『Honey』

貴方に叱られるのが好きだった
その声だけを頼ればいいと思えた


『Honey』


スプーン一杯の蜂蜜を落として
貴方の紅茶が黒く染まってく
いつも心配させてごめんなさい
そんな甘えも許して欲しい

アタシより甘党だから
砂糖も蜂蜜も切らしたことはない
だけど本当に欲しているものを
なかなか与えてあげられなかった

まだ子供でいたかったの
無条件で愛される子供のまま
貴方に心配されていたかった
いつまでもなんて無理なのに

軽く触れるだけの口づけを
まるで神聖なもののように
貴方は不満も言わず過ごして
それが優しさだったと気づかせた

覚悟を決めたのよ
何もかもを捧げるって
心を決めたから覆さない
これはアタシが決めたこと

いっそ不安げにカップを握る手が
微かに震えて見えて愛しい
知っているでしょう?
アタシって頑固なの

知っていたと返されれば
もう微笑むしかないじゃない
こんな甘さは初めてよ
口移しで仄かに蜂蜜の風味



『その覚悟を待っていたと口にして』

『Honey』

『Honey』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-11-25

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