母の愛情

 手を繋いで幼稚園に通ったこと。
 休みの日に一緒に遊んだこと。
 学校に行くとき、いつも玄関まで見送りに来てくれたこと。
 毎日家事をして、生活を支えてくれること。
 飲み会で帰りが遅い日も、起きて私の帰りを待っていたこと。
 私があげた商品券を使って、私の誕生日ケーキを買ってくれたこと。
 言葉にせずとも、母が娘を愛していることが伝わって来る。
 それは、とても幸せなこと。
 そのはずなのに。
 かつて母に言われた「死ね」という言葉。
 たった一度。
 その一言だけで。
 私は愛情を受け取れなくなってしまった。

母の愛情

母の愛情

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-25

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