を広げると足元に溢れてしまうお酒。
「お嬢ちゃん、お酒を溢すと直ぐに剃りあげてつるつるにするわよ」と絹代が言うと「イヤー、止めて」と足を再び強く閉じる華。
「この叔父さん達が飲む間、お酒を溢さなかったら、許して上げるわ、頑張ってね」と言いながら注ぎ込む絹代。
今度は足を必死で閉じている華、直ぐに合田が華の股間の酒を舐めると「うぅ、うぅ」と驚いて足を開いて溢してしまった華。
「駄目ね、このままだとつるつるよ、もう一度よ」と酒を注ぎ込む絹代。
必死の華、今度は金子が股間に顔を埋めると日本酒を舐める。
「うぅ、うぅ」と我慢をしても酒は無情にも流れ落ちてしまう。
「残念ね」と言う絹代、華は薬の効果で顔が紅潮して、恥ずかしさとむず痒い感触に曝されていた。
長治郎が滑車を動かして、華の足首と膝の縄が引っ張られて、足を開きながら顔の方向に向かって上がってきた。
「何、いや、いやー」と驚くが閉じていた両足は大きく開かれて、天井に足の裏が向いて、華の陰部も肛門も大きく開かれて止まった。
「いやー、見ないで、お願い」と多少気分が良く成っていたのも吹っ飛んで、恥ずかしさが支配してしまった。
「おお、ご開帳だな、肛門もマンコも丸見えだな」合田が笑いながら言う。
「お嬢様も台無しだ」と二人が手を叩いて笑う。
華には最高の恥ずかしさが襲っていた。
「小便をかけられた、仕返しをしてあげるわ」とつねが華の見える場所で「ギーギー」とバリカンを動かす。
「いやー、許して」と懇願に変わっている。
「その前に、お前の姿を見せてあげるよ」と大きな鏡を置いて、角度を変えると、華の目に自分の姿が映って「キヤー、辞めて」と大きく顔を背ける。
「自分の変わり行く姿を良く見るのね」と言うと、木に布を巻いた棒をみつから受け取って「さあ、口を開けるのよ、五月蠅いからね、大人しくしてもらうよ」と言うが堅く口を閉じる華。
すると下半身につねが陣取って、陰毛を手で触った時「あっ」と口を開いた。
その時口に木が填め込まれて、ぐっと力を入れると完全に猿轡を噛まされてしまった。
「うぅ」と言うがもう頭を持って後頭部で強く結ばれると外れない。
先程の布は唾液で小さく成るが、これは木だから華が唾液を出しても形は変わらない。
「もう諦めて、気持ち良く成るから、任せるのよ」
「こんな、剛毛の生娘をいきなり.。。。。。。。か?」
「うぅ、うぅ」と首を振るが、つねのバリカンが下腹部にあたって動き始める。
「ギー、ギー」と指を動かすと、華の黒い陰毛を刈り取り始める。
「うぅ」と首を大きく振るが、つねは皮膚を引っ張りながらバリカンを動かす。
「この恰好だと、刈りやすいわ」全く身体が動かせない華は、されるがままの状態。
「つね、サネを刈り取るなよ」と合田が笑いながら言う。
バリカンの腹が、クリトリスの上を移動すると、感じ始める華は観念したのか目を閉じていたのに、大きな目を見開き「あぅ」と声を出した。
バリカンの刃が触れたから、驚いてしまったのだ。
「こんなものね、後は剃刀で綺麗にしましょう」とバリカンを使うのを終わった。
「ほら、こんな感じに刈れたわよ」と鏡を見せる絹代。
「うぅ」と顔を背ける華の、鏡に映った陰部は、長い陰毛が斑模様に残って、地肌が見えている部分は少なかった。
「これが、お嬢様のオサネよ」とつねが指で触ると「うぅ」と感じるのか身体を震わせる。
「良い反応ね、感じるのね、楽しみだわ」と絹代がその仕草を喜んでいた。
先程の薬の効果も華の身体を支配して、感じ易く成っている。
通常でも感じ易い身体が数倍敏感に成ってしまって、これからの剃毛でその真価が現れるのだ。
シャボンの入れ物に刷毛を入れて、今度は半吉が準備を始めている。
自分の剃刀を、並べてその中の一本を口に咥えると、右手に刷毛を持って、華の下腹部をシャボンが覆った。
一筋、二筋、付けると、口に咥えた剃刀に持ち替えると、皮膚を引っ張りながら「ジョリ、ジョリ」と剃り始める。
再び目を閉じている華に「男性に、剃って貰うのは気持ち良い」と絹代が囁くと急に目を開けて「うぅ」と首を振り出した。
「恥ずかしいね、男の人がお前のマンコを触って居るのよ」恥ずかしさを増幅させる為に意地の悪い絹代は華を安心させない。
半吉の剃り方は、少しずつシャボンを付けて順番に剃ってゆく方法で、特に初めての剃毛の女には恥ずかしさと、感じ方が増幅する事を知っていた。
今回の様な美人の股間を長時間触れる喜びは、半吉には格別の時間なので、簡単には終わらないのだ。
絹代はそれを知っていて、半吉を選んでいる。
半吉には華の悶える顔、恍惚の顔が見たいのだ。
特殊な媚薬を注射されているので、これから益々この美人は陶酔の世界に入って行くのだろうと思っていた。
自分がこの女性と交わる事が出来るとしても、随分先に成るだろうと思うので、今日が最高の時に成る。
自分は女の陰毛を剃って、逝かしてしまおうとさえ思っている半吉は大いに張り切って、今!華の股間に対峙していた。
続く羞恥心
25-042
ここに居る誰も、自分の想いは知らないだろう、与えられた時間は僅かだから、興奮を抑えてやろうと、二度目のシャボンを刷毛で塗ろうとしていた。
刷毛が華の下腹部を往来して、白く成った。
この二度目の刷毛で、華が感じる部分を残して綺麗に剃り上がるから、次からの反応が見物だと思う半吉。
目を閉じて、剃刀の動きを肌で感じている華「ジョリ、ジョリ」「ジョリ、ジョリ」と剃刀が動く、剃り取った陰毛は半紙に乗せて、刈り取った陰毛も半紙の上に乗せられていた。
次の行動に入ろうとした時、絹代が「見せてあげて」と半紙の上の陰毛をつねに持たせて、華の目の前に持って行った。
「ほら、こんなに無くなったわよ、見てごらん」と言われて見ると直ぐに顔を背ける華。
「鏡を見て、まだ大事な処に一杯残って居るでしょう?これからこの半吉叔父さんが丁寧に剃って、つるつるにしてくれますよ」と言う絹代。
「うぅ」と首を振る華。
処女の女性に対する最高の羞恥心を呼ぶのには、この行為は格別なのを絹代は心得ていた。
誰にも見られた事が無い部分を、さらけ出されて触られて、おまけに感じさせられるのだから、これ以上の羞恥プレーは無いのかも知れない。
とことん羞恥心を引き出して、陵辱、強姦、調教に進める作戦だから、時間をたっぷりとかけている。
半吉が剃刀を咥えると、今度は刷毛にシャボンを付けて、華の肛門の廻りにぬり始める。
「うぅ」「あぅ」と目を大きく開け閉めして訴える。
刷毛が肛門を突いて、刺激をして確かめていたから、感じる華だ。
「半吉さん、この子お尻は感じる様ね」と覗き込んで尋ねる絹代。
「そうですね、反応が有りますね、ここにも産毛が沢山生えていますので、綺麗にします」と言うと刷毛を置いて、剃刀を持っている。
剃刀の刃が華の肛門の廻りに沿って、剃り始めると力を入れているのか、肛門が動いて、半吉を刺激する。
半吉の左手が、力を入れている部分を伸ばして、剃刀の刃が剃っていくと「あぅ、ひー」と声を出す華。
誰にも触られた事が無いので、恥ずかしさと刺激で、変に成りそうな感覚に陥っている華だ。
「後で、お腹の中まで調べてあげるからね、お嬢ちゃん」と耳元に囁く絹代だ。
その様に言われても華には、お腹の中まで調べる意味が、まさか浣腸をされる事だとは考えてもいない。
華の頭上の向こう側には、ガラスの浴槽が設置されていて、その横には四つん這いにさせられて、手足を固定して、浣腸を楽しむ場所が備わっているとは考えてもいない。
今夜の内に何処まで進めるのか、合田達にも知らされてはいないからだ。
絹代達は過去にも、この様な状況の女を連れて来た事が一、二度有ったので、心得ていた。
その為に充分時間を用意している。
それは、女に考える時間を与えず、一気に奈落の底に突き落としてしまう事だ。
特に今回の華は大店の箱入り娘、一度も男と交わった事が無い生娘だから、考える時間を与えると、自殺も充分に予測できる尾山達だ。
考えるより身体に覚え込ませるのが、一番速効性が有って効果的なのだ。
美代の様に売られて来て、遊女に成る事が判っていても、尼に成る事を拒否した場合とは異なる。
加代の様に売られて来た訳では無いが、経験の有る熟女の場合は何度も味を覚えさせれば今の様に従順に、芸事までする様に調教が進んで、重要な(尼御殿)の人気遊女に成ってしまった。
始めは逃げる機会を伺っていたが、今では麻薬とSEXの喜びに毎夜狂乱状態に成って、とてもこの遊郭からの脱出は考えてもいない。
逝く事が快楽に成って来れば、もう抜け出せない事をここの仕込みの女達はよく判っていた。
「お尻の廻りも綺麗に成ったわよ、見る?」と華の頭を持って鏡を見せる絹代。
「うぅ、うぅ」と自分の肛門を見て、半分感じていたのが現実に戻ってしまった華だ。
絹代はこのまま恥ずかしさが無くなっては困るから、現実に呼び戻す事を忘れない。
「さあ、ここらで美味しい物も食べさせてあげよう」と絹代が言うと小さなガラスの筒状の注射器をみつが持って来た。
「これが、何か判る?」と注射器を華に見せる。
「うぅ、うぅ」と判らないが拒絶の表情を見せる華。
「これはね、大事な処をこれから剃って貰うと、気持ちが良く成る薬が入っているのよ、今日から絶えず剃らないと行けないから、好きに成って貰わないと困るでしょう?」と微笑むと注射器を手に持って、半吉と場所を交代していきなり小陰唇を指で開く。
「うぅ」と反応をする華、細い筒を膣の中に挿入する絹代。
「さあ、召し上がれ」と注射器のポンプを押して、液体を注入していった。
「うぅ」と敏感な部分に何かが入って来るのが判る華、小筆の様な太さだから、それ程の衝撃は無いが変な気分に成っていた。
「はい、お終いよ」と抜き取ると顔の処に行って「恥ずかしいだろう?」と髪を撫でると頷く華。
「恥ずかしいのはこれからだよ」
「うぅ」と何かを言いたい様な華。
「あそこに、おられる髭の大佐に女にして貰うのよ、嬉しい?」と言うと首を大きく振る華。
「じゃあ、隣の叔父さんは?」と指を金子に向ける。
「うぅ」と大きく首を再び振る華。
「お二人さんは、嫌だと申しておりますよ」と二人の方を向いて言う絹代に「そうか、嫌いか、優しくしてやろうと思っていたが、止めだ!思い切り泣かせてやろう」と合田が威張った様に言う。
感じる剃毛
25-043
絹代は今注入した薬が効果を表すのを待っていた。
「どちらが上手か、後で尋ねる事にしましょうかね」と髪を撫でる。
「綺麗な艶のある髪ね、でもここでは必要無いのよね、残念だわね、忘れていたわ、脇の下にも毛が生えているわね、つねさん!ここ綺麗にしてあげて」と指を指す。
「はい」つねが直ぐに剃刀とシャボンの入った入れ物を持って側に来て、早速刷毛でシャボンを塗る。
「あぅ、あぅ」と目を白黒させる華、膣の廻りを半吉の刷毛が這ったから、感じてしまった華。
脇を剃り始めるつね、何度も何度も感じる様に刷毛を動かす半吉。
「あぅ、あぅ」と顔を横に振りながら感じている華を、面白そうに何度も刷毛を使う半吉。
華の愛液が、シャボンの泡を消してしまうのを楽しんでいる半吉だ。
つねは右脇を剃り終わって、左脇に取りかかるが、半吉は剃る気配を見せずに今度はクリトリスを中心にシャボンを塗り始める。
華の白い足袋のつま先が伸びて「あぅぅぅ」と口から言葉を漏らし始める。
「感度抜群ですよ、この子」と絹代が尾山達の処に来て話す。
「この子なら、最初の時は痛がるでしょうが、その後は好きに成りますよ」
「そうなのか?」と尋ねる合田に「沢山見てきましたからね」と微笑む絹代。
しばらくすると、左脇も簡単に剃りあげて綺麗な青みがかった脇の下に成った華。
「あぅ、あぅ」と仰け反り始めた華、剃刀がクリトリスの廻りを剃り始めて、半吉の指が何度も何度もクリトリスを触る。
「オサネが切れちゃうから、動かないでね」と絹代が意地の悪い言葉で恥心を誘う。
「ジョリ、ジョリ」と音を立てて剃りあげられる華の感じ易い部分を、丁寧に、丁寧に剃る半吉。
先程の薬の効果がもう、華の身体を包んで恥ずかしいのと、敏感な部分への刺激で目が虚ろな状態に成っている。
半吉が今度は大陰唇の毛を剃り始めると皮膚を引っ張って伸ばすから「ああー、うぅ」と尚更感じる華。
「ジョリジョリ」「ジョリ、ジョリ」と音がする。
つねが丁寧にもう一度刷毛でシャボンを塗って、仕上げの剃刀を下腹部から、クリトリスの部分を丁寧に剃り始める。
二人の剃り師に陰部を弄ばれて、薬の影響も相まってもう何が何だか判らなく成っている華。
合田も金子も、もう座って入られないので、側に来て覗き込んでいる。
半吉の指が時々膣に入るので、仰け反る回数が増加して、髪が乱れて額は汗に塗れている。
二人にもう充分な程いじくられて、愛液で華の中は大変な状況で、剃り終わった部分を濡れた布で拭き取ると、羞恥心を呼び起こす剃毛が終了して、綺麗に青みがかった幼女の様な華の陰部が完全に露出した。
「ほら、良く見えるでしょう」と頭を持たれて鏡を見せられる。
華の猿轡を外すと大きく深呼吸をして「もう、許して」と弱々しい声に成っていた。
「可愛い、おさねがこれよ」とつねが指で鏡の中の華のクリトリスを指さす。
「いやーん」と指が触れて叫ぶ華。
「濡れているから、この叔父さんに掃除をして貰いなさい」と絹代が言ったが意味が判らない華。
「ああーだめー」と急に大きな声を出す華。
綺麗な陰部に合田の舌が這った瞬間だった。
「いやー、いやー、辞めて」と「ぺちゃぺちゃ」と音を立てて、華の小陰唇を指で開きながら舐める合田。
「だめーーー、辞めて」と大きな声の華の声を増幅させる様に今度は、金子が白桃の様な乳房を揉みながら、乳首を吸い始める。
「ああーーー、だめーー」と大きな声、合田が舌を丸めて華の膣に挿入して、動かし始める。
「わあああーーー」ともっと大きな声を上げる華だが、時間の経過と共に吐息に変わって「ううー、ああー」と完全に感じている女の声に変わっている。
仰け反る華、目が完全に虚ろな状態に成って、薬が身体を支配して、もう抵抗の姿が無くなってしまった。
二人の男に身体中を舐め回されて、身体が蕩けてしまいそうに成っている華。
しばらく続くと突然「ああーーー、だめーー」と痙攣を起こして気を失ってしまった華だ。
「刺激が強すぎましたね」と絹代が言うと「俺も女にこれ程頑張ったのは初めてだ」と合田が言って金子も「美味しい、乳房だったよ」と満足そうな顔。
「破瓜まで、やろうと思ったのに残念だ」と合田が言うと「次はお腹を綺麗にしてあげましょう、向こうに連れて行って」と言うと、女性四人が、台から縄を外して降ろす。
ぐったりとした華を風呂場の横に有る木の上に四つん這いに支えて、両腕をベルトで固定して、前屈みにさせると、腹にベルトを巻いて天井から引っ張る。
両足も膝を折って、固定して再び猿轡を噛ませて後頭部で強く結ぶ。
固定が終わった時に華が目を覚まして、廻りの変化をみている。
「気がついたのね、気持ち良くて気を失ったわね、生まれて始めて逝った気分はどうだった?」「うぅ、うぅ」と長い髪を乱して首を振る華。
「これから、これをしてあげるのよ」と太い浣腸注射器を見せる。
「うぅ、うぅ」と大きく首を振って怯えた様子を見せる。
「たっぷりと、ぶち込んであげるからね」恐い表情。
「うぅ、うぅ」と首を振る髪は完全に乱れて、結った部分が完全に解けて、今にも長い沢山の黒髪が前に落ちそうに成っている。
その髪を引っ張って「邪魔ね、先に切ってしまおうか」と言われて、急に首を振るのを辞める華。
「すっきりするのに」と引っ張りながら言う絹代の話に、気を取られていると、みつが指にワセリンを浸けて、華の肛門を刺激し始めた。
「うぅ、うぅ」と首を振ると「切って欲しいのか?鋏か?バリカン?どちらにする?」と聞かれて、大人しく成るが、いきなり指を挿入されて「あぅ」と顔を上げる華。
浣腸された華
25-044
指を抜き取ると今度は大きな浣腸器の先が、挿入される。
直ぐさま、ポンプを押して、液体が華の肛門から流れ込んでいく。
「うぅうー」と苦しそうな顔に成ってくる華、初めてだから二本が限界だろうと当初から、決めている。
アナルSEXをするのが目的では無く、完全に諦めさせる手段のひとつだから、いたぶればそれで充分なのだ。
もし、アナルSEXが出来るなら、それはそれで使い道が広がるとの絹代の考えだった。
「うぅ、うぅ」と額に汗を拭きだして、絶えている華に一本目が総て注入された。
ホッとしていた華に、二本目が突き刺さると「うぅ、うぅ」と猿轡から苦しさが込み上げた声がでる。
額も髪も汗が噴き出して、我慢の限界に到達していた。
下腹部は大きく膨らんで、今にも破裂しそうな感じに成っている。
「限界ね」とみつが浣腸器を抜き取ると同時に、肛門を布で押さえている。
「うぅ、うぅ」と絹代に目で訴える華「厠?便所?」と意地悪く尋ねると大きく頷く華。
「駄目よ、ここでするのよ、腹の検査だからね」「うぅ、うぅ」と首を振る華。
「えー、坊主に成りたいの?」と意地悪を言われるが、もう我慢が出来ない状況に成っている華。
顔は赤く紅潮して、汗が身体中から噴き出している。
ガラスの向こうで、合田達が今か今かと見守っているのが、華にも見えるから出せない。
「どうしたのよ」と腹を触って、我慢の限界をいたぶる絹代。
布で肛門を押さえているみつが、無毛の膣の処を突くと「グルグル」とお腹の音がして「でるわよ」とみつが言うのと手を離すのが同時で、華の肛門から黄色い液体が勢いよく発射された。
ガラスも黄色く染まって、見えなく成る程飛び散った糞尿。
泣き出した華、余りにも屈辱的だったのが、恥ずかしさを通り過ぎて、涙に成って現れた。
「恥ずかしかったな」と慰める絹代、三人の女達がバケツで洗い流す華の糞尿。
固定されていたベルトが外されて「お風呂に入れて貰いなさい」と言われる。
今度はたねと中村、松本の三人が風呂場に連れて行く。
猿轡も外され泣きながら項垂れて、風呂場に行くと三人が、華の身体に石鹸をつけて洗い始める。
もう抵抗も何も無い
「本当に綺麗な身体だわね」股間を洗いながら「綺麗に成ってスッキリしたわね」と言うたね。
「。…..」無言の華。
しばらくして、湯船に入れられた華がぽつりと「私、どうなるの?」と尋ねる。
「諦める事だね、一年間の年期明けまで、ここで頑張るしか道は無いよ」と言う。
「どうして?こうなったの?」
「両親に聞く以外に判らないね」と答えるたね。
放心状態で湯船に浸かっている華だが、外の連中には風呂の中の華の姿が見えて、色っぽい肢体にうっとりとしていた。
「そろそろ、華には散って貰わないと、俺の身体が保たないな」と下半身を触る合田。
「落華の宴の始まりですかな?」と金子が微笑みながら言う。
尾山は唯、微笑むだけでこれから何をするのかを言わない。
いつの間にか、絹代が側に来て「大佐に落として貰いながら、黒髪を刈り取りましょうか?」と絹代が横から言い出した。
「それは、華の処女を奪っている最中に、あの黒髪を刈り取るのか?」と驚く合田。
「大佐の物に気を取られている時に、してしまえば、暴れる暇もありませんし、ショックは一度で終わりますから、それにサドの大佐には最高のショーでしょう?」と微笑む絹代。
「残酷だな」と金子が横から言うと「俺一人では時間が持たん、半分は金子さん頼む」と言って微笑み出した。
最上は華の調教の進め方を見て、自分が幸を麻薬で駄目にしてしまったと改めて感じていた。
幸はこの後の破瓜の時に、狂ったのだ。
大佐のマラはそんなに大きい物では無い、金子はもっと小さいから、と当時を思い出しならが、華の入浴を見ていた。
金子さんが幸の身体に挿入した時は、既に意識が無くなっていたと思い出していた。
すると、大佐の挿入で狂った事に成る。
やはり自分の失敗だ!皮下注射と膣内に麻薬を直接流し込んで、それを大佐が一気に掻き回したから、一気に吸収して狂ったのだと結論づけた。
風呂から上がった華に「暑いでしょう?」これでも飲んだら?と牛乳を差し出す絹代。
何か入っていると思っている華は、咽が乾いて欲しいのだが手に取らない。
「何か入っていると思っているの?」と微笑みながらグラスを手に取って、一気に飲み干す絹代が「ほら!何も入ってないわよ、暑いしお腹も空いているでしょう?私もよ!パンが有ったわよね、持って来て、それから私にもう一杯頂戴、ここは暑いわ」と言うとパンと牛乳が届く。
「美味しいのに、要らないの?」とパンをかじり始める絹代。
二杯目を飲み出すと「欲しいのでしょう?暑いからね」身体を布で拭き始めるみつとたね、何も自分では出来ない華は身を任せた状態で椅子に座っている。
「本当に綺麗な身体ね」たねが言う。
「天は不公平よね、顔も身体も綺麗に造る何てね」みつも羨ましそうに言う。
「私達は両方悪いのに」と笑うたね。
「この乳房なんて、素晴らしい形と張りね」と拭くと身体を動かして感じる素振りに成る。
牛乳とパンは運ばれて来て「さあ、遠慮なく食べなさい、牛乳はお代わり有るからね」と言うと直ぐに飲み出す華。
一気に飲み干すと「ほら、乾いていたのね、お代わり持って来て」と言う絹代。
始めから、この様に成ると計算されていて、華の牛乳にはたっぷりと薬が混入されている。
意識がはっきりして、感じなければこれからの調教に進めないから、半分夢の世界に誘うのだ。
お腹が空いていた華は、パンを完食して牛乳も二杯飲んで少し空腹が満たされていた。
朝の六時半に朝食を食べてから、食事はしていなかった。
夕方四時過ぎから、この地下で宴の主人公として、遊ばれている華だった。
加代の驚き
25-045
しばらくして立ち上がって身体を拭くと、少し身体が揺れる華、薬が効果を表し始めていた。
先程まで置いて在った台は撤去されて、二、五メートル四方のマットの様な台が用意されて、四方にパイプがマットの台から上に同じく一メートルの位置にパイプが横に付けられている。
その台の前方には、鋏が二本、バリカンが三つ、日本剃刀のセットが広げられて、シャボンの容器、銅製の洗面器の大小数個、木綿の布数十枚が並べられて、剃髪の準備が整っていた。
「いよいよだな、興奮するよ」と既に衣服を脱いで、上半身は裸の合田。
「大佐、相手は生娘ですよ、優しくして下さいよ、後で使い物に成らなく成りますからね」と尾山に言われる。
尾山は自分の店の女には、どんなに美人でも一切手を付けない主義で、全く華にも加代にも手を付ける事はしない。
その時、加代が地下室に連れて来られて「先生が、見本を見せるのだよ、生徒の神崎華さんが今夜から、ここで働くのでね」と尾山に言われた。
「えー、華さんが何故?」と尋ねる加代に「実は、大火事で檜屋が焼失してしまったのだよ、妹さんは病院、莫大な借金で困り果てて、私が肩代わりをしたのだよ」と尾山が話す。
「嘘でしょう?あの大店の檜屋さんが、そんな事に成る何て信じられない」と驚く加代。
「先生も、こんな仕事をするとは思わなかったでしょう?」と言われる。
「それは、この人達に。。。。」と合田の背中を指さす。
「そうか、じゃあ出て行くか?憲兵に直ぐに逮捕されるだろうな?そうなれば好きな事も出来なく成るがな?」と微笑む尾山。
「でも、神崎の家が?信じられないわ」と怪訝な様子だ。
「そうか、それじゃあ見せてやろう、先生が生徒を可愛がる為にも必要だろう?」証文を取りに行かせる尾山。
「両親も本人には内緒で泣く泣く、判子を押したのだよ、大店の娘にいきなり遊郭で働けとは言えないからな」ともっともそうな話をする。
隣で金子が「それで、尾山さんに私が頼まれて融通したのだよ、私も大きな危険を承知でね、檜屋さんが立ち直って貰わないと、丸菱も大変だし、先ず私の立場は無くなるのだよ」と話を合わせる。
「でも、信じられません」と言う加代。
加代の目からは華の姿は見えないが、前方に在るマットの台は明らかに、これから何か?と真剣に廻りを見ていると、バリカン、鋏、洗面器が目に飛び込んで、ここでこれから剃髪がされる事は明らかだと思う加代だ。
しばらくして、男が証文の入った入れ物を大事そうに持って来た。
箱を開けて、証文を取り出すと加代に見せる。
証文に見入る加代の顔色が変わって「どうだ?嘘では無いだろう?先生なら檜屋さんの文字もご存じだろう?」と言われて頷く加代。
顔色が大きく変わって「一年間、華さんがここで働くのですか?」と確認をする。
「そうだ、先生が色々助けてあげなければ、彼女も絶えられないだろう?」
「いつ、来られたのですか?」加代にはこの話が本当だと思った。
「今日だ、これから見れば判ると思うが、得度式だよ」
「あの綺麗な髪を?」と暗い表情に成る。
自分も長い髪を刈り取られて、今ではこの店で客を受け入れて生活をしている。
逃げ様と思っても、もう身体が拒否をしてしまう加代だった。
神崎華さんも私と同じ運命なのか?今でも信じられない加代。
「仕方がないだろう?ここで働く以上、先生も同じだろう?」
「華さんは、まだ殿御を知らないと思いますが?」
「それも、これから行う予定だ、大佐がお待ちかねだろう」と言うと振り向いて微笑む合田。
「何と、惨い事を」と恐い顔の加代。
「だがな、百二十万もの大金をあの小娘一人を担保に融通したのだぞ」と言われて「。…..」言葉が無い加代。
「終わったら、慰めて一緒に色々教えてやって欲しい、先生と生徒の関係でな、頼む」
「。。。。。」頭の中に自分の立場と過去の事が入り乱れていた。
「まあ、ここで華が落ちるのを見物して行け、見てないと慰められないだろう?陰毛はもう剃らして貰った、そんなに抵抗は無かったぞ」と微笑む尾山。
「えー、既に剃られたのですか?」と驚く加代。
「先生よりも剛毛だったぞ」と微笑む。
身体を拭かれて、二人の女に支えられてようやく、風呂場からこちらに来た華を見て「何か薬が?」と加代が尋ねる。
「当然だろう、素面で大佐の物を入れられて、髪を剃られたら気が狂うだろう?」
「意識が無いのですか?」と華の姿を見て尋ねる。
「その様な事は無い、夢心地の様に成って居るだけだよ、言葉も判る」と尾山が説明する。
自分も麻薬を使われて、今では中毒の様に欲しく成って、客のマラを恋しがってしまっていると思う加代。
しかし、顔も綺麗し肢体も申し分なかったのね、普段では裸は見ていなかったが、綺麗だろうなとは思っていた加代。
腰の括れ、胸の張り、色、形、足の長さと身長のバランス、素晴らしい身体だと惚れ惚れして眺めている加代。
「さあ、そこに横に成るのよ」と絹代が横から言う。
マットの台の側で躊躇する華「仕方無いね、手伝って」と言われて土佐が前に出て行って、華の足を持つと「いや、いや」と声を出して抵抗する。
身体をみつが持って、たねと土佐が持ち上げると、軽々とマットの上に載せられてしまった。
媚薬マッサージ
25-046
マットに載せられると、直ぐに頭を枕の上に置かれて、手枷のベルトを片方ずつ留める二人の女。
縄が付いて、下のパイプに結び付けると、両手が動かないで広げた状態に成って、華は天井を見つめる。
足は真っ直ぐに伸ばして、片足ずつ足首に縄を巻き付ける。
だが、足は広げずに真っ直ぐ下で、パイプに結ぶので、十字架の磔の様な形で寝かされた華だった。
「それでは、貫通式並びに得度式を行います」と絹代が前でみんなにお辞儀をして告げた。
華には貫通式も得度式も意味が良く理解されていない。
頭がぼんやりとして、動け無い状態で全裸にて寝かされている事だけは理解出来た。
「何をする気なのですか?」と目の前のみつに尋ねると「これから気持ちの良い按摩をされるのよ」と言う絹代は微笑んでいる。
「按摩?按摩?」と呟く華の身体に液体が、お腹の上にビール瓶程の瓶から垂れてきた。
「いゃーん」と冷やりとした液体に反応をする華、頭はぼんやりとしているが、感度は大きく上昇していた華の身体だ。
華の身体の周りに、みつ、たね、土佐、中村そして絹代が集まって来て、何やら準備をしている。
剃毛師のつねが、華の頭の処に来て、髪を止めて居る太い糸に鋏を入れて切り落とすと、結われて在った髪の元結の部分が、外れて長く纏まって伸びた。
垂れ下がった髪は、華が立てば腰位まで伸びている様に思える。
綺麗に纏まって、数カ所に太い糸で纏めて結ばれている。
この太い髪の束を切れる程の鋏は無いので、方法は二つ根元からバリカンで刈り取る方法、束を外して、切り刻む方法のどちらかに成るとつねが思って、絹代に小声で尋ねる。
「いきなり、バリカンは無理よ、危ないわ」と言われて後者の切り刻む方を選択するつねだ。
腹の上に流された液体を、四人の女が手で華の身体に伸ばして行く。
麻薬製作の媚薬の入った油が、華の身体に塗り込まれて性感をより一層高めようと始まったのだ。
みつがいきなり、乳房に液体を塗り込み始めると「あっ、あっ」と身体をぴくぴくと動かす。
「お嬢さん、美容の為には最高の按摩よ、目を閉じて楽しみなさい」と言うと顔の上に布を被せて華の視線を遮った。
四人の八本の手が華の首から、乳房、腹、足先まで塗り込み始める。
「あっ、あっ」と時々小さな声を発して、身体を小さく動かして徐々に陶酔の世界に入って行く。
太股から、下腹部に手が行くと「あっ、あっ」と益々反応が大きく成って華の顔が揺れ出す。
「気持ちが良いのでしょう」と耳元で囁く絹代。
つねが纏めてあった髪の糸を次々と切って行くと、徐々に髪は纏まりを無くして、広がって、多い髪の姿に変わって行った。
「あっ、あっ」と声が大きく成る華の側に、小さな指サックの浮いた洗面器が持って来られた。
処女の華に(せせり)をしようとしている様だ。
随喜の凝縮した液体の入った小さな瓶が側に置かれている。
本当は随喜の束を数十分咥えさせてから(せせり)をされると男性の物が入らないと収まらなく成ってしまうが、処女の華にはそれが出来ない。
生娘に効果が有るのか?絹代は過去に数人確かめていたが、効果は人によって様々だった。
効果の有った女の子は、その後好きに成ってしまって、スムーズに遊女の仕事を受け入れたから、華の場合はどの様に成るのかは判らないが、感度の良さから推測して上手く行くのでは?と考えていたのだ。
今、華は陶酔の世界の中で自分の肉体の悪魔に飲み込まれて、感じて敏感肌に成っていると絹代は思って、微笑んでいた。
松本と長治郎が、華の真っ直ぐに伸ばした足元に来て、下のパイプに結んでいた縄を解いて、二人が片足ずつ持って、左右に引っ張った。
「あー」と驚く華だがどうする事も出来ない。
左右に一杯に引っ張られて、華の無毛の股間が大きく開かれて、少し尻が浮いた処で止まって、二人がパイプに結び付けた。
身を乗り出して覗き込む合田と、金子、浮いた腰に空かさずに枕を滑り込ませる絹代。
マットの上に上がって、指サックを中指と薬指に着ける。
加代も華の股間を凝視している。
興奮もしてきた様で、長襦袢の胸の辺りを先程から触って居る。
金子が上半身裸に成ってしまって、合田と二人ズボンに上半身裸の姿で並んでいるのは、尾山には滑稽に見えていた。
「綺麗な、オマンコだろう?」と不意に尾山が加代に囁いた。
「は、はい身体もオマンコも綺麗ですね、でも残酷ですね」と言う加代。
「お前もして欲しいだろう?」と言われて、加代は頷いていた。
身体がもう欲しがっているので、我慢が出来ないので正直な加代だ。
「あの子を、お前が教えてくれれば、お前にもたっぷりとして貰える様に頼んでやろう」と言われて頷く加代。
身体の按摩は二人が交代で、続けているので華は足を広げられた事に気は入って居るが、陶酔は続いていた。
絹代が二本の指を随喜の小瓶に入れて、取り出すと左手の指で華の小陰唇を少し開く。
「あっ、あっ」と声を出す華、中指を剥き出されたピンクの肉片に擦りつける絹代。
「ああ、あっ、あっ」と声を小刻みに発しだした華だ。
今度は薬指を擦りつけると「ああ、ああ、」と顔を大きく左右に振って被せて在った布が滑り落ちる。
華は目を閉じて、身体が感じているのがよく判る。
処女貫通
25-047
土佐とたねが、乳房を中心に揉んで、指で乳首に刺激を与えているので、華の身体はもう堪らない刺激が次々と襲っていた。
絹代は再び小瓶に指を入れて、サックの指に液を浸けて左手の指で開いたピンクの肉片を少し大きく広げる。
「あぅ、ああぅう」と仰け反る華、サックの指が今度は少し肉片の中に入るとサックに付いた液体が華の膣の中に滴り落ちて行った。
今度が二本の指が剥かれた肉片を擦るから、華はもう堪らない状況で「ああーーー、だめーー」と口走る。
直ぐに止める絹代。
胸の刺激も止める二人だ。
処女の女に対しての、寸止めを試みる絹代に、身体の疼きを感じる華。
振り向いて「大佐、準備をして下さい」と言う絹代。
縛って有った手の縄を外して、天井の滑車から降りた縄に結び変える長治郎。
華は何が行われているのか全く関知していない状況で、興奮の中で目を閉じているだけだ。
再び液をたっぷりと浸けたサックの指が、華のピンクの肉片を擦りつけると「ああー、ああー駄目――」と大きな声に成って目を開けて、身体を動かす。
逝きそうに成ると止める絹代と二人の女、華の頭が変に成って来るのを待っている様な行動。
(せせり)と同じ様な効果が華の身体に表れるのは時間の問題だった。
「加代、大佐の物を舐めてあげろ」と尾山に言われて、加代は待っていましたと前に出て行って、合田の褌を外しにかかる。
「加代か、助かるぞ」と加代に言う合田だが、もうマラは大きく成っているので、加代の行為は必要が無い状態だ。
それでも加代は直ぐに褌を脱がすと、大きなペニスを咥えて嬉しそうな顔に成る。
大きく上げられていた華の足の縄が外されても、絹代は同じ事を繰り返していた。
「もう、許して」と華が口走り始めて「もう、我慢が出来ないのか?」と尋ねる絹代に「。。。。。」
言葉を発せずに頷く華。
腰の枕が取り払われて、今度は手が後ろ手に縛られて長治郎が素早く、乳房の上と下に縄をかけて、締め上げると、華の乳房が大きく飛び出した。
髪が大きく広がって、上半身が三十度の角度に成った。
背中に布団の小さい物が置かれて、合田がマットの上に上がった。
いきなり乳房に口を持っていく合田「あぅ、あぅ」と感じる華。
つねが華の長い髪に鋏を入れて「チョキ、チョキ」と切った。
気づかない華、二つの乳房を代わる代わる舐めて、吸う合田。
合田の指が華の股間に行って、絹代が合田の指にクリームを浸ける。
「オサネに塗って」と囁くと、合田の指が華のクリトリスに特製クリームが塗られると、つねが次々と切り取っていく長い髪、床に既に長い華の髪が多く散乱している。
「ああ-、暑いわ」と華が言い出すと、今度は絹代が指サックを華の小陰唇の肉を大きく広げて入れる。
「ああーーー、だめーー、何!何なの!」と口走る華。
指を直ぐに抜き取ると、股間に合田の身体が入って、自分のペニスを華の肉片に宛がう。
愛液と随喜の液で濡れて、無毛の膣から流れて出ている。
真剣に見つめる金子に「頭取さんも、頑張るのでしょう?」とズボンのベルトを緩める加代。
目はマットの二人に向いているので、加代がズボンを脱がせても判らない程興奮している金子。
加代は褌も手早く外して、大きく成っている金子のペニスを掴んだ。
急に我に返った金子が「興奮が大きすぎる、逝ってしまいそうだ」と口走る状態。
金子のペニスはぎんぎんに硬く成っている。
合田のペニスが華の肉の中に吸い込まれて「あぅあっ」と声を出していた華が急に「いたーーー」と大きな声に成った。
合田が腰に力を入れて「ぐいー」と押し込んだのだ。
「イヤーーーー、痛いーー」と急に我に返る華の大きな瞳から涙が流れ出た。
泣きながら「もう、許して」と訴える華。
腰をゆっくりと動かし始める合田に「痛い!止めて」と口走る華だが、しばらくして合田が「うぅ、だめだー」と言うと華の身体にもたれ掛かって倒れてしまう。
「どうしました?」と絹代が言うと「終わってしまった」と疲れた様子の合田。
余りにも早い、早漏の合田に驚く面々だ。
小さく成った合田のペニスは、華の膣から追い出される様に飛び出した。
股間から、赤と白の混じった液体が流れ出て、華の処女喪失を伝えていた。
合田は直ぐにマットから降りると、風呂場に向かうが、首を傾げて何故?自分がこんなに早く終わったのだろう?と言いたそうに風呂場に消えた。
華は疲れた様子で横たわっていたが、つねは髪を半分程度切った処で、合田が終わったので、中断に成っている。
長い髪が短く成った程度で、華の外見は全く変わっていない状態。
「頭取の番ですよ、頑張って下さいよ」と絹代に言われてマットの上に上がる金子。
縄で締め上げられている乳房から舐め始める金子に、華は「うぅ、うぅ」と反応を始める。
怒るのかと思っていた絹代は、薬の効果で華の身体が燃えているのだと思っていた。
しばらくして合田が腰に布を巻いて戻って来て、尾山の横に座った。
「大佐、困りますね、中で出されては、妊娠でもしたら大変なのですよ」と怒る尾山。
「親方、すまん、すまん、それが俺にもよく判らないのだよ、急に吸い取られる様に、出てしまったのだよ」と頭を掻く大佐。
「興奮し過ぎていたから、仕方無いのだが中出しは駄目ですよ、金子さんにもゴムを着けて貰いますよ」そう言うと直ぐに指示をして、金子の処に加代がゴムを持って行く。
嫌そうに、反対を向く金子のペニスを加代が咥えるとフェラを始めて、上手にゴムを被せる。
「ゴムを着けると、絶対に出無くなるから、困るのだ」と口走りながら、再び華の乳房にしゃぶり付く金子。
華は名器
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「今でも判らんな」と首を傾げて金子の様子を見ているが、もう終わった合田には興味のない舞台だったから、気に成っていた。
唯、華の剃髪にはサドだから興味が大いに有る合田大佐だ。
マットの上で、緊縮された華の乳房を吸いながら、陰部に指を伸ばす金子に再びクリームを差し出して「オサネに塗ってやって」と囁く絹代。
指に浸けて、直ぐにクリトリスに塗り込む金子「いゃーん、熱いわ、駄目」と口走る華。
「可愛いよ、可愛いよ」と言いながら、自分のペニスを掴んで、挿入を試みる金子。
華の膣は先程の合田の精液と愛液、そして華の鮮血が混ざってにゅるにゅるの状態。
「うぅ」と華が言うと、簡単に挿入される金子のペニス。
「あっ、あっ」と今度は先程の様に痛いと叫ばない華。
ゆっくり腰を動かし始める金子に「ああー、あぅ」と鼻で大きく息をして仰け反る華。
髪を持って切るつねが「ジョキ、ジョキ」とようやく少し短く切り揃って、肩より少し長い髪に成って、これから切ろうと思って髪を持った時「うぅ、うぅ」と金子が華の腹にもたれ掛かって、合田と同じ状況で終わってしまった。
「えー、もう終わったの?」とつねが驚きの表情に成る。
「このお二人さん、興奮し過ぎで早漏に成ったのね」と微笑むが、金子は直ぐに元気が無くなったペニスを項垂れて、華の側を離れていった。
華は恍惚の表情、金子のペニスのゴムには愛液と鮮血、合田の精子に塗れて、外した中には自分の物がたっぷりと残っていて、グロテスクな物に変わって居た。
絹代は予定とは全く異なる終わり方に呆れて、尾山の側に向かう。
風呂場に行った金子を見て、合田が「自分も早いじゃないか?ゴムを着けたら終わらない?冗談だったのか?」と笑った。
「親方、どうしましょう?」と絹代が尋ねると横から金子が「少し切ったから、もう一気に刈ってしまえ、まだ時間は有るだろう?」と言う。
「百戦錬磨のお二人が、撃沈させられたのは興奮の為かな?」と言い出した尾山。
「何か特別な事でも?」と尋ねる絹代。
「金子さんが戻ったら聞いてみよう、加代その間に華と対面してきなさい」と命じる尾山。
「そう言われたら、俺も何か吸い出される様な感覚で、我慢の気持ちより先に出していた。中出しは申し訳なかった」と改めて謝る合田だ。
青く光る頭の加代が華の側に行って「華さん」と声をかけると、始めは誰だか判らなかった華がようやく判ったらしく「先生」と言うと、泣き出して「家が火事に成ったの?」と尋ねると頷く華。
加代は濡れた布で優しく、華の陰部を拭き取って、陰部を綺麗にしながら話を続ける。
「大きな借金が出来たのね、貴女は知らなかったのね、ここに売られた事を」
「本当だったの?先生も売られたの?」驚いて尋ねる。
「私は、憲兵に濡れ衣で捕まったのよ、貴女は一年の年期奉公で檜屋を救ったのね、偉いわ」
「私は一年の年期奉公?」意味が判らない華。
「そうよ、ここはこの頭を見れば判るでしょう(尼御殿)と呼ばれて居る神戸の遊郭なのよ、殿方を貴女は一年間、私の期間は判らないのよ、我慢して働かないと駄目なのよ」
「本当に、父と母に売られたの?」と信じていない。
「売られたと言うより、担保に成ったのよ、あそこの尾山って着物を着た人が、保証人に成って先程の禿の叔父さんがお金を出したのよ、銀行の頭取よ」
「担保ですか」と噛みしめた様に言う。
「そう、担保だからどの様に使おうと勝手だからね、自分の店で働かせるのよ、素直にしていたら麻薬を使わないから、元の世界に戻れるわ、私は麻薬をしているから、もう元には戻れないのよ」
「毎日この様に縛られるの?」と不安な顔。
「そんな事は無いわ、でも頭とあそこは伸びたら剃られるわ」
「えー、嫌です、髪が無く成るのは!」と必死に言い出す。
「ここは、尼さんが売りなのよ、無理よ、髪短く切られたでしょう、あそこを見てご覧なさい」と指を指す。
この時初めて、自分の長い髪が少し短い事に気づいて、身体を後ろに向けて見ると、バリカン、鋏、剃刀、洗面器、布、シャボンの容器が目に入って「嫌―――、許して」と動け無い身体で叫ぶ華。
「私では、どうする事も出来ないわ、髪が無くなっても生きては行けるわ、一年の辛抱よ」と慰めるが泣いてしまう華。
後ろ手で、乳房を突き出して、座って居る華の哀れな姿、先程二人の男に連続で強姦されたのに、強姦に対してはそれ程何も言わない華なのだ。
風呂から戻って来た金子が「驚いたよ、まるで吸い取られる様に出してしまった、ゴムを着けて初めて出したよ」と驚き顔で言う金子。
「俺と同じだな、金子さんも口ほどでも無かった訳だ」と笑うと絹代が「若しかして、あの子は稀に居る名器の持ち主なのかも知れないわ」と言い出した。
「それは何なのだ?」と合田が絹代に尋ねる。
「聞いた話だけれど、感じると膣が痙攣を起こして、男性のマラを締め上げて精子を吸い取ると云うか、絞り出すと云う感じに成る子が居るとね」
「えっ、そんな名器の持ち主?」と驚く金子。
「そう言われれば、何か吸盤の中に入れた様に感じたな」と合田が言い始める。
「数の子天井?ミミズ千匹?」と金子が言うと「それだけでは、お二人の様には成りませんよ」と絹代が言う。
数の子天井は子宮口の手前にコリコリとしたつぶつぶが膣壁に在って、男性自身が動く度に亀頭をその部分に擦りつけるので、男性が快感に成る。
ミミズ千匹は膣の中がうねうねと動いて、男性自身を包み込んで、絡みつく様な快感を男性に与える。
「蛸壺か俵締めの名器が、備わっているのかも知れないわね」と絹代が話す。
「それは何だ?」と合田が尋ねる。
絹代が説明を始める。
蛸壺とは別名磯巾着で、膣全体で男性自身を締め付けて、吸い込まれそうに成るのだ。
俵締めは膣の一部分で男性自身をぎゅっと締め付けて、中には膣口に強い締め付けがある二段締め、最高の三段締めは膣口と膣の途中に締め付けがもう一つある三段締め、この女性に当たると殆どの男性は我慢が出来ない代物だ。
だが、何処で線を引いて区別するかは、解剖でもしなければ判らないが、その時は本人が亡くなってしまうので判らないから、性行為をした男性にしか証明は出来ないのだ。
咥え性具
25-049
「その様な、女性は過去に居ないな」と尾山が初めて興味を持った。
絹代は親方が初めて店の女性に手を出すのか?と興味が湧いてきたが尾山が「取り敢えず絹代さんが調べて診て、確かめられるかは判らないがな」と微笑む。
「はい、ミミズ千匹の女性は二人程診ました」と言った。
先程は処女だったので、指を入れて確かめるのを遠慮したが、これからはこの子を仕込むために毎日触らなければ成らないので、早めに道具を見極めるのは大切だと思った。
「髪はどうしますか?」と質問する絹代に「名器でも仕込んで、店に出すだろうから、予定通り進めて下さい」と尾山が指示をする。
「はい、それでは今から得度式を行います」と相談が終わる。
「華さん、今から貴女のお道具を調べるのよ」と言うと「お道具って?何も持って来ていません」と言う華。
「随喜を用意して、せせりのサックも、もう一度湯に浸けて」とみつとたねに指示をする。
絹代の頭には、もしこの子が名器なら親方が自分で調べるだろう?名器で無ければここに居る半吉?長治郎?でも長治郎は大きすぎるから、嫌いに成るなと、色々な事を考えながらつねに耳うちして「これから、この子を逝かせるまで責めるから、坊主にしてしまって、
多分気絶するまで、責めるから、ゆっくりと剃れるわ」と告げる。
「さあ、口を開くのよ」と猿轡を持って華の前に行く絹代に「もう許して、お願い」と言う華。
「何を言っているの?叔父さん二人を相手にしても、逝かなかったでしょう?」と絹代に言われてもよく判らない華。
その時、華の身体がマットから上に吊り上げられて「イヤー、降ろして」と叫ぶ。
マットが横に移動されて、元の寝台型の台が置かれた処に、後ろ手のまま、台に降ろされる華。
後ろ手を解かれて、両手を横のパイプに縛り付けられる。
「口を開かないと、朝まで吊すよ」と言われて口を開く華に再び木に布を巻いた猿轡ががっちりと入って、最初の時と異なって、背中に枕が入っているので首から上が起きた状態で、手は下に降ろして台の縁を思っている状態に変わっている。
再び、最上が注射器を持って、土佐が腕を消毒して、注射がされた。
足は前に垂れて閉じられていたが、最初の様に足首と膝上に再びベルトが巻かれて、引っ張ると大きく広がって、華の陰部が目の前の人に曝された。
「それじゃあ、お前のお道具の検査を始める」絹代がクリームを手に持って「オサネに塗ってやろうな、これで先程燃えただろう?」と二人が撃沈する場面の再現を始めた。
クリームを指に浸けて、塗り始めると「うぅ、うぅ」と首を振る華。
「熱く成ってくるだろう?」と尋ねる絹代に大きく頷く華。
「ここにはこれを加えさせるのよ」と小さな随喜の束を見せると、それは小さめの男根の形をしていた。
先程の指サックを装着する絹代、中指と薬指に随喜で造ったサックが着けられて、先程の小瓶に二本の指を浸けて、濃縮汁に塗れると大きく開かれた華の小陰唇の肉を開く。
「うぅ、うぅ」と目を見開く華、ピンクの肉片に指を擦りつけながら、華の潤いを待つ。
しばらくして、ピンクの肉片が露に塗れて光り出すと、中指をゆっくりと挿入する。
「うぅ、うぅ」と指に感じ始める華を見届けると、左手でつねに合図を送る。
つねが華の髪を持つと「ジョキ、ジョキ」と切り始める。
肩より長い程残っていた髪を、今度は耳の下位の場所まで鋏を入れて切り始める。
「うぅー」と気づき始めると絹代が指を大きく動かすと「ああー」と感じる華。
次々と床に落ちる華の髪、大きく動き始める絹代の指に「凄い、これは数の子だわ」と口走る絹代。
「指が締め付けられる」と言う。
しばらくして、つねが殆ど華の髪を切り落として、おかっぱよりも短い髪に成った。
床には一面華の黒髪で埋め尽くされて、華はせせりの指に身体が疼いて今までに無い気持ちに成っている。
口から涎が流れ落ちて目がとろんとして、もう完全に夢の中に入り込んでいる。
つねがバリカンを手に持って、額にあてると若干の抵抗の素振りを見せるが、絹代が再び随喜の液を浸けて、挿入して「ああー、ああー」と猿轡の中から嗚咽を漏らす。
つねが左手で頭を持って、バリカンが額から後頭部に「ギーギー」と音を立てて刈り込み始めて、跡には青白い肌が筋の様に残る。
無残な光景に目を背ける加代だ。
片手で頭を押さえて、何度も何度もバリカンが移動すると、青白い部分がどんどん増えて、華の綺麗な髪は、後頭部と耳の廻りに残されただけに成っている。
その頃、基地から飛田少尉が急用を携えて、夜道を尾山の店に向かっていた。
明日早朝、小南少将が基地に急用で来られるとの連絡に慌てて、連絡に向かうのだった。
電話では伝えられない話を聞き込んでいた飛田少尉だ。
絹代がサックの指を抜いて今度は随喜で造った男根を緩んで、愛液に塗れた華の膣口にゆっくりと挿入していく。
「ああー、うぅ」と猿轡を越えて華の呻き声が聞こえて、仰け反る。
つねのバリカンが残った部分を刈り取っていく。
横では、半吉が洗面器にお湯を入れて、数枚の布を温めて、瀬戸物の容器にシャボンを泡立てて用意を始めていた。
「結構、強いですわ」と振り返って尾山に伝える絹代。
「名器なのだな?」と尋ねる尾山。
「はい、確かに名器ですね」と言うと尾山が立ち上がって側までやって来た。
咥えた随喜が無毛の陰部に、食い込んでいる。
「しっかりと、咥えているな」と随喜の先を見て、尾山が言う。
「ミミズ千匹?数の子天井は間違い無いのですが?それ以上の持ち物の様です」と話していると、つねが「終わりました」と坊主刈りの終了の頭を撫でて微笑んだ。
「半吉さんの出番ね」と絹代が微笑むが、肝心の華は放心状態だが、気絶をしているのでは無いので、急に動くので危険だと思う絹代だ。
「逝かせるは」と挿入した随喜を抜こうとして「えー、食い込んで抜けないわ」と微笑みながら引っ張る。
ようやく抜けた随喜を見て「えー」と驚きの表情の絹代。
側で見ていた尾山が「これは」と変形した随喜の男根に驚きの表情に成って顔を見合わせた。
泣き明かす華
25-050
気を使って「最上さん、抱かれますか?」と絹代が尋ねると「恥ずかしながら、余りの凄さに、終わってしまいました」と微笑む。
「そうか、この子の道具を私が確かめるのが一番だな」と尾山が着物を脱ぎ始める。
絹代は先程の随喜の束の変形に、興味を持ったと尾山の横顔を見ていた。
「加代、お手伝いをしなさい」と絹代に呼ばれて、側に駆け寄る加代は尾山の褌を急いで外して、少し大きく成っているペニスをいきなり咥えた。
加代にも初めての尾山のペニスだから、この場で見た人は殆ど居ないが、結構形も大きさも理想的だと合田が見ていた。
勿論咥えている加代はそれ以上に、理想の太さで長さも良い、綺麗だと思って舐めて含んで、徐々に大きく反り返る尾山のペニスに満足をしていた。
「ゴムを頼む」と尾山が加代に言うと、絹代に受け取ると直ぐに被せて再び咥える加代。
尾山が華の乳房を揉み始めると、華は再び「うぅ、うぅ」と感じ始めるが、目はトロンとして焦点が定まっていない。
「本当に、名器だったかも知れないな」と合田が言う。
「私は名器だと思う」と金子が言って、二人の会話の時地下室に女性が入って来て、合田に耳うちをして、合田が慌てて地下室を出る準備に入った。
「どうしたのだ?大佐」と怪訝な顔で尋ねる金子に「急用らしい、部下が迎えに来た、残念だがこの後の話は、また聞かせてくれ」とズボンを履きながら、地下室を後にした。
大きく成ったペニスを華の、膣口にあててゆっくりと挿入していく尾山「うぅ、うぅ」と華が呻き声をあげて、天井を見上げる。
尾山が始めろと合図をすると、半吉がシャボンの容器を片手に持って、刷毛にシャボンを浸けて華の頭に塗り始める。
ゆっくりと奥まで挿入すると「あっ、あっ」と声を発しているのか、大きく鼻で息をする華。
今度は、猿轡を外す様に指示をする尾山。
絹代が華の口から木の猿轡を外すと、大きく「ああー、ああー」と声が出ている華。
とても先程まで処女の女とは思えない声を出している。
半吉は、白く成った華の頭に濡れた布を巻き付けて、髪の毛を蒸らし始める。
熱い頭に気が向いたのか「えー!」と声を出す華、それを見て尾山の腰が大きく動き出して「ああーーー、だめーー」と大きな声に成って息が荒い。
尾山の顔も赤く成って、腰を動かす力がゆっくりに成る。
しばらくして「あああーーーー。だめーーー、いっちゃうーー」と言うと身体が大きく痙攣を起こして、足先が真っ直ぐに天井を向くと、一気に身体中の力が抜けると気を失う華。
同時に尾山もその場に倒れて、小さく成ったペニスを抜くとゴムの中に、尾山の精液が堪っているのが見える。
気絶した華の頭から布を取り去ると、再びシャボンを頭に塗って、つねと半吉が、左右から、華の頭を剃り始める「ジョリ、ジョリ」「ジョリ、ジョリ」と演奏の様に音を立てて、素早く剃りあげていく。
尾山は疲れた様子で、風呂場に行って休憩をして、戻って来ると、既に華の頭は半分以上が青く光って居る。
気を失った華は、緩んだ膣口から、愛液を流しながら大きく足を広げて、無残な姿を曝している。
「緩めて、綺麗にしてやってくれ」と尾山が絹代に伝えた。
絹代は普段は尾山が、この様な言葉は絶対に口にする事が無いと思った。
頭を丸めて、下半身をさらけ出して、その姿を当人に見せて、諦めさせるのが通常のここのやり方だったからだ。
「飛田少尉、何事だ!」と車に乗ってから尋ねる合田。
「実は、小南少将が明日早朝、来られると連絡が有りましたので、お迎えに参りました」
「何故?今頃?次回は来月の末だろう?」驚く合田の顔。
「私が調べました情報では、新しい大佐が来られるらしいのです」
「何!俺は移動か?」益々険しい顔に成る合田。
「はい、それも直ぐに移動の様でございます」
「急な事だな、広島辺りか、俺も少将に昇進かな!飛田君」と今度は嬉しそうな顔で微笑む。
「いや、それが誠に申し上げ難いのですが。。。」
「何だ、話して見ろ」と怒る様に言う。
「中国に出陣に成る様です」
「何――――」と顔色が変わる合田大佐。
それを聞いた合田は急に無口に成ってしまって「華ともう一度。。。。。」とポツリと言っただけで、再び無口の合田大佐。
飛田少尉が小南少将に匿名の手紙をしたためて、送り着けたのが原因だとは合田大佐が知る筈も無かった。
真夜中の激震は、合田の気持ちを楽しかった先程の天国から地獄にたたき落とした。
飛田少尉は内心笑っていたが、顔では困りましたね、大佐とお別れですねと云った顔をしている。
華は足を降ろされて、頭は綺麗に剃髪されて、綺麗な尼さんが誕生したのは、もう日付が変わった二時に成っていた。
実に十時間以上、華は遊ばれた事に成った。
最上達も、合田が帰ると後を追う様に帰って行ったので、残っているのは金子頭取一人だった。
華はそのまま風呂場に運ばれて、加代がそっと横に付き添って、剃髪の悲しみを慰めてやれと尾山が命じていた。
そして、尾山が絹代に「あの娘に客は取らせない、看板に飾るだけで良い」と言って自分の部屋に戻って行った。
客を取らせないは、仕込みをしなくても良いと云う意味だった。
あんなに綺麗な尼さんを、商売に使わないと言われて納得出来ない絹代だ。
風呂場で気がついた華が「もう、終わったの?」と身体を洗っている加代に言った。
「終わったわ、頭も綺麗に成っているでしょう?」
「えー」と頭に手をやって「わーーー」と泣き始める華。
「華さん、親方がね、華さんは客を取らなくて良いって、話したらしいわ」
「じゃあ、こんな頭にしなくても良いのに。。。。。」と再び泣き始める華。
「何でも、明日から店の中に座って、微笑んでお客を呼び込む、仕事をするらしいわ」
「そんな事をする為に、頭がこんなに。。。いやーーー」と再び泣き出す華。
華が落ち着くまで、一緒に過ごす使命を帯びた加代は、明日には落ち着くだろうかと、心配に成っていた。
惚れた尾山
25-051
翌朝、小南少将は合田大佐を呼びつけて「これから、君に中国の最前線で指揮を頼みたい」と言って、命令を下した。
事前に聞いていた合田に、驚きは無かったが次の言葉に驚きの表情に成った。
「言って貰うのは、即刻だ!明日には出発出来る様に準備をする様に」と言われたから、普通は早くても一週間後とかに成る事が普通だったから、一日位は華と遊べるだろうと目論んでいた合田には大きなショックに成った。
実家に帰る事も許されずに「現地では君の様な優秀な上官の到着を心待ちにしているから、急で悪いが頼む」と小南に言われては致し方無かった。
小南は大阪の大学病院に神崎幸の様子を尋ねて、匿名の手紙が偽りでは無いと確信したので、急ぎやって来て、処分を急いだのだ。
事が公に成れば自分の監督不行届に成り、大きな失態として残るからだった。
この命令を聞いて飛田少尉は、近くのお寺に行って無縁仏で葬られた青柳の墓の前で「青柳!仇は討ったぞ、本当に住まない事をした」と涙を流して報告をしていた。
華は朝方まで泣き止まなかったが「家の為に頑張って、遊郭で客を取らないのは異例の事よ」と加代に慰められてようやく落ち着いて眠りに就いた。
朝、絹代は尾山に華の処遇について尋ねると「あの子は、素晴らしい持ち物を持って居る、私でも我慢が出来なかった程だ、普通の男では瞬殺に成る」
「それでも宜しいのでは?」
「私が、あの身体に惚れてしまった」と言い出して、流石の絹代も次の言葉が無く成った。
「あの華を希望の男性が居たら、一万円だと言って、それでも抱きたい男が居たら、抱かせてやれ、客の目を引きつける女で良い」と言った。
昼頃に成って合田が別れの電話を尾山にかけてきた。
急な戦地への着任に驚きの尾山だったが、軍の人事には何も文句が言えない時代、今日本は、中国、韓国と占領地を拡大して、軍人の権威は最高に成っていた。
ワシントン軍縮条約も破棄した日本軍は、第二次世界大戦に向かって突き進んでいた。
長い時間華は宴の翌日は、眠りから覚めない。
尾山の許しで、華を起こさない(尼御殿)の人々、当然一緒に眠る加代も、起こすことは無かった。
殆ど二人が眠ったのは朝に成っていたから、致し方無かった。
明石の会社に連れ込まれた児玉たみを、尾山は呼び寄せる事にしたのだ。
華の面倒を見て貰う事と、華の気分が安らぐと考えていた。
華を執拗に、追い掛けて居た合田大佐が、明日居なくなる事も尾山には都合が良かったのだ。
すっかり華の身体の虜に成っている自分を、押さえられなく成っていた。
華も目覚めて、加代に「最後の殿方は何方でしたか?」と尋ねて加代が「何故、その様な事を尋ねるの?」と聞くと「私、気が遠く成る程に成ったのよ」と言い出したのだ。
合田大佐に処女を奪われて、金子頭取に犯されても、尾山親方の事を悪く言わない華に呆れる加代だ。
失神した性交が、余程良かったのだろうか?これだけは当人で無ければ判らない事だが、確かに親方のマラは形、太さ、硬さは理想的だったと、しゃぶった加代はその様に思っていた。
この華の言葉はそのまま親方の今の、行動に表れているのかも知れないと、思い出した加代だった。
今日も今頃の時間迄、眠ってもお越しにも来ない。
「食事よ」と襖を開けて、女中が二人でお膳を運び入れた。
「何!これは?」と驚く程の料理がお膳に載せられて、運び込まれた。
「あっ、華さんに言づてです、親方さんが、乳母の児玉さんが夕方ここに来られるそうですと言いなさいと言われました」とお辞儀をして出て行く。
「えー、たみが来てくれるの?」と急に笑顔に変わる華だ。
「親方に気に入られたね、華さんが気を失った相手は親方さんだよ」と教える加代。
「えー、本当なのですか?あの恐そうな軍人さんかと思っていました」と嬉しい顔に成っている。
「それにしても、豪勢な食事だわね、朝昼兼用にしても凄いわ」と食べ始める加代。
「私もお腹が空いて居ます、頂きます」と食べ始める華。
二十一歳で昨晩責め続けられて、処女を失った子とは思えない食欲に驚く加代だ。
食事が終わった頃に、加代は尾山に呼ばれて、児玉たみがここに来たら、事情を説明して、実家に電話をさせて、その内容も紙に書いて手渡した。
紙には、無事に旅館に到着しました今後は時々、連絡を致しますのでご心配されません様にと書かれていて、数日後には華様が直々電話をされる機会を頂けますので、お待ち下さいと追伸が書かれていた。
華も、児玉も事実は全く知らされていないのだ。
自分が事実を児玉に、正確に伝えなければ誤解を招くと尾山に言われた事をしっかりと覚える加代。
華は綺麗に化粧をされて、尼の衣装を身に纏い、尼頭巾を被ると店先の部屋に座って、道行く男性を笑顔で呼び込む役目を始めた。
華の前に男は立ち止まって、動かない。
しばらくして、交渉に成って「あの子は抱けるの?」と尋ねる客に「お飾りですが、お金を頂ければお相手はいたしますよ」と答える。
「幾ら?」と尋ねる客。
「一万で御座います」と言うと「えーー、一万?嘘だろう?」と大きな声で驚く。
「いいえ、本当ですよ、ミミズ千匹の蛸壺で、あの美しさですよ、今まで殿方はお二人、それも昨夜まで生娘」
「いやーそれでも一万は高すぎだ」と驚くと隣の男が「俺、一ヶ月百二十円、七年分、ひやー」と笑いながら通り過ぎていく。
その頃、遊郭の(華御殿)の部屋で加代が、児玉たみに事情を、時間を要して説明していた。
たみも檜屋が大火で、大きな損失を出した事、それも従業員武田の放火だった事実、迫田専務の病死と、娘幸の病気と立て続けに起こった災難に気を揉んでいた事も事実で、急に大手銀行丸菱の融資で、立ち直って行ったのも本当だった。
でもまさか、華お嬢様が担保に成って、一年間の年期奉公に出されたとは、知らなかったのだ。
自分が側に居て、お慰め出来るのは遊郭の親方のご厚意だと、聞かされた事と、昨夜の話を聞いて、ようやく理解が出来たたみだった。
夜の営み
25-052
その日の夜、たみは華と涙の対面をして、両親は決して華さんを売ったのでは無い、担保に取った丸菱が売り飛ばしたと結論づけて、泣きながら一年間頑張ろう、絶対に実家にはこの事実は隠そうと二人で決めていた。
幸いここの親方のご厚意で、客は受けなくても良いので、たみも安心に成っていた。
その夜から、二人は枕を並べて眠る事に成って、翌日尾山の筋書き通りに檜屋に電話をしたたみだ。
華の身の回りの世話は総てたみがするが、剃髪だけはつねが三日に一度の割合で行う。
「絹代さん、親方さんは?もう駄目?」と変な聞き方をしたのは、一週間後だった。
勘の良い絹代は、この華が親方との交わりが忘れられないのだと察して、尾山に伝える。
丁度、夜金子が遊びにやって来て「華と遊べるのか?」と絹代に尋ねる。
「金子さんの物では、危険よ!」
「何が危険なのだ」
「頭取さんのマラが、使い物に成らなくなると親方が話していましたよ」
「えー、それはどう云う意味なのだ?」
「あの子は名器ですが、数の子天井に三段俵締めの逸物で、始めはまだ感じ方も判らなかったから、良かったのですが、今では感じるので三段締めが男性の物を壊してしまうのです」
「えー、そんなに締まるのか?」
「だから、客は取らせていませんのですよ、今も店の前で座ってお客を引っ張る係です」
「ほんとうだ、恐い名器なのか?」
「ご覧に成ったでしょう、随喜が壊れていたでしょう?」
「確かに見た」と流石の金子も恐く成った様だ。
絹代は追い打ちをかける様に「お客が二人、病院に運ばれたのですよ」と言って脅かした。
金子は加代を呼んで、楽しむ事にして華を諦めたのだ。
「華を私の部屋に呼んでくれないか?」と尾山が話したのはその翌日だった。
華は久々に尾山に呼ばれて嬉しそうに向かうと「お店に慣れたか?」と優しく話して「両親に一度声を聞かせてあげなさい、両親は華さんを決して遊郭に売り飛ばしたのではない、銀行の頭取に担保に売られたのだから、両親を恨まない様にな」と言う。
「はい、私もその様に聞いています」と微笑んだ。
「実は私には今妻は居ない、最初結婚した女性は数十年前に結核で亡くなって、結婚したい女性が居なかったが、初めて一緒に成りたい女性が出来たのだよ」と急に話し出した。
華は無言で聞いているが、五十代の男性が自分に求婚するとは考えても居ない。
尾山には先日華を抱いた感触が脳裏に残って、捨てがたい女性に変わってしまった。
お客を受けない様にして、取り敢えず店の客引きに使ってはいたが、日を追う事に思いは募る。
今夜はもう一度確かめて見たい気持ちに成っていたのだ。
先日は縛って自由を奪い、薬を使っての行為だったから、普通の状態でこの華がどの様な状態なのか?もし先日と同じか若しくはそれ以上なら、即刻自分専属、即ち将来は妻にしたいと考えていたのだ。
毎日遊女達の身体の管理をしている絹代からは、華の体調の変化とか生理の兆候は見られないと聞いていた尾山だった。
部屋の奥の間には布団が敷いて有って、その場を見せたらどの様な行動をするのだろう?逃げるのか?それとも拒絶しながら抱かれるのか?喜んで抱かれるのか?尾山には大変に興味が有るが、恐い瞬間だった。
「今夜は、ここで過ごしてくれるか?」と恐る恐る尋ねる尾山はとても遊郭の主人には思えない。
既に絹代は尾山から聞いて知っているので、児玉には今夜の事を伝えていた。
たみは、遊郭で客を受け入れずに過ごしている事だけでも奇跡に近いのに、今度はここの主人に気に入られたと聞いて、嬉しいのか哀しいのか判らない心境に成っていた。
本来なら、しかるべき旧家の御曹司とお見合いで結婚をしていても全く不思議では無いが、あの武田の裏切りによる大火で、莫大な借金を背負い遊郭に身売りさせられた身分の、華がまた一大転機を迎えるのかと考えると、複雑なたみだった。
その頃、合田大佐は中国本土に渡って、陸軍の自分の指揮監督の兵士達と初めての対面をしていた。
だがこの合田大佐、数日後から大変な行動に押し進んで、中国の民から恐れられる存在に成っていくのだ。
金子頭取は、華を諦めたのと友人の合田大佐が居なくなって、急に元気が無くなって尾山の店に寄り付かなく成っていた。
襖を開く尾山、部屋に敷いてある布団を見て「親方が抱いて下さるの?」と意外な言葉を放った華に、顔が緩む尾山。
「そうだが、今夜は普通の男女の営みだがな」と言うと「嬉しい」と言いながら恥ずかしそうに、尾山の手を持った華。
尾山は先日の薬で意識朦朧の時でも、自分と相性が良かった事を覚えて居たのだと確信をした。
可愛い顔に、光る青い頭水色の長襦袢一枚の華の姿は、色気が備わった女性に変化している様に尾山には見えた。
いきなり抱き寄せて唇を合わせると、ぎこちない華の口に舌先を滑り込ませる尾山。
考えて見ればこれが華の初めての口づけに成っていた。
目を閉じる華の吐息は荒く、心の動揺が感じられて、尾山晋太郎も何故か気持ちが高ぶっていた。
今夜ゴムは着けないで、もし妊娠でもすれば二人の子供として育てれば良いと決めている晋太郎だ。
心の大半は華に奪われているが、一抹の不安は先日の様な事が今夜は起こらないのでは?あれは薬と緊縛の影響かも知れないと思う気持ちだ。
唇を合わせて、舌を絡ませると華は経験が無いので、この様に自分もするのが良いのだと思い、何の躊躇いも無く舌を絡めてくる。
驚くのは晋太郎の方だった。
長襦袢の襟から手を入れると、弾力の有る華の乳房を触る。
「うぅ」と唇を離して、声を放つ、薬が無くても感じ易い身体は間違い無いと思って、乳首に指を持って行くと、指先でゆっくりと摘む晋太郎。
「あっ、あっ」と先程以上の反応を示す華、晋太郎は一気に長襦袢を胸元から広げる。
白い乳房が弾力を感じさせる動きで、横に揺れて晋太郎に覆い被さって来た。
「親方さん、早く抱いて、抱いて」とお強請りをする華は、先日の余韻の中でこの数日間を過ごしていた様だった。
華の妊娠
25-053
「華、可愛いよ、これを舐めてくれないか?」と着物を脱ぎ捨てて褌を取り払った晋太郎。
華は既に長襦袢は脱がされて、全裸で晋太郎の唇に自分の唇を合わせて、接吻に神経を集中していた。
少し大きく成った晋太郎のペニスを見て、躊躇う華に「駄目か?」と尋ねると「気持ちが良く成るの?」と小声で尋ねる華の身体を反対に向けて、晋太郎の顔に華の陰部が来る様に身体を動かした。
晋太郎がいきなり、華の無毛の小陰唇を指で広げると「いやーん」と声をあげる華。
続けて晋太郎が身体を引きつけて、舌が肉片を舐めると「きゃー、感じちゃう」と声を出して自分も晋太郎のペニスを咥える。
「うぅ、うぅ」と声を出しながら、咥えて舐める華は、恥ずかしさが消えて雌に変わっていた。
しばらくして、晋太郎の舌がクリトリスを刺激すると「だめー、我慢できないー」と言い出して、とても先日初めて男に抱かれた女には思えない反応を示した。
先日は薬を使われて、自分の意志とは異なる行動に成っていたと思うが、今夜は統べての事が自分の意志で自分から進んで求めていると思っていた晋太郎だ。
だが、実際は絹代が食事に媚薬を混入して、華の身体を燃えやすくしていたが、晋太郎には知らせていなかった。
絹代は晋太郎が華を気に入って、自分の知っている限り初めて女性を抱いたから、華は晋太郎の嫁には最高の家柄だから、文句は無いと二人が結ばれる事に大賛成の絹代だった。
もう一つ大事な事は、絹代が檜屋の事を改めて調べた事も今回の事に結びついていた。
合田と金子が罠に填めて、華をここに連れて来たと、話の辻褄が合ったのだ。
その華はもう、晋太郎のペニスを舐められない程の、濡れ方に成って「欲しいの、お願い」と華に言わす程、流れ出る愛液だ。
晋太郎にも先日と異なった場合はどうしたら?と疑念を持ちながら正常位に体位を変えると、再び白い肌が少し赤みを帯びて、陰部は剃毛がされていないので、少し黒い物が伸びている華。
ペニスを持って、華の膣口に添えるとするすると滑り込む。
潤っている華は簡単に、晋太郎のペニスを咥えると「ああー、ああー」と言うのと晋太郎が「うぅ」と顔を顰める。
普通これだけ濡れていたら、緩い感じに成るのだが、晋太郎のペニスは締め上げられた。
「ぐいー」と腰に力を入れて、奥に押し込むと「ああー、ああー」と仰け反る華の光る頭。
徐々に腰を動かす晋太郎の動きに合わせて「ああー」「ああー」と吐息を出して、悶える。
しばらく腰を動かすと、布団の端を両手が掴んで、ちぎれる程の感じに成ると「あああーーーーーだめー」と大きな声で光る頭が完全に反り返ると、身体が痙攣して晋太郎が同じく「うぅ」と倒れ込んだ。
気を失った華。
「同じだったと言うより、この前より凄い」と独り言を言って、ようやく華の身体を離れると「塩まで吹くのか?素晴らしい」と濡れた下半身を紙で拭き取る晋太郎。
華の大きく開いた陰部から、愛液と精子が流れ出て、激しさを残していた。
晋太郎が絹代を呼んで、綺麗にする様に頼んだ。
待っていた様に、洗面器に湯を入れた物と濡れた手拭いを晋太郎に渡す。
「これは?この子が?」と濡れた布団を見て尋ねる絹代に、黙って頷くと「凄い子ですね」と微笑む絹代。
晋太郎が完全に華の虜に成ってしまったとの、確信を得ていた。
「頭も剃るのは止めますか?」と尋ねると「そうだな、剃らなくて良かったな」と微笑んだ晋太郎だ。
「気がついたら、風呂に連れて来い」
「この子、毛が伸びるのは早い様ですね」と言って尾山を見送った絹代。
晋太郎が出て行くと、直ぐに目覚める華が「あっ、絹代さん」と言うと長襦袢を自分の方に引き寄せて、身体を隠す。
「親方が風呂で待っているって」と言うと「そうですか?」と聞くと同時に部屋を慌てて出て行く華。
身体には長襦袢を歩きながら羽織ると、前を押さえて風呂場に向かう華は嬉しそうだ。
風呂場に行くと、湯船に晋太郎を見つけると「入っても宜しいでしょうか?」と尋ねると「華か?入っておいで」と言われて、直ぐに長襦袢を脱ぎ捨てて、入っていった。
その日から、華は店には出るが、髪を剃らずに頭巾を被って、尼の衣装で座って微笑むだけで、料金の提示もされる事は無かった。
客が尋ねると「ここの若女将さんですよ」と答える絹代だった。
だが数週刊後絹代が、晋太郎に「華さん、少し変だと思うのですが?」と話をしてきた。
「どうしたのだ?」と尋ねる晋太郎に「月の物が全く来ませんので?」毎日女性の体調に気を使って調べている絹代の言葉だから確かな事だ。
「妊っているのでは?」
「えー、妊っている?私の子供か?」と嬉しそうな顔に成る晋太郎に「それなら、最高なのですが?親方が最初彼女を抱かれた時は、ゴムを着けられていたと思うのですが?」
「そうだったな、じゃあその後か?」
「それなら、日数が合いません、先日児玉たみさんにそれとはなく尋ねたのですよ」
「それで?」
「正確に来ると話して、自分も心配していると、言ったのですよ」
「えー、私の二度目の時では無いのか?」
「あの日は妊娠に適した日にちに成るのです」
「えー、それなら」と青ざめる晋太郎に「そうです、合田大佐が、確か中だしをしてしまったと、言われていました」
「確かに、そうだった」と驚き顔の尾山。
「どうしましょう?」
「あの大佐の子供を産ませる訳にはいかんぞ」と困り顔の晋太郎。
この時代、産めよ!増やせよ!の合い言葉で、妊娠中絶は法律で禁止に成っていた。
遊郭では、時々遊女が妊娠をして困るので、闇で堕ろす医者が近所に二箇所程存在している。
この二箇所は、性病と堕ろしをするが、中絶は内密の仕事で、憲兵に露見すると、その場で仕事を失うので、中々表だっては引き受けない。
もし堕ろすなら、早くしなければ子供が育ってしまうと心配に成る二人。
今頃、合田の亡霊に悩むとは考えもしていない晋太郎と絹代。
二人は相談して、みつに医者を内密に聞いて貰える様に頼んだ。
医者の結果を聞いてから、華には児玉から説得して貰って、堕胎手術に行かせる予定にした。
好色婦人医
25-054
翌日頼まれたみつは、紀藤婦人科に尋ねに行く。
最初行った梶婦人科は、薄暗い感じで気味悪くて、考えますと言って出て来たので、ここ以外に成ると遠方に成って尚更困難に成る。
医院に入ると、二人の患者が居る様で、見ると二人共遊郭の人間だと一目で判る。
付いて来ている男が医院の入り口で待って、待ち合いには自分と同じ婆の同行が有るからだ。
しばらくして、出て来る患者にも婆が付き添いで、出て来た。
しばらくして、患者が居なく成るとみつが呼ばれて診察室に入る。
好色そうな紀藤医師が「患者さんは君?」と嫌そうに尋ねた。
自分は(尼御殿)に勤める者だと話すと、察したのか「遊女の妊娠なのか?」と尋ねる。
「遊女では無いのですが」と言うと「お宅に素晴らしい美人の遊女が、居るらしいな」と言い出す紀藤。
「どの子でしょう?」
「いや、話に聞いただけだが、一晩一万円と聞いたが、今時そんなに高いお金を出す男は居ないだろう?本当なのか?」
「実はお願いはその美人が、妊娠しまして先生にお願いしてきなさいと、主人に言われまして、来たのです」
「妊娠しているから、客は取っていなかったのか?」
「いえ、そうでは有りません、良い家のお嬢様で、訳有って預かっているのです」
「髪を剃ってか?」と不思議そうに聞く紀藤。
「一人も客は取っていません」
「そうか、訳ありか?」
「お願い出来ますか?」
「もう少し詳しく事情を聞かないと、危ない仕事は出来ないな」
「お金はお支払いしなさいと、主人には言われています」
「お金の問題ではない、詳しく妊娠の経緯を話して貰わないと、引き受けられない」と言い切る紀藤に困ったみつは、主人に聞こえると叱られますので、内緒でお願い出来ますか?と念を押して妊娠の経緯を話した。
身を乗り出して話を聞く紀藤は、話の途中で「もう少し詳しく」とどんどんと聞いて来る。
一度口に出してしまうと、意外と次々と喋るみつ。
華が処女で、三人の男に次々と強姦されてが、感じていた事実と、顔も良いが最高の名器の持ち主で、主人が惚れてしまった程だと話した。
紀藤には、その話は新鮮で、此処に来る女は病気持ちか妊娠していても、その様に素晴らしい女は来ない。
遊郭を営む男が、惚れる程の名器の持ち主なら、一度味見をしても良いのでは?妊娠をする心配は無い、頂いてから手術をしても誰にも怪しまれる心配はないと考え始めた。
噂は、絶世の美人だと聞いているので、顔は一度遊郭に行って眺めてみても良いかなと、考えていた程だった。
快諾を得て、みつが店に帰って報告すると、絹代が児玉を呼んで、華を明後日紀藤婦人科に連れて行く様に話した。
華には手術の話はしないで、月の物が来ないので一度診察に行くと話して、連れて行って欲しいと言った。
児玉も心得ていて、口が裂けても言えないと考えていた。
夜に成って「華お嬢様、月の物が来ないので、一度病院に行って、診て貰いなさいと、言われたのだけど、明後日一緒に行きましょうか?」と尋ねると「ばあや、若しかして赤ん坊が出来たの?」と嬉しそうに言う。
児玉も困って「…..」微笑むと「旦那様の子供が出来たのか成って思っていたのよ」と晋太郎との子供が宿ったと理解している華に驚く児玉。
「そそうで、ございますね、一度診て貰わないと具合が判らないでしょう?」
「そうね、育って居なかったら大変だわ」と別の不安を話す華。
あれから二度抱かれた華には、もう晋太郎以外の男性は目に入らないから、決めつけて話をしている。
翌日絹代に話すと「仕方無いわね、連れて行ったら手術をして、終わったら子供が育ってなかったのよ」と話して誤魔化す以外方法は無いと言った。
その話は晋太郎にも伝わって、話を合わせて戻ると慰める様にと言った。
晋太郎は手術が上手く出来るのだろうか?華の身体に影響は無いのか?と他の心配で頭が一杯に成っていた。
紀藤医師は華と遊ぶ段取りを整えて、待ち構えて居る。
みつに聞いた媚薬によって、華の身体が名器に成ったと言う言葉に興味を持って、薬品も知り合いから取り寄せて、当日を迎えようとしていた。
翌日児玉たえに伴われて、嬉しそうにやって来た華を一目見て、先ず看護婦の清水が驚いて、紀藤に告げに行った。
「先生、尼頭巾をしていますが、もの凄い美人です」と興奮状態。
患者を診察しながら、その言葉を聞いた紀藤は、思わず患者の陰部に興奮をしてしまう程だ。
「先生、痛いわ」と患者が言って、初めて我に返る紀藤医師は、四十代後半の医師なので、まだまだお盛んな年齢、昨夜からニンニクを食べて、精力のつく物を沢山食べて、準備万全に構えて居た。
この病院には看護婦が二名と紀藤医師、受付の女性が一人の四人体制で診察を行っていて、この当時出産は産婆が殆ど行うので、医師は病気の治療が主な仕事で、後は妊娠の確認に来る患者だった。
華も妊娠の確認に来たと思っている。
頭に頭巾は被っているが、もう髪は少し伸びてイガグリ頭に成っている。
勿論陰毛は、随分前から剃っていないので、元に戻って多くて硬い状態だ。
しばらくして、患者が出て行くと看護婦に呼ばれて診察室に入る華と児玉。
診察室に花が咲いた様に、明るく成る気分の紀藤医師。
「妊娠しているか?調べるのだね」と紀藤が眩しそうに華を見る。
医師の企み
25-055
頭巾は被った状態でお願いしますと児玉が、紀藤医師に伝えると「頭は関係無いので、そのままで大丈夫だよ」と言う。
「付き添いの方は、待ち合いでお待ち下さい」と看護婦が言うと「先生、宜しくお願いします」と丁寧にお辞儀をして診察室を出て行くたみ。
華の肩を叩いて「頑張るのよ」と言う。
華はその言葉に怪訝な表情に成って、何を頑張るのよ?と考えていた。
「はい、着物を脱いで、聴診器と乳房の発達具合を調べますからね」と清水が言う。
「はい」と躊躇いのない華、晋太郎との子供が宿っていると思っているから、機嫌も良い。
着物の胸を開くには、前の紐を緩めて左右に開けば直ぐに、乳房が紀藤の目に曝されて「綺麗な乳房だ」と口走ってしまう。
聴診器を胸にあてて、心音を聞いているが、心ここに在らずで、自分の心臓の音の方が大きく聞こえる。
聴診器は、背中も聞くと言うと華は、上半身をさらけ出して、両手を着物から抜くから、腰まで露わに成って、頭巾が肩の上まで有るだけで、白い綺麗な肌が紀藤の目の前に背筋を伸ばして、後ろを向いた。
後ろから乳房を揉みたい気分に成っているが、押さえに押さえて聴診器で心音を聞く紀藤。
「前を向いて貰いましょうか?乳房の張りを調べて診ましょう」と言って正面を向いた華の乳房の両方を下から持ち上げるように揉み上げる紀藤。
「うぅ」と声を発する華に「痛かったですか?」と尋ねる紀藤。
「いいえ」と言うが、紀藤は長年の勘で、乳房の張り、形、色から診て妊娠をしているのか?と疑問に思った。
「乳房の張りでは、判らないかな」と言いながら何度も揉み上げ始める紀藤医師。
感じ易い華はそれだけでも、変な気分に成ってきた。
その頃心配な尾山は、知り合いに色々と妊娠中絶の話を聞いて廻って、心配が増幅していた。
それだけでは足らずに、病院の噂と紀藤医師の手術の評判も遊郭の知り合いに聞いて廻る念の入れ様、頭の中は華の心配だけが渦巻く晋太郎だ。
殆どの人が知らないとか、自分の店の遊女が一人堕したとかの話は聞いて、腕が悪いとか失敗は無い様だと聞くと安心する晋太郎。
「それでは内診をしますので、あの診察台に上がって下さい」と清水看護婦が指を指す。
もう一人の阿倍看護婦が「着物も総て脱いで、貰った方が汚れないわね」と言う。
一旦着物の袖を通して、立ち上がる華は向こうに見える異様な手術台に目を向けて「あれですか?」と不思議な顔をした。
「そうよ、手術台よ」と清水が言うと「私、手術はしませんけれど」と言ったので、阿倍が慌てて「診察も、手術も同じ場所なのよ、心配無いわよ、先生に診て貰わないと子供の様子は判らないからね」と言って、清水を目で叱る。
子供の言葉で安心したのか、手術台の側の籠に着物を脱いで、手術台の布に身体を滑り込ませる華。
しめしめと思う紀藤医師、直ぐに二人の看護婦が華の上を覆った布を上に有る金属棒に、留めると、布は華の身体から離れて、首から下は空洞の様に成って、紀藤医師からは乳房辺りから下は丸見え状態に成ってしまった。
華の方からは、反対に布が視界を遮って、何も見えない状態に変わった。
妊娠中絶手術が目的だから、紀藤には当然いつもの事だが、今日は華の持ち物検査が先ず一番なのだ。
みつの話では、薬を使って剃毛をして、感じさせて興奮すると名器に変化したと聞いたので、同じ様にしてみればその名器を体験できると考えている紀藤。
「ここに、足を置いて下さい」と足を持ち上げて、膝を金具に置く清水。
同じく左足も金具に置くと、大きく股間は広がると、華の手が自然と中央に来て、隠す仕草をする。
「清水君、例の注射」と紀藤が黒々とした華の股間を見て言う。
麻薬から作った媚薬の注射を持って「はい、腕に注射しますね」と言われて華が「注射?」と尋ねる。
「この薬は、妊娠の反応を見る為の、薬ですよ」と意味不明の阿倍の説明。
何も判らない華は、検査に必要と言われたので、腕を差し出す。
待合室のたみは、受付の女性に手術は検査も含めて、一時間以上かかりますと言われて、心配そうに待っていた。
薬を打たれた華は、しばらくすると効果が表れて「お名前は?」と尋ねられて「か、かんざ。。。」と殆ど視線が定まっていない状態に変化した。
「先生もう、効果が出ました」と阿倍が言うと「感じ易く成ったか?」と紀藤が言いながら、乳房を揉み上げる。
「あっ、あっ」と口走る華に「流石は高級品だ、良く効く」と納得して「別嬪さん、これから、私が感じさせてあげるから、待ってなさい」と微笑む。
「手術で剃るから、先に剃って貰えるか?」
「はい」と二人の看護婦が剃毛の準備に取りかかる。
「濃いですね」と清水が言うと「昔から陰毛の濃い女は情が深いと言うだろう」と紀藤が言いながら陰毛を撫でると「ひー」と声をあげる華。
「取り払え」と言うと阿倍が布を総て、取り去ってしまう。
尼頭巾一枚で、横たわる華は綺麗な身体を、無影灯に照らされて輝いている。
瞳は鋭気が無く、何処を見ているかよく判らない状態に成って、薬の影響がよく判る。
紀藤は直ぐに、華の乳房に吸い付くように、唇を持って行く。
「あっ、うぅ」と反応をして、身体を動かす華。
「先生、身体が動いて、剃れません」と清水が言うと「縛りなさい」と乳房から口を離して言う。
呆れて、二人が華の身体を固定する為に、皮のベルトで手足を縛る。
「あっ、あっ」と声をあげる華は、夢の中で興奮している様な瞳の動きが、益々上がっている。
危機迫る華
25-056
尾山晋太郎は懲りずに、遊郭を廻って噂話を聞いていた。
数軒目の(葵屋)と云う遊郭で主人の松平と話をして「一ヶ月程前、内の遊女が病気で婆と診察に行った時、診察室で変な物を見たそうだ」と同業の遊郭の主人が尾山晋太郎に話す。
「それは、紀藤さんか?」と詳しく聞こうと身を乗り出す。
「どちらの病院だったかな?そこまでは聞いてないな」
「その遊女は居るか?」
「いや、先週年期明けで山形に帰ったよ」
「婆は?一緒に行った婆さんだよ」と必死に尋ねる晋太郎に「どうしたのだよ、尾山さん病気の遊女で問題でも?お宅はゴム使っているから、病気は少ないと聞いたのに」と驚いた様子の(葵屋)の主人松平。
「いや、そうでは無いのだが、心配事が有ってな!」店の女中に婆の居所を聞く松平。
「尾山さん、近所に小用で行ったらしい、直ぐに戻るよ、店に行かせようか?」
「いや、待つよ」と落ち着かない様子の晋太郎。
「尾山さんの処に、よく通っていた丸菱の親父、変な外人の売春女に引っかかって、病気を貰ったらしいな」と笑う松平。
「丸菱の金子さんか?」
「そうそう、禿の親父だよ、外人の病気は強烈らしいぞ」と微笑む。
「そうなのか?大佐が来なく成ってから、消えたと思っていたら、そんな病気に成っていたのか?」
主人の松平が徳川家の名前なので遊郭の名前に(葵屋)と名付けて、提灯も葵の紋を使っていた。
その提灯が風に揺れているが、中々戻らない婆を今か今かと入り口に目をやる晋太郎は、一分が異常に長く感じて、松平の話を殆ど聞き流していた。
華の乳首を吸いながら揉む紀藤「あっ、あっ」と反応して身体を動かそうとするが、完璧にベルトで固定されて、全く動け無い華。
待合室の児玉たみに、受付の女性が「ご苦労様ですね、お茶でも飲んでお待ち下さい、少し時間が懸かる様ですよ」
「何か具合が悪いのでしょうか?」と心配顔に成って尋ねるたみ。
「違いますよ、毛が濃いので処理に時間が。。。。」と微笑むと「ああ、そうでしたお嬢様は多い方ですから」と言って出されたお茶を安心した様に飲み出した。
手術室の様子が聞こえると、噂に成るか?不審に思われると思う紀藤が、睡眠薬を入れたお茶で、児玉たみを眠らせる。
病院の前には(往診の為、休診致します)の木の札が扉にかけられて、患者の入室を遮る。
扉は施錠されて、入れなく成った。
乳房を揉まれながら、陰部を剃られる華は感度が益々上昇して「ああー、うぅ」と声が大きく成って、それを聞いている紀藤の興奮もどんどん上がる。
「ジョリ、ジョリ」と音が聞こえて、綺麗に剃られていく華の下腹部。
「気持ちいいー、親方さん-嬉しい」と口走り始めて、驚いて動きを止める三人。
「親方って、尾山さんの女なのか?」と尋ねる紀藤。
「遊女を妊ませたので、堕すのでしょうか?」
「普通は店の女には中々手を出さない物だがな」
「それで、内密にしているのか?客は取れないでしょう?」
「中々こんな美人は見かけないですよね」
「それで手を出して、妊ませたか」と三人が話して「早く楽しんで、手術をしてしまおう」と乳房を揉むのを止めて紀藤が、器具の場所に行って、道具の点検を始める。
「ジョリ、ジョリ」と再び剃り始めると、小陰唇の皮膚を引っ張る清水の指に「いゃーん」と口走る華。
「感じ易いわね」と言いながら指を、光る膣口に少し入れてみると「ああー、うぅ」と声をあげる華。
しばらくして、綺麗に剃りあげられた華の陰部「綺麗に成ったな、妊娠の具合を診てやろう」と器具を持って、清水と場所を代わる紀藤医師。
紀藤には、話に聞いた名器とはどの様な物なのかと、無毛の華の陰部に目を移した。
膣口から、光る物が見えて愛液で、もう一杯状態に成っているのが判る。
指で小陰唇を引っ張ると、ピンクの肉片が覗いて粘ついた感じが、紀藤を招き入れている様に見えて「あぅ、あっ」と大きな息を吐く華。
肉片を広げると器具をゆっくりと挿入して、尚一層奥に滑り込ませる紀藤。
「うぅ、うぅ」と華は気持ちが良くないのか、いつもと異なる物に拒絶反応を示して「いやー、やめて」と言い出す。
阿倍が耳元で「はーい、我慢して下さい、赤ん坊を調べていますよ」と言うと急に大人しく成ってしまう。
無意識の中にも華には、子供と言う言葉に大きく反応をしたのだ。
「ミミズ千匹、数の子天井?」の懐中電灯で覗き込む紀藤。
この状態では締め付けは始まらないので、紀藤にも俵締めの名器は判る筈も無い。
「この子、妊娠はしてないぞ」と紀藤が言い出して「先生では何故?妊娠に?」清水が尋ねる。
「先日来た、婆の話と今の状況を考えると、無理矢理犯されたので、本人の神経が持たなくて、犯されたが妊娠に繋がって、無意識のうちに想像妊娠に成ってしまった様だな」
「それでは、手術は無しですね」
「そうなるな、でもこの数の子天井は味わってみたい」
「先生、時間は充分に有りますよ、付き添いも眠ってしまいましたから」
「そうだな、名器とやらをご馳走に成るとするか」と嬉しそうな紀藤。
(葵屋)で待っていた晋太郎は、ようやく使いから帰った婆に「婦人科は何処の医院だった?」と前後も話さずにいきなり話して、驚く婆のひとみ。
松平に、順序立てて話して下さいと言われて、ようやく落ち着いて話す晋太郎。
「その病院は紀藤婦人科でしたよ」と婆が言う。
「おかしな物って何だったのだ?」と恐い顔に成る尾山。
「私は見てないのですが、その時行った遊女が、ゴムに男の物が入った皿を看護婦が捨てていたと言ったのです」
「それは?どういう意味だ?」益々恐い顔。
「あの紀藤医院では、噂が以前から有ったと、その遊女は話して、本当だったのよと言っていました」
「それは何だ!」大凡は検討が付いて居た晋太郎だが、次の言葉が聞きたかった。
「好みの女性が患者で来たら、先生が強姦するって噂ですよ」と言うのと、晋太郎が店を出るのが同時だった。
華が危ない!もう五十歳の晋太郎には信じられない早さで走っていた。
遊郭を飛び出す時、門番の若い衆に「おい、弾むから手伝ってくれ!」と息を切らせて言うと「親方、逃げたのですか?」とチンピラの男が言う。
「違う、二、三人手を貸してくれ」と手招きをすると、日頃から駄賃を貰っているので
「はい、判りました」と付いて来る。
お願い抱いて
25-057
郭から一キロメートル位の場所に、紀藤婦人科は在るので、走るのが一番早い。
着物の裾を捲り上げて走る四人の男は、異様な感じに見えるが、当の本人は必死で「親方何処に行くので?」
「紀藤医院だ」と言う。
「判りました」と若者は追い抜いていく。
華の陰部から器具を抜き取ると「気分良くさせてやろうな、清水君外国製のあれを持って来てくれ」
「先生あれは外人用で、大きいでしょう?」
「構わん、咥えさせて様子を診よう」
阿倍が持って来た外人の大きさに合わせた器具を、紀藤が手に持って「オサネを感じさせてやるから、咥えるのだよ」と言いながら、清水に華のクリトリスにクリームを塗り込む。
「ああ、あっ熱い」と言い出す華は、先程の検査の道具とは異なるペニスの形をした道具を挿入される。
太いので挿入するのに、クリームを浸けて試みる紀藤「これで潤して、私の物を咥えさせるからな」と言いながら、華の小陰唇を指で大きく広げる。
「ああー、ああ」と言うのと挿入が始まるのが殆ど同時、少し入れると「うぅ」と言う華。
痛がる様子も無いのに、入らない男根の形をした物。
「あれ?入らない」と首を傾げる紀藤。
「先生どうされたのですか?」と不思議そうに尋ねる。
「変だよ、愛液はたっぷり出ているのに、動かない」と驚く紀藤。
「まだ、慣れていないので受け入れないのですよ」と笑う清水。
「先生、太いから、無理ですよ」と阿倍が言うので、抜き取る紀藤。
「うぅ、うぅ」と言う華の陰部を覗くと「充分潤っているけれどね、この子にも悪くは無かった様だが、何故なの?」と指を挿入してみる紀藤が「何、これ?」と言い出す。
「どうされました?」と驚いて見る。
「いやー、これは凄い、吸い付く」と紀藤が驚き顔担っている。
「えー、それで?」と横から見に来る清水。
「ほら、指が締まって大変だ」と紀藤が嬉しそうに言う。
「先生、早く味見をしないと!」と阿倍が急かす。
「ここだ」と三人が医院の前に到着して「休診に成っている」と札を見て叫ぶ。
「鍵が掛かっている」と話していると息を切らせて晋太郎が到着する。
「親方、鍵が」
「往診って書いていますよ」
「はあ、はあ」と深呼吸をして話が出来ない晋太郎。
ようやく「そんな事は無い、華がここで手術を受けている筈だ」と言い切る晋太郎。
「こんにちは」「こんにちは!」と大きな声で戸を叩く。
手術室では紀藤がズボンを脱ぎ捨てて、褌姿に成って自分のペニスにゴムを着けているが、目の前では、看護婦の二人が華の身体を燃え上がらせる様に言われて、乳房、クリトリスに刺激を与えて「ああっ、ああぅ」と声を大きくしている。
外の大声に「誰よ、五月蠅いわね」受付の女性が玄関に向かう。
「今日は休診よ、先生は往診で居ないのよ、他の医者に行って下さい」と言う。
「私は尼御殿の尾山だ、今日ここに私の妻が診察に来ている筈だ」と大声で言う。
「えー、奥さん?」と一緒に来た連中が驚く。
尾山には妻が居ない事は知っていたから、驚いた。
「尾山さんの奥様は来られていませんが、お間違いでは?」
「そこに、児玉たみが居るでしょう!」と言われて、待ち合いの長椅子に眠るたみを見て、慌てて手術室に走って行く。
「先生!」と呼ばれて振り返る紀藤は今、まさに挿入寸前状態に成っていた。
「なんだ!」と怒りながら振り返ると「尾山さんが、玄関に来られて、騒いでいます」
「何、何故だ」と驚き顔に成る紀藤。
「妻がここに来ている筈だと、玄関が壊されそうです」と言われて「少し時間を稼げ、準備をする」と急に慌て始める紀藤。
褌も締めないで、ズボンを履いて「手術中の、様に変えろ」と言われて、布を被せて装う二人。
そこに尾山と、若者三人が入って来て、紀藤は平静を装って「どうされました?手術の準備をしたのですが、奥様が妊娠はされていませんでしたので、手術は中止です」と微笑みながら言った。
「えー、どう言う事です」と恐い顔の晋太郎に「想像妊娠ですよ、初めて男性に抱かれたので、時々起こるのです、今薬で少し意識が朦朧としていますが、二時間程で戻ります」
側に紀藤の脱ぎ捨てた褌を見つけた若者が「先生、この生暖かい物は何ですか?」と詰め寄った。
もう一人が紀藤のズボンの股間を握ると「何をするのだ!痛い」と言う。
向こうの手術室に横に成っている華の処に駆け寄る晋太郎。
待合室の児玉を起こそうとする若者「親方、付き添いの婆さんは薬を飲まされていますよ」「この連中を、警察に連れて行ってくれ」と強い言葉で言う。
「合点承知」
「みんな、ここに並べ」と三人が行った時、仲間が二人遅れて入って来る。
「よく、ここが判ったな」
「評判だったよ、男四人が勢いよく走って行けば、誰でも見て居るよ」と遅れてきた男が言う。
「親方、後は奥さんだけだ、頼むよ」と一人が告げると「ありがとう、またお礼はするからな」と微笑みながら、若者を見送る。
「この婆さんは、俺がおんぶして店に届けておくよ」と五人の若者は、全員を引き連れて、病院を出て行った。
「華、大丈夫か?」と言うと虚ろな目で「早く、早く抱いてよ、親方さん」と言い出す。
ベルトを外して、自由にしても「早く、早く」と言い始める華。
「変な薬を注射されたのだな、可哀想にな、でも大佐の子供を妊娠して無くて良かったな」と目頭が熱く成る晋太郎。
「子供、子供!欲しい!」と言い出して「抱いて、抱いて」と懇願をする。
薬の影響だとは云え、哀れに思う晋太郎は、褌を外して「よし、華抱いてやる」と言うと股間に身体を入れる。
しばらく、股間を舐めて「ああー、ああーいいわ」と華が益々燃え上がると、ペニスを持って華の膣口に挿入すると一気に腰に力を入れて押し込んだ。
今日の華は、膣口の締めが通常以上に強いと、指で確かめたから一気に押し込んだのだ。
「あああーー」と大きく声をあげて仰け反る華。
強烈な三弾締めが、晋太郎のペニスを襲う「うぅー、凄い」と口走りながら腰を動かすと「あああーーー逝きますーーー」と叫んで、尼頭巾が余りの仰け反りに、外れて落ちた。
その時、気を失う華、同時に終わる晋太郎。
今更ながら、こんなに合う女性は初めてだと思う晋太郎は華の腹に身を委ねていた。
第二次世界大戦へ
25-058
約一年後、髪も伸びて少女の様な華が、児玉たみに連れられて遊郭から少し離れた神戸の婦人科を訪れて「おめでとうございます、三ヶ月ですよ」と看護婦に言われて「ありがとうございます」と大きくお辞儀をして、満面の笑みに成っていた。
「宜しゅう御座いました」とたみに言われて大喜びに「幸にも教えてあげようかな?」と嬉しそうな顔の華。
「そうですね、大阪の病院を先週退院されたそうですから」
「幸の証言で、逮捕されたのよね!丸菱の頭取」
「そうでございます、悪党です」
「もう一人の大佐はどうなったの?」
「軍関係の人ですから、中々難しいと思いますよ」と言いながら、駐車場の車に乗り込む二人。
「どちらへ」と運転の男が言うと「早く晋太郎さんに報告しなければ」と嬉しそうな顔に成る華。
「(檜屋)さんに、尾山さんが来られるとは、想像も出来ませんでした」と車の中で話すたみ。
神戸が(檜屋)には尾山さんの様な商売上手な主人が必要ですよ!の一言と「華と結婚するなら、遊郭の主人では体裁が悪い」と弥太郎と麻の言葉に、決断を下した晋太郎だった。
遊郭の店は絹代に任せて、自分は(檜屋)に行く予定に成っていた。
仕事も大事だが、残りの人生を華と(檜屋)の再建に尽くそうと決意をしたのだ。
一ヶ月前、大学病院に入院中の幸が、治療の末記憶を取り戻す程の回復をして、総てを思い出して弥太郎達に話した事が切掛けで、神戸と弥太郎は小南少将に直訴の様な感じで、訴えた。
小南も以前から、大体の事情は把握していたので、合田の一味を一掃したのだ。
金子頭取は逮捕されたが、もう性病が進んでそのまま入院に成った。
憲兵の町村、軍医の最上と看護婦達も厳重な処罰を受け、残るは合田大佐だけに成っていたが、中国で傍若無人の行動で、地元の若い娘を拉致して縛りあげて、強姦をして有名に成っていたのだが、この数週間前から行方不明に成っていた。
父親弥太郎と華の夫晋太郎は年齢が近い関係も有って、意気投合するとお互いの生きた時代が同じだから、判る部分も多く、商売上手な尾山の手腕に期待をする弥太郎に変わったのだ。
神戸ももう高齢の域に入って、今の(檜屋)を立て直すには尾山さんの様な独創的な人の舵取りが必要ですよと、後押しをした。
明治二十年生まれの晋太郎の実家は、江戸時代からの大きな地主の血筋の家庭に生まれていたが、弥太郎の両親が子供の時に両親が若死にして、気丈な祖母が父を育てて、母が若かったので実家に帰して、その祖母が亡くなると親戚がハイエナの如く、財産を浚っていった。
財産を失った晋太郎の父は、田舎を追い遣られて神戸に逃げる様に、やって来たのだ。
その後の父は神戸で、港湾の荷揚げ作業とかを行って、生活をしていた。
ある日、福知山の同郷の母と知り合い、結婚をして晋太郎が生まれた。
母の両親も似た様な境遇で、神戸に出て来ていたので、晋太郎の父に援助の手を差し伸べていた。
晋太郎は父の貧乏な話を何度も聞かされているので、商売で一旗をあげ様と日々考えていた。
最初の妻は病弱で子供も無く結核で他界、妻の実家の援助で薬の商売を初めて、徐々に大きくして財を成し、数年前知人の紹介で遊郭の経営に乗り出した。
弥太郎は晋太郎の家系も江戸時代から続く家柄だったのも、弥太郎と麻も気分を良くした原因だった。
華とたみが戻ると、電話で聞いて知っていた晋太郎が、大袈裟に花束を持って出むかえた。
おかっぱ迄伸びた髪を描き上げて、抱きつく華に「おいおい、子供は大丈夫か?」と心配顔で受け止める晋太郎。
「おめでとうございます」と絹代も破顔で、祝福をして出迎える。
晋太郎は紋付きの着物を着て、華と一緒にこれから大阪の(檜屋)に報告に向かうのだ。
晋太郎も端正な顔立ちの二枚目、華は誰が見ても驚く程の美女「お似合い、ご両人」とチンピラが茶化して、しばらくして車は郭を走り去った。
小南少将に中国での合田大佐の捜索の知らせが届いたのは、丁度その頃だった。
中国の村々で女性を、捕らえて強姦を繰り返していた事が原因で、大佐は罠に填り、美人の中国女性と眠って居た時、集団で寝込みを襲われて、捕らえられてペニスを切られて、殺されていたとの報告だった。
報告書を見て呆れかえる小南少将だった。
その後もこの合田大佐の悪行は尾びれ背びれが付いて、日本軍の悪行として歴史に残った。
その後尾山が(檜屋)に来てから、偶然か毎年の様に大型台風が日本本土を直撃、材木の需要は旺盛に成り、大儲けをして一気に借財を返済した。
弥太郎は孫の顔を見て過ごす日が多く成って、殆ど晋太郎任せで、昔の迫田、神戸の時と全く同じ状況で生活をしている。
世の中は二二六事件が勃発して、その後日中戦争が北京郊外で日本軍と中国軍の衝突を切掛けに始まった。
日本はこの戦争をシナ事変と呼び、その後昭和二十年の大東亜戦争(太平洋戦争)の終結まで続くのだ。
この数年間で、華は一男一女を産んで仲の良さは相変わらずで、妹の幸が刺激を受けて従業員の真木と結婚迄進んでしまった。
尾山の目をかけていた若者と云う事も手伝って、弥太郎夫婦は将来の(檜屋)を担う逸材だと持ち上げる晋太郎の話に乗った様に、結婚を許した。
その後、戦争は激化して、若者は次々と戦場に借り出される。
世界的な大規模な戦争に押し進んでいく軍事国家は、もう歯止めが効かなく成って、最後まで進むのだ。
晋太郎は、今後の展開を見据えて軍事関係の施設の無い場所に、大規模な倉庫を作り、材木の備蓄を始める。
それは日本各地の数カ所に設置して、将来に備えた。
だが戦場は悪化、幸の婿の真木まで戦場に借り出されて、涙に暮れる幸。
「お姉ちゃんの様に、年寄りの旦那さんなら、連れて行かれないーーー」と叫んでいた大きなお腹の幸の姿は哀れを誘った。
その後の日本は、広島、長崎に原爆が投下されて敗戦、晋太郎の思惑通り、日本各地の主要な町は焼け野原に成った。
いち早く、田舎の倉庫に避難していた晋太郎には、先見の目が有ったのだろう。
戦後の復興で、尾山晋太郎と華は。。。。。。。。。。
完
2016.05.11
落華の宴