『ミルフィーユ』

嘘に嘘を重ねて煙に巻いて
砂糖まみれのオーガンジードレス


『ミルフィーユ』


綺麗と言ってくれた貴方を
根底まで裏切ってまだ嘘を吐く
悪いことなんて知らない顔で
何処までも騙し抜く

甘いケーキと紅茶はいかか?
公然と微笑めばアタシは無実
隠し事は得意だし事実より綺麗よ
ただちょっとコツが必要なだけ

笑顔が可愛いあの子も
計算高く翻弄するあの子も
結局はみんな同じ穴の狢
騙す快感が癖になっただけ

それは抜け出すことが困難な
麻薬と同じ道理でハマる依存症
深い深い穴に自ら飛び込んで
貴方の為に更なる罪を犯す

ええ、皆さんが仰る通り
貴方の為だなんて真っ赤な嘘
全て自分の為でしかないけれど
それの何がいけないと言うの

揉め事を避ける為
円滑に愛される為
何につけても必要でしょう
貴方には理解できないというだけ

ふわりと揺れるドレスの裾は
その目を引く以外に理由はないわ
本当に隠したい嘘ならば
真実を散りばめて宝石みたいに眩ませる



「そこまでして隠したい嘘が愛ならば」

『ミルフィーユ』

『ミルフィーユ』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-21

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