「雪椿」

  雪椿
  ()れを慕ってさ迷えり
 お前は何者であろう
 ただの儚い花ではあるまい
 その鮮血注いだ花弁を操りしお前が
 生血を身に纏うお前が
 人に支配される心でもあるまい
 荒々しく
 うつくしい
 哀しい姫神さまの御化身よ
 真心の(べに)は誰れに注いだ
 今でもかうやって雪に(くる)んで
 見えない情熱の雨を降らしている
 水をも操る雪椿さま
 此処は例え盛りでも
 綿あめの欠片、泡の白雪が舞っている

「雪椿」

「雪椿」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-11-25

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