『背中』
思い出の中の貴方は
いつも悲しい
『背中』
晩年ばかりを思うからか
遣る瀬無い人生にばかり
目が行きがちになる
貴方は貴方で
楽しかったことも
あったでしょうに
よく分からないの
愛情なんて曖昧で
この興味の無さを
言葉にできない
アタシの世界に
貴方は居なくて
それはもう
ずっとだから
生まれた時から
既に希薄なこの感情を
誰もが理解できないと
言うけどどうしようもない
スーツと眼鏡と煙草
それくらいしか
記号的にしか
貴方を言い表せないのよ
アタシが冷たいのでしょうか
それとも何かしら
欠損したものがあるの?
「煙草の匂いは貴方の匂い」
『背中』