practice(77)


七十七







 煌々としても暗さを押し退けない灯りには,丘陵の上で座る椅子に立っても紐にも手は届いたりしないのだから夜半に冷えて,冷たい煉瓦の内壁にはさっきから点けたランプの照り返しを手伝って貰う。高いところの,薄ぼんやり。風通しの良い年月の風化に朽ちて,もう半分の高さと幅しか残っていない形になるとぼやく性質は,けれど相変わらずの堅い手触りをくれた。赤い様子の,昔っからの色み。鉛筆で残した黒い落書きと矢印だけが示されている一本線は飽きた気持ちで今も止まって,簡易な棚の,簡易な様子も下りに向かって星が増えていく。見晴らしに取られた窓の跡だけ観察が長く長くと留めていた。靴の爪先も,だから机の下も,こんこんとしないで三拍子を守る。そうしてどこまでも散らかさない。出入り口の大きな訳。尻尾豊かな栗鼠がただの手ぶらで通り過ぎて,土の匂いを木の床につけて,外した日除けが風の様子に真剣さを見せる,鬱蒼とした陰の落ち着いた,黙々と考え方。涼しげが満ちて,古い止め金を見つけて,新しい引き戸を取り替える,持って来ていない絵。描いておくのが億劫な梟は,低く吹く,内側に込めた空気の暖かみを動かして消える。羽ばたきはしないから,方向性を見ている。手作りのゼンマイが噛み合う音の,静かな佇まいを失くさないように,差す潤い。低空飛行の一息。引き出しの中から取り出した何分冊かのものと,煉瓦にくっ付けるようにしたものにざらざらとするのを,両手を広げたところから,ところまで,木屑と思い切る。聞く姿に,ひとつ乗せる。
 小さいコップを二つ持ってる。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2014-04-07

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