となりあわせ
「死」
悲しむことは誰でもできる
もっと深くへ
もっと先へ
無駄なことなど無いのだろうか
これにも意味はあるのだろうか
こたえない問は煙に巻かれ消えていく
涙を流すは彼方の仕事
此方は無心で貪り尽くせ
睨むように笑顔を見つめる
さながら醜い獣の如く
肉も 骨も 思い出も
灰に変わった何もかも
一つ残らずこの胃袋に
泣くな畜生
時計の針は止まらない
順番通りは当然と
順番抜かしも平然に
抗う術を知っただろう
抗うことを誓っただろう
だから今日も吠えるのだろう
涙の代わりに
聞くに堪えない遠吠えを
「生」
今日は早くに目が覚める
普段は着ないあの服と
二人で買った腕時計
身につけ駅へと歩き出す
いつもより無口なスマホのトーク画面
いつもは乗らない時間の電車
イヤホンだけはいつもの音を奏でている
不安と期待が入り交じり
人の流れに身を任せ
黄金色の時計の元へ
待ち合わせまで二十分
いつまで経っても慣れない僕を
君は変わらず笑うだろうか
変わらないなと笑うだろうか
今日会う君に聞いてみよう
写真の中とは違う服
同じ時計を身につけた
君はなんて言うだろうか
変わらないことは何もない
変わることは怖いこと
そんな考えを君は壊した
君との未来は
ぞっとするほど幸せで
一人じゃ行けない甘い世界
都合の良すぎる妄想も
悪くないなと思ってしまう
待ち合わせより五分前
右手を挙げて君を迎える
となりあわせ