【短歌】流水麺はじめました

Utakataからの転載です。
かなりの数がありますので、バラして公開してます。
お暇つぶしにどうぞ。

僕は今年の夏も流水麺お世話になりましたよ、Yさん(笑)

【短歌】流水麺はじめました その1/10首

暑いからふたりざるうどん大根おろしが口内爆発する







痩せたかも去年の服羽織りみて寸分違わずジャストサイズ







あなたの書く数字の「3」はどこかあなたらしくて真似できない「3」







コンビニで本麒麟(ほんきりん)買う人と仲よくなれそうな気がする、たぶん







希望が残酷なら夢は地獄か 負けんな負けんな人生ゲーム







オーバーサイズのくすみTシャツがはしゃいでしまう夏日気温







失恋をしたからでなく過去からの脱却だねショートカット







髪を結ぶ姿に狼狽えた 気の合う女友だちだったのに







お母さんから個人情報晒されあたふたするのが友だち







呼び出して告白「え…あれ? 知らないの? 野球部の…」の途中で去る

※お恥ずかしながら僕自身の高校一年のときの実体験です……かなり引きずりました(笑)

【短歌】流水麺はじめました その2/10首

長年隠してた秘密、あっさり話し昇華さす同窓会







机の中から固いパンとマーガリン それでもきみを好きだった/昭和の日







僕は美味しんぼとクッキングパパで料理を学んだと思う/昭和の日







夏授業赤い顔して下敷き仰ぎ机のタオルに寝る/昭和の日







君といた昭和最後の日 SANYOの14インチはどこへ/昭和の日







叫んでも届かぬなら念送るよ。頑張るな、きばるな、無理するな。







駒沢公園(コマコー)で遊んだら駄菓子屋へ 解散の合図はカレーの香り







よくかき混ぜてご賞味ください酸いも甘いも経験済みです







大学のグラウンドから運動部の声気だるそうな春逃げてく







湿布で冷やす不機嫌な弱みはやがていちばん脆い箇所へと

【短歌】流水麺はじめました その3/10首

犬と猫世界平和を任されたならどっちが全うするんだろ







因果応報信じてるコンビニで1円足りないとか起れ







恨みある人に似た人見かけ、念。なんにもないトコロで(つまず)







はじめたばかりでおわりを数える 恋愛もたこ焼きも一年も







(てのひら)にいる超克(ちょうこく)飲み込んでスクワット百回やれ







駅弁目的で駅に行く不条理を叶える東京駅







最古の記憶は雪の日に近くの橋から落ちたトラックの色







大型連休は夏のやんちゃに慣れるための練習試合







セピア色の記憶に初恋を加え涙と後悔煮込みます







あざとさも小狡さもわかってる。わかってるけど、男ったらさあ。

【短歌】流水麺はじめました その4/13首

指ワイパー何度も何度も擦る窓 雨の街はエモく霞む







もういいかい? まあだだよ……しっ黙って動かないで。まだ奴らがいる







秘するは悪意と赤裸々の敵意 戯言の如く揺れ動く(なび)







小中学足速かった。高校で井の中の蛙の意味知った







【好みを選べ】やさしい、ノリ・キャラがいい、金持ち、ドS、鬼、悪魔







元気/一日動きまわり食後パタッと寝る子供のこと、さま







元気/カップ麺を3分待たずバリバリ食べられる様子、さま







六月(みなつき)はせっかちさんひとり待ちきれず五月(たちばなつき)をかき乱す







五月の東京は物静かで、街に慣れた人らを食い散らかす







運動会当日の朝の言葉にできないドキドキ、忘れてる







諫早の遠くから届く汽笛が子守唄のよう星空に溶け







待って、落としましたよ。あなたの叶えたい夢と未来の申請書







求めぬ頼らぬと決め己思うまま進めば(やが)て着く正門

【短歌】流水麺はじめました その5/10首

食パンくわえて走る子とか角でぶつかる女子に会ってみたい







長き夕光(ゆうかげ)は西から贈られ終の幕と入れ替えつつあり







チャリ・バイク・車でイキがる奴らなぞ引っ捕まえてドロップキック







子供の頃自然と大人になれると信じてた資格も取らずに







右目奥心臓の横耳の中、見つけてよドス黒い感情







男は上澄みを、女は本性を(えぐ)る生命体ですから







大人になることを拒否した者は冠毛(かんもう)のよに浮遊しつづけ







想像するに割と恋愛体質でトマト苦手で嘘つき







あなたのいい人は誰かのわるい人。おかしな話だね、さっちゃん







岩下の新しょうがあれば飯十杯いける。いや食わんけど

【短歌】流水麺はじめました その6/10首

蚊に効きまんにゃわがホントなら使ってみたいなり、ざます、でごんす







悲しみのない世界なら泣くのは生まれてくる時だけなんですね







朝のエレベータに残る香り 下に着くまでダイバーの気分で







うわあ五時のシャワー頭がしがし洗う、髭剃る、うわあしあわせ







景色の先に美しさ見つけることひとの根っこを探ることに似て







この際だから言っておく。外に出るとき腹に力いれてますけど







あの土曜日午後の校庭開放は得も言われぬ宝時間







ブラシでプールの素肌をこする夏本番前の下準備







部活後の行列冷水機とキス寸前の水分補給







好きが弱すぎても強すぎてもだめだから愛してるに届かない

【短歌】流水麺はじめました その7/10首

ある人がいう、夢に見た懐かしい人別れの時と。懐かしめと







十代の恋が勢いならやけど用心火力調整







窓ガラス映す全身加工なしじっとするのは好みの角度







お優しそうと言われたら全力で否定する天邪鬼ぶり







遠くに行こうよ遠くへとそしたら夢が希望がちいさくなるよ







ビニール傘から風景の透けない傘大人になれた気がして







君はいつも変わらない刺激を与えてくれる。夢中さ、キンカン







特別な想い乗せてポストに放り込むたった一枚のハガキ







そわそわと届く返事を待つ時間バイクの音にあわてて走る







コンビニ前転がってると思いきや突然鳴くし飛ぶのがセミ

【短歌】流水麺はじめました その8/10首

遠いあなたへはやく届けと書きつらねそれは幼き恋ごころ







さめざめと泣くがいいみえる景色がとけてもゆがんでも君はきみ







サイってサイしてるし象は象らしい。僕は都会に()まれる人







ジャングルジムの上から眺める世界こそぼくらのすべてだった







鼻を()む毒素ぜんぶ出せそうで、すっと吸い込み最大噴射







恋が勘違いなら蛙化現象なんて大いなる矛盾







黒が似合うのは臆病な証拠。光をのみこみ色まぜる







ネコすきイヌすきアイスすきチョコすきポテチすき。あのさ、きみのこと







頭突きから掌底(しょうてい)で鼻を突き気力を奪い(ひざまず)かせる







天使はいつの間にやら近くにいて秘密の任務を司る

【短歌】流水麺はじめました その9/10首

ぼくは童夢とAKIRAをはじめて手にした時、漫画は観るものだと知る







見違えるほどだと言われたかったのに見間違われる人となり







生きるなら躊躇(ためら)いなく進めばいい迷いも悩むもほんのおまけ







燻銀(いぶしぎん)のようなおっさんかっけえ。職人気質(しょくにんかたぎ)渋いっすね







お絵描きで覚えた色山吹色一本だけ短かった色







きらきらと見えるものほど裏をみろ美しさも残酷さもあり







たとえば唐辛子を噛むような刺激 無知の怖さを知り得たから







【人生の重要課題】山手線駅名ぜんぶ言えたら勝ち







【人生の重要課題】バスガス爆発噛まずに言えたら勝ち







人生で一度だけカラスからガンとばされ本気モードなりかけて

【短歌】流水麺はじめました その10/10首

路地裏のツナサンドがまずい自宅のようなほっとする喫茶店







僕たちは持ってた。暇つぶしする場所と暇つぶしという宝







ドライブに行くならはとバスの後つけて東京見物しよう







地面見たまま先急ぎ今日乗り切る巣鴨駅前サラリーマン







22時、南へ10分歩き上を見ろ。夜空広いから







肩から手首へ忍び寄り小桜インコはペンに闘い挑む







ねこのような女の子はパス 女の子のようなねこはすきだけど







思い出は常温でも腐らない。けど冷凍だと大変かもね







「自分が書かなければおそらく誰かが書く日記」真夜中集った基地







笑顔とか笑い声とか一瞬のあなたが一気に加速する

【短歌】流水麺はじめました その11/10首

愉快活発が毎日の制服下駄箱で廊下で放課後で







学ランもスカーフも空も桜も校庭の君も眩しかった







ひと文字目で未来が決まりそう ふう…息とめて書きだす日記







宿題の自由研究の下調べの下調べの下書き







毎朝窓から見てた先輩は紺マディソン頬あかくかわいくて







放課後教室にのびる影が矢印のように道指し示し







十五の僕はおそろしくこどもで愚かで無知でただ無力で







せめてあと7センチ高かったら、僕はダンクを連発してたよ







いまだってふざけたいし牛乳吹き出させたいし笑いたいし







心残りの苦味を忘れないよう何度も観つづけるアメグラ

【短歌】流水麺はじめました その12/10首

お願いですチーズのようにとろけるような眠りを朝までずっと







海へ山へ過去へ未来へ探しにふたりなら見つかるおとしもの







ドラゴン桜が身に沁みる知ってること知らないことの恐怖の差







版下抱え神谷町朝六時タワーやさしく微笑んだようで







彷徨おうとする懲りもせず。迷えば戻れないかもやしれないのに







ふわふわの風を渡してくれる扇風機今日だけは大暴れ







昭和には割り勘というスマートな支払い方法があったとさ







カーテンを開けまぶしさ目視後すぐ閉める 夏日恒例の所作







むかし見かけたドラえもん最終話、号泣笑顔号泣







「あ」の字「い」の字何度記すも納得できずむずかしさ思い知る「あい」

【短歌】流水麺はじめました その13/10首

いい加減気付けよ話したがるのは楽しいからうれしいからだよ







「泣かないと決めてたのにな」うつむくあなたを受けとめてたらきっと







「僕は元気だよ」送れないメール喧嘩した朝のような憂鬱







すうすうと台詞の合間に聴こえ一時停止土曜日の幸せ







ああそうか、ビールの味を記憶から消し去って5年経つんだね







今月ひとつ年とる来月ひとつ君が再来月記念日が







躊躇(ちゅうちょ)薔薇(ばら)をさらりと書ける人妬み嫉みで嫌になりそ







振替でゆるりする月曜朝 曇天のおだやかでおだやかで







臆病でしらないところこわいけど元気玉持って出かけたよ







元気ってあげるものもらうものと知ったのはついこの間のこと

【短歌】流水麺はじめました その14/13首

ねえきいてかぜはどこからきているのそれからどこへかえっていくの







案ずるよりも腕を組みあご撫で目線は斜め上で生むが易し







晴れの土曜お昼前の待ち合わせは犬以外の場所にしよう







目見開き壁のオススメ眺めてる夕暮れ谷根千コの字酒場







コンビニ10秒スーパー1分。駅までは必至、競歩です







下敷きで仰ぐと先生も我慢してるぞと一喝。あ、パワハラ







はじめての徹夜は十二歳ラジオから流れるロックは渋く







南部鉄瓶の風鈴の音 昼寝に誘われ夢で戯れ合い







何も変わらない朝。ただ違うのはあなたへ「おはよう」から「おめでとう」







いつの日か知る人ぞ知る人になりこっそり友に「あれはぼくだよ」







ミニクッキーがほろほろくずれ子犬の甘咬みはぐはぐ思い出し







きれいに生きましょうねの真意を知り今をきれいに生きる決意







見送る年齢となり思い出されるのは春の陽のような笑顔

【短歌】流水麺はじめました

【短歌】流水麺はじめました

Utakataからの転載です。 かなりの数がありますので、バラして公開してます。 お暇つぶしにどうぞ。 僕は今年の夏も流水麺お世話になりましたよ、Yさん(笑)

  • 自由詩
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-10-23

Copyrighted
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  1. 【短歌】流水麺はじめました その1/10首
  2. 【短歌】流水麺はじめました その2/10首
  3. 【短歌】流水麺はじめました その3/10首
  4. 【短歌】流水麺はじめました その4/13首
  5. 【短歌】流水麺はじめました その5/10首
  6. 【短歌】流水麺はじめました その6/10首
  7. 【短歌】流水麺はじめました その7/10首
  8. 【短歌】流水麺はじめました その8/10首
  9. 【短歌】流水麺はじめました その9/10首
  10. 【短歌】流水麺はじめました その10/10首
  11. 【短歌】流水麺はじめました その11/10首
  12. 【短歌】流水麺はじめました その12/10首
  13. 【短歌】流水麺はじめました その13/10首
  14. 【短歌】流水麺はじめました その14/13首