『不完全な完全』

探すのが苦手なアタシと
探すのがとても上手な君


『不完全な完全』


心なんて持ってたって
辛くなるだけだから捨てたの
軽く言ったアタシの目の前に
君はほらとそれを掲げる

余計なお世話はやめて
そんな物どこかに捨ててきて
本音じゃない言葉には動じない
君の頑固さが逆に心地よかった

アタシの感情論を君は理解しない
君の理屈をアタシは理解したくない
擦れ違うはずの二人がどうして
今手を繋いで歩いているの

小さなことですぐ傷つくから
扱いにだけは注意して
大切にされればそれはそれで
何だか居心地悪いけれど

泣いたことがないと言う
その強さもきっとアタシが
遠く離れてしまえば崩れるわ
その時のことを思うと少し可哀想

一過性の深い悲しみより
君の場合ずっと重く伸し掛るから
いざと言う時泣いてくれたらいいな
ちょっと寂しいって思ってくれたらいい

アタシはどんなに泣いたって
生きていけるような人間だから
薄情な言葉とは裏腹の心配も
過保護にならないよう程々でいいよ



「考え無しを叱る時の顔が好き」

『不完全な完全』

『不完全な完全』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-21

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