「青光」
青い光さまよえり
もやしの芽のようで
蛍烏賊の色放つ
青い一筋の光は
無数にひょろひょろとさまよっている
海に浮ぶもの
山に籠もるもの
橋に眠るもの
川を見つめるもの
昼を恐れるもの
夜に取り縋り泣くもの
咽ぶもの
沈むもの
胡蝶ゆらめく水面へ翔けたもの…
青い光は無数の嘆き
目には惨めに映れども
匂いは生々しき臭気なれど
青藍の淵に
露草もろともに浸って居る
青い光は常々濡れて
体はいつも寒々しい
なれど淵を這い出た時の寒さを恐れ
かうして涙に甘えてばかり居る
哀れ 青き光
その明滅は何のための瞬きか
かなしや 青い光
指先すらもすりぬけて…いづこへ
「青光」