『パンデミック』

現し世に身を置き
けれどどこか
消えてしまいたい衝動


『パンデミック』


そういう病があると
君が真剣な目で告げる
確かにあるんだろうけど
何だか都合がいいね

いつか行ってみたいと
何気なく呟いたあの場所も
今では随分変わったようで
それは教室の配置とか
そういう問題ではなくて

あんな気持ちはもう
二度と味わいたくないのに
どこかで望んでる
もう一度と願ってる

ひんやりした冷たさが
堪らなく好きだった
あの冷たさを思い返して
戻れないことを実感する

銀フレームの眼鏡
汚れた白衣
チョークを叩き付ける音
数字の羅列

君を巡る思い出は
全てがひんやりしてるよ
アタシを見てくれない
あの冷たさこそが愛しいの



「君と同じ病なら歓迎するわ」

『パンデミック』

『パンデミック』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-03-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted