「薄氷」

 丸い地面に
 氷が張る
 音も無く
 しのびよる 薄氷
 ひたひたと
 足首掴む 薄氷
 逃げもせず
 戦いもしない棒切れの身体
 凍りつく
 凍りつく
 今に今に固まるぞ
 鍬を以て砕けども
 氷を透かして肉を刺す
 血はまたきありと縛られる
 何をしても
 何処に行けど
 言葉を吐けど
 水糸の氷が薄い薄い着物になってやって来る
 はりついて
 (くる)まれて
 眠らせられる
 赤い炎の警告灯も
 白く灰と冷たくなった

 ピシリ
  ピシリ
   ピシリ
    ピシリ
 蚯蚓ののたくるクラックが


 割れた底は、水かそれとも

「薄氷」

「薄氷」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-28

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