「道化の春」

 雪柳咲くころ
 かなしみの 泪たれ
 愛惜か?
  ならず
 見通しの曇がかる為か?
  ならず
 感銘の為?
  ならずならずならず
 唯 かなしみのみ
 雲一つ存せぬ青空のため
 青い空に翳り蒔かれぬため
 太陽の火照る程熱いため
 自ら潰した両脚のだるさが取れぬため
 このいかさまな陽気のため
 泪は涸れず
 泪は涸れず
 日傘を差しても雨が降る
 日傘を差せば雨が降る
 降れ
 降れ
 どうせナマクラな町にひとときだけ
 あじさいの年中咲くことを
 私は

「道化の春」

「道化の春」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-01-04

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