「をみなご」
しゃぼん玉吹くをみなごら
一人おかっぱ
一人くせっ毛
一人は白い布かつぎたる
顔は見えない
太陽の輝き 白い曼珠沙華に覆われて
笑う口元―小さなおくちは紅く―それしか見えない
しゃぼん玉吹くをみなごら
草の茎をふうと吹く
一人が吹いて二人は見る
一人が吹いて二人は見る
一人が吹いて二人は見る
もう一度
何回も
繰りかへす
しゃぼん玉吹くをみなごら
梅
桜
菜の花
菖蒲
紫陽花
牡丹
チュウリップ
野原に咲ける石垣の城
天守のお屋根にすずめのお宿
しゃぼん玉 昇りて昇りて
春のうつくしきかげらふの
やわらかき塀は萎まない
をみなごらの笑い声
雨の彼岸からおとないたり
「をみなご」