ＳＨＩＲＯＨ

星空文庫を使い始めて試行錯誤しています。
ここは小説を掲載するサイトなので一つ一つの文章が余り短いは良くないのかな？

で、このコーナーは２００５年の観劇日記を纏めてみました。
観た物を全てＵＰは出来ないと思うので、その中の気に入った物だけを掲載します。

１／１３　『ＳＨＩＲＯＨ』　梅田コマ劇場

劇団　新感線

作中＝嶋かずき

演出＝いのうえひでのり

出演

シロー＝中川晃教

四郎＝上川隆也

寿庵＝高橋由美子

お密＝秋山奈津子

他・杏子・大塚ちひろ・橋本じゅん・植本潤・吉野圭吾

泉見洋平・栗根まこと・高田聖子・池田成志・江守徹

２００５年初観劇がこの『ＳＨＩＲＯＨ』そして私にとって初の「新感線」体験・・・(^^♪

音がスゴイ！と、聞いていたのだが、今日の座席はかなり前方の良い席、果たして無事で居られるだろうか・・・？

舞台は中心にリオ（この名前は観劇の中で判ったもの）らしき少女の幕が下がり、左右には赤を基調とした歌舞伎調の両シローと思われる等身大の絵幕が下がっている。

そして客席に見えるようにテレビが何箇所にも置いて有って開演前は商店街の中を行き交う人々の姿を映し出していたが、上演中にはこのＴＶに作品内で使われる、判り難い言葉とか、

現代の戦争被害者の模様などが現れる。舞台は中ほどに向こうが透けて見える階段があり、その中に生バンドの演奏者がいるようだ。舞台変換はこの階段が真ん中から分かれて左右に引っ込んだり出たりするようになっている。そして舞台の下から奥から左右から舞台をぐるりと囲むようにライト・ライト・ライト・・・が、隙間無くずらりと並んでいる。このライトが舞台変換の時の幕代わりをするように光の帯で舞台を遮断する。光のマジックってスゴイ！と思った。

やがてロックの音楽と共に舞台が始まった！

島原の人達は重税とキリシタン弾圧に苦しんで居る。キリシタンの益田甚兵衛（植本潤）は我が子四郎（上川隆也）に神の御子という名の基に軍を挙げる様促しているが、四郎は自分にはそんな力はないと否定的だ。ここで登場した四郎の上川さんは白の上下に銀ラメの刺繍が入った衣装に聖徳太子を思わせる髪型が良く似合う初々しい顔つきで、歌い始めたが・・・、少々頼りない感じがしないでもない(^^)　しかし歌い方はとても素直で真っ直ぐに心に飛び込んでくる。この舞台がミュージカルだというのなら歌の上手下手は関係無いのか・・・？そんな事を考えた。（勿論初演エリザベートの内野さんを思い浮かべて・・・(^^♪)　四郎は嘗て神の御子と呼ばれ奇跡を起こす力を持っていたのだが、ある少女の死をきっかけにその力を失う。名も知らぬその少女こそリオ（大塚ちひろ）、ロザリオのリオと四郎が名づけたが、そのリオが現れて迷い悩む四郎に起てと促す。このリオの登場が舞台の奥、高いところに揺れるように現れるのだが、何かの台の上に立っているのか？　それとも釣られているのか・・・？　ここのライト使い方がすばらしく舞台は暗くて、大きく奥深い、その奥まった高い所、正に天空に浮かぶリオ・・・。この物語は「島原の乱」を基にしたお話で上川さん演じるのは歴史上では天草の四郎と呼ばれている益田四郎時貞なのだがこの舞台では島原の四郎と名乗る。そしてもう一人、難破船を直して海の向こうへ行くことを夢見るシローが居てこれがアッキー演じるバテレンとの混血少年シロー（中川晃教）だ。初めて聴くアッキーの声はとても綺麗に済んだ声で歌を自由自在に操るという感じ。シローの親友ゼンザ（泉見洋平）は出てきた時に泉見クンとは判らなかった。これがあの「ミスサイゴン」の強烈なトゥイを演じた泉見クン・・・？、その面影は全く無く、若々しくて金髪の少年そのもの、歌が上手なこの人は誰・・・？と思ってみていたら、ナント泉見クンじゃない！まるで違う人に見えた（笑）　このシローは天の声を持つと言われその歌声は人を動かす力を秘めていて、彼らを捉えに来た役人達さえも歌の力で無力にしてしまう。アッキーの歌は澄んで良く通り、天の声の持ち主と言う例えを納得させる素晴らしい歌声だ！そんなシローの歌の力を見たお密（秋山奈津子）はその歌声を皆の為に使えと助言する。このお密さんが、もう素晴らしいんだ??！　髪はオールバックにカチューシャをはめ、銀色の立った丸襟に古代紫色の訪問着柄の短めの着物に胸高に帯を締め、その下には緑っぽい青のスリムなタイツにブーツという衣装で、ハスキーな声で歌いきびきびと踊り、小太刀を振るって見事な殺陣も披露する・・・、もうカッコイイッ?！宝塚男役顔負けのカッコ良さ?！（笑）私は秋山さんが出て来た途端にその姿・歌・身のこなしに魅入られてしまった！だがお密は「くの一」で江戸の松平伊豆守（江守徹）が島原の情勢を探るために放った密偵だったのだ。この江守さんの伊豆守が秀逸！（笑）内野さんが「エリザベート」へ出演した時は老舗文学座に所属するバリバリの新劇俳優がミュージカルに初挑戦！と騒がれたものだが、今やその文学座の御大と言われる江守さんがミュージカルへ出演して楽しそうに歌を歌い、新感線の舞台に全く違和感なく溶け込んで異彩を放っている(^^♪　お密とは彼女の妹お紅（高田聖子）が水鏡の術というのを使って連絡を取っている。

ここで待望の板倉重昌（吉野圭吾）が登場！吉野圭吾さんはグリーンの裃の形をした上着に同じ色の袴なのだがこれがプリーツ・スカートで、白のシャツにネクタイというイデタチで軽やかに綺麗なダンスを踊る、やっぱりステキだぁ?！「レミゼ」のアンジョの時は踊りが見られなかったので残念だったが今日はたっぷり・・・、とはいえなかったが（笑）見ることが出来た。さすがに身のこなしは綺麗だしステップは素晴らしいし、サーッと開脚までしていたよ！(^^)だが今日のキャラは松平伊豆守にうまく使われ最後には伊豆守の指示でお紅に撃たれてあっけなく死んでしまうチョッとぬけたキャラを楽しそうに演じていたが、もう少し出番が多ければ良かったのになぁ?。舞台では島原藩主の松原勝家とはシゲチャ?ン・カッチャーンと呼び合う親友の仲・・・（笑）この勝家を伊豆守に引き合わせる。

やがて四郎は軍を挙げるには協力者が必要と闇市を営む山田寿庵（高橋由美子）を訪ねる。シローもまた闇市へ難破船の修理をする為の道具を買いに来ていたがキリシタン取り締まり役人の津屋崎主人に襲われ歌で逃れようとするが、そこへリオが現れ「今は歌わないで・・・」と言われ囚われの身となる。四郎の父も姉のお福も捕らえられたと聞いて四郎は軍を挙げる決意をする。牢では殉教を説く甚兵衛に対してシローは反対し自由になろうと叫ぶ。そして再びリオが現れシローに今こそ歌う時だと告げる。奇跡は起きた！シローの歌によって力を得た囚人達はあっという間に牢を破る。そこへ軍を率いた四郎も駆けつけ二人のＳＨＩＲＯＨ、シローは天草のシロー、四郎は島原の四郎を名乗り手を取り合って共に闘う事を決意する。だがこれが三万七千もの隠れキリシタンや農民達が殲滅する「島原の乱」の始まりだった！原城に立て籠もったシローはお密に戦いに勝ったら一緒に自由の国へ行こうと誘う。戸惑うお密・・・。そしてこの戦いは松平伊豆守が仕組んだものだと告げる。食料も乏しくなり反乱軍は次第に追い詰められていくのだが・・・、四郎と伊豆守の命を受けた柳生十兵衛（橋本じゅん）との素晴らしい殺陣が有り、板倉重昌がお紅に銃で撃たれたりと、殺陣のシーンが続く。主人である伊豆守を殺そうとするお密が逆に伊豆守に刺されシローの腕の中で洗礼を受けて死んでいく。寿庵もまた四郎に抱かれ「私の月は満ちました・・・」と呟いて息を引き取る・・・、が四郎が念をこめてキスをすると寿庵は生き返る。「島原の乱」の只一人の生き証人として・・・。この悲しい二つの恋にもう涙がボロボロ！

お密はシローに惹かれ始め立場を忘れて協力するが所詮叶わぬ恋、板ばさみになった自分を精算する為に自ら伊豆守の手に掛かったのだろうと思った。颯爽とした見た目に相応しい潔い最期・・・、でも哀しいなぁ！　一方の寿庵の高橋さん、四郎の腕に抱かれた死顔は白くてとても小さい・・・、可愛い少女のような顔で目を瞑っていた。

そしてシローはまるでキリストのように十字架の上で磔になって死んでいく・・・。三万七千といわれた農民とキリシタンの反乱軍はついに殲滅した。

私は流れる涙とロックの音と、上からも前からも横からも様々な色で降って来るライトの洪水のような光の中でに正気を失ったような気がしていた。まるで万華鏡の中をぐるぐる回されていた様な気分だった・・・。

新感線の舞台ってスゴイ！！　そして脇を固める人達のキャラの濃いこと・・・、十兵衛役の橋本じゅんさんと四郎の殺陣は凄かったし、植本潤さんはあのお年で（って幾つか知らないけど(^^ゞ）とても身軽に飛んだり跳ねたり・・・、池田成志さんもメチャかっこいい悪役だし、出てくるひと全てがなぜかカッコイイ?ッ！と思ってしまう。

勿論この「ＳＨＩＲＯＨ」という作品はアッキーの透明な声、表現力豊かな歌があってこそ成り立つものだろうけど、出演者全てが、それぞれの持ち味を生かして素晴らしかった！

もう一回観たいっ！　終わってすぐにそう思い、夜の公演を・・・と、チケット売り場まで行ったのだけど・・・、ホテルも予約はして無いし、泊まりの準備もしてきてないし、帰りの新幹線のチケットも有るし、迷った末に残念だけど諦めた！こんな時遠征者は辛い??（涙）

でも新感線の舞台は殆どがＤＶＤ化されているらしいから、出れば勿論買うけど、どうやら再演も有るらしいとの噂も聞いた・・・。嬉しい?！