「胎の子」
背中から海に落ちて
両腕を水面の向こう
伸ばしたまま 落ちた
泡ばかり
水ばかり
寒さばかり
呼吸さえ意識しなければ出来ない
口惜しさに花びら一枚噛んだって
息の絶えるわけでもなし
沈痾が止まるわけでもなし
肉体はやがてぷらんくとんにでもなる
水じゅうに散らばって見えなくなって
鯨にでも 食べられたらいい
ぐずる胎児の格好して
紅一色の胎の中
月探す雲よどんだ瞳は
沈んで
回って
呼吸をする…
「胎の子」
背中から海に落ちて
両腕を水面の向こう
伸ばしたまま 落ちた
泡ばかり
水ばかり
寒さばかり
呼吸さえ意識しなければ出来ない
口惜しさに花びら一枚噛んだって
息の絶えるわけでもなし
沈痾が止まるわけでもなし
肉体はやがてぷらんくとんにでもなる
水じゅうに散らばって見えなくなって
鯨にでも 食べられたらいい
ぐずる胎児の格好して
紅一色の胎の中
月探す雲よどんだ瞳は
沈んで
回って
呼吸をする…
「胎の子」