死に損ないの純情

「Re Birth」


重力が手を放して
剥がれ落ちる空気
ハラリ ホロリ キルキララ
身をよじって 空をもがいて
息をしようと 手を伸ばす
紺碧の真空へと

溺れながら吐き出された命の声
生きたいと
生まれ落ちてはじめて芽生えた命の意志
生きたいと
ただ生きたいと
地平線の遙か彼方 新しい光に手を伸ばした

「イヴ」

黙れよ、ライアー あんただってもう共犯者
(かじ)った果実の赤が誰よりも似合いなあたしたち
捨て去った純情 愚かな好奇心
無知な昨日には永遠に引き返せない
永久に消えない記憶を、罪を、互いに刻みつけたのだから

噛みつきあって
傷つけあって
それでも互いを離さないで
求めあって
愛しあうには
心は壊れすぎていた

神話に住む愛しき創造主たちへ
イカれたリアルより愛を込めて
地獄の果てで再会()いましょう?

お膳立てされた箱庭の楽園で
繰り返したままごとは楽しかったわね

ねえ、愛してる
終わりある命の限り永遠に
後悔に苛まれようと
憎しみに身を燃やそうと
それでも、あなただけを愛してる

「純情恋歌」

引っかかったままの言葉
後悔じゃ、ないのだけれど
行方不明の気持ち
伝えるつもりも、ないのだけれど

なんだかずいぶん遠回しな言い方でしか
言えなかったから
あなたを傷つけてしまいそうで
何も言えなかったから

つかんだあなたのTシャツの端
抑えきれそうにない想い
溢れ出した純情
「伝えても、いいですか?」

「ロック・スター」

愛や平和を歌わなくたって
あの人はロックンロールの神様だった
駆け出すネオンの街
イヤホンから響くのは孤独な夜
ひとりぼっちなのはきっとあたしだけじゃない
それだけが救いだった
真っ黒な未来を希望で塗り替えてくれ

ロック・スター ロック・スター
あたしの神様
手を伸ばす アイアンステージ
光はどこだ?

ロック・スター ロック・スター
(ひず)むファズ 背伸びのシャウト
ロック・スター いつまでも
希望を歌い続ける
あたしの神様

死に損ないの純情

死に損ないの純情

【それでも、光に手を伸ばした。これは、消えることのない愛の証。】消えたかった朝に、泣きたかった夜に、死に損なった純情に、4編の詩を添えて。 作者:綾野こまどり

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-04-03

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  1. 「Re Birth」
  2. 「イヴ」
  3. 「純情恋歌」
  4. 「ロック・スター」