「をみなご」

 しゃぼん玉吹くをみなごら
 一人おかっぱ
 一人くせっ毛
 一人は白い布かつぎたる
 顔は見えない
 太陽の輝き 白い曼珠沙華に覆われて
 笑う口元―小さなおくちは紅く―それしか見えない
 しゃぼん玉吹くをみなごら
 草の茎をふうと吹く
 一人が吹いて二人は見る
 一人が吹いて二人は見る
 一人が吹いて二人は見る
 もう一度
 何回も
 繰りかへす

 しゃぼん玉吹くをみなごら
 梅
 桜
 菜の花
 菖蒲
 紫陽花
 牡丹
 チュウリップ
 野原に咲ける石垣の城
 天守のお屋根にすずめのお宿
 しゃぼん玉 昇りて昇りて
 春のうつくしきかげらふの
 やわらかき塀は萎まない
 をみなごらの笑い声
 雨の彼岸からおとないたり

「をみなご」

「をみなご」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-12-18

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