マゼンダ

 天使の夢におちていきたい
 あのこの瞳にうつりたいな
 嘘つかれても 嘘はつかない
 きみの本当の名前が知りたい

 背中反らして 天井を仰いでる
 舌が出てる 喉が震えてる
 ばかになるのもあたま使うね
 甘いものでも用意しとくよ
 体に毒だと言われても
 ただ もう少し頑張れると思いたいだけ
 吐き出した煙も息も この部屋に溶けて
 きみが吸い込む空気になればいい
 
 天使の右手が俺に触れて
 すべて忘れる準備が出来た

 死んでないから生きてんだ
 そうやって諦めるのも一つの手か
 俺 これからどうなんだ
 やっぱ寂しいっていうんなら
 口に出す前に腐らせるな

 何も繕うことはない
 在りし日なんて置いていこう
 戯れの生活に 魂を売る
 情欲を何故 恋と呼ぶ
 骨と肉と皮と髪
 濡れた瞳に光が宿る
 命終えたい?
 心休まる場所に居たい
 天使の右手が空を切り
 振り下ろされたら救われる

「真っ白になれないなら
 せめて綺麗なものになりたい」
 きみの言葉は僕の願いで
 首をしめるのは延命措置 ね
 どこにいたって苦しいんなら
 何やったって同じだろ
「そんな悲しいこと言わないで」

 死んでないから生きてんだ
 そうやって開き直るのも一つの手か
 俺 これからどうなんだ
 天使が俺の名前を呼ぶから
 歩き方を思い出せる
 眠らぬ街に現れる
 星のようなマゼンダの灯り
 その嘘偽り
 守り抜くこと 夢見てた

 白に焼かれ灰になった
 黒い闇の中へ行った
「最期にはきっと透明になれる」
 きみは強く美しい
 そんなことも知らないままで

 きみはきみなりに考えたんだ
 そう割り切るのも一つの手か
 今もぼくらの中で生きている?
 そうやっていつか忘れてく
 もっともらしいことに思えるね
 うしなうことに 慣れたくはないよ

 なあ これから どうすればいい

 死んでないから生きてんだ
 そうやって諦めるのも一つの手か
 俺 これからどうなんだ
 人々は皆忙しなく
 景色は変わらず流れてく
 きらきら 水面が追いかけてくる
 俺 これからどうなんだ
 なあ これからどうすんだ
 星のようなマゼンダの灯り
 悲しみの出口照らす光
 守り抜くこと 夢見てた
 生きることは (けが)れることさ
 何も繕わなくていい
 きみは強く美しい
 そんなことも知らないまま

 そんなことも知らないままで
 いってしまうことはないのに

マゼンダ

野菜くずのようなものです。重ね重ね申し訳ありません。どんなに苦しくても生活は続いていきますね。

マゼンダ

希望について

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2024-11-19

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