「夜窓」

 なつかしさは止めやらず
 砕けたびいだまの糸
 この心臓に刺繍をきざむ
 日に深く
 日に濃くなりゆく
 手毬ころげ
 兎のお月見
 銀の花敷き詰めて
 黄色な瞳の青水晶
 薄紅色のとんぼ玉
 針持たぬコンパスと成りにけり
 黒い霧は夜のめざめ
 なつかしさが金魚鉢から溢れ
 青白いユリ
 灯し始めて

「夜窓」

「夜窓」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-30

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